税務判例を読むための税法の学び方【71】
〔第8章〕判決を読む
(その7)
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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(2 判決をみるポイント)
(② 結果を左右した要素を見極める)
((3) 判決の示した「一般的法命題」は何か)
(承前)
ところで、この判決を左右した結果を見極めるためにも、事案の正確な把握は不可欠である。
そのためには、「下級審の判決をしっかり読む」ことが必要である。
前回紹介した判決において、原告が子会社の役員であるのみならず米国親会社の副社長でもあるが、そのことは第一審(東京地裁平成15年8月26日判決)にしか出てきていない旨記した。
このように、事案の判断に当たり大事な事実が、第一審の判決文にしか出てきていないケースがあるため、最高裁の判決について判断する場合においても、第一審や控訴審の判決を見る必要がある。
③ 判例の射程を見極める
前回、「一般的法命題」をしっかり把握すべき点、説明した。
昨今、ある裁判例の「一般的法命題」が「判例」として信じられ、多くの裁判例において引用され判断基準とされてきたものが、下級審において「判例」ではないとされたうえ、最高裁においても「判例変更」と扱われず、上告受理申し立てが不受理とされた事案があった。
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