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減損会計を学ぶ 【第23回】「減損処理後の会計処理」

筆者:阿部 光成

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減損会計を学ぶ

【第23回】

「減損処理後の会計処理」

 

公認会計士 阿部 光成

 

減損会計の適用については、固定資産の帳簿価額を減額し、減損損失を計上すれば終了というわけではない。
減損処理後も、引き続き、固定資産を使用し続けることがあるからである。

本稿では、減損処理後の会計処理について解説する。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

 

Ⅰ 減価償却の実施

1 減損処理後の減価償却

減損処理後も、引き続き、固定資産を使用し続けることがある。

「固定資産の減損に係る会計基準」では、減損処理を行った資産については、減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行うことを規定している(三、1)。

「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号。以下「減損適用指針」という)は、減損損失を控除した帳簿価額から残存価額を控除した金額を、企業が採用している減価償却の方法に従って、規則的、合理的に配分すると規定し、減価償却後の未償却残高が貸借対照表価額となると規定している(減損適用指針55項、134項)。

2 残存価額の算定

残存価額の算定に際しては、次のことに注意する(減損適用指針135項)。

 残存価額は、耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額である。

 残存価額は、減価償却費の計算においては現在時点まで割り引かれない。

 残存価額がゼロと見積もられた場合、残存価額を10パーセントとして定率法の償却率を計算する方法を採用することはできない。

この場合には、残存価額を10パーセントとして計算した金額に簡便的に9分の10を乗じた額を各期の減価償却費として計上する方法も認められる(「リース取引に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第16号)112項)。

3 期中の減損処理

減損会計は、固定資産について、直接的に貸借対照表価額を求めるものではないと考えられており、期末だけでなく、期中において減損処理が行われる場合がある(減損適用指針134項)。

 

Ⅱ 処分予定の固定資産

1 減損処理後すぐに処分するケース

減損処理の対象となった固定資産について、減損処理後、すぐに処分する予定のものがある。

このような処分予定の固定資産については、通常、回収可能価額は、売却による回収額である正味売却価額となるため、減損処理後の帳簿価額と残存価額は一致していると考えられる(減損適用指針137項)。

2 減損処理後、一定期間経過後に処分するケース

処分予定の固定資産であったとしても、減損処理後、一定期間経過後に処分する予定のものがある。

この場合には、当該一定期間において固定資産として使用されることから、残存価額まで減価償却を行うこととなる(減損適用指針137項)。

3 保有目的を変更して固定資産から流動資産に振り替えるケース

従来、固定資産として保有していたものについて、保有目的を変更し、流動資産に振り替えることがある。

減損適用指針は、従来、自社使用又は賃貸事業用目的のために保有していた固定資産を、減損処理後、合理的な理由に基づき、販売目的で保有することに変更した場合には、当該固定資産の帳簿価額を固定資産から流動資産に振り替えることとなると規定している(減損適用指針136項)。

保有目的の変更が、財務諸表に重要な影響を与える場合は、追加情報として、その旨及び金額を貸借対照表に注記することになると考えられる。当該ケースについては、日本公認会計士協会から「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会報告第69号)が公表されており、その「7.販売用不動産等及び固定資産の保有目的変更への対応」に規定されている。

 

Ⅲ 遊休資産

減損の兆候として、資産又は資産グループが遊休状態になり、将来の用途が定まっていないことがあげられている(減損適用指針13項(4)、85項)。

「遊休状態」とは、企業活動にほとんど使用されていない状態であって、過去の利用実態や将来の用途の定めには関係がない現在の状態であり、このような状態にある資産が遊休資産である(減損適用指針72項)。

遊休資産について減損処理を行った場合、減損処理後の減価償却費は、原則として、営業外費用として処理する(減損適用指針56項)。

また、減損処理を行うこととはされなかった遊休資産についても、減価償却を行うこととなり、当該遊休資産の減価償却費についても、原則として、営業外費用として処理する(減損適用指針56項)。

「固定資産の減損に係る会計基準」が設定される前には、日本公認会計士協会から「休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い」(監査第二委員会報告第2号)が公表されていた。

同委員会報告は、平成16年3月17日付の「監査第二委員会報告第2号『休止固定資産の会計処理及び表示と監査上の取扱い』の廃止について」により、廃止されている。

廃止する理由において、監査第二委員会報告第2号における以下の取扱いについては、すでに実務慣行として定着していると考えられたことが述べられているので、実務における取扱いについては、注意が必要である。

 休止固定資産についても減価償却を行い、原則として営業外費用として処理すること

 固定資産に含めて表示した休止固定資産の金額が重要である場合には、その旨及びその金額を注記すること

 

Ⅳ 減損損失の戻入れは行わないこと

減損損失の戻入れは、行わないと規定されている(「固定資産の減損に係る会計基準」三、2)。

「固定資産の減損に係る会計基準」においては、減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を認識及び測定することとしていること、また、戻入れは事務的負担を増大させるおそれがあることなどが、その理由である(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」四3(2))。

(了)

次回は2015/1/8に掲載されます。

連載目次

「減損会計を学ぶ」(全24回)

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「税効果会計を学ぶ」(全24回)

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「金融商品会計を学ぶ」(全29回)

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筆者紹介

  • 阿部 光成

    (あべ・みつまさ)

    公認会計士
    中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

    現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
    企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

    主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂版〕』(編著、商事法務)がある。

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