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「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例43(所得税)】 「居住用家屋の譲渡日を売買契約日で認識しなかったため、「居住用財産の買換え特例」の適用が受けられなかった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例43(所得税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5) 個人が所有期間5年を超える居住用財産の譲渡をした場合において、その譲渡年の前年から譲渡年の翌年までの間に一定の買換資産の取得をし、かつ、その取得年の翌年までの間に居住の用に供したときは、その譲渡による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち一定の方法により計算した金額は、一定要件の下で他の所得との損益通算ができる。ただし、この損益通算の特例は、買換資産を取得した年の年末において、その買換資産の取得に係る住宅借入金等の残高がある場合に限り適用できる。 〈期間及び取得期限〉  先行取得した場合 ◆譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期(所基通36-12) 譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。       (了)

#No. 191(掲載号)
#齋藤 和助
2016/10/27

〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第9回】「別表6(7) 試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除に関する明細書」、「別表6(8) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除における平均売上金額、比較試験研究費の額及び基準試験研究費の額の計算に関する明細書」

〈事例で学ぶ〉 法人税申告書の書き方 【第9回】 「別表6(7) 試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除に関する明細書」、「別表6(8) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除における平均売上金額、比較試験研究費の額及び基準試験研究費の額の計算に関する明細書」   公認会計士・税理士 菊地 康夫   Ⅰ はじめに 本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、複数の書き方パターンがある様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。 第9回目は、前回採り上げた研究開発税制のうち、解説できなかった残りの「別表6(7) 試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除に関する明細書」と、その計算明細である「別表6(8) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除における平均売上金額、比較試験研究費の額及び基準試験研究費の額の計算に関する明細書」を採り上げる。   Ⅱ 概要 別表6(7)は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の4第4項の規定(試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除)の適用を受ける場合に作成する。 いわゆる研究開発税制は、現在、以下の4つの制度により構成されている。 上記①から③の制度は前回解説した別表6(6)及びその計算明細である別表6(8)を用いるが、今回解説する別表はそれ以外の④の制度を適用する場合に用いることになる。 ④の試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度は、青色申告法人の平成20年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合で、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するときに、上記①~③の制度とは別枠で、その試験研究費の額の一定割合の金額をその事業年度の法人税額から控除する制度(ただし当期の法人税額の10%が上限)である。     Ⅲ 「別表6(7)」、「別表6(8)」の書き方と留意点 (1) 設例 (2) 今回の別表が適用される事業年度 平成28年4月1日以後終了する事業年度。 (3) 別表の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (4) 別表の各記載欄の説明 別表6(7) 試験研究費の増加額等に係る法人税額の特別控除に関する明細書   別表6(8) 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除における平均売上金額、比較試験研究費の額及び基準試験研究費の額の計算に関する明細書 〔Ⅰ 平均売上金額の計算に関する明細書〕 〔Ⅱ 比較試験研究費の額及び基準試験研究費の額の計算に関する明細書〕 (了)

#No. 191(掲載号)
#菊地 康夫
2016/10/27

金融・投資商品の税務Q&A 【Q17】「私募外国株式投資信託の償還時の取扱い」

金融・投資商品の税務Q&A 【Q17】 「私募外国株式投資信託の償還時の取扱い」   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 1 所得分類 所得税法上、公募でなく、かつ、金融商品取引所等に上場等もされていない株式投資信託は、租税特別措置法第37条の10第1項に規定する「一般株式等」に分類されます。この取扱いは、株式投資信託が外国投資信託の場合も同様です。 所得税法上、一般株式等に分類される投資信託の終了又は一部解約により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額(以下、「金銭等の合計額」という)のうち、当該投資信託について信託された金額を超える部分の金額については、配当所得に係る収入金額とされます。 さらに、私募株式投資信託の終了又は一部解約により交付を受ける金銭等の合計額のうち株式投資信託について信託されている金額に達するまでの金額は、私募投資信託の受益権の譲渡による収入金額とみなされます。したがって、当該収入金額とその私募投資信託の取得価額との差額が一般株式等に係る譲渡所得等とされます。 図解すると、以下のようになります。 〈投資信託の解約時の所得分類〉   2 課税方法 ① 配当所得 配当所得として取り扱われる部分については、一般株式等の配当所得に該当するため、1回に支払を受ける金額が少額の場合を除き、申告が必要です。総合課税の対象となります(上場株式等の配当所得等に係る申告分離課税の適用はありません)。 本件の償還金額を日本における支払の取扱者(【Q4】のキーワード参照)を通じて支払を受ける場合は、配当所得とされる金額について20.42%(所得税及び復興特別所得税)の税率にて源泉所得税が課されます。この源泉所得税は、申告所得税額から控除することができます。 ② 株式等の譲渡所得 本件は私募かつ非上場の株式投資信託の受益権であり、一般株式等に該当します。一般株式等の譲渡所得等の金額とされる金額については、他の所得と区分し、申告分離課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。譲渡損が生じた場合、一般株式等に係る譲渡所得等の範囲内で損益通算が可能です(※)。 (※) 平成27年12月31日以前は、上場株式等かそれ以外の株式等(一般株式等)の区別はなく、株式等の譲渡に係る譲渡所得等の範囲内での損益通算が可能でしたが、平成28年1月1日以後は、株式等を「上場株式等」又は「一般株式等」に区分し、それぞれの所得内でのみ損益通算が可能となりました。 本件は私募かつ非上場である株式投資信託の受益権の譲渡であり、上場株式等に係る譲渡損失について認められている特例(上場株式等に係る配当所得等との損益通算及び翌年以降3年間の繰越し)の適用はありません。 ③ まとめ 上記の通り、償還金額のうち一定の金額が配当所得、残りが一般株式等の譲渡所得等として取り扱われ、所得区分が異なることから、個々人の取得価額、投資信託に信託された金額及び償還金額によっては、プラスの配当所得及びマイナスの譲渡所得(譲渡損失)が発生する可能性があります。その場合、両者を相殺(損益通算)することができません。 (了)

#No. 191(掲載号)
#箱田 晶子
2016/10/27

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第18回】「租税法上の評価②」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第18回】 「租税法上の評価②」   公認会計士 佐藤 信祐   前回では、大阪高裁昭和62年6月16日判決について解説を行った。 本稿では、東京高裁平成12年9月28日判決について解説を行う。本事件は、同族株主以外の株主であっても、純資産価額による買取りが保障されている場合には、純資産価額方式による評価をすべきであると判断された事件である。   2 東京高裁平成12年9月28日判決・TAINSコード:Z248-8734 (1) 事実の概要 本事件は、平成5年11月24日死亡した能沢十太郎(以下「亡十太郎」という)の共同相続人である原告らが、フォーエスキャピタル株式会社の株式(以下「本件株式」という)を特例的評価方式により評価して相続税の申告をしたところ、純資産価額方式により評価すべきであるとして、被告が原告らに対して平成7年7月31日付けで更正及びこれに対する過少申告加算税賦課決定(以下「本件各処分」という)を行ったのに対し、原告らが申告額を超える部分に係る本件各処分の取消しを求めた事件である。 なお、第一審判決文には、以下の事実関係が記載されており、その背景を理解すると裁判所の判断も分かりやすい。 (2) 第一審(東京地裁11年3月25日判決・TAINSコード:Z241-8368) (3) 控訴審 控訴審は、第一審の判断をそのまま踏襲しているため、詳細な解説は省略する。 (4) 評釈 このように、裁判所は納税者側の主張を認めず、国側の課税処分を認めた。判決文では、引受価格をいう記載もあるが、「同年前月末現在における本件株式につき純資産価額方式により計算された金額である別件発行における引受価格」と表現されていることから、実質的には純資産価額方式による評価額である。 本事件は、財産評価基本通達6項が適用されるべき事件であるようだが、6項は適用されていない。これは、「行政組織内部における機関相互の指示、監督に関して定めた規定」であることから、納税者にとっては関係のない話とされている。 本事件で留意すべき事項は、特例的評価方式が利用できることを理由として、節税商品を販売していたという事実関係があるという点である。そのため、かなり特殊な事案であると言えるが、例えば、①一部だけ特例的評価方式で移転した後に、残りを原則的評価方式で移そうとしたり、②一時的にファンドなどに中心的な同族株主になってもらい、残りの株主に特例的評価方式で移転した上で、当該ファンドから発行会社が買い戻したりするなど、実務上、特例的評価方式で相続できないかという相談を受けることがある。 実務上は、ケースバイケースであると思われるが、本事件を参考にすれば、慎重な対応が必要になる内容であると考えられる。 なお、類似の事件として、東京高裁平成15年7月31日判決・TAINSコード:Z253-9403があるため、興味のある読者は参照されたい。 次回では、東京高裁平成17年1月19日判決について解説を行う予定である。 (了)

#No. 191(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/10/27

税務判例を読むための税法の学び方【93】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その21:「文理解釈と立法趣旨①」(最判平22.3.2))

税務判例を読むための税法の学び方【93】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その21:「文理解釈と立法趣旨①」(最判平22.3.2))   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   1 はじめに この判例は、立法趣旨からの課税庁の主張を是認した下級審の判決に対して、文理解釈による納税者側の主張を認めた事案である。 判例法としての射程は限定的であるが、法令解釈の基本的スタンスとして、立法趣旨等による論理解釈は文理からでは不明な点がある場合に限られるものであって、文理からその意味が明らかな場合には文理解釈によるべきことを示した判決といえる。   2 事案の概要 パブクラブ経営者(原告、控訴人、上告人)が、勤務するホステスに対する報酬(半月ごとに支払)の源泉徴収金額を算定するに当たり、ホステスが欠勤、遅刻等をした場合の「ペナルティ」の額を報酬の総支給額から控除した上で、所得税法施行令第322条の支払金額から控除し得る金額として「5,000円に当該支払金額の計算期間の日数を乗じて計算した金額」とあることから、出勤日数にかかわらず5,000円に半月の日数を乗じた額を差し引いた残額に100分の10を乗じていた。 これに対して課税庁は、「ペナルティ」の額を報酬の総支給額から控除し得ず、所得税法施行令第322条の控除し得る金額は、5,000円にホステスの出勤日数を乗じた額にとどまるとして、差額分の納税告知処分等を行った。そこでパブクラブ経営者が、その取消しを求めた事案である。 なお、各ホステスに対して支払う報酬の額については、「1時間当たりの報酬額」(本件各集計期間における指名回数等に応じて各ホステスごとに定まる額)に「勤務した時間数」(本件各集計期間における勤務時間数の合計)を乗じて計算した額に、「手当」(本件各集計期間における同伴出勤の回数に応じて支給される同伴手当等)の額を加算して算出していた。 なお、さいたま地裁を第一審とする類似の事案が同時に進行し、最高裁判決は同日にほぼ同様の内容の判決を下しているが、ここでは判決が公開されている東京地裁を第一審とする事案をもとに進めていく。   3 関係法令   4 争点 所得税法施行令第322条における「当該支払金額の計算期間の日数」の意義。 なお、この事案では「本件各ペナルティの控除の可否」も争点として争われているが、この点は割愛する。 *   *   * 次回からは、実際の裁判所の判断内容について見ていく。 (続く)

#No. 191(掲載号)
#長島 弘
2016/10/27

〈業種別〉会計不正の傾向と防止策 【第3回】「不動産業」

〈業種別〉 会計不正の傾向と防止策 【第3回】 「不動産業」   公認会計士・税理士 中谷 敏久   どのような業種業態か? 不動産業は「土地建物の賃貸・仲介、売買、管理」を主な業務としており、その業務を行うためには、宅地建物取引業者として国土交通大臣又は都道府県知事の免許が必要である。またその免許は5年ごとに更新しなければならない。 賃貸・仲介業務については取引金額がそれほど高額ではないため町の不動産屋でも対応可能であるが、売買業務については取引金額が必然的に高額になるため、資金力のある信用度の高い上場会社が取り扱うケースが多い。上場会社といっても財閥系の老舗の上場会社もあれば、新興市場に上場しているデベロッパーと呼ばれる会社も存在する。特に1990年代のバブル経済がはじけ、都心の一等地が放出されるようになってきてからは、新興デベロッパーの躍進にはめざましいものがある。 戦後の高度成長期から土地の価格は上がり続け、土地は減価しないものと考えられていた。しかし、バブル経済崩壊後デフレの時代が20年以上続き、土地の価格も一部の地域を除いて毎年低下の一途をたどっている。時を同じくして会計ビッグバンが始まり時価会計が採用されてからは、土地の含み損を会計上認識するという大変革が起こったのである。   どのような不正が起こりやすいか? 不動産業では、2つの会計不正が起こりやすい。 1 保有目的による会計不正 土地建物等の不動産は、一般的には企業がその営業目的を達成するために所有し、かつ、その加工若しくは売却を予定しないため、固定資産として会計処理される(企業会計原則注解注16)。賃貸事業目的あるいは自社使用目的で保有する場合がそれに該当する。これに対し、不動産業では土地建物等の不動産を販売目的で保有することから、棚卸資産として会計処理されるケースがある。 すなわち、不動産業においては保有目的によって、土地建物等の会計処理を「棚卸資産」とするか「固定資産」とするか決定することができることになり、ここに第1の会計不正が発生する機会が認められる。 決算期末において、土地建物等の時価が取得価額より下がっている場合、棚卸資産として会計処理されていれば、低価法(資産の取得価額と時価とを比較して、いずれか低い方の価額を期末資産の評価額とする資産の評価方法)によって評価しなければならない(企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」)。 一方、固定資産として会計処理されていれば、低価法の適用はなく、減損会計が適用される。減損会計では、低価法のように取得価額と時価を比較して、時価が低ければ差額を評価損として計上するというような単純なものではなく、「減損の兆候」、「減損損失の認識」、「減損損失の測定」という3段階の過程を経て初めて減損損失が計上される(「固定資産の減損に係る会計基準」)。 「減損の兆候」とは、減損が生じている可能性を示す事象であり、例えば、次のような事象が該当する。 土地建物等の時価が取得価額より下がっている場合であっても、④に該当しなければ、減損損失を計上する必要はなくなる。棚卸資産の場合は時価が取得価額より少しでも下がっていれば評価損を計上しなければならないのに対し、固定資産の場合は時価が取得価額より著しく下落していなければ、減損の兆候があるとはいえないため減損損失を計上する必要はなくなるのである。 ここで「著しく下落する」とは50%以上下落する場合をいうのであるから、極端にいえば、時価が取得価額に比べて49%下落していても、減損損失の計上は回避される。 したがって、土地建物等を取得した場合に、真の保有目的は売却予定であるにもかかわらず、評価損の計上を避けるために賃貸事業目的あるいは自社使用目的として固定資産として計上することができれば、減損ルールが適用されるまで損失を会計上計上しないことが認められるのである。 なお、平成21年2月17日に「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」が改正され、 とされたため、保有目的を変更して棚卸資産から固定資産に振り替えた場合は損失を計上しなければならないことになったが、改正前は直前期末簿価での振り替えが認められていたため、損失の計上がなされないケースもあったのではないかと推測される。 2 時価評価に係る会計不正 第2の会計不正は、時価評価自体の不正である。 土地には複数の時価が存在するといわれる。実勢価格、公示地価、基準地価、路線価、固定資産税評価がそれであり、1物4価あるいは5価とも称される。 会計基準上は、これらの中から適切な時価を継続適用していれば土地の時価評価としては認められるが、土地及び建物が事業として一体利用されている場合には、不動産鑑定評価に基づいた時価を算定するケースが少なくない。なぜなら事業に用いている場合は必ずしも売却を前提としていないため、収益還元法によって不動産の価値を算定すべきだという考えがあるからである。 確かにこの考え方は合理的であり説得力がある。しかしながら、結果のみを恣意的に利用すれば、会計不正につながる危険性をはらんでいる。 不動産鑑定士が行った評価は絶対的なものと思われがちであるが、そうではない。不動産鑑定士は依頼者の提供した前提条件に基づいて不動産鑑定評価を行い、いわば依頼者に有利な鑑定を行う場合があるのである。 したがって、不動産鑑定評価額の結論のみではなく、その評価の前提となった条件が果たして合理的であるのかを吟味し、時価評価として採用ができるのか否かを慎重に見極める必要がある。   事例検証 平成25年5月22日に公表された(株)ランド(東証1部)の事例を紹介する。 第三者調査委員会の調査報告書によると、下記の点で疑義が認められたとしている。 なお、第三者調査委員会の調査が実施された場合には、その調査結果を踏まえて過年度財務諸表の修正が行われるのが一般的であるが、今回のケースでは、修正は行われていない。   不正の防止策 不動産を棚卸資産として計上するか固定資産として計上するかは、その保有目的によって決まるのであるが、恣意的に保有目的を決定したり変更したりするケースが少なくない。 それを防ぐためには、不動産の取得の経緯、調達資金の態様、収益計画の内容等を踏まえてその決定の妥当性を判断する必要がある。 また、時価評価に関しても、不動産鑑定評価が唯一絶対的なものではなく依頼者に誘導されたものである場合があることを認識し、時価評価として採用できるか否かを慎重に判断する必要がある。   同様の不正が起こりうる業種業態は? ゴルフ場業界などは不動産の取得価額と時価との差が多額になっているケースが多いため、不動産鑑定評価を恣意的に利用して、減損損失の計上を回避する不正が発生するリスクは高い。 (了)

#No. 191(掲載号)
#中谷 敏久
2016/10/27

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第31回】「圧縮記帳」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第31回】 「圧縮記帳」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、圧縮記帳の会計処理について解説する。なお、圧縮記帳の税務上の要件や圧縮限度額の算定等については、解説していない。 法人税法上及び租税特別措置法上、主な圧縮記帳として以下が規定されている。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 圧縮記帳の会計処理は、監査第一委員会報告第43号「圧縮記帳に関する監査上の取り扱い(以下、「43号」という)」において「交換取引」、「交換取引に準ずるもの」、「国庫補助金、工事負担金等」の3つに分けられている。そのため、圧縮記帳の会計処理の検討する際は、この3つの分類のどれに当てはまるかを、まず検討する。 交換や換地処分による圧縮記帳の場合、「交換取引」に該当する。この場合、次に【STEP2】を検討する。 収用等による圧縮記帳や特定の資産の買換えで収用等に類する圧縮記帳(審理室情報第5号2.(2))の場合、「交換取引に準ずるもの」に該当する。この場合、次に【STEP3】を検討する。 国庫補助金、工事負担金等による圧縮記帳の場合、「国庫補助金、工事負担金等」に該当する。この場合、次に【STEP4】を検討する。また、保険差益の圧縮記帳(保険金等で同一種類、同一用途の固定資産を取得した場合に限る)の場合も「国庫補助金、工事負担金等」に該当するため、次に【STEP4】を検討する。 (1) 会計処理 交換取引の圧縮記帳の税務処理では、原則、交換取得資産の取得原価から圧縮損相当額を直接控除する(直接減額方式)。また、交換取得資産の取得価額について、圧縮損相当額を直接控除しないで、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額とその交換取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額を交換取得資産の取得価額とすることも認められている(※)。 会計上、直接減額方式は、取得原価を減額するため、取得原価主義の考え方に照らして適切ではない。 そして、会計上は、交換取得資産の取得価額を、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額と取得のために要した経費の合計額とする処理((※)と同様の会計処理)が適切であると考えられている(43号Ⅱ1)。 したがって、自己所有の固定資産と交換に同一種類・同一用途の固定資産を取得したときは、資産間の連続性又は同一性が認められるので、譲渡資産の帳簿価額を取得資産の取得価額として処理した場合((※)と同様の会計処理とした場合)、監査上妥当なものとして取り扱うとされている(43号一1、Ⅲ1)。 (2) 表示 交換取引の場合、譲渡資産の帳簿価額がそのまま取得資産の取得価額とされるため、圧縮損及び譲渡益に関する損益表示の問題は生じない(43号Ⅲ3)。 《設例1》 【交換時の会計処理】 (1) 会計処理 収用等による圧縮記帳の場合、税務上、直接減額方式と圧縮記帳方式が認められている。 【STEP2】で解説したとおり、直接減額方式は、取得原価を減額するため、取得原価主義の考え方に照らして適切ではない。そのため、会計上は、積立金方式が望ましい。 しかし、収用等により資産を譲渡し新たに取得した資産が、譲渡資産と同一種類、同一用途である等取得資産の価額として譲渡資産の帳簿価額を付すことが適当と認められるときに、譲渡益相当額をその取得価額から控除した場合(直接減額方式)は当面、監査上妥当なものとして取り扱う(43号一2、Ⅲ2)。 なお、収用等により資産を譲渡した事業年度に圧縮対象資産を取得できなかった場合の圧縮記帳見込額は、未決算特別勘定等の適当な科目で貸借対照表の負債の部に計上する(43号一(注2))。 《設例2》 (1) 積立金方式 (※1) 圧縮限度額10,000-(10,000×35%) 固定資産圧縮積立金は、土地の売却時に取り崩す。 (※2) 圧縮限度額10,000×35% 会計上の土地の計上額は20,000である。一方、税務上の土地の計上額は、10,000である。 したがって、会計上の土地>税務上の土地のため、将来加算一時差異が生じる。 繰延税金負債は、売却により将来加算一時差異が解消された場合、取り崩す。 (2) 直接減額方式 (※3) 圧縮限度額10,000 会計上と税務上の土地の帳簿価額が一致しているため、税効果の計上はない。 (2) 表示 交換取引に準ずる収用等に伴う代替資産の取得や、特定資産の買換え等による固定資産の取得の場合、本来なら、損益計算上、圧縮損と譲渡益とを相殺表示することが望ましいが、両建表示しても監査上妥当なものとして取り扱う(43号Ⅲ3)。 また、交換取引に準ずるものの場合、取得資産につき圧縮記帳を行った旨及び圧縮額を財務諸表に注記する。なお、当該注記は、圧縮記帳が行われた事業年度の財務諸表についてのみ行えば足りる(43号一(注3)、Ⅲ5)。 (1) 会計処理 国庫補助金、工事負担金等による圧縮記帳の場合、税務上、直接減額方式と圧縮記帳方式が認められている。 【STEP2】で解説したとおり、直接減額方式は、取得原価を減額するため、取得原価主義の考え方に照らして適切ではない。そのため、会計上は、積立金方式が望ましい。 しかし、国庫補助金、工事負担金等により取得した固定資産について、国庫補助金、工事負担金等に相当する金額をその取得価額から控除した場合(直接減額方式)も企業会計原則注解24の趣旨に照らして、監査上妥当なものとして取り扱う(43号一(注1))。 また、保険差益についても、保険金等で同一種類、同一用途の固定資産を取得した場合には、直接減額方式も監査上、妥当なものとして取り扱う(43号Ⅲ2)。 なお、国庫補助金、工事負担金等を受けた事業年度に圧縮対象資産を取得できなかった場合の圧縮記帳見込額は、未決算特別勘定等の適当な科目で貸借対照表の負債の部に計上する(43号一(注2))。 《設例3》 (1) 国庫補助金の受領(X1年度) (2) 固定資産の取得(X1年度) (3) 圧縮記帳(X1年度) ① 積立金方式 (※1) 圧縮限度額10,000-(10,000×35%) 固定資産圧縮積立金は、建物の減価償却、売却等により取り崩す。 (※2) 圧縮限度額10,000×35% 会計上の建物の計上額は30,000である。一方、税務上の土地の計上額は、20,000である。 したがって、会計上の建物>税務上の建物のため、将来加算一時差異が生じる。 繰延税金負債は、減価償却、売却等により将来加算一時差異が解消された場合、取り崩す。 ② 直接減額方式 (※3) 圧縮限度額10,000 会計上と税務上の建物の帳簿価額が一致しているため、税効果の計上はない。 (4) 減価償却(X2年度) ① 積立金方式 (※4) 6,500÷10年 (※5) 3,500÷10年 ② 直接減額方式 (2) 表示 国庫補助金や工事負担金等についても、【STEP3】の交換取引に準ずるものと同様に本来なら、損益計算上、圧縮損と受入益とを相殺表示することが望ましいが、両建表示しても監査上妥当なものとして取り扱う(43号Ⅲ3)。 また、国庫補助金、工事負担金等について、貸借対照表の表示において取得原価が国庫補助金等に相当する金額を控除した残額のみを記載する場合、取得資産につき圧縮記帳を行った旨及び圧縮額を財務諸表に注記する(企業会計原則注24、43号Ⅲ5)。 *   *   * 以上、4つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 191(掲載号)
#西田 友洋
2016/10/27

会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における実務上の留意点-D&O保険を機能させるために- 【第2回】「保険金支払に関するチェックポイント」

会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における 実務上の留意点 -D&O保険を機能させるために- 【第2回】 「保険金支払に関するチェックポイント」   弁護士・公認会計士 中野 竹司   前回述べたように、実際に「いざ」というときに自分が加入しているD&O保険が機能するものであるか、契約内容を理解しておく必要がある。その中でも保険金額の上限が最も重要になるであろうが、それに加えて次のような内容もチェックしておく必要がある。 以下、これらのチェックポイントごとに問題となる点を解説する。 (1) 争訟費用の前払規定 ~保険金はタイムリーに支払われるか~ 紛争の解決等により争訟費用の金額が確定してから初めて保険金を請求できる定めの場合、紛争継続中に争訟費用分の保険金を請求できず、十分な防御活動ができなくなる可能性がある。 このため経産省解釈指針別紙2では、争訟費用の前払規定があるか、ある場合には前払を受けるための手続について確認しておく必要があるとしている(p5)。   (2) 補償限度額の追加 ~他の役員が使った補償をカバーできるか~ 前回述べたように、D&O保険は補填限度額が被保険者全員で共通であることから、ある被保険者に対して保険による填補が行われた場合、他の被保険者が保険による十分な填補が受けられなくなる可能性がある。 これに対して経産省解釈指針別紙2では、社外取締役等の一部の被保険者については、別建てで個別の補填限度額の追加を提言している(p4)。   (3) 保険会社が免責される場合 ~保険金が支払われない場合~ ① 免責事由への該当 一般的に、D&O保険の約款において、免責事由が定められている。免責事由の定めは保険会社により異なるが、違法な私的な利益の取得、犯罪行為、法令違反を認識しながら行う行為、違法な報酬の取得、違法な内部取引、違法な利益供与といった原因に起因する損害賠償請求は免責となり保険料が支払われないとされる場合が多い。 これらの類型のうち、もっとも抽象的な免責事由である「違法な私的な利益の取得」については、アメリカの裁判例の解釈基準のうち、「役員が私的な利益を得たと原告が申し立てた場合に免責が適用されるとする解釈」と「原告が申し立てただけでは足りず、(判決まで必要ないが)何らかの事実的な証拠を必要とする解釈」の間で実務上運用されていると思われるが、解釈に幅があり、被保険者にとっては、保険者から容易に免責を主張されるリスクがあるとされる(※1)。 (※1) 高木玲雄・山越誠司「D&O保険における防御費用補償の活用」Business Law Journal2016.6、レクシスネクシス、63頁~64頁参照 免責事由に当たるとされると、一切保険金が支払われないため、被保険者にとっては深刻な問題となる。 この免責条項による保険金、特に防御費用相当額が支払われないという事態を防ぐためには、以下のような内容のD&O保険であれば、相当程度その危険を回避できる。 (※2) 前掲高木・山越64頁 ② 会社が損害賠償をした時の補償 多くのD&O保険では、株主が提訴した株主代表訴訟であれば保険による填補の対象となるが、会社が役員に対して損害賠償請求した場合は免責となっている。 近時、株主による提訴請求が行われた場合、会社が提訴請求の対象となっている役員に損害賠償請求を行うべきか否かを諮問する委員会が立ち上がるケースが多くなっている。そして、会社が一部の役員に責任追及訴訟を提起する場合、保険対象外となる役員が出てくる。 もっとも、この場合でもD&O保険の対象になる設計とすると、会社が旧役員の損害賠償責任を追及することにより、現役員の支払限度額が減っていくという関係になる。このような関係となってよい場面といえるか、D&O保険を契約する際には、慎重な判断が必要となると思われる。 ③ 役員間での内紛時の補償免責 多くのD&O保険では、他の被保険者、すなわち他の役員からなされた損害賠償は免責となっている。例えば、社外監査役や社外取締役等が現経営陣の責任を追及した場合には、保険金は支払われない契約内容となっている。 これは企業内の内紛や内輪もめに起因する争いに保険が介入するのは適切ではないという観点から設けられたものとされる(※3)が、いわゆる内紛により役員間の訴訟が起こることも事例として散見されることから、この場合に保険金が支払われない可能性の有無について確認・認識しておくことも有用であろう。 (※3) 三井海上火災保険株式会社編「株主代表訴訟と会社役員賠償責任保険(D&O保険)の解説」保険毎日新聞社、平成6年10月31日、24頁 なお、この場合にも役員に保険金が支出されるとなると、②と同様、他の役員の支払限度額が減るという関係になるが、それでよいか、仮にこのような内容のD&O保険を設計・契約するのであれば、慎重な判断が必要となる。   (4) 告知と免責事由の分離の有無 ~他の役員が隠した事実のせいで保険金を受け取れないことも~ 保険契約時の告知に関して、ある被保険者の告知義務違反により保険契約が解除され、告知義務違反のあった被保険者のみならず他の被保険者も保険による保護を受けられなくなる可能性がある。 また、免責事由においても、ある被保険者との関係でも免責とされている場合、他の被保険者との関係でも免責となり保険による保護が受けられなくなる可能性がある。 これに対して、経産省解釈指針別紙2では、告知や免責事項に対して分離条項(ある被保険者の告知や免責事由該当性が他の被保険者に影響しない旨の条項)を定めることが対応策として考えられるとしている(p5)。   (5) 保険契約終了後の保険の継続 ~保険の必要性が高まった状況で保険が終わってしまうことも~ 保険期間の終了に際して、既存の保険契約の更新や新たな保険契約が締結できず、保険により填補が得られなくなる可能性もある。 例えば、保険期間中に被保険者に対する損害賠償請求があった場合には、通常の場合に比して、翌年の保険契約について、既存契約の更新につき一定の検討や交渉が必要となる場合があり、他の保険会社との契約も検討が必要となってくる。 経産省解釈指針別紙2では、保険契約を締結する時点で、会社と保険会社との間で、当該保険契約が継続されない日から起算して一定期間(延長報告期間)内の損害賠償請求は保険の対象とすることができる旨定めることが対応策として考えられるとしている(p6)。   (6) 退任役員の補償 ~役員責任は退任後も続くが、カバーされているか~ 退任した役員は、保険契約の継続について情報が得られず、知らない間に保険による保護が受けられなくなる可能性がある。D&O保険がこのような場合をカバーするものか確認することも必要であろう(p7)。   (7) 組織再編に伴う補償の継続 自社の保険で補償している子会社を譲渡した場合には、譲渡前の行為に起因する損害賠償請求は、新たに親会社となる会社の保険契約では補償されない可能性がある。 また、自社が他社の子会社となった場合において、子会社となった時点より前の行為に起因する損害賠償請求は、新たに親会社となる会社の保険契約では補償されない可能性がある。 経産省解釈指針別紙2では、子会社において別途の保険契約(ランノフ・カバー)を締結することや、新たな親会社との保険契約において、自社の子会社となる前の行為も補償の対象とすることが、対応策として考えられるとしている(p7)。 (了)

#No. 191(掲載号)
#中野 竹司
2016/10/27

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例10】株式会社ピーシーデポコーポレーション「弊社プレミアムサービスご契約のお客様対応に関するお知らせ(2016.8.17)」

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例10】 株式会社ピーシーデポコーポレーション 「弊社プレミアムサービスご契約のお客様対応に関するお知らせ」 (2016.8.17)   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる適時開示は、株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下「ピーシーデポコーポレーション」という)が平成28年8月17日に開示した「弊社プレミアムサービスご契約のお客様対応に関するお知らせ」である。同社が提供している「プレミアムサービス」について、今後、以下のように対応することにしたという内容である。   2 開示に至った経緯 ピーシーデポコーポレーションは、この開示の後、平成28年8月25日に「弊社プレミアムサービスの具体的な取り組みに関するご報告」を開示しているのだが、その添付資料においてプレミアムサービスは次のように定義されている。 そして、17日の開示に至った経緯については、次のように記載されている。 平成28年8月14日に「ピーシーデポコーポレーションから高額な解約料を請求された」という書き込みがSNSにあり、それに反応するように、同社の株価が下落したため、17日の開示を行うこととなったのである。ちなみに、12日の同社株式の終値は1,450だったが、下がり続け、9月14日には625円まで値を下げている。   3 株価下落の本当の原因 SNSに書き込みが行われた後、ピーシーデポコーポレーションの株価が下落したため、SNSを通じて同社のブラックなイメージが広がって、同社の株価が下落したのだ、と思われるかもしれない。しかし、おそらくそうではないと思われる。 マイナスな情報がSNS上で流通している企業はほかにもあるが、そうした企業の株価がピーシーデポコーポレーションの株価と同様に変動しているわけではないし、個人投資家が多数派の新興市場ならばいざ知らず、同社が上場している東証一部市場でイメージだけで株価が大きく変動するとは思われない。 プレミアムサービス事業は同社の業績向上の牽引役だったのだが、そのビジネスモデルに問題があるということに今回の件で投資家が気づかされた、というのが、株価下落の本当の原因なのではないだろうか。 17日の開示の添付資料には、プレミアムサービスの料金例が記載されている。例えば、「(ELDALT3)データPS新さんねんエリートファミリーワイドプラン(W)」の場合、月額料金は税込5,400円だが、加入当月の解約料は税込70,200円、加入から12ヶ月後でも税込64,796円である。 短期間で解約すると、高額な解約料がかかってしまう(利用しない場合でも、すぐにはやめられない)サービスであり、今後も消費者に受け入れられるのかについて疑問符が付されたのだろう。   4 なぜ70歳以上?75歳以上? 17日の開示に記載された「1.今後の対応」によると、ピーシーデポコーポレーションは、プレミアムサービスの高額な解約料への批判を受けて、今後、顧客が70歳以上の場合は3ヶ月以内、75歳以上の場合はいつでも無償で解約できることにしたようである(注)。 70歳以上や75歳以上という設定がどのような考えに基づいて行われたのかは、明らかにされていない(そうした年齢層の顧客ならば、それほど数が多くないので、無償で解約されても、業績への影響は小さいと考えたのだろうか)。 この対応をどう捉えるかは、人により異なるかと思われる。69歳の顧客や、契約期間が3ヶ月を超えた74歳の顧客が解約する場合は、依然として高額な解約料がかかるのである。 (注) 「1.今後の対応」の2では、70歳以上の場合、3ヶ月以内は無償で解約可能、3では、75歳以上の場合、いつでも無償で解約可能とされている。しかし、2の後半には、75歳以上の場合、1ヶ月以内は無償で解約可能という記載もある。また、1では、年齢と期間を示さず、使用状況にそぐわない場合は無償で解約可能とされている。   5 契約後にテスト? 25日の開示には、以下のような記載がある。 契約手続の後、「品質管理スタッフ」から、契約内容等を理解しているかどうかについてのテストを受けるようである。自分が顧客であれば、かなりうんざりさせられる対応である。 17日の開示の「1.今後の対応」の5には、「引き続きお客様にわかりやすい対応を図っていく所存」と記載されているが、これが顧客にとってわかりやすい対応であるようには思われにくい(そもそも「1.今後の対応」の記載内容そのものが、わかりやすくはない)。 ピーシーデポコーポレーションに求められているのは、消費者に受け入れられる、新たなわかりやすいサービスの開発ではないだろうか。 (了)

#No. 191(掲載号)
#鈴木 広樹
2016/10/27

《速報解説》 日本取締役協会・投資家との対話委員会が「経営者報酬ガイドライン」を改訂(第四版)~PFP強化、不適切会計等へのリスク管理、報酬委員会の機能強化等を盛り込む~

《速報解説》 日本取締役協会・投資家との対話委員会が 「経営者報酬ガイドライン」を改訂(第四版) ~PFP強化、不適切会計等へのリスク管理、報酬委員会の機能強化等を盛り込む~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年10月26日、日本取締役協会・投資家との対話委員会は、「経営者報酬ガイドライン(第四版)」を公表した。 経営者報酬ガイドラインは、平成17年(2005年)から公表しているが、今回の主な変更点として、次のことをあげている(2ページ)。 ガイドラインの公表に際して、添付資料(日米CEO報酬と業績の比較など)と「経営者報酬制度の実態調査報告書」もホームページに掲載されている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 インセンティブ(経営者報酬の方針) 平均的なCEO報酬(全体を100%とすると基本報酬が64%、年次インセンティブ(業績連動賞与)が17%、長期インセンティブが19%)は、欧米企業と比較すると、年次インセンティブ(業績連動賞与)と長期インセンティブが占める割合は低いとのことである(5ページ)。 そこで、平均的なCEO総報酬における年次インセンティブ(業績連動賞与)及び長期インセンティブの割合をより高めていくことにより、株主へのアカウンタビリティと経営者への業績達成の2つの視点からリスクとリワードの関係をより高めていくことが述べられている。 また、短期的(2~3年以内)には、基本報酬の水準が極端に高い場合を除いて、基本報酬の現行水準は維持したうえで、基本報酬:年次インセンティブ(業績連動賞与):長期インセンティブ=1:1:1程度の比率をめざし、中長期的(10年後)には、1:2~3:2~3程度の比率を目指すとしている。 2 リスク管理(経営者報酬の方針) リスク管理として、過度なインセンティブが要因となりえる会計不正・修正を未然に防止する工夫として、インセンティブ報酬には、自社株保有ガイドライン、クローバック条項(払い戻し規定)・マルス条項(権利移転前の報酬への強制没収条件)等の設定有無のある場合には、その内容を開示することが述べられている(6、12ページ)。 3 長期インセンティブ 中長期の株主価値とリンクした次のような長期インセンティブ報酬制度(株式報酬)を導入するとしている(8ページ)。 そのほか、次のことも述べている(9ページ)。 まったく中長期インセンティブを持たないアカウンタビリティの欠如した固定重視の報酬体系を維持しつづける理由を探すことのほうが難しいと、解説において述べられている(9ページ)。 4 報酬委員会 すべての公開企業は報酬決定に関する独立した委員会(報酬委員会)を設置し、過半数の独立取締役により構成すると述べている(10ページ)。 (了)

#No. 190(掲載号)
#阿部 光成
2016/10/26
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