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《編集部レポート》 東京税理士会、報道関係者との懇談会(2016・春)を開催~平成29年度税制改正や今後の消費税への対応をテーマに意見発表~

《編集部レポート》 東京税理士会、報道関係者との懇談会(2016・春)を開催 ~平成29年度税制改正や今後の消費税への対応をテーマに意見発表~   Profession Journal 編集部   東京税理士会は平成28年5月19日、日本プレスセンタービル内の日本記者クラブにおいて「報道関係者との懇談会2016・春」を開催。各報道関係者に対し平成29年度税制改正意見や今後の消費税への対応について意見発表を行った。 神津信一日本税理士会連合会会長の冒頭挨拶に続き、土屋栄悦調査研究部長より「平成28年度税制改正を踏まえた平成29年度税制改正意見」について、下記6項目の「重要な改正要望事項」を中心に、相続税の課税方式の見直しや業務用不動産の譲渡損失について損益通算・繰越控除を認めること等の要望事項について説明があった。 (出典) 東京税理士会「平成29年度税制及び税務行政の改正に関する意見書」(H28.3.17) 続いて平井貴昭専務理事より「今後の消費税への対応について」発表があり、特にインボイス制度導入後の免税事業者との取引で起こりうる問題点について、事例を使った説明が行われた。 その後、報道関係者からの質疑応答・事前アンケートへの回答として、軽減税率の対象品目に関する問い合わせへの対応や消費税の滞納問題、タワーマンション節税、パナマ文書など話題のテーマについても丁寧な説明があった。 (了)

#No. 170(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/05/26

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第26回】「ゴルフ会員権の評価」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第26回】 「ゴルフ会員権の評価」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、ゴルフ会員権の評価について解説する。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 ゴルフ会員権の形態は、多くの場合、株式方式と預託金方式に分かれる。株式方式の場合、ゴルフ場でのプレー権を持ち、かつ、株主総会で議決権を行使することができる。一方、預託金方式の場合、 施設利用権として、お金をゴルフクラブの経営(運営)会社に預けることで、ゴルフ場でのプレー権及び預託金返還請求権を持つが、経営に関しては一切関与することはできない。 そして、株式方式と預託金方式で評価の方法が異なるため、まず、自社の保有しているゴルフ会員権が株式方式か預託金方式かを判断する。 株式方式の場合、【STEP2】を検討する。預託金方式の場合、【STEP3】を検討する。 株式方式の場合、以下の検討を行う。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (1) 時価の有無 時価の有無によりゴルフ会員権の評価方法は異なるため、まず、時価の有無を検討する。 現状では、一般に入手可能で一定の信頼性が確保されているゴルフ会員権に関する「時価」としては、ゴルフ会員権協同組合が日々作成している業者間の取引相場表、及びその相場表を元にして大手のゴルフ会員権売買業者が公表している「ゴルフ会員権相場表」がある。これらの情報は、日刊紙やインターネットを通しても、入手可能である(「金融商品会計に関するQ&A(以下、「Q&A」という)」45)。 時価がある場合、(2)を検討する。時価がない場合、(3)を検討する。 (2) 時価の著しい下落の有無 時価がある場合、時価の著しい下落の有無を検討する。時価の著しい下落がない場合、①を検討する。時価の著しい下落がある場合、②を検討する。 ① 時価が著しく下落していない場合 時価が著しく下落していない場合、取得価額で評価する(会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針(以下、「実務指針」という)」135)。 ② 時価が著しく下落している場合 時価が著しく下落している場合、回復可能性が合理的に立証できなければ、有価証券に準じて減損処理を行う(実務指針135、311)。 時価が著しく下落し、回復可能性が合理的に立証できなければ、取得価額と時価の差額を評価損として計上する。 時価が著しく下落しているが、回復可能性が合理的に立証できるならば、取得価額で評価する(実務指針135、311)。 (3) 実質価額の著しい下落の有無 時価がない場合、ゴルフ会員権発行会社の貸借対照表をもとに、実質価額の著しい下落の有無を検討する。実質価額の著しい下落がない場合、①を検討する。実質価額の著しい下落がある場合、②を検討する。 ① 実質価額が著しく下落していない場合 実質価額が著しく下落していない場合、取得価額で評価する(実務指針135)。 ② 実質価額が著しく下落している場合 実質価額が著しく下落している場合、有価証券に準じて減損処理を行う(実務指針135、311)。 取得価額と実質価額の差額を評価損として計上する。 預託金方式の場合、以下の検討を行う。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (1) 時価の有無 株式方式の場合と同様に、まず、時価の有無を検討する。 時価がある場合、(2)を検討する。時価がない場合、(3)を検討する。 (2) 時価の著しい下落の有無 時価がある場合、時価の著しい下落の有無を検討する。時価の著しい下落がない場合、①を検討する。時価の著しい下落がある場合、②を検討する。 ① 時価が著しく下落していない場合 時価が著しく下落していない場合、取得価額で評価する(実務指針135)。 ② 時価が著しく下落している場合 時価が著しく下落している場合、回復可能性が合理的に立証できなければ、有価証券に準じて減損処理を行う(実務指針135、311)。 この場合、預託保証金を上回る部分の下落分については、評価損として計上する。預託保証金を下回る部分の下落部分については、貸倒引当金を計上する(実務指針311)。なお、預託保証金の回収可能性がほとんどないと判断される場合には、貸倒損失額を預託保証金から直接控除する(Q&A46)。 時価が著しく下落しているが、回復可能性が合理的に立証できるならば、取得価額で評価する(実務指針135、311)。 (3) 回収可能性の疑義の有無 時価がない場合、預託保証金の回収可能性の疑義の有無を検討する。預託保証金の回収可能性に疑義がない場合、①を検討する。疑義がある場合、②を検討する。 ① 回収可能性に疑義がない場合 回収可能性に疑義がない場合、取得価額で評価する(実務指針135)。 ② 回収可能性に疑義がある場合 回収可能性に疑義がある場合、債権の評価勘定として貸倒引当金を設定する(実務指針135)。なお、預託保証金の回収可能性がほとんどないと判断される場合(例えば、ゴルフ場運営会社が破産法、会社更生法、民事再生法等の申立てをした場合)には、貸倒損失額を預託保証金から直接控除する(Q&A46)。 *   *   * 以上、3つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。 (了)

#No. 170(掲載号)
#西田 友洋
2016/05/26

金融商品会計を学ぶ 【第21回】「ヘッジ会計②」

金融商品会計を学ぶ 【第21回】 「ヘッジ会計②」   公認会計士 阿部 光成   今回は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)におけるヘッジ会計の要件について述べる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ ヘッジ会計の要件-事前テスト 金融商品会計基準は、ヘッジ会計の要件として、①事前テストと②事後テストという要件を規定している(金融商品会計基準31項)。 ヘッジ会計を適用できるか否かの具体的な判定にあたっては、企業の利益操作の防止等の観点から、「先物・オプション取引等の会計基準に関する意見書等について」における①事前テストと②事後テストというヘッジ会計の適用基準の考え方を踏まえて規定したものである(金融商品会計基準104項)。   Ⅱ ヘッジ会計の要件-事後テスト 金融商品会計基準及び金融商品実務指針は、次のようにヘッジ取引時以降(事後テスト)の要件を規定している。 (了)

#No. 170(掲載号)
#阿部 光成
2016/05/26

違法な長時間労働に関するブラック企業に対し、初の「企業名公表」へ~リスク回避に向けて企業ができること~

違法な長時間労働に関するブラック企業に対し、初の「企業名公表」へ ~リスク回避に向けて企業ができること~   特定社会保険労務士 岩楯 めぐみ   日本の労働行政においては、長年にわたり、長時間労働による健康障害の防止が重要課題のひとつとして掲げられてきた。 「日本再興戦略」(改訂2014)において「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれ、平成26年11月には「過労死等防止対策推進法」が施行、平成27年4月には東京・大阪の労働局に監督指導・捜査体制の専門部署「かとく(過重労働撲滅特別対策班)」が設置されその後全国展開される等、近年その課題への取組みが活発に行われている。 そして、平成27年5月18日より「企業名公表」の取組みが開始されており、このたび千葉労働局より5月19日付けで、その第1号となる企業名が公表された。 そこで、改めて複数の事業上で違法な長時間労働を行う企業に対する「企業名公表」の取組み概要を確認するとともに、公表に至らないようにするために、企業として何をすべきかを検討する。   1 「企業名公表」の取組み 厚生労働省は、長時間労働対策をより一層推進するため、平成26年9月に「長時間労働削減推進本部」を新設し、「過重労働等撲滅チーム」等を編成して、過重労働の撲滅に向けたさまざまな取組みを行ってきた。その取組みの1つが今回の「企業名公表」である。 この取組みは、平成27年5月18日に、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛に通知された「違法な長時間労働を繰り返し行う企業の経営トップに対する都道府県労働局長による是正指導の実施及び企業名の公表」という文書に基づいており、即日実施が指示されている。 実は、これまでも企業名の公表は送検事案について行われてきたが、この取組みにより、送検事案でなくても行政指導の段階で公表される可能性があることを意味する。 この取組みの目的は、「長時間労働に係る労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促すこと」である。 というのも、労働基準監督業務を行っている人数は限られており、全国にあるすべての事業場の監督指導を実施しようとすればかなりの時間を要するため、現実的ではない。 そこで、効率的・効果的に法違反を是正する策としてとられたのが、障害者雇用促進法やパートタイム労働法でも取り入れられている「企業名公表」だ。やはり法違反企業として企業名を公表されることは、社会的に影響力が大きい企業ほど避けたいと考えるだろう。 指導・公表の対象となるのは、具体的には下表のすべてにあてはまる場合であり、この基準に該当した場合は「企業名」、「繰り返し認められた違法な長時間労働の実態」、「早期是正に向けた取組方針」等が公表される。 企業名が公表されればマスコミ各社に取り上げられることになり、企業が受けるダメージは相当大きいだろう。 (※) ここでいう「中小企業」とは、中小企業基本法に規定する「中小企業者」をいう。 (参考) 中小企業庁「中小企業者の定義」 今回企業名が公表された事案では、平成27年5月から違法な長時間労働への是正指導が行われ、4つの事業場で100時間を超える長時間労働が15名ないし18名認められている。   2 企業の対応 では、企業として何をすべきか。 企業名が公表されないようにするためには、長時間労働をなくし、労働時間、休日、割増賃金に係る労働基準法を遵守する体制を構築しなければならない。つまり、基本的な取組みとして次の4つが必要となる。 第一に、労働時間の把握体制の整備である。 労働時間を把握していなければ、当然のことながら長時間労働の有無を確認できず、企業の責務である安全配慮義務を履行できない。したがって、始業・終業時刻を記録する体制が必要となる。また、それは適正な方法によらなければならない。 なぜなら、労働時間を把握している企業でも、労働基準監督署の監督指導により不備が指摘され、多額の未払賃金を追加で支払っている現状があるからだ。 特に、社員の自己申告により労働時間を把握している場合は、適正に始業・終業時刻を記録していないことが多いため、サービス残業が生じる体制がないか点検が必要となる。 第二に、36協定(※)の整備である。 36協定の締結及び労働基準監督署への届出をしていることは最低限のこととして、次の方法等により遵守する体制が必要となる。 (※) 36協定とは、時間外労働・休日労働をするために必要な労使の取り決めで、1ヶ月や1年等の一定期間に可能な時間外労働・休日労働の上限時間等を定めたものをいう。 第三に、割増賃金の支払体制の整備である。 「年俸制であれば残業代の支払いは必要ない」などといった割増賃金に関する勘違いは意外と多い。気づかぬうちに法令違反となっているケースも散見されるため、法令に従って計算が行われているか点検した上で適切な支払体制を整備する必要がある。 最後に、労働時間短縮への取組みである。 労働時間の短縮には、ノー残業デーを設定する等の「意識面におけるアプローチ」と、業務フローを見直し無駄を排除する等の「業務面におけるアプローチ」がある。労使で知恵を絞って取組みを検討・実行する体制が必要となる。 上記4つの基本的な取組みを実施していたとしても、結果的に、上表の②の基準に該当する違法な長時間労働が生じていた場合には、企業名が公表される可能性があるが、「複数(3ヶ所以上)の事業場で繰り返されていること」が要件のひとつとなっているため、1つの事業場で是正指導を受けただけでは当該基準による企業名の公表には至らない。 したがって、1ヶ所の事業場で長時間労働に関する是正指導を受けた段階で、早期に徹底的な体質改善を図り、3ヶ所以上の事業場で是正指導を受ける状況を作らないようにしなければならない。 なお、中小企業は、今回の「企業名公表」の対象からは除外されているが、大企業同様に、法令遵守の体制が求められることは言うまでもない。 *   *   * 以上、今回は長時間労働の問題だが、企業が抱える労務課題はこれだけにとどまらず多岐にわたる。最もリスクが高いのは、「現状を把握できていないこと」である。ぜひこの機会に、さまざまな角度から労務課題の有無を総点検されることをおすすめしたい。 (了)

#No. 170(掲載号)
#岩楯 めぐみ
2016/05/26

〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第3回】「NPO法人」

〔誤解しやすい〕 各種法人の法制度と 税務・会計上の留意点 【第3回】 「NPO法人」   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎 公認会計士・税理士 濱田 康宏   ▷ 法制度について 1 特定非営利活動法人とは 特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という)は、「特定非営利活動促進法」(以下、「NPO法」という)の規定に基づき設立された、特定非営利活動を行うことを目的とした社団法人である。 特定非営利活動とは、NPO法2条1項に定める医療または福祉の増進を図る活動、社会教育の推進を図る活動等、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とするものをいう(NPO法2条1項)。 NPO法人は、特定非営利活動に支障がない範囲でのみ、特定非営利活動以外の事業をすることができる。 NPO法人は、その行う事業の公益性から、収益事業以外は法人税が非課税となるなどの優遇措置を受けるため、特定の個人や法人の利益を目的として事業を行ってはならないほか(NPO法3条1項)、以下のような制約を受ける。 NPO法人のうち、所轄庁の認定を受けたものを「認定特定非営利活動法人」という(NPO法2条3項)。 以前は国税庁の認定であったが、現在は、各都道府県あるいは政令市が所轄庁となっている。次のように、パブリックサポートテスト(PST)と呼ばれる基準などを充たし、公益性のある団体であることが認定される必要がある。 これらの基準を充足しているかが審査され、認定を受けることになり、税務上の優遇を受けることになる。詳しくは後に記載する。   2 設立手続 NPO法人の設立手続の一般的な流れは、以下のとおりである。 定款の作成(NPO法11条)  ↓ 所轄庁への認証申請(NPO法10条1項)  ↓ 所轄庁による公衆への縦覧(NPO法10条2項)  ↓ 所轄庁の認証(NPO法12条)  ↓ 設立登記(NPO法13条1項)  ↓ 所轄庁への設立届出(NPO法13条2項) NPO法人は、登記によって成立する(NPO法13条1項)。 既存のNPO法人が認定を受けることによって、認定非営利活動法人となる(NPO法44条1項)。   3 機関 (1) 機関構成 NPO法人においては、①法人の最高意思決定機関である社員総会、②業務執行を行う理事3人、③理事を監督する監事1人が最低限必要な機関である(NPO法15条)。NPO法人はこれ以外の機関を置くことができない。 理事および監事は、定款に定めた方法によって選任され(NPO法11条1項6号)、その任期は、2年内の定款に定めた日までとなる(NPO法24条1項)。 また、それぞれの役員について、その配偶者もしくは三親等以内の親族が1人を超えて含まれ、または特定の役員とその配偶者および三親等以内の親族が役員の総数の3分の1を超えてはならない(NPO法21条)。 (2) 構成員 NPO法人の構成員は、社員である。社員となる資格に格別の制限はない。社員は社員総会において1人1個の議決権を有する(NPO法14条の7第1項)。 なお、NPO法人には出資の制度がないため、社員が出資をすることはなく、法人の債務について責任を負うことはない。 (3) 業務執行および代表 NPO法人の業務は、定款に別段の定めがない限り、理事の過半数により決定したところにより、理事がこれを行う(NPO法17条)。 NPO法人を代表するのは、原則として各理事であるが、定款でこれを制限することができる(NPO法16条)。   ▷ 税務・会計について 1 株式会社との異同を確認する NPO法人は、出資持分の概念がない法人であり、「株主」というオーナーのいる株式会社とは異なる位置づけである。 会計の受託責任義務の解除という視点で言えば、資金拠出者に対する報告が行われるとはいえ、あくまでも事業報告書・計算書類・財産目録を備え置いて閲覧させるあるいは公開することで足りる(28条・30条)。 ただし、監事による監査は行われ(18条)、また、所轄庁への提出義務がある(29条)。 会計的には、一般社団法人・一般財団法人と同様、出資持分がないことから、純資産の部が、オーナー持分の管理表の意味を持たない。株式会社と大きく異なる点である。   2 NPO法人固有の注意点を確認する (1) 会計 NPO法では、活動計算書及び貸借対照表の2つを計算書類として、他に財産目録の作成が義務付けられており、正規の簿記の原則による作成が必要である(27条)。 ここで、活動計算書とは、企業会計で言うところの損益計算書に相当するが、拠出資本がないので、資本金はなく、利益あるいは利益剰余金相当額のみを計算する。企業会計で言うところの当期利益に相当するのが当期正味財産増減額、利益剰余金に相当するのが繰越正味財産額であり、用語が少し回りくどくなっている。 収益科目については、NPO法人に資金拠出してくれる支援者たちから受け入れる資金の性格に応じて、会費あるいは寄附金として受入れすることになる。 補助金や助成金がある場合には、これらもその内容によって区分する。自分で事業を行っている場合には、事業収益も表示される。 費用科目については、NPO法人の行う活動に密接・直接に結び付く事業の費用である事業費と間接的にしか対応関係のない管理費に分け、さらに内容により科目を分けるが、その科目そのものは、企業会計とそれほど変わらない。 なお、民間団体で作られたNPO会計基準によれば、公益法人会計基準に準じて、寄附金の受入額について、資金使途の制約の有無を注記することとされている。 (2) 税務(法人税) 法人税計算では、会計同様、資本金の額がないことに加え、税務上の拠出資本を表す資本金等の額が存在しないことになる。 税務上の純資産額は、利益積立金額のみになる。所得計算は、株式会社のようにすべての所得に課税されるのではなく、34業種の収益事業にのみ課税される点は、一般社団法人・一般財団法人と同じである(【第1回】・【第2回】参照)。 NPO法人の収益事業課税を避けるテクニックの1つとして活用されるのが、法基通15-1-28(実費弁償による事務処理の受託等)による実費弁償の確認申請である。補助金などを受けることが多いため、適用局面は少なくないと思われる。 この通達では請負業のみに読めるが、執行としては、請負業に限定せず、実費弁償になる業務であれば、より広く取り扱われている。この確認を受ける場合、本来の申告では取り込めない退職給付費用相当分も実費弁償計算に考慮可能になるため、実務的には結構価値ある取扱いである(参考「実費弁償方式の判定における退職給与積立預金等の取扱い」国税庁質疑応答事例)。 時にあるミス事例として、この確認申請を単なる提出資料と同様に考えてしまうものがある。つまり、課税当局による確認を期末までに完了できないために、本来であれば不要になったはずの課税が生じてしまう事例である。 消費税の課税売上割合に準じる割合の承認申請同様に、課税当局の確認手続き期間を考慮する必要がある。3月末決算法人であれば、3月半ばまでには確認申請を行うのが無難である。実務的には、確認通知が出る時期が次期にズレないよう、税務署に脚を運んで、担当官と話をしておくのがミス防止に繋がる。 この確認申請は、NPO法人だけではく、一般社団法人・一般財団法人であっても活用できる手法である。東京局の場合には、判定シートを交付してくれるようであるから、可能な場合には検討に値する手法と言える。 確認期間は書類に記載がある期間分だけである。その後も同様の処置を求める場合には、やはり確認期間終了前までに、課税当局の確認手続きを終える必要がある。失念しやすいので、期限管理の工夫が望まれる。 ところで、先に書いたようにNPO法人の場合も、一般社団法人・一般財団法人の公益認定同様、認定NPO法人制度がある。 この認定NPO法人になると、寄附税制における優遇措置が受けられるようになる。まず、認定NPO法人に寄附を行う他の法人では、寄附金の損金算入枠が広がることになる。寄附を行う個人も同様だが、後述する。 「特別損金算入限度額」扱いとなり、一般のNPO法人への寄附と比べ、経費として扱える寄附金の限度額が高くなる。 次に、寄附を受け入れるNPO法人側の処理である。 元々、寄附金の受入れそのものについては、34業種の収益事業課税に該当しないため、法人税の課税はない。 ただし、34業種の法人税法の収益事業に該当する事業で稼得した資金を、NPO法人の本来事業に繰入れする場合、法人の内部計算でありながら、寄附金とみなして、原則50%の損金算入を認めてくれる。この点は、認定NPO法人になったが故の優遇措置である。ここで、所得金額の50%が200万円に満たない場合には、200万円が損金算入限度額とされる。 なお、現行の認定制度の前の、国税庁による旧認定制度による認定しか受けていない法人の場合には、所得の20%相当額が損金算入限度額となる。 (3) 税務(所得税) 認定NPO法人に対する寄附金に限るが、寄附金控除(所得控除)あるいは寄附金税額控除が可能になる。 ただし、個人住民税については、都道府県や市区町村が独自に条例指定すれば、認定を受けていない場合であっても、個別に個人住民税の寄附金控除対象とすることができる。条例指定の内容確認が必須である。 (4) 税務(消費税) 消費税計算では、課税事業者となる場合の仕入税額控除において、株式会社と異なる特殊規定がある。会費などの対価性のない収入額について、特別な計算が必要になる。建物などを取得する場合には、特に注意が必要である。 (5) 税務(相続税・贈与税) NPO法人が所有する財産には、現行法上、相続税が課されない。このため、個人からの財産移転における租税回避防止規定が用意されているが、本稿では、存在の指摘に留めておく。   3 純資産規定が異なることが影響する項目に注意する (1) 資本金 法人税法においては、交際費限度額計算や中小企業税制において資本金基準が存在するが、これらについて、別途規定により計算することになる。 (2) 資本金等の額 寄附金限度額計算において、資本金等の額を用いる計算は使えない。また、地方税均等割計算における基準でも同様である。 なお、均等割については、減免を認めている地方公共団体があるようである。その場合、減免申請の期間内に手続きを行わなければならない。手続きの失念ミス事例を時折耳にするため、注意すべきである。   4 具体的な活用方法 子育て支援活動のための、交流場所提供・相談援助・情報発信・啓発活動などのための法人を立ち上げて、地元の子育て支援を行う事例がいくつかある。 このような活動については、地域行政からの委託費や補助金などが支給されることが見込まれるため、これらを原資にしつつ、参加者からの会費や寄附等も募りつつ、地元に根ざした活動がされている。 実際に参加する支援者達の立場からも、利益の獲得・分配を目的とするのではないとの非営利活動の趣旨が理解を得やすいようである。 (了)

#No. 170(掲載号)
#北詰 健太郎、濱田 康宏
2016/05/26

〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例5】株式会社小僧寿し「平成27年12月期通期連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ(2016.2.17)」

〔検証〕 適時開示からみた企業実態 【事例5】 株式会社小僧寿し 「平成27年12月期通期連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」 (2016.2.17)   事業創造大学院大学 准教授 鈴木 広樹   1 今回の適時開示 今回取り上げる適時開示は、株式会社小僧寿し(以下「小僧寿し」という)が平成28年2月17日に開示した「平成27年12月期通期連結業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」である。平成27年12月期の業績が、以前開示していたその予想よりも悪かったという内容である。 同社は長く業績が低迷している。「差異の理由」は、こうした開示としては珍しく、2頁にわたって記載され、必死さが感じられる。しかし、本稿で述べたいのは、同社の業績低迷の理由や、業績予想を達成できなかった理由などではない。   2 業績予想に関する適時開示 まず、上場会社は決算短信において来期の業績予想(売上高と利益の予想値)を記載する(証券会社など一部の会社は決算短信に業績予想を記載していない)。そして、その業績予想を修正する場合、それに関する適時開示を行わなければならない(売上高の予想値は10%以上、利益の予想値は30%以上、それぞれ修正する場合に実施)。その開示のタイトルは、通常、「業績予想の修正に関するお知らせ」といったものである。 ここで小僧寿しの開示のタイトルを見ると、「業績予想の修正に関するお知らせ」ではなく、「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」とされている。同社は、その開示と同時に「平成27年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)」も開示している。そこで示された平成27年12月期の業績と、以前開示していたその予想との間に差異があったため、「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」として開示したのである。   3 開示のタイミング 本稿で述べたいのは、業績予想に関する適時開示を行うタイミングである。 小僧寿しは、決算短信において当期の業績を開示するまで、業績予想に関する適時開示を行わなかったが、それは適切だったのだろうか。 上場会社は、決算短信において当期の業績を最初に開示する。したがって、業績予想と実績の正確な差異は、決算短信の開示まで開示することができない。しかし、必要とされている適時開示は、業績予想と実績の正確な差異に関するものではない。業績予想の修正に関する適時開示であり、しかもすべての業績予想の修正に関して適時開示が必要とされるわけではなく、売上高の予想値は10%以上、利益の予想値は30%以上、それぞれ修正する場合に適時開示が必要とされる。 小僧寿しの開示を見て思うのは、決算短信の開示よりも前に、「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」ではなく、「業績予想の修正に関するお知らせ」を開示することができたのではないか、ということである。   4 本来ならば 上場会社は、業績予想を修正する必要性が生じたことを認識することができた時点で速やかにそれに関して適時開示を行わなければならない。小僧寿しは、決算短信の開示よりも前に、業績予想を修正する必要性が生じたことを認識することができていたはずである。 当期の売上高の実績がその予想値と10%以上乖離することや、当期の利益の実績がその予想値と30%以上乖離することは、決算短信の開示よりも前にわかっていたはずである。本来ならば、それらがわかった時点で、当期の実績の概算値を修正後の予想値として、「業績予想の修正に関するお知らせ」を開示すべきだったのである。 小僧寿しのほかにも、決算短信と同時に「業績予想と実績値との差異に関するお知らせ」を開示している会社はあるが、投資家に対して投資判断に資する情報を速やかに伝えるという適時開示の趣旨に照らすと、そうした開示は適切とはいえないはずである。決算期末後、あるいは決算期末前であっても、当期の業績が業績予想から乖離することが明らかになった時点で「業績予想の修正に関するお知らせ」を開示すべきである。   5 上場会社である限り 小僧寿しの現状を踏まえると、もしかするとそうしたことを求めるのは厳しいのかもしれない。長く業績が低迷していることに加え、平成25年12月期以降の決算において粉飾が行われていたことも判明し、財務報告に係る内部統制には開示すべき重要な不備があるとしている(平成28年3月28日開示「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」参照)。 また、同社は公益財団法人財務会計基準機構(会計基準の調査研究や開発などを行う団体。以下「FASF」という)に未だ加入していない。東京証券取引所は、その上場会社に対してFASFへの加入を要請しており、東京証券取引所上場会社のうち9割超がFASFに加入している。加入していない会社は、事業年度経過後3ヶ月以内に、FASFへの加入状況と加入に向けた考え方を開示しなければならないとされている。 小僧寿しも、平成28年3月31日、「公益財団法人財務会計基準機構への加入状況および加入に関する考え方等に関するお知らせ」を開示している。「公益財団法人財務会計基準機構への加入に関する考え方」には、 と記載されている。FASFの年会費を払うのも惜しい状態なのだろう(FASFの年会費は、法人の場合、30万円)。 しかし、厳しい状態にあるとはいえ、「業績予想の修正に関するお知らせ」を適切に開示することは、無理なことではないはずである。適時開示は上場会社の責務である。上場会社である限りは、その責務を果たすよう努めてもらいたい。 (了)

#No. 170(掲載号)
#鈴木 広樹
2016/05/26

税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第20回】「資金調達支援ノウハウの応用(その2)」~助成金や補助金申請支援にも応用~

税理士ができる 『中小企業の資金調達』支援実務 【第20回】 「資金調達支援ノウハウの応用(その2)」 ~助成金や補助金申請支援にも応用~   公認会計士・中小企業診断士・税理士 西田 恭隆   前回に引き続き、融資用の事業計画書作成支援ノウハウの応用として、今回は、助成金や補助金の申請支援について説明する。申請後の支援内容についても合わせて解説していく。   助成金と補助金の異同 まず、助成金、補助金制度について簡単に説明すると、会社事業の内容が、国や自治体が指定する助成補助対象事業に該当する場合、資金援助を受けられるという制度である。一般的な異同は次の通り。 以上が異同であるけれども、実際は、助成金のような補助金、補助金のような助成金もあり、名称の使い分けは曖昧である。以下、助成金及び補助金をまとめて「補助金」と呼ぶ。   補助金が交付されるまでの流れ 会社が補助金に応募してから、口座入金されるまでの一般的な流れは次の通りである。 ①~⑥までの期間は、補助金によって様々であるけれども、半年から1年以上かかる場合もある。 上記流れのうち、税理士が支援できるのは次の3段階である。 以下、支援内容を順番に説明していく。   流れ① 申請時の支援 【事業計画書の作成支援】 金額の大きい補助金を申請する場合、流れ②の通り、補助金交付団体による書面審査が行われる。審査対象書類は事業計画書である。審査員がその内容を検討し、可否判定を下す。補助金用の事業計画書作成の流れやポイントは、金融機関に提出する事業計画書と基本的に同じであるから、融資による資金調達支援を行える税理士であれば、補助金申請のための事業計画書作成支援も可能である。 ただし、融資用の事業計画書とは若干異なる点があり、注意を要する。「補助金を有効活用して社会貢献できる」、「補助金の趣旨に合う」という点を強調、アピールする必要がある。審査通過の可能性を高めるには、審査ポイントを押さえた上で、事業計画書の作成支援を行う必要がある。 審査ポイントに詳しい専門家が、セミナーを開催したり、教材を販売したりしているので、それらを参考にすると良い。インターネット上で検索すれば、多くの専門家が見つかる。ただし、本当に信用できる専門家かどうか、実績等を検討した上で選別した方が良い。 応募者数の多い補助金ほど競争率は高く、事業計画書の要求水準が高くなるので、事前の情報収集は重要である。 資金繰り表の提出まで求められることはまれである。補助金は返済不要の資金であるから、返済根拠資料は不要である。   流れ⑤ 申請後の支援 【証憑書類の整理を支援】 補助対象事業を完了させた後、会社は支出にかかる証憑書類(請求書、通帳コピー等)を補助金交付団体に提出する。証憑書類の整理方法も指定されるので、それに従う。エクセルの一覧表を添付したり、書類の順序を整えたり、タグを貼る等である。 税理士が、経理業務として証憑整理まで請け負っているのであれば、合わせて補助金用の証憑も整理するのが会社にとって効率的である。社長にはとても喜ばれるだろう。しかし、証憑整理にかかる工数は相当膨らむので注意が必要である。補助金申請支援にかかる報酬とは別途、会社に請求すべきである。 筆者事務所の場合、証憑整理の工数があまりにも膨らみ、他業務に支障が出るため、現在は積極的に支援していない。報酬を請求しない代わりに、会社側で整理してもらうことにしている。   流れ⑥ 申請後の支援 【補助金交付団体からの問い合わせ対応】 提出した証憑書類は、補助金交付団体によってチェックされる。支出事実の有無、補助対象期間外の支出が含まれていないか等、入念に調査される。その結果、要件を満たさないと判断された支出は補助対象外として、資金交付されない。 調査期間中、補助金交付団体から証憑書類や形式に関する様々な問い合わせを受ける。税理士はその対応について支援できる。証憑整理を行った税理士が、会社社長に代わって回答および修正対応した方が円滑に進む。 問い合わせ対応も工数が相当膨らむので、それも加味した報酬を請求すべきである。 以上、補助金申請における税理士の支援内容を解説した。融資用の事業計画書作成ノウハウは補助金申請支援に活かすことができる。申請後においても、証憑書類の整理、補助金交付団体からの問い合わせ対応について税理士は会社を支援できる。 *   *   * 前回および今回の2回にわたり、資金調達支援ノウハウの応用について解説した。融資による資金調達支援を基本として、経営改善コンサル業務や補助金申請支援業務が派生し、税理士業務の幅が広がっていくことを感じてもらえたかと思う。 *   *   * 次回は、連載最終回として、資金調達支援実務のまとめを行う。 (了)

#No. 170(掲載号)
#西田 恭隆
2016/05/26

《速報解説》 国税庁、消費税の軽減税率に対応した確定申告書及び付表の新様式を公表~簡易課税準用特例適用、経過措置適用など提出様式の選定に注意~

《速報解説》 国税庁、消費税の軽減税率に対応した 確定申告書及び付表の新様式を公表 ~簡易課税準用特例適用、経過措置適用など提出様式の選定に注意~   アースタックス税理士法人 税理士 島添 浩   5月13日、国税庁ホームページにて軽減税率制度の導入に伴う確定申告書及び各付表の見直しが行われ、新様式の帳票が公表された。 これと同時に、簡易課税制度の届出の特例及び簡易課税制度を準用する特例を適用する場合に提出する届出書や、軽減税率における消費税の計算の特例で使用する軽減売上割合(10 営業日)、小売等軽減仕入割合、小売等軽減売上割合の計算の明細表についてもその様式が公表されている。 なお今回公表されたのは平成29年4月1日以降(簡易課税制度選択届出書はH29.1.1~)に使用される様式であり、平成33年4月1日から予定されているインボイス方式(適格請求書等保存方式)には対応していない。 今回公表された様式は次の通り。適用を受ける特例によって様式が異なるため、提出に当たっては十分注意が必要である。 そこで、以下では、届出書及び各帳票の記載内容について解説し、確定申告書及び付表の記載順序について解説する。   1 届出書関係 (1) 消費税簡易課税制度選択届出書(第1号様式) 消費税法第37条第1項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》に規定する仕入れに係る消費税額の控除の特例の規定(以下「簡易課税制度」という)又は所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)(以下「改正法」という)附則第40条第1項《課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者に対する経過措置》に規定する簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書については、従来の「消費税簡易課税制度選択届出書」に代えて、第1号様式における「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することとなった。 この届出書は、簡易課税制度の適用を受けることができない以下のような場合に該当するか否かにつき、各項目を付記する(チェックマークを付す)こととなっており、この項目に平成28年改正の高額特定資産を購入した場合の規定が追加されている。 また、改正法附則第40条における課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者に対する経過措置規定により本届出書を提出する場合にも、各項目を付記(チェックマークを付す)あるいは記載することとなった。 (2) 消費税簡易課税制度を準用する旨の届出書(第2号様式) 中小事業者(基準期間における課税売上高が5,000万以下である事業者)以外の事業者が、改正法附則第43条第1項《課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者以外の事業者に対する経過措置》に規定する簡易課税制度を準用する特例を適用する場合には、第2号様式における「消費税簡易課税制度を準用する旨の届出書(基準期間の課税売上高が5,000万円を超える事業者用)」を提出することとなる。 この届出書についても上記(1)の項目と同様に、簡易課税制度の適用を受けられない場合に該当するか否かの付記事項及び課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者以外の事業者に対する経過措置に関する付記事項を記載することとされている。   2 各帳票の記載内容 (1) 消費税及び地方消費税の(確定、中間(仮決算)、還付、修正)申告書 仮決算をした場合の中間申告書、課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告書、還付を受けるための申告書については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれの様式により提出する。 ① 簡易課税制度の適用を受けない場合(原則課税の場合) いわゆる原則課税の場合には、以下の帳票を提出することとなる。 なお、「消費税簡易課税制度を準用する旨の届出書(基準期間の課税売上高が5,000万円を超える事業者用)」を提出して簡易課税制度を準用する特例を適用する場合にも、この申告書を提出することとなる 今回の見直しで、確定申告書が第一表と第二表に区分され、第一表については従来の申告書とほとんど同じ形式であるが、第二表において課税標準額や消費税額を以下のように区分し、その合計額を第一表へ転記する形式となった。 また、第二表には、返還等対価に係る税額(売上げの返還等対価に係る税額、特定課税仕入れの返還等対価に係る税額)及び地方消費税の課税標準となる消費税額も記載することとなる。 ② 簡易課税制度を適用する場合 簡易課税制度を適用する場合には、以下の帳票を提出することとなる。 簡易課税制度を適用する場合においても原則課税と同様に、申告書第二表を併せて提出することとなった。 なお、第一表については、従来の申告書とほとんど同じ形式であり、第二表は、原則課税と同じ帳票となる。   (2) 原則課税の場合に提出しなければならない付表 原則課税を適用する場合の付表については、以下の区分に応じ、それぞれの付表を提出することとなる。 ① 軽減税率及び標準税率である場合(税率に関する経過措置規定[適用税率が3%、4%、6.3%]の適用がない場合) その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がなく、軽減税率及び標準税率が適用される取引がある場合には、以下の付表を添付することとなる。 なお、税率に関する経過措置規定の適用がないことから各付表の区分のX欄の記載は不要である。 ② 税率に関する経過措置規定の適用がある場合 その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がある場合には、上記①の付表に以下の付表を追加して添付することとなる。   (3) 簡易課税制度の場合に提出しなければならない付表(簡易課税制度を準用する特例を除く) 簡易課税制度を適用する場合の付表については、以下の区分に応じ、それぞれの付表を提出することとなる。 ① 軽減税率及び標準税率である場合(税率に関する経過措置規定の適用がない場合) その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がなく、軽減税率及び標準税率が適用される取引がある場合には、以下の付表を添付することとなる。 なお、税率に関する経過措置規定の適用がないことから各付表の区分のX欄の記載は不要である。 ② 税率に関する経過措置規定の適用がある場合 その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がある場合には、上記①の付表に以下の付表を追加して添付することとなる。   (4) 平成29年4月1日以後に開始する課税期間において簡易課税制度を準用する特例を適用する場合に提出しなければならない付表 中小事業者以外の事業者が簡易課税制度を準用する特例を適用する場合において、その課税期間が平成29年4月1日以後に開始するときの付表については、上記(3)と同じ付表を提出することとなる。 ただし、申告書第一表については、「一般用」(第3-(1)号様式)を使用するので注意が必要である。   (5) 平成29年3月31日の属する課税期間(平成29年4月1日をまたぐ課税期間)において簡易課税制度を準用する特例を適用する場合の付表 中小事業者以外の事業者が簡易課税制度を準用する特例を適用する場合において、その課税期間が平成29年3月31日の属する課税期間であるときの付表については、以下の区分に応じ、それぞれの付表を提出することとなる。 ① 平成29年4月1日以後に税率に関する経過措置規定の適用がない場合 その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がなく、軽減税率及び標準税率が適用される取引がある場合には、以下の付表を添付することとなる。なお、課税期間の初日から平成29年3月31日までの期間は簡易課税制度を準用する特例の適用がないため原則課税となる。 ② 平成29年4月1日以後に税率に関する経過措置規定の適用がある場合 その課税期間の消費税の計算において、税率に関する経過措置規定が適用される取引がある場合には、上記①の付表に『付表5-2 控除対象仕入税額等の計算表〔経過措置対象課税資産の譲渡等を含む課税期間用〕(簡易用)(第4-(8)号様式)』を追加して添付することとなる。 なお、この場合において、付表3-3については、「Ⅱ 平成29年4月1日から課税期間の末日までに係る計算」を計算し、「Ⅰ 課税期間の初日から平成29年3月31日までに係る計算」との合計額を付表3-2へ転記することとなる。   (6) 軽減税率制度における課税標準の計算等に関する経過措置及び課税仕入れ等に関する経過措置を適用する場合の計算表 消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成28年政令第148号)附則第16条第1項《課税標準の計算等に関する経過措置及び課税仕入れ等に関する経過措置の適用に関する手続》に規定する申告書に添付することとされている書類は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次の様式に記載して提出することとなる。 ① 軽減売上割合を用いる場合 軽減対象資産の譲渡等(税率6.24%適用分)を行う事業者が、適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(免税取引及び旧税率が適用される取引は除く)の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情があるときは、軽減売上割合(※)を用いて課税標準額を計算することができるが、この場合には、以下の計算表を提出することとなる。 ⇒ 課税資産の譲渡等の対価の額の計算表〔軽減売上割合(10営業日)を使用する課税期間用〕(売上区分用)(第5-(1)号様式) ② 小売等軽減仕入割合を用いる場合 軽減対象資産の譲渡等(税率6.24%適用分)を行う事業者が、適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(免税取引及び旧税率が適用される取引は除く)の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情があるときは、小売等軽減仕入割合(※)を用いて課税標準額を計算することができるが、この場合には、以下の計算表を提出することとなる。 ⇒ 課税資産の譲渡等の対価の額の計算表〔小売等軽減仕入割合を使用する課税期間用〕(売上区分用)(第5-(2)号様式) ③ 小売等軽減売上割合を用いる場合 軽減対象資産の譲渡等(税率6.24%適用分)を行う事業者が、適用対象期間中に国内において行った卸売業及び小売業に係る課税仕入れ又は当該適用対象期間中に保税地域から引き取った課税貨物を税率の異なるごとに区分して合計することにつき困難な事情があるときは、小売等軽減売上割合(※)を用いて課税仕入れ等の税額を計算することができるが、この場合には、以下の計算表を提出することとなる。 ⇒ 課税仕入れ等の税額の計算表〔小売等軽減売上割合を使用する課税期間用〕(仕入区分用)(第5-(3)号様式)   3 各帳票の記載順序 消費税の計算において、確定申告書及び各付表の記載順序については、以下の区分に応じ、それぞれの順序に従って記載する。 なお、消費税の計算において、軽減売上割合、小売等軽減仕入割合、小売等軽減売上割合を使用する場合には、それぞれの計算表も併せて提出する。 (1) 原則課税の場合   (2) 簡易課税制度の場合   (3) 平成29年4月1日以後に開始する課税期間において簡易課税制度を準用する特例を適用する場合   (4) 平成29年3月31日の属する課税期間において簡易課税制度を準用する特例を適用する場合 (了)

#No. 169(掲載号)
#島添 浩
2016/05/25

《速報解説》 日本監査役協会、改正会社法・CGコード等に対応し「監査役監査実施要領」を大幅改定

《速報解説》 日本監査役協会、改正会社法・CGコード等に対応し 「監査役監査実施要領」を大幅改定   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年5月20日、日本監査役協会は「監査役監査実施要領」(改定版)を公表した。 監査役の監査活動に関する多くの事項は、実施要領1冊で理解できることを意図しているとのことである。 前回の改定である平成23年7月7日の実施要領は表紙などを含めて381ページであったが、今回の改定後の実施要領は表紙などを含めて479ページに及ぶ大部のものとなっているので、本稿では実施要領に関する特徴と思われる記載について述べることとする。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 主な改定内容は次のものなどである。 1 用語解説 例えば、親会社、親会社等、完全親会社、完全親会社等、最終完全親会社、最終完全親会社等などのように、理解が難しい用語などについて解説されている。 また、「みなす」と「推定する」、「その他」と「その他の」などの用語についても解説されている。 2 序章における監査役の役割等の記載 序章において、次の事項を記載し、監査役の職務全体の理解に資するようにしている。 また、すべての監査役が実施しなければならない事項(会社法において「しなければならない」と規定されている事項)と、監査役が自身の判断で選択して実施することができる事項(会社法において「することができる」と規定されている事項)を明らかにしている。 3 監査役制度の理解 監査役が法制度の趣旨を正しく理解できるように、制度や仕組みの解説、監査役が実施すべき事項の手順などを記載している。 また、記載事項の法的根拠について、会社法、会社法施行規則、会社計算規則、金融商品取引法などの内容を引用し、根拠法令の索引集としての機能を持たせている。 4 企業不祥事発生時の対応及び第三者委員会 企業不祥事発生時の対応及び第三者委員会に関する事項は、「第8章の2 企業不祥事発生の対応」として独立して記載している。 (了)

#No. 169(掲載号)
#阿部 光成
2016/05/24

プロフェッションジャーナル No.169が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年5月19日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.169を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/05/19
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