税務判例を読むための税法の学び方【52】
〔第6章〕判例の見方
(その10)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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(⑤ 裁判の不服申立てに係る裁判の種類)
(承前)
これに対して、事件受理の申立ては、刑事訴訟規則第258条の以下の条文によるものである。
刑事訴訟規則
第258条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、その事件が法令(裁判所の規則を含む。)の解釈に関する重要な事項を含むものと認めるときは、上訴権者は、その判決に対する上告の提起期間内に限り、最高裁判所に上告審として事件を受理すべきことを申し立てることができる。(但書以下略)
民事裁判の場合の上告受理の申立てには、その理由として「原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件」とあったものが、刑事裁判による事件受理の申立ての場合には、その理由として「その事件が法令(裁判所の規則を含む。)の解釈に関する重要な事項を含むものと認めるとき」とされており、刑事事案の方が上告(事件)受理の申立ての範囲が狭い印象を受ける。しかし、刑事裁判の場合には、刑事訴訟法第405条において、以下のように規定されている。
刑事訴訟法
第405条 高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。
一 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。
二 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
三 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。
このように刑事事件においては、原裁判所の判断が、最高裁判所の判例と相反する判断の場合には、(民事裁判の場合には、上告受理申立ての理由であるのに対して)上告理由とされているためであり、刑事裁判の方が上告の対象が狭くなっているわけではない。
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