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《速報解説》 監査基準改訂を受け公益法人等の監査実務指針が改正される~「独立監査人の監査報告書」の文例を見直し、医療法人など他の改正実務指針等も順次公表~

《速報解説》 監査基準改訂を受け公益法人等の監査実務指針が改正される ~「独立監査人の監査報告書」の文例を見直し、医療法人など他の改正実務指針等も順次公表~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年7月18日付(ホームページ掲載日は7月30日)、日本公認会計士協会は、「非営利法人委員会実務指針第34号「公益法人会計基準を適用する公益社団・財団法人及び一般社団・財団法人の財務諸表に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」の改正について」を公表した。公開草案に対するコメント対応も公表されている。 これにより、2019年5月10日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 これは、「監査基準の改訂に関する意見書」(2018年7月5日、企業会計審議会)及び関連する監査基準委員会報告書の改正を受けたものである。 なお、「医療法人の計算書類に関する監査上の取扱い及び監査報告書の文例」(非営利法人委員会実務指針第39号)の改正など、その他にも同様に、監査基準の改訂に関連する改正がなされているものがあるのでご留意いただきたい。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 主な改正内容は、「独立監査人の監査報告書」の文例の改正である。   Ⅲ 適用時期等 2020年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。 (了)

#No. 329(掲載号)
#阿部 光成
2019/08/06

《速報解説》 公認会計士・監査審査会、令和元事務年度版の「監査事務所検査結果事例集」を公表~監査法人GC等を踏まえた業務管理態勢の問題点に係る事例を追加~

《速報解説》 公認会計士・監査審査会、 令和元事務年度版の「監査事務所検査結果事例集」を公表 ~監査法人GC等を踏まえた業務管理態勢の問題点に係る事例を追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 令和元年7月30日、公認会計士・監査審査会は「監査事務所検査結果事例集(令和元事務年度版)」を公表した。 今回の事例集の特徴は次のとおりである。 「令和元年版 モニタリングレポート」も公表されており、監査法人の状況などについて、会計専門家ではない一般の利用者にもわかりやすく説明がなされている。 事例集は、公認会計士・監査審査会が行う監査事務所の検査で確認された指摘事例等を取りまとめたものであり、基本的に、監査事務所に関する内容である。 本稿では、事例集に記載された事項のうち、一般事業会社における会計処理等においても参考になると考えられるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 取締役、監査役、投資者等による活用を期待 事例集は、上場会社等の取締役・監査役や投資者等に対する参考情報の提示という観点から、最近の不正会計事案に関するものも含め、審査会検査で確認された指摘事例を記載し、また、監査事務所の改善取組において前向きな取組例も取り入れているので、会計監査人の適切な評価のために、是非参考にしていただきたいと考えているとのことである。   Ⅲ 個別業務における「問題となった事例」 事例集は、次のような事例について述べている。 会計上の見積りについては、継続して不備が頻出していると述べている。 (了)

#No. 329(掲載号)
#阿部 光成
2019/08/06

《速報解説》 会計士協会、「非営利組織モデル会計基準」を公表~法人形態間の財務報告の相互整合性向上を図る~

《速報解説》 会計士協会、「非営利組織モデル会計基準」を公表 ~法人形態間の財務報告の相互整合性向上を図る~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年7月18日付(ホームページ掲載日7月31日)、日本公認会計士協会は、非営利組織会計検討会による報告「非営利組織における財務報告の検討~財務報告の基礎概念・モデル会計基準の提案~」を公表した。これにより、2019年4月26日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、非営利組織における財務報告の在り方に関する「財務報告の基礎概念」と「モデル会計基準」について検討した報告書である。 公開草案に対するコメントの概要及び対応も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 非営利組織における財務報告の共通性を高めていく必要性が高まっているとの認識のもとで、非営利組織における財務報告の基礎概念及び非営利組織モデル会計基準(以下「モデル会計基準」という)を提案している。 次の附属資料がある。 公開草案の公表時に、公開草案に対する質問項目が記載されていたことから、各質問項目についてコメント対応が記載されている。公開草案に賛同する意見と否定的な意見が寄せられている。 1 モデル会計基準の位置付け モデル会計基準は、非営利組織に該当する法人に適用される会計基準のモデルとなる枠組みとして位置付けられ、非営利組織に該当する法人に適用される複数の会計基準間の相互整合性を高め、財務報告の目的を達成することを可能とする。 2 企業会計の基準との関係 財務報告の基礎概念、認識及び測定に関する個別論点の検討に当たっては、非営利組織の財務報告目的及び組織特性の反映を基軸としつつ、企業会計との整合性を考慮している。 3 対象組織 モデル会計基準は、民間非営利組織を対象としているので、営利企業及び公共部門に属する経済主体(政府、自治体、独立行政法人その他の政府機関等)は対象組織に含まれない。 また、組織の大小にかかわらず、すべての非営利組織に共通して適用すべき会計の在り方を提示しているものである。 4 財務報告の基礎概念 非営利組織の組織特性、財務報告の目的、有用な財務情報の質的特性、財務諸表の構成要素、認識と測定といった財務報告の基礎となる概念を検討し、「非営利組織における財務報告の基礎概念」として取りまとめている。 資源提供者及び債権者を非営利組織の財務報告における主たる情報利用者と考えている。 非営利組織の財務報告における財務諸表の構成要素である資産、負債、純資産、収益、費用について整理している。そのほか、認識及び測定についても整理している。 5 モデル会計基準 モデル会計基準は、財務報告の基礎概念を受けて、非営利組織において財務諸表を作成するためのルールを定めたものであり、非営利組織の各現行制度、その下に運用されている各会計基準、実務上の取扱いを踏まえて整理し、以下について記載している。 (了)

#No. 329(掲載号)
#阿部 光成
2019/08/01

《速報解説》 監査役協会、昨年7月の前編に続き「『新オレンジ本』から読み解く監査役スタッフ業務の再整理(後編)」を公表~「期末業務」及び「監査役会の運営に関する事項」について検討~

《速報解説》 監査役協会、昨年7月の前編に続き 「『新オレンジ本』から読み解く監査役スタッフ業務の再整理(後編)」を公表 ~「期末業務」及び「監査役会の運営に関する事項」について検討~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2019年7月25日付(ホームページ掲載日は7月30日)で、日本監査役協会の本部監査役スタッフ研究会は、「『新オレンジ本』から読み解く監査役スタッフ業務の再整理(後編)」を公表した。 これは、2018年7月26日付(ホームページ掲載日は7月31日)の「『新オレンジ本』から読み解く監査役スタッフ業務の再整理(前編)」に続くものであり、「監査役監査と監査役スタッフの業務」(通称「新オレンジ本」)を精読し、改めてスタッフ業務を見つめ直すことを通じて、時代の変化に対応し継続的にスタッフ業務の品質を維持・向上していけるよう、スタッフ業務の再整理に取り組んだものである。 表紙を含めて67ページあるので、以下では主な内容について解説することとする。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 期末業務 1 期末監査スケジュール策定 期末監査スケジュール策定の際の具体的な工夫や、事業報告等の監査などの多くの項目について、具体例が記載されている。 例えば、事業年度末日から株主総会終了後までの約3ヶ月間を期末監査期間と対応させて、取締役会や監査役会の開催日、事業報告や計算関係書類等の受領予定日等を記載したスケジュール表を策定している会社があるとのことである(1ページ)。 また、次のような工夫をしている会社がある(2ページ)。 2 株主総会想定問答の作成 次のような具体的な事例などが記載されている(43ページ)。   Ⅲ 監査役会の運営に関する事項 1 監査役会における取締役等からの報告聴取 次のような具体的な事例などが記載されている(49ページ)。 2 会計監査人の監査報酬等の同意 次のような具体的な事例などが記載されている(53~54ページ)。 (了)

#No. 329(掲載号)
#阿部 光成
2019/08/01

プロフェッションジャーナル No.329が公開されました!~今週のお薦め記事~

2019年8月1日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.329を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2019/08/01

monthly TAX views -No.79-「軽減税率、KFCの値付けに賛意」

monthly TAX views -No.79- 「軽減税率、KFCの値付けに賛意」   東京財団政策研究所研究主幹 中央大学法科大学院特任教授 森信 茂樹   参議院選挙が終わり、いよいよ消費税軽減税率の導入が間近に迫ってきた。混乱が予想されるのは、テイクアウトとイートインの区別だが、KFCは、イートイン(レストランサービスとして標準税率の10%)とテイクアウト(食品として軽減税率の8%)を税込み価格同額にして、消費者の混乱を避けるという方針を打ち出した。 標準税率の適用されるイートインと軽減税率のテイクアウトを税込みで別価格にすると、「テイクアウト」と言って購入し、その場で食べるお客が出てきて、店側もどう対応すべきか煩わしいということが理由のようだ。 そうは言っても、消費者一人一人にテイクアウトかイートインかを尋ね、正確な納税のための区分経理を行う必要はある。 これは、ドイツのマクドナルドで実際にとられている方式だ。重要なポイントは、店側に商品の値付けの自由度があるということである。増税分の転嫁は必要だが、一方で顧客や従業員が混乱しないようにすることも、店側にとっては重要である。双方を比較考量したうえでの決断だろう。 *  *  * 消費税額は、売上に係る消費税額から仕入に係る消費税額を差し引いて納税すればよく、個別の品目にどれだけ消費税額を上乗せするかどうかは店側の自由である。消費税は売上全体として計算・納税されるので、価格転嫁は全体として出来ていればよいわけだ。 これまでわが国では、一斉に(前日に徹夜して)すべての商品を消費増税分だけ値上げする一斉値上方式が多かった。これが、消費増税前の駆け込みや反動減を招き、結果として経済の混乱を招いてきた。 今回のKFCの決断に対して、わが国のマスコミが、「KFCは過剰な転嫁をしている」「益税ではないか」といった、見当違いのコメント記事を書かないことを願っている。 政府も、消費税の正確な理解が進むよう、広報をしっかり行う必要がある。 (了)

#No. 329(掲載号)
#森信 茂樹
2019/08/01

《相続専門税理士 木下勇人が教える》一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第4回】「相続・事業承継を複眼的に捉える視点」

《相続専門税理士 木下勇人が教える》 一歩先行く資産税周辺知識と税理士業務の活用法 【第4回】 「相続・事業承継を複眼的に捉える視点」   公認会計士・税理士 木下 勇人   今月18日(日)に、税理士を志す方や税理士としての経験がまだ浅い方に向けて、「相続」及び「事業承継」に関するセミナー講師として登壇する機会をいただいた。 共にこれまで語りつくされてきたテーマではあるが、この機会に本連載の「特別編」として、筆者が提唱する「複眼的視点」によって今後の相続・事業承継実務に携わる上で必須となる事項をご紹介したい。 *  *  *   はじめに 相続・事業承継というテーマはCFP®試験科目でも1つのテーマとして捉えられています。この「相続」と「事業承継」がどのように関わり、税理士としてどのように対処すべきか、私見ではありますが、複眼的な視点をご紹介したいと思います。   1 税理士が身につけるべき「相続」の視点 「相続」と聞いて、税理士としてまず頭に浮かぶのは、相続税額の計算ではないでしょうか。 相続税額の計算は、相続又は遺贈により財産を取得した者の取得財産ごとの積上げ計算が前提ですので、遺言がなければ、相続人間の遺産分割協議が成立している必要があります。もちろん未分割であれば総額計算にて行いますが、分割後には相続人間の調整が入るため、遺産分割協議が成立していると考えてもいいのではないでしょうか。その取得した財産額に比例して相続税総額が配分されるイメージです。 相続財産につき相続税を計算するための評価が財産評価ですが、これを規定しているのは財産評価基本通達です。取引相場のない株式や土地を含めた各種財産の評価方法が定められていますが、あくまで相続税算出のための評価額です。遺産分割は遺産分割時点の時価を原則としていますが、当事者間の合意があれば、相続税評価額を時価として採用しても問題ありません。ただし、いわゆる「争族」となった場合には相続税評価ではなく時価を採用して遺産分割を行うこともありますので、相続税法と民法の乖離が生じる財産(例えば土地など)をイメージするとよいかもしれません。   2 税理士が身につけるべき「事業承継」の視点 (1) 承継コストを抑えるための自社株評価引下げ 次に、「事業承継」と聞いて、税理士としてまず頭に浮かぶのは、自社株の承継問題ではないでしょうか。 子供へ承継させる親族内承継であれば、譲渡対価を受け取ることは想定しないかと思いますので、贈与か相続で承継させることになります。その際に承継者側が負担するコストが贈与税・相続税になりますが、株価が高い場合にはその承継コストも高くなるため、納税資金の問題が生じます。そのため、いかにして株価を引き下げるのか、ここも税理士が注目する視点です。 株価引下げや上昇を抑制するために組織再編を行うこともありますが、相続税を不当に減少させることが目的とみなされてしまうと、経済合理性がないものとして組織再編行為が否認されるリスクが残ります。 (2) ビジネスとして捉えた場合の「事業承継」 「事業承継」を次世代への経営承継と捉えることもできます。つまり、従業員を抱える組織を承継しビジネスとして成功させるためには、人・もの・金・情報を承継させる必要があります。また、変化の激しい昨今のビジネス環境に耐えられるだけの柔軟性も必要になります。社長交代を伴う場合には、先代社長がいなくてもビジネスが成立するだけの基盤も必要です。 その意味で、後継者教育は欠くことができないファクターになるでしょう。 ビジネスとして成功しない=業績悪化、ということになれば、自社株評価もおのずと下がります。高騰する自社株が問題になるということは、基本的にはビジネスとして成功していることを意味します。事業承継によりビジネスが失敗しては本末転倒ですので、事業承継問題でプライオリティが高いのはビジネスの成功であることは言うまでもありません。   3 「相続」「事業承継」の複眼的視点 (1) 個人資産としての両者の関係 個人資産の承継としての「相続」に対して、ビジネスの承継まで含んだ自社株承継としての「事業承継」があります。ただし、自社株を被相続人が保有する個人財産の一部と捉えれば、単なる「相続」と捉えることも可能です。 自社株の承継を「相続」ではなく「事業承継」と捉える場合、そこには「経営」という視点が入りますが、その意味では、個人資産で営む不動産経営も事業承継の一貫として捉えてもいいのではないでしょうか。不労所得を生み出す不動産経営を事業として捉えない風潮があるように感じますが、不動産経営も立派な経営です。 個人資産で経営に関係あるものを次世代に「相続」させることが「事業承継」であると捉えるべきと考えます。 法人が絡んだ場合、自社株承継のみが「事業承継」と捉えるのではなく、個人資産で事業に関係する資産(自社株、会社貸付金、会社所有建物敷地など。以下、「事業用資産」と呼びます)は次世代に確実に承継させる必要があると考えます。 (2) 民法を介在させた場合の複眼的視点 事業に関係ある個人資産を「相続」させることを「事業承継」と捉えた場合、個人資産に占める事業用資産の割合が多いと、相続人間で不平等が生じます。その場合、遺言がなければ遺産分割協議が難航する可能性が高くなります。 遺産分割協議成立を条件とした各種規定(小規模宅地等の特例、農地・自社株などの納税猶予制度、配偶者の税額軽減特例)の適用可能性はもちろんのこと、非承継者との調整を行うためには、遺言の存在と遺留分侵害額請求権行使に対する資金確保が必須と考えます。 「相続税だけの視点」ではなく「民法の視点」も取り入れて両者を複眼的に捉えることが、今後の相続・事業承継実務では不可欠になるでしょう。 (了)

#No. 329(掲載号)
#木下 勇人
2019/08/01

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例8】「医薬品共同開発負担金の損金性」

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例8】 「医薬品共同開発負担金の損金性」   国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦   【Q】 私はある医薬品メーカーの経理部に勤務しております。近年、医薬品の開発に関しては、それに関わる諸費用が高騰する傾向にあることから、私の勤務する会社では、いくつかのメーカーと共同で研究開発を行うケースが増加しております。今回問題となっているプロジェクトXもその一環で遂行しているもので、3年前に消化器系疾患の分野に特化しているA製薬と共同開発及び製造販売に関する契約を締結しています。 青色申告法人であるわが社は、当該契約に基づき、過去3年間にわたってプロジェクトXに係る共同研究開発につき負担金を支払っております。そのため、経理部としては当該負担金はわが社において試験研究費に該当するものとして、試験研究費の総額に係る特別控除(措法42の4①)の適用対象になるものと解し、法人税の申告を行いました。 ところが、先日受けた税務調査で、 当該負担金はわが社とA製薬との共同研究のために支出されたものではなく、A製薬が研究開発を主導しその結果ほぼ得られつつあった成果に対し、その提供を受けるために支出した金額であるため、特別控除が受けられる試験研究費ではなく繰延資産に該当すると指摘されました。 確かに、当該分野に強みのあるA製薬が開始したプロジェクトXに当社は後から加わったところではありますが、共同で研究を行ったのは動かしがたい事実であり、この点に関し税務当局の見解は容認し難いところです。この件に関しどのように対処すべきでしょうか、教えてください。   【A】 共同研究に係る負担金支出が試験研究費の総額にかかる特別控除の適用対象になるか否かは、当該プロジェクトへの御社の関与の度合いと役割によって決まってくるもので、それは結局事実認定に関わってきます。当該負担金が試験研究費の特別控除の対象となるような共同研究に対するものであるといえるためには、御社が契約に基づきその共同研究の中で果たした役割がどれほど重要なものであったのか説明できるとともに、それを裏付けるような証憑書類を示すことが不可欠であると考えられます。 仮にそれが証明できず、当該支出は先行するA製薬が行っていた研究開発に単に参加し、そこで得られた成果を取得する対価であると認定される場合には、その支出の効果が支出後1年以上にわたって及ぶものであるとして、繰延資産に該当すると解するのが妥当であるといえるでしょう。 ■ ■ ■ 解 説 ■ ■ ■ (1) 試験研究費の総額に係る特別控除制度 試験研究費の総額に係る特別控除制度(研究開発税制)は、わが国における産業競争力の強化のため、試験研究の促進を図る目的で、その事業年度の試験研究費の総額を基礎に税額控除を認める制度である(措法42の4①)。当該制度の下では、青色申告法人は、損金の額に算入される試験研究費の額がある場合には、その事業年度の納付すべき法人税額から、試験研究費の増減に応じ、当該事業年度の試験研究費の額の6~14%相当額を控除することができる。 ① 増減試験研究費割合が8%を超える場合 ② 増減試験研究費割合が8%以下である場合 上記算式中の「増減試験研究費割合」とは、増減試験研究費の額の比較試験研究費の額に対する割合をいう(措法42の4⑧三)。 また、「増減試験研究費の額」とは、この制度又は中小企業技術基盤強化税制の適用を受ける事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額から、比較試験研究費の額を減算した金額をいう(措法42の4⑧三)。 さらに、「比較試験研究費の額」とは、その事業年度開始の日前3年以内に開始した各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額の合計額を、その3年以内に開始した各事業年度の数で除して計算した金額をいう(措法42の4⑧五)。 なお、上記は平成31(令和元)年度税制改正後の措置で、以下の図で明らかなように、増減試験研究費割合が0%から8%につき従来の制度より税額控除割合が高くなるなど、試験研究費の増加インセンティブを強化した改正であると考えられる。 〇平成31(令和元)年度税制改正前後の研究開発税制に係る税額控除割合 (出典) 財務省編『令和元年度税制改正の解説』331頁 (2) 共同研究に係る研究負担金の課税関係 新薬の開発のように、自社の技術力や人的資源では対応できない、あるいはリスクが大きすぎて負担できないといった場合には、同業他社や研究機関との間で共同研究を行うというケースが少なくない。 それでは、このような共同研究に関し、それに参画する企業が支出する研究負担金は、法人税法上どのように扱われるのであろうか。 共同研究に係る費用の計上時期に関しては、基本的に自らが行う試験研究と同様に考えることとなる。すなわち、工業化研究に該当することが明らかなものは原価性を有するとして製造原価に算入し、それ以外の支出のうち、減価償却資産や棚卸資産として計上すべきもの以外は、期間費用として処理されることとなる(法基通5-1-4(2))。また、共同研究に参画している企業が支出した負担金はその支出した事業年度に損金算入されるのではなく、その研究に関し実際に試験研究費を支出した事業年度に損金算入される。 一方、共同研究に係る負担金であっても、その内容を見てみると、先行して相当程度の研究開発を行っている企業のプロジェクトに後から参画し、その成果の使用許諾を受けるための対価であると解するのが妥当とされる場合には、その負担金は、法人税法上、法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶもので、「役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用」又は「自己が便益を受けるために支出する費用」に該当するものと考えられる(法法2二十四、法令14①六ハ・ホ)。 そのような場合、当該負担金は、試験研究費ではなく繰延資産(権利金ないしノウハウ)に該当することとなり、その支出の効果の及ぶ期間にわたって均等額ずつを損金経理することとなる(法法32①、法令64①二)。これは、当該負担金が実質的には費用の前払いにあたるため、費用収益対応の原則から、支出の年度に全額を費用化(期間費用)するのではなく、その効用が持続する期間にわたって償却すべきとの考え方に則っての処理であると考えられる(※)。 (※) 金子宏『租税法(第二十三版)』(弘文堂・2019年)390頁。 (3) 共同研究に係る研究負担金をめぐる裁決事例 次に、共同研究に係る研究負担金をめぐる以下の裁決事例について検討していきたい(国税不服審判所平成30年10月10日裁決・TAINSコード:J113-3-09)。 これは、製品の共同開発契約に基づき、請求人が一方の契約当事者に支払った負担金について、当該契約に基づく製品に係る厚生労働大臣の承認を得るために当該契約当事者から開示された資料等は、共同開発の成果であって請求人が自己開発したものと同様であること、また、当該負担金の支出には、大臣の承認が得られないリスクがありその支出の効果がその後に及ぶものといえないことなどから、請求人は当該負担金は繰延資産に該当しない旨主張するが、その主張の妥当性が問われた事案である。 共同開発契約に基づく負担金支出の法人税法上の性格についての、原処分庁及び請求人の主張は以下の表の通りまとめられる。 上記両者の主張に対し、審判所は以下の通りの判断を示した。 要するに、請求人が共同研究の負担金として支払った金銭は、将来収益を生み出す医薬品の本申請にあたって必要な開発データに対する対価であり、その支出の効果は最低でも5年間は継続するものであるから、法人税法第2条第24号に規定する繰延資産に該当するという判断が下されたことになる。 審判所が認定した事実関係に基づくのであれば、共同研究の負担金として支払った金銭は、法人税法上、繰延資産に該当すると解するのが妥当であろう。 (4) 本件へのあてはめ 本件についても、共同研究に係る負担金支出が試験研究費の総額に係る特別控除の適用対象の試験研究費に該当するか否かは、当該負担金が何の対価であるのかによって決定され、すなわちプロジェクトXへの御社の関与の度合いと役割によって決まってくるもので、それは結局事実認定に関わってくるものと考えられる。 当該負担金が試験研究費の特別控除の対象となるような、共同で行った研究に対する試験研究費の支出であるといえるためには、御社が契約に基づきその共同研究の中で果たした役割がどれほど重要なものであったのか説明できるとともに、それを裏付けるような証憑書類を示すことが不可欠であると考えられる。 仮にそれが証明できず、当該支出は先行するA製薬が行っていた研究開発に単に参加しただけで、実質的にはA製薬が行った研究開発から得られた成果を取得するための対価であり、当該成果は医薬品の製品化に不可欠なものであると認定される場合には、その支出の効果が支出後1年以上にわたって及ぶものであるものであるとして、繰延資産に該当すると解するのが妥当であるといえるであろう。 (了)

#No. 329(掲載号)
#安部 和彦
2019/08/01

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第71回】「印紙税過誤納確認申請書の書き方」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第71回】 「印紙税過誤納確認申請書の書き方」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   所定の印紙税額よりも過大に収入印紙を貼付した契約や、収入印紙を貼付し、割印を押したものの作成途中で書損等により契約が成立しなかった場合には、印紙税の過誤納金としての還付を「印紙税過誤納確認申請書」により行うことができると聞きましたが、記入の方法について教えてください。 (事例1) 軽減税率の適用がある不動産売買契約書に本則税率分の収入印紙を貼付して、納付額が超過となった場合 (事例2) 領収書の作成時に、収入印紙を貼付し、割印を押したが、相手方に交付する前に領収金額が誤っていることに気がつき、その領収書は使用する見込みがなくなった場合   印紙税の過誤納金の還付を受けようとする場合は、下記「印紙税過誤納確認申請書」(3枚複写)と過誤納となっている文書を過誤納となっている文書を作成した日から5年以内に文書の作成場所を管轄する税務署に提出し、還付を受けることとなる。 [記載例] ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 《申請に当たっての注意点》   (了)

#No. 329(掲載号)
#山端 美德
2019/08/01

平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第6回】「「設備投資促進税制の延長・見直し」「適用除外事業者の適用除外措置の範囲の拡大」「事業税の税率の改正」」

平成31年度税制改正における 『連結納税制度』改正事項の解説 【第6回】 「「設備投資促進税制の延長・見直し」 「適用除外事業者の適用除外措置の範囲の拡大」 「事業税の税率の改正」」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト 足立 好幸   [3] 設備投資促進税制の延長・見直し 設備投資促進税制については、連結納税の場合も、単体納税と同様に各連結法人ごとに適用要件の判定と特別償却限度額又は税額控除額の計算が行われる(つまり、研究開発税制や所得拡大促進税制のように連結納税グループでの全体計算の仕組みになっていない)。 ただし、次の点で単体納税と異なる取扱いとなる。 そのため、対象設備や適用要件などの制度設計そのものは、連結納税の場合も単体納税と変わらない。 平成31年度税制改正において、設備投資促進税制について、連結納税でも単体納税と同様に、次に掲げる改正が行われている。 この場合、適用要件の見直しは、平成31年4月1日以後に取得等した資産から適用される(平成31年所法等改正法附則1、67、68)。 1.中小企業投資促進税制について、適用期限を2年(令和3年(2021年)3月31日まで)延長する(措法68の11、措令39の41)。 2.中小企業経営強化税制について、適用期限を2年(令和3年(2021年)3月31日まで)延長する(措法68の15の5、措令39の46)。 3.商業・サービス業活性化税制について、適用要件の見直しを行い、適用期限を2年(令和3年(2021年)3月31日まで)延長する(措法68の15の4、措令39の45の4)。 4.地域未来投資促進税制について、付加価値額が8%以上増加していることの要件を満たす場合に、機械装置及び器具備品について、特別償却率を50%(改正前:40%)に、税額控除率を5%(改正前:4%)に、それぞれ引き上げる、また、適用投資額の上限を80億円(改正前:100億円)に引き下げる、などの見直しを行い、適用期限を2年(令和3年(2021年)3月31日まで)延長する(措法68の14の3、措令39の44の3)。 5.中小連結法人(適用除外事業者を除く)について、中小企業の災害に対する事前対策のための設備投資に係る特別償却制度(中小企業防災・減災投資促進税制)を創設する(令和元年(2019年)7月16日から令和3年(2021年)3月31日まで)(措法68の20、措令39の52)。 6.平成31年4月1日以後に開始する連結事業年度から、中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制について、適用除外事業者を適用対象から除外することになった(平成31年所法等改正法附則1、48)。また、平成31年4月1日以後に開始する連結事業年度から、中小連結法人の範囲が見直されている(『[2] 中小企業者向け租税特別措置における大企業の範囲の見直し』参照)。   [4] 適用除外事業者の適用除外措置の範囲の拡大 平成31年度税制改正において、適用除外事業者が適用できない中小企業者向けの租税特別措置の範囲が拡大した(単体納税、連結納税の適用除外事業者の定義は、『[2] 中小企業者向け租税特別措置における大企業の範囲の見直し』を参照)。 具体的には、平成31年度税制改正によって適用期限が延長された中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制、商業・サービス業活性化税制、中小企業者の法人税率の特例(19%ではなく15%を適用)について、適用除外事業者が適用対象外となった(設備投資促進税制については、『[3] 設備投資促進税制の延長・見直し』を参照)。 平成31年度税制改正を踏まえた、平成31年4月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度において適用除外事業者が適用対象外となる中小企業者向け租税特別措置は、下記のとおりとなる。 (※)は、平成31年度税制改正によって創設又は適用期限が延長されたものである。 このうち、①~⑨は、中小企業者又は中小連結法人に該当する場合でも適用除外事業者に該当する場合は適用できないものである。 一方、⑩と⑪については、中小法人に該当しても、適用除外事業者に該当する場合は適用できないものである(措法42の3の2①、57の9①②、68の8①、68の59①②)。 中小法人の特例措置のうち、適用除外事業者の適用関係は次のとおりとなる。 [中小法人の特例措置に係る適用除外事業者の適用関係] [5] 事業税の税率の改正 都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築を目的として、事業税の一部を分離して特別法人事業税を創設することになった。 具体的には、令和元年(2019年)10月1日以後に開始する事業年度から、事業税の税率(所得割及び収入割に限る)を引き下げるとともに、標準税率により計算した事業税額(所得割額)を課税標準とした特別法人事業税を課すことになった(地法72の24の7①②③。特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律(平成31年法律第4号))。 この事業税と特別法人事業税については、現行の事業税と地方法人特別税の計算の仕組みと同じであり、税率の内訳は異なることになるが、合計した事業税の税率と法定実効税率はほとんど変わらないため、実務に与える影響はほとんどないだろう。 改正前後の法定税率と法定実効税率について、以下に【税率の一覧表】を示しておく。 なお、東京都については、この改正を盛り込んだ「東京都都税条例等の一部を改正する条例」(令和元年東京都条例第4号)が、令和元年第2回東京都議会定例会において可決され、令和元年6月26日に公布されているが、東京都は、現行の超過課税の規模を変更しない(現行の標準税率と超過税率の差分をそのまま、税制改正後の標準税率に加算する)こととしている。 【法定税率と法定実効税率の一覧表】 ※画像をクリックすると別ページで拡大して表示されます。   (了)

#No. 329(掲載号)
#足立 好幸
2019/08/01
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