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《速報解説》 スイッチOTC医薬品に係るセルフメディケーション税制、控除対象は平成29年以降の購入から~厚労省公表のQ&Aで留意事項を確認

《速報解説》 スイッチOTC医薬品に係るセルフメディケーション税制、 控除対象は平成29年以降の購入から ~厚労省公表のQ&Aで留意事項を確認   Profession Journal編集部   平成28年度税制改正で創設された、スイッチOTC医薬品の購入費用について所得控除を受けられるセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が来年(平成29年)1月1日からスタートする。 この特例制度では、一定のスイッチOTC医薬品の年間購入額のうち1万2,000円を超える部分(8万8,000円を上限)が所得控除の対象となるため、従来の医療費控除に比べて金額面でのハードルが低く適用を受けやすいと見る向きもある(ただし従来の医療費控除との選択適用)。 注意したいのは、これから年末にかけてドラッグストアで本制度の対象医薬品としてアピールしたものが販売されていたとしても、本年(平成28年)中に購入した場合は制度開始前であるため本制度による控除は受けられないという点。平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に購入したものが対象であり、証明書類(必要事項を記載した領収書(レシート)等)の添付等が必要となる確定申告は平成29年分から、つまり来年2月中旬から受付開始される平成28年分の確定申告には関係しないため、この点改めて確認しておきたい。 なお、厚生労働省では11月2日付けでセルフメディケーション税制に関するよくある質問と回答をまとめたQ&Aを特設ページ上で公表しており、対象の医薬品を通信販売等で購入する際、支払い日が平成29年1月1日以降の場合は対象となるとしている(Q6)。 その他Q&Aでは、控除の対象となるのは実際に支払った税込み後の価格である点(Q7)や、ドラッグストアで一律〇%引きのセールが開催されている場合は割引後の価格が控除額となる点(Q8)、購入した証明書類をなくしてしまった場合や証明書類に対象医薬品の目印が付けられていない場合の対応(Q9)について解説が行われており、今後もQ&Aの追加が見込まれる。 本税制の対象となる OTC 医薬品(約 1,500 品目)については、厚生労働省の特設ページで一覧を見ることができ、追加・削除等による更新が定期的に行われている。また一部の製品については、対象医薬品のパッケージにこの税制の対象である旨を示す識別マーク(下記参照)が掲載されており、素人にも判別しやすくなっている。 なお、本制度の対象となる成分が含まれていても、いわゆる薬局で薬剤師が調合する薬局製造医薬品(薬局製剤)は本税制の対象外となる。 〈セルフメディケーション税制の対象製品パッケージに表示される共通識別マーク〉 (※) 日本OTC医薬品協会ホームページより (了)

#No. 193(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/11/17

《速報解説》 国税(所得税・消費税)の振替納税による領収証書、平成29年1月以降は送付されず~実施時期を前に国税庁が改めて周知ページを公表

《速報解説》 国税(所得税・消費税)の振替納税による領収証書、 平成29年1月以降は送付されず ~実施時期を前に国税庁が改めて周知ページを公表   Profession Journal編集部   現在、国税のうち申告所得税(及び復興特別所得税)、個人事業者に係る消費税(及び地方消費税)については、金融機関や税務署の窓口で現金納付する方法以外に、納税者が指定した金融機関の預貯金口座から振替により納付する「振替納税」がある。忙しい個人事業者にとって支払窓口まで赴く必要のない振替納税は利便性の高い制度といえるだろう。 この振替納税について、今年の12月までは振替納税により納付を行った場合、口座振替の都度、金融機関から納税者へはがきサイズの領収証書が送付されるのだが、会計検査院からの指摘を受け国の経費節減の観点から、来年(平成29年)1月以降、この領収証書の送付が取りやめとなる。 (※) 金融機関等の窓口での納付の場合は従来どおり領収証書が発行される。 平成26年に会計検査院から指摘されたのは、領収証書の送付にあたっては郵送料に加え領収証の書式が印刷された用紙の製造費や被覆用シールの製造請負費用等の経費が多額に上っているという点。さらに振替納税を行った納税者が納付した事実を明らかにするのは預貯金通帳で可能であることから、領収証書の必要性が高いとは認められないというものだ。 上記の指摘を受け国税庁は本年1月に平成29年1月以降の領収証書送付取りやめについて公表していたが、実施時期が近づいてきたこともあり、このたび改めて周知ページが公表された。日税連もHP上で呼びかけを行っている。 今回公表されたページでは、振替納税を行った納税者がその内容を確認するには、領収証書に代えて以下の方法があるとしている。 書面での証明が必要な場合は税務署へ行く必要があり、納税者にとってはひと手間増えることになる。 なおe‐Taxを使った電子納税の場合、振替により納付するダイレクト納付とインターネットバンキング等を利用して納付する方法があるが、いずれの方法においても領収証書は発行されていない(地方税の電子納税(eLTAX)も領収証書は発行されない)。 また今回の変更に伴い、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」についても、新様式を平成28年12月以降、税務署に順次備え付けるとともに、国税庁ホームページへ掲載する予定とのことだ。 ちなみに上記は国税についての取扱いだが、地方税について振替納税を行った場合の対応は自治体ごとに異なるものの、多くの自治体では領収証書の送付は行っておらず、振替結果については通帳の確認による方法を求めている(領収証書が送付される場合も全期分一括での送付や希望者のみ一定の手続を経て送付する自治体もある)。 他の入出金記録も記帳された通帳での振替結果の確認は煩雑なため、これまでは納付の都度送られてくる領収証書をファイリングし管理していた個人事業者も多いと考えられる。来年1月以降、「領収証が送られてこない」と顧問税理士へ問い合わせが来る可能性もあろう。このような混乱が生じないよう、税理士はクライアントへ周知し、今後の対応について事前にアドバイスを行っておくことを忘れないようにしたい。 (了)

#No. 193(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/11/10

プロフェッションジャーナル No.193が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年11月10日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.193を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/11/10

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第47回】「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第47回】 「宝くじに係る課税と所得の実現(その2)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   Ⅰ 課税の時期の原則(承前) 2 実現概念(承前) (1) 問題意識(承前) ここで、前回の設問について若干の考察を行ってみたい。 設問は、労務提供の対価として、宝くじ抽選券1,000枚(1枚300円)を無償で譲り受けたところ、抽選の結果、合計1,003万円の当せん金を得た場合、宝くじの支給が労務提供の対価とすれば給与所得に該当すると解されるが、給与所得の金額は300,000円(=1,000枚×300円)と1,003万円のいずれと解するべきであろうかというものであった。 この設問について、宝くじは1枚当たり購入価額300円の価値があると考え、300,000円の給与所得が実現していると解するべきであろうか、それとも、当選の可能性を視野に入れて期待値等に基づく計算により算出した価額を宝くじの価値として解するべきであろうか。この点、連番で購入した宝くじについては、最低10枚に1枚は300円の当選が確保されているのであるから、最低でも30,000円の価値はあると思われるが、仮に、算出された期待値額が350,000円であるとすれば、350,000円の給与所得と解するべきであろうか。 さらに、350,000円の価値があると仮定した場合、その50,000円(=350,000円-300,000円)部分については、所得として認識すべき金額であるといえるのであろうか。 この問題は、例えば、牝牛を労務の対価として支給された場合に、牝牛が後に子牛を出産する可能性までを含めて課税するべきか、それとも牝牛の市場価値で課税すべきかという問題に置き換えてみると理解しやすいのではなかろうか。すなわち、宝くじの例でいうと、牝牛の市場価値は300,000円であるし、子牛を生む確率を基に牝牛の価値を計算するとした場合には350,000円ということになる。 牝牛が子牛を生む可能性があることは、子牛を生まない可能性をも有していることになるのであって、あくまでもその可能性は可能性にしかすぎないとも解される。この場合は、50,000円部分について所得として認識すべきかどうかという問題は、50,000円部分が牝牛本体と「分離」されていれば所得の実現と捉えるセリグマンの見解が妥当するのではなかろうか。すなわち、子牛を評価するのは、子牛が牝牛から産み落とされたとき、すなわち離脱(separate)したときであると解するべきである。そこで、セリグマンの見解が反映されたとされているEisner v.Macomber事件(Eisner v. Macomber, 252 U.S. 189.)(以下、「Macomber事件」という)を見ておきたい。 (2) Macomber事件 株式配当が憲法修正16条にいう所得に含まれないとし、それに所得税を課すことは憲法に違反することを判示したMacomber事件について、金子宏教授は、「租税理論および租税法理論の見地からは、実現が所得概念の要素であり、実現した利得のみが所得を構成する、という原理を確立した判決として、きわめて重要な意味をもっている。」と説明される(金子『所得概念の研究』60頁(有斐閣1995))。ここで、同事件において、実現について米国連邦最高裁判所がどのように判示しているかを確認してみたい。 同最高裁は、Doyle v. Mitchell Bros. Co.,事件(Doyle v. Mitchell Bros. Co,. 247 U.S. 179.)において適用された所得の定義である「資本・労働もしくは両者の結合から生ずる利得」という概念を採用している。 ここで同最高裁は、この定義において重要なのは“Derived-from-capital”-“the gain-derived-from-capital”であるとし、「資本から引き出された」といった言葉であると説示する。すなわち、財産から発生し、資本から分離され(severed from the capital)、そして引き出された(derived)利得、すなわち、受け取る者が分離(separate)させて利用したり、利益を享受したりすることのできる利得こそが所得であるとしている。 また、株式配当は、会社の積立利益が株主に配当され、あるいは将来の配当可能な剰余金として積み立てられる代わりに、会社の内部に蓄積された資本となることを意味するのであって、株主の利益は決して実現(realization)されていない旨を判示している。 そして、本質的に、株主は分離(separate)させて利用することができたり、利益を享受し得るものを何も受け取っていないとして、同最高裁は株式配当に係る所得の実現を否定している。 その後、Macomber事件最高裁判決にいう「実現」の意味は修正を加えられ、実現概念は著しい拡張を遂げているとされており、現在では、Macomber事件最高裁判決の果たす役割は終わっているという指摘もある。 なお、株式配当で得られた株式は、売却可能であったという点は強調しておかなければなるまい。 (続く)

#No. 193(掲載号)
#酒井 克彦
2016/11/10

中小企業等経営強化法に基づく固定資産税の軽減措置について

中小企業等経営強化法に基づく 固定資産税の軽減措置について   中小企業庁事業環境部企画課 課長補佐 佐伯 徳彦   Ⅰ はじめに 平成28年5月24日の衆議院本会議において、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律」が可決・成立し、6月3日に公布、7月1日に施行された。 本改正により、法律の名称は「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」から「中小企業等経営強化法」へと改題され、新たに「経営力向上計画」(法第13~14条)が新設された。また、改正法の附則において、地方税法を改正して、新たに地方税法附則第15条第46項を設ける形で、固定資産税の軽減措置が導入された。 本稿では、計画力向上計画の概要と固定資産税軽減措置の制度について、説明させていただく。   Ⅱ 制度について 1 経営力向上計画の概要 経営力向上計画とは、顧客データの分析を通じた商品・サービスの見直し、ITを活用した財務管理の高度化、人材育成等により自社の経営力を向上させるために実施する事業計画のことで、中小企業・小規模事業者等は、この計画の認定を取っていただくことにより、固定資産税の軽減措置などの支援措置を受けることができる。 経営力向上計画には、①自社の現状認識、②経営力向上の目標、③経営力向上の内容などについて、主務大臣(業種を所管する事業所管大臣)が策定した「事業分野別指針」(策定されていない業種の場合は「中小企業等の経営強化に関する基本方針」)を参照して記載いただくことになる。 2 固定資産税の軽減措置の概要 固定資産税の軽減措置の内容は、経営力向上計画に基づいて新たに導入した機械及び装置についての課税標準が、3年間半額になる。この措置は、固定資産税の軽減措置としては、中小企業の設備投資を促進する目的から初めて導入されるものとなる。 ① 固定資産税の軽減措置を利用できる者 固定資産税の軽減措置が利用できるのは、経営力向上計画の申請対象全てではなく、租税特別措置法における「中小事業者」と「中小企業者」のみとなる。 具体的には、個人事業主(中小事業者)としては、常時使用する従業員の数が1,000人以下(租税特別措置法第10条第6項第4号及び租税特別措置法施行令第5条の3第8号)、法人(中小企業者)としては、資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人、出資を有さない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下(同法第42条の4第6項第4号及び同法施行令第27条の4第5項)である。 なお、みなし大企業は対象外となるため注意をされたい。具体的には、発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人)の所有に属している法人、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上が大規模法人の所有に属している法人は、みなし大企業となる。 ② 対象設備 対象となる設備の主な要件としては、①経営力向上計画において記載した機械及び装置であること、②販売開始から10年以内のもの、③旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの、④1台又は1基の取得価額が160万円以上するもの、となる。 本件は、生産性向上設備投資促進税制のA類型の要件から、最新設備の要件が求められないもの、と御理解いただいて、おおむね差し支えない。 〈生産性向上設備投資促進税制A類型との対比〉   Ⅲ 固定資産税の軽減措置に関する留意事項 1 対象設備に関する留意事項 ① 機械及び装置であること 対象設備としては、「機械及び装置」となり、「建物」、「建物附属設備」、「構築物」、「船舶」、「車両及び運搬具」、「工具」、「器具及び備品」は対象とならない。 具体的には、いわゆる耐用年数省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)第1条第1項第2号に基づく別表第二「機械及び装置の耐用年数表」を参照の上、設備を導入する事業者がどの分類で減価償却資産を管理するかによって対象となり得るかどうかが決まる。 なお、「器具及び備品」との区別について、御質問をいただくことがある。 国税不服審判所の裁決では、「機械及び装置」は、「外力に抵抗し得る物体の結合からなり、一定の相対運動をなし、外部から与えられたエネルギーを有用な仕事に変形するもので、かつ、複数のものが設備を形成して、設備の一部としてそれぞれのものがその機能を果たすものをいう」とされる一方、「器具及び備品」は、「それ自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものをいう」とされている。 ただ、こうした定義によっても、必ずしも明確にならない場合がある。この場合については、最寄りの税務署に御相談いただきたい。 ② 生産性向上に係る要件の証明 生産性向上に係る要件として、「旧モデル比で生産性(単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率等)が年平均1%以上向上するもの」となっている。「等」とあるとおり、単位時間当たりの生産量、精度、エネルギー効率の3つに限定されるわけではない。 また、旧モデル比の生産性向上要件の証明については、あらかじめ定められた工業会等が実施することとなる。 なお、工業会等については、いわゆる耐用年数省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)第1条第1項第2号に基づき、別表第二「機械及び装置の耐用年数表」を基礎に、設備を利用される事業者ごとに整理されているので、中小企業庁のホームページをご覧いただきたい。 2 手続における留意事項 取得された生産性向上に係る証明書(中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る仕様等証明書)については、「経営力向上計画」の申請書に、添付していただく。 申請を希望される場合は、あらかじめ申請書を作成する前に、導入を予定している設備を取り扱っているメーカーや商社に対して、工業会等からの証明書の発行を求めていただく必要がある。 また、計画認定を受けた後は、その次の年の1月1日が固定資産税の賦課期日となり、その時の所有者が償却資産について申告することになる。1月1日になる前に、経営力向上計画の認定を取得していただく必要がある。 申告期間は、多くの場合は、1月末日までとなっている。軽減措置は、申告した年の4月から始まる年度から3年間となる。 仮に、機械及び装置の取得した年の年末までに経営力向上計画の認定を取得できなければ、軽減措置を受けられる年度が減って2年間になるので、注意されたい。認定に係る標準処理期間は1か月を予定しているが、年末は申請が増加することが予想されるため、早め早めの申請をお願いしたい。 3 リースの取扱い ① 所有権移転ファイナンスリース 所有権移転ファイナンスリースについては、申請者に所有権が移転されるため、通常の購入と同じ扱いになる。このため、所有権移転ファイナンスリースに対して、固定資産税の軽減措置は適用可能である。 ② 所有権移転外ファイナンスリース 法人税法第64条の2第3項に定める「所有権移転外ファイナンスリース」についても、地方税法附則第15条第46項に基づき適用される。所有権移転外ファイナンスリースは、税務上は、売買契約として処理されている。 所有権移転外ファイナンスリースの適用される要件は、①当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること、②当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることとなる。 所有権移転外ファイナンスリースについては、通常と手続が異なる。すなわち、設備そのものの所有権は、リース事業者にあるため、生産性向上要件の証明の取得や市町村への申請はリース事業者が行うことになる。また、リース事業者は、固定資産税の軽減分だけリース料を引き下げることになるが、その金額の証明を公益社団法人リース事業協会が行うことになっている。これらを取り寄せて中小企業者等が申請を行う必要がある。 なお、所有権移転外ファイナンスリースについては、リース事業者は特に中小企業者に限定されていないため、大企業であっても対象となる。 ③ オペレーティングリースやレンタルの取扱い オペレーティングリースやレンタルについては、税務上も賃貸借契約として処理されるため、機械及び装置の利用者である中小企業は、固定資産税の軽減措置の適用を受けることはできない。 他方、リース事業者やレンタル事業者が租税特別措置法の中小事業者や中小企業者である場合には、貸付を行う事業として使用する場合であっても、固定資産税の軽減措置の対象となるため、留意されたい。 なお、生産性向上設備投資促進税制においては、「貸付けの用」が除かれているため、対象となっていない。この点に違いがあるため、注意されたい。 4 その他の論点 ① 他の税制や補助金との関係 固定資産税以外の税制措置(生産性向上設備投資促進税制や中小企業投資促進税制等)や補助金を受けて購入した場合も適用は可能である。 ② 自作の機械及び装置 自作で機械及び装置を作られた場合にも適用対象となる。 ③ 中古品の取扱い 中古品は「事業の用に供された」ものとして扱われるため、対象とならない。 ④ 比較すべきものがない場合 自社製品について、比較すべきものがない場合、できる限り対象設備との比較を行っていただく必要があるが、10年以内に販売したものであれば適用は可能となる。 ⑤ 圧縮記帳の取扱い 圧縮記帳とは、国庫補助金を受けて固定資産を購入した際、その購入価額から補助金の額を控除して購入価額とすることであるが、地方税では適用できないため、留意をいただく必要がある。   Ⅳ おわりに 以上、本稿では、経営力向上計画に基づき取得する機械及び装置に係る固定資産税の特例措置を中心に説明してきた。説明が不足する部分については当庁のホームページをご覧いただきたい。 今回の改正により、業種ごとに事業分野別指針を整備し、中小企業の本業そのものに対する支援に対して、支援措置を強化することになる。 事業分野別指針や執行体制の整備は、引き続き見直しや拡充を図っていく必要があるが、今回の法改正による整備が、中小企業・小規模事業者等の経営の転換点となることを願ってやまない。 (了)

#No. 193(掲載号)
#佐伯 徳彦
2016/11/10

〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第3回】「注意しておきたい事項Q&A」~平成28年分から対応が必要となる事項を中心に~

〈平成28年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第3回】 (最終回) 「注意しておきたい事項Q&A」 ~平成28年分から対応が必要となる事項を中心に~   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   最終回は、平成28年分の年末調整から対応が必要となるマイナンバー関連事項や税制改正事項について、実務上注意しておきたい点をQ&A形式でまとめることとする。 取り上げる事項は以下のとおりである。 なお、以下の拙稿にも年末調整に関係する事例を紹介しているので、あわせてご参照いただきたい。   - 解 説 - 【第1回】で解説したとおり、平成28年度税制改正により、通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引き上げられた(所法9①五、所令20の2①③④)。 この改正は、改正法施行前の平成28年1月1日に遡って適用されるため、平成28年1月から3月までの間に「改正前」の規定に基づいて源泉徴収が行われている役員や従業員(以下、従業員等という)がいる場合には、年末調整で給与の総支払金額の調整を行うことになる。 源泉徴収票の「支払金額」欄には、通勤手当のうち非課税となる部分の金額は除いて記入する。したがって、年の中途で退職した人などに対して、改正前の規定に基づいて源泉徴収を行っており、かつ、すでに平成28年分の源泉徴収票を交付している場合には、「支払金額」欄を訂正し、「摘要」欄に「再交付」と表示した源泉徴収票を交付する必要がある。 なお、年末調整により総支払金額の調整を受けることができない人は、確定申告を行うことにより税額を精算することができる(所法121、122、123)。   - 解 説 - 【第1回】で解説したとおり、平成28年分以後の源泉徴収票と平成29年分以後の給与支払報告書には、受給者本人やその控除対象配偶者等の個人番号と、支払者の法人番号(又は個人番号)を記載する欄が設けられている(所規93)。 しかし、それらの書類に配偶者特別控除の対象となる配偶者の個人番号を記載する欄はない。また、「備考欄」や「摘要欄」に、配偶者特別控除の対象となる配偶者の個人番号を記載することも求められていない。 (注) 配偶者特別控除の対象となる配偶者については、「摘要」欄にその氏名と、配偶者特別控除の対象であることを示すため氏名の後ろに「(配特)」と記載する。 源泉徴収票と給与支払報告書及び支払調書について、個人番号や法人番号の記載の要否をまとめると次のとおりである。 (※) 支払者から受給者本人へ支払調書を交付する義務はないが、実務的には本人に写しを交付しているケースもあるため、本人に写しを交付する場合の取扱いを示している。   - 解 説 - 平成28年1月以降、税務と社会保険の手続を行う書類には、従業員等の個人番号を記載することが求められている。したがって、企業は、従業員等の個人番号を収集しなければならない。 ところが、従業員等の個人の側には、個人番号の提供を義務付ける法律上の規定がないため、従業員等から個人番号の提供を拒否されることも想定される。 現状では、個人番号を記載していないことをもって、税務署や市区町村が書類を受理しないということはないようである(国税庁「番号制度概要に関するFAQ Q2-3-2」参照)。しかし、各書類に個人番号を記載することは、法律で定められた企業の義務であるため、従業員等が個人番号の提供を拒否する場合には、必要性を十分に説明した上で、できる限り提供を求める必要がある。 なお、手を尽くしても従業員等から個人番号の提供を受けられない場合には、提供を求めた経過等を明らかにし、企業側に問題がある場合(提供を受けた個人番号を紛失した等)との区別がつくようにしておきたい。     - 解 説 - 扶養控除等申告書には、原則として、毎年、個人番号を含むすべての事項を記載する必要がある。記載内容に変更がない場合でも、記載事項の一部又は全部を省略することはできない。 ただし、平成29年分以後の扶養控除等申告書については、従業員等の個人番号が記載された一定の帳簿(※)を会社が備えている場合には、個人番号の記載を省略することが認められる。 したがって、平成28年分の扶養控除等申告書に個人番号の記載があり、それに基づいて企業が一定の帳簿を作成している場合には、平成29年分以後の扶養控除等申告書に個人番号を記載する必要はない。ただし、帳簿に記載されている個人番号に変更がある場合には、記載を省略することはできない。 なお、扶養控除等申告書は、原則として税務署に提出されず企業で保管する書類であるため、企業のマイナンバーに対する安全管理措置の負担軽減を目的として、企業と従業員等との間で合意があれば、次の①と②が行われていることを条件に、扶養控除等申告書に個人番号を記載しないこともできる。 ただし、税務署長から扶養控除等申告書の提出を求められたときには、従業員等の個人番号を付記して提出しなければならない。   - 解 説 - 国外居住親族を扶養親族等にする従業員等がいる場合、年末調整の手続においては「送金関係書類」の提出等を受けることになる(所法194⑤、所規47の2⑤)。 「送金関係書類」の提供等を受ける場合には、注意しておくべき点がいくつかある。下記拙稿や国税庁から公表されているQ&A等を参考に、誤った取扱いをしないよう事前に準備をしていただきたい。 また、送金の基準となる金額は特に定められていないが、申告された金額が少額である場合には、生活費や教育費として適正な額であるかどうかの検討も必要になると考えられる。 (連載了)

#No. 193(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/11/10

金融・投資商品の税務Q&A 【Q19】「上場株式等償還特約付社債(EB債)が株式に転換された場合の課税関係」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q19】 「上場株式等償還特約付社債(EB債)が株式に転換された場合の課税関係」   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 1 EB債の償還時の課税 平成28年1月1日以後、特定公社債の元本の償還により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額(当該金銭又は金銭以外の資産とともに交付を受ける金銭又は金銭以外の資産で元本の価額の変動に基因するものの価額を含む)の合計額は、上場株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなされます。 すなわち、社債の償還により上場株式等が交付される場合で、その交付される上場株式等の価額(時価)が社債の取得価額と異なる場合、償還時に課税関係が発生することになります。 本件の場合、取得した上場株式の価額(時価)がEB債の取得価額を上回っていれば、その差額は上場株式等に係る譲渡所得等として、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の申告分離課税が適用されます。 逆に、下回っていれば、差額は上場株式等に係る譲渡損として、他の上場株式等の譲渡益との損益通算が可能です。なお、損失となる場合は、確定申告書の提出等の要件を満たすことを前提として、申告分離課税を選択した配当所得等との損益通算及び損失の繰越控除の適用が受けられます(詳細は【Q2】参照)。 2 上場株式の取得価額 租税特別措置法所得税関係通達において、上場株式等償還特約付社債の償還により取得した上場株式等の取得価額は、当該社債の償還日における上場株式等の価額(すなわち時価)とすることが明らかにされています(措通37の10・37の11共-9)。 したがって、EB債の償還により取得した上場A社株式の取得価額は、当該社債の償還の日における当該上場株式の価額(時価)となります。   (了)

#No. 193(掲載号)
#箱田 晶子
2016/11/10

マイナンバーの会社実務Q&A 【第22回】「国外居住親族がいる場合の年末調整」

マイナンバーの会社実務 Q&A 【第22回】 「国外居住親族がいる場合の年末調整」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   〈Q〉 中国人の従業員から中国に居住する中国人の両親を扶養親族にするにはどうしたらよいかとの質問がありました。 平成29年分給与所得者の扶養控除等申告書に両親のマイナンバーを記載する必要があるかどうかと、扶養控除の適用を受けるために会社に提出してもらう書類を教えてください。   〈A〉 1 マイナンバーの記載 中国に居住する中国人の両親はマイナンバーを有しないので、平成29年分給与所得者の扶養控除等申告書に両親のマイナンバーを記載する必要はない。   2 会社に提出してもらう書類 親族関係書類及び送金関係書類を会社に提出してもらう。 〈親族関係書類〉 中国人従業員の出生証明書の原本を会社に提出してもらう(【図表】参照)。中国語で作成されている場合、翻訳文も提出してもらう。親族関係書類は、原本でなければならない(パスポートを除く)。 【図表】 外国政府等が発行した親族関係書類の組合せ表 出典:国税庁リーフレット「国外居住親族に係る扶養控除等の適用について」   〈送金関係書類〉 外国送金依頼書の控えの原本またはコピー、あるいは、家族カードのクレジットカード利用明細書の原本またはコピーを提出してもらう。中国語で作成されている場合、翻訳文も提出してもらう。 送金関係書類は、コピーでもかまわない。送金関係書類は、両親それぞれの送金関係書類が必要となる。どちらかにまとめて送金している場合、1人分しか扶養控除を適用できない。何万円以上の仕送りが必要といった送金額の基準はない。 (了)

#No. 193(掲載号)
#上前 剛
2016/11/10

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第19回】「租税法上の評価③」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第19回】 「租税法上の評価③」   公認会計士 佐藤 信祐   前回では、東京高裁平成12年9月28日判決について解説を行った。本稿では、東京高裁平成17年1月19日判決について解説を行う。 本事件は、形式上、同族関連者に該当しない有限会社が保有している株式に対して、原則的評価方式を採用すべきであるとされた事件である。   3 東京高裁平成17年1月19日判決・TAINSコード:Z255-09900 (1) 事実の概要 本事件は、被相続人が保有していた株式を有限会社設立の際に時価を下回る低額で現物出資して出資口を取得し、その後、当該有限会社の出資口の52%相当を株式会社の取引先に売却した後、その8日後に当該被相続人が死亡したために相続が発生している。 そして、相続人である原告らが、当該有限会社が保有する資産のうち上記の株式の評価額を配当還元方式で評価して純資産の評価額を算出した上、これから評価額と各資産の帳簿価額との評価差額に対する51%相当の法人税額等に相当する金額を控除することにより、当該被相続人が保有する当該有限会社の出資の相続税評価額を算出して、これを前提とした相続税の申告を行った。 しかし、被告が、当該有限会社が保有する資産のうち上記株式の評価額を類似業種比準方式で評価して純資産の評価額を算出した上、これから評価額と各資産の帳簿価額との評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除せずに、当該被相続人が保有する当該有限会社の出資の相続税評価額を算出するなどして、これを前提とした更正処分を行うとともに、過少申告加算税賦課決定処分をしたため、原告らが更正処分のうち原告らの申告額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めた事件である。 本事件は、平成3年12月13日に相続が行われているが、法人税額等に相当する金額については、その後の通達改正により認められなくなっているため、原告はその遡及適用についても争っている。なお、いずれにしても、現行通達では、法人税額等に相当する金額については認められないため、有限会社が保有していた株式について類似業種比準方式を適用すべきか否かについてのみ解説を行う。 (2) 第一審(東京地裁平成16年3月2日判決・TAINSコード:Z254-9583) (3) 控訴審 控訴審は、第一審の判断を踏襲しているため、詳細な解説は省略する。 (4) 評釈 このように、裁判所は納税者側の主張を認めず、国側の課税処分を認めた。国側の主張が認められた理由は、有限会社の出資金のうち52%は取引先13社が4%ずつ保有していたことから、実質的に同族関係者であると認定すべきであったという点にある。 事実関係がややこしいが、有限会社が株式会社の発行済株式のうち28.6%を保有しており、同族関係者である合名会社(26.6%)、相続人(8.8%)及び被相続人の弟(7.9%)を合計すると、71.9%になるという関係にある。そして、有限会社の出資金のうち、48%しか保有していなくても、相続人一族が当該有限会社の出資金を最も保有していることに疑いはないため、当該有限会社の出資金を原則的評価方式で評価せざるを得ない。 すなわち、有限会社の出資金ではなく、当該有限会社が保有する株式について特例的評価方式を行えるかどうかという争いであり、当該有限会社を法人税法施行令4条に規定する同族関係者から除外することにより、それが可能ではないかというのが原告の主張である。 このように、通達の隙間を狙った手法について、財産評価基本通達6項を用いるまでもなく、課税当局は否認をしている。通達はあくまでも解釈であり、租税法律主義の観点からするとやや否認のハードルが低いということが言える。 次回では、東京地裁平成17年10月12日判決について解説を行う予定である。 (了)

#No. 193(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/11/10

税務判例を読むための税法の学び方【94】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その22:「文理解釈と立法趣旨②」(最判平22.3.2))

税務判例を読むための税法の学び方【94】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その22:「文理解釈と立法趣旨②」(最判平22.3.2))   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   5 裁判所の判断 (1) 第一審(東京地裁平成18年3月23日)の判断 これは裁判所ホームページにて判決が公開されているため、これを入手し、読んでいただきたい。そこには当事者の主張も掲載されており、ここでは割愛するため、ぜひ見てもらいたい。 まず、原告のパブクラブ経営者の、ホステスに対する報酬の計算方法について、以下のように認定している。原告が、報酬の算定要素となるものは勤務時間数であり日数ではない旨主張したが、出勤日毎の管理を基に算定しており業務上の拘束日から切り離して考えることができない旨、判示する(以下、下線は筆者による)。 次に、前回紹介した所得税法施行令第322条の「計算期間」について、各集計期間を指すのか、報酬の算定要素となる業務上の拘束を受ける日を指すのかについて、「「当該支払金額の計算期間の日数」という形式的な文言だけからは、一見すると、判然としていないようにもみえる」と判示し、立法趣旨を検討している。 すなわち、税法の解釈は、文理解釈によるべきところ、文理のみでは明らかでない場合には立法趣旨等からの論理解釈が許される。そこで、文理上「判然としていない」として、ホステス報酬に係る源泉徴収制度の趣旨について、検討している。 上記のような源泉徴収制度の理解に基づき、以下でホステスに係る所得税法施行令322条の「当該支払金額の計算期間の日数」を出勤日のみと見た方が、実際の必要経費の額に近似することになる旨、判示する。 以上の点から、以下の結論を導いている。 なお原告の「期間」という文言の一般的な意義が「ある時点からある時点までの継続した時の区分」であることを根拠に、「当該支払金額の計算期間の日数」とは本件各集計期間の全日数であるという主張に対して、以下のように判示する。 これによれば、計算の期間が、細分化された計算の期間であるとしている。 この点、例示で解説しよう。 例えば、上記のような月において、1ヶ月が計算期間であるなら、通常1日~30日が計算期間と考える。しかし各週の水~日が稼働日であるとした場合の細分化された計算期間は、各週5日間である。すなわち、4日~8日、11日~15日、18日~22日、25日~29日といった5日間がそれぞれの計算期間であり、その合計として20日間になるというものである。 第一審は、このような理解の下で、この「計算期間の日数」は、「本件各集計期間の全日数」ではなく「実際の出勤日の日数」と判示したのであった。 なおこの他にも、様々な角度からの原告の主張に対しての判断が示されているので、是非判決文を一読していただきたい。 *   *   * 次回は、控訴審及び上告審(最高裁)の判断を見た上で、判決の意義についてまとめることとする。 (続く)

#No. 193(掲載号)
#長島 弘
2016/11/10
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