税務判例を読むための税法の学び方【10】
〔第4章〕条文を読むためのコツ
(その3)
自由が丘産能短期大学専任講師
税理士 長島 弘
(前回はこちら)
(4 主文の主要素を見極める方法)
③ 選択的接続詞「又は」「若しくは」による段階構造の分析
法令文において語句を選択的に結び付けるときには、「又は」と「若しくは」が用いられる。すなわち、複数の語句の中から1つを選択する場合に使われる。両者は、文字的意味の上では同じものであり、日常用語としては同じような意味で区別せずに使われている。
しかし、法令用語としての「又は」と「若しくは」は、明確に使い分けられている。
選択的接続詞を用いる場合で数個の語句を単純に並列するだけのときには、「又は」が使われる。選択肢が3つ以上であっても、同じ段階で並べて選択するときは、最初の接続は「、」でつなぎ、最後の部分を「又は」で結ぶ。すなわち、「A又はB」や「A、B又はC」「A、B、C又はD」というふうに表現される。
一方、選択的に列記される語句でも、意味の上で、あるいは語句のつながり方の関係から、単純に並列することができない場合がある。そのような場合には、「又は」のほかに「若しくは」を用いて段階の差異を示すことになる。すなわち、「又は」は大きな接続の段階で使い、小さな接続の段階には「若しくは」を使う。
すなわち、「AとB」で選択したものを、「C」と選択的に結び合わせる場合には、「A若しくはB又はC」と表現されることになる。
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