税務判例を読むための税法の学び方【83】
〔第9章〕代表的な税務判例を読む
(その11:「一時所得の計算における所得税法34条2項の
「その収入を得るために支出した金額」の範囲①」(最判平24.1.13))
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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1 はじめに
この判例は、所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」の意義を巡って争われ、第一審・控訴審ともに納税者が勝訴したのにもかかわらず、最高裁で一転国側が勝訴した事案である。
この訴訟自体は、養老保険契約に基づいて受領した満期保険金の一時所得の計算にあたり控除し得る金額について争われた事案であるが、条文の読み方の姿勢として示唆するところは大きいものであるため、これを解説したい。
2 事案の概要
原告らは、その経営する法人が契約者となり、原告らと同法人が保険料を各2分の1ずつ負担した養老保険契約の満期保険金を受領した。そこで原告らは、同法人負担分も含む保険料全額を、所得税における一時所得の金額の計算上控除し得る「収入を得るために支出した金額」に当たるものとして、所得税に係る確定申告(平成13年分から平成15年分)をした。しかし税務署長は、同法人が負担した(保険料として損金処理した)2分の1の保険料は、「収入を得るために支出した金額」に当たらないとして、更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をなした。そこで原告らが、上記各処分の取消しを求めた事案である。
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