税務判例を読むための税法の学び方【66】
〔第8章〕判決を読む
(その2)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
連載の目次はこちら
2 判決をみるポイント
① 当事者の主張をしっかり読む
判決の全文を入手しても、その量が多い場合には、判決部分である「裁判所の判断」だけを見て、当事者の主張は軽視しがちである。
しかし、結論である判決は当然当事者の主張を背景にしたものであるから、これを見落としてはいけない。
というのも、民事訴訟においては弁論主義が採られており、裁判所はあくまでも当事者の主張したことの中で判決を下さなければならないからである。
租税訴訟は、地裁に関して言えば、東京地裁や大阪地裁(その他の幾つかの大都市の地裁にもある)といった行政事件を専門に扱う部署がある裁判所を除き、刑事・民事に大別した中では民事に属するため(【第49回】参照)、普段民事訴訟を審理している裁判官が裁判に当たることになる。
租税訴訟の手続法としては国税通則法や行政事件訴訟法によるが、この行政事件訴訟法第7条において、特に行政事件訴訟法に規定がない場合には民事訴訟法による旨が規定されており、民事訴訟と同様、弁論主義をベースにした審理がなされているからである(これに対し、刑事事件の場合には当事者の主張如何により結論が左右されてはいけないため、職権探知主義が採られている)。
もっとも、租税訴訟については、私見としては、本来、弁論主義ではなく職権探知主義によるべきものと思っている。
以下にその点を少し詳しく記していこう。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。