《速報解説》 「MBO後の再上場時における上場審査について」パブコメを開始 ~再上場時の上場審査の視点・運用について整理~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年12月2日、株式会社東京証券取引所 日本取引所自主規制法人は、「MBO後の再上場時における上場審査について」を公表し、意見募集を行っている。 これは、MBO(Management Buy-Out)を実施して上場廃止となった会社が再度上場しようとする際の審査に関する視点・運用を再整理するものであり、通常のパブリック・コメント手続に準じて意見募集するものである。 意見募集期間は平成29年1月1日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 主な内容 1 MBOとは MBO(Management Buy-Out)は、上場会社の経営者が株主から株式を買い取って会社を非公開化する取引である。 次のような意義がある。 2 MBO後の再上場 取引所では、これまで、過去にMBOを実施して上場廃止となった会社が再上場する際には、市場に対する信頼を維持する観点から、通常の上場審査に加えて、個別に投資者保護のための追加的な審査を行っている。 今回は、再上場時の上場審査の視点・運用について整理するものであり、(1)上場審査の視点と(2)上場審査の運用について、次のように述べている。 (了)
【重要】 プロフェッションジャーナル《速報解説》の 無料会員様への公開について 平素より株式会社プロフェッションネットワークのサービスをご愛用いただき、厚くお礼申し上げます。 当社が運営しております税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナル(Profession Journal)は、当社プレミアム会員様への有料サービスとなっておりますが、このたび、本誌の『試し読み』という位置づけで、2016年12月9日(金)午前10時より、本誌掲載の《速報解説》を、無料でご登録可能な一般会員様へ公開させていただきます(非会員の方はご覧いただけません)。 本誌の《速報解説》は、日々公表される税務・会計情報から重要性の高いものをピックアップし、コンパクトにそのポイントを解説する「随時更新コンテンツ」です。 この機会に一般会員へのご登録をいただき、情報のブラッシュアップにお役立て下さい。 なお、本誌掲載記事の大半を占める解説記事(毎週木曜日公開)につきましては、今後もプレミアム会員の方々のみご覧いただけます(※)ので、過去掲載分も含め、プロフェッションジャーナルのすべての記事が閲覧可能なプレミアム会員へのご登録を、ぜひご検討下さい。 (※) こちらのページで無料公開しているもの等一部を除きます。 今後ともプロフェッションジャーナルをご愛読賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。
《速報解説》 国税庁、HP上の「質疑応答事例」を更新 ~マンションの施工不良により受領する補償金の課税関係等、15問を新設 Profession Journal編集部 国税庁は2016年11月28日にホームページ上の質疑応答事例を更新し、新たに15問が追加された。 新設された15問の内訳は、法人税関係の7問に続き、消費税関係3問、所得税関係2問、財産評価関係2問、印紙税関係1問となっており、先日改正税法が公布された本年度の第2次の税制改正を反映してか、昨年、一昨年に比べ少ない追加数となっている(源泉所得税、譲渡所得、相続税・贈与税、酒税、法定調書については新設事例なし)。 なお、新設15問についてはこのページ下部にリンク先一覧を掲載している。 まず所得税関係については世情を反映し、建設されたマンションが耐震基準を満たしておらず耐震補強工事を実施する場合に、施工業者からマンション居住者へ損害賠償金として支払われる仮住まい補償金の課税関係について、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金として非課税となるとした事例、さらに不動産貸付業者が賃貸用アパートを購入した際に売主に支払う固定資産税等清算金が必要経費とはならず取得価額に算入されるとした事例が追加されている。 法人税関係は、新設の7問中、組織再編関係が5問と昨年同様多くを占めており、合併法人と被合併法人との間に適格合併に該当するための関係が複数存在する場合の適格判定について照会された2問や、分割と合併を同日に行う場合に、消滅する被合併法人に属する当該分割に係る譲渡損益の損金算入時期等の取扱いについて解説した事例等が追加されている。 消費税関係では、平成28年度改正で手当てされた「高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例」について、本改正に該当し納税義務が免除されないケースを取り上げたほか、インターネットを介して株式投資の分析ツール(ソフトウェア)を提供等している国外事業者のサービス内容が事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するかを照会した事例等が追加された。 印紙税関係では、外国人旅行者向けの消費税免税制度(輸出物品販売場制度)に関し、平成27年度改正で創設された、ショッピングセンターなどで免税手続をワンストップ化できる手続委託型輸出物品販売場制度において、輸出物品販売場を経営するテナントと承認免税手続事業者との間で締結される「免税販売手続業務委託契約書」が第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当する旨を解説した1問が追加された。 財産評価関係で新設された2問は、景観法に基づき指定された「景観重要建築物」及び歴史まちづくり法に基づき指定された「歴史的風致建造物」の家屋及びその敷地の評価方法について、それぞれ財産評価基本通達5の定めに基づき、同通達24-8(文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価)及び89-2(文化財建造物である家屋の評価)に定める評価方法に準じて評価する点が示されている。 なお、各事例には次の文言が記載されており、実際には各取引等の状況により判断の異なるケースがあるため留意されたい。 新設された15問とリンク先は下記のとおり。 〈新たに追加された質疑応答事例〉 〈所得税〉 「マンションの施工不良に伴う耐震補強工事により損害賠償金として受領する仮住まい補償金について」(総則9) 「賃貸用アパートを購入した際に支払った固定資産税及び都市計画税相当額の清算金の取扱いについて」(必要経費5) 〈源泉所得税〉 新設なし 〈譲渡所得〉 新設なし 〈相続税・贈与税〉 新設なし 〈財産の評価〉 景観重要建造物である家屋及びその敷地の評価(上記以外の土地等・家屋の評価42) 歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の評価(上記以外の土地等・家屋の評価43) 〈法人税〉 「金銭債権を譲渡担保に提供した場合の取扱いについて」(収益の計上2) 「合併法人と被合併法人との間に「当事者間の完全支配関係」と「法人相互の完全支配関係」のいずれにも該当する関係がある場合の適格判定について)」(組織再編2) 「合併法人と被合併法人との間に「当事者間の完全支配関係」と「法人相互の支配関係」のいずれにも該当する関係がある場合の適格要件の適用関係について」(組織再編3) 「分割と合併を同日に行う場合に当該分割により移転する資産及び負債に係る譲渡損益の取扱いについて」(組織再編22) 「事業の譲受けに伴い賞与支払債務の履行に係る負担を引き受けた場合の課税関係について」(組織再編25) 「いわゆる「三角分割(分割型分割)」に係る具体的な適格判定について」(組織再編27) 「連結納税の開始に当たり、過去に特別償却の適用を受けた減価償却資産を有する場合の時価評価損益について」(連結法人1) 〈消費税〉 「ATMの銀行間利用料に係る仕入税額控除」(仕入税額控除(その他)6) 「高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例」(納税義務者10) 「事業者向け電気通信利用役務の提供の範囲」(国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等1) 〈印紙税〉 「免税販売手続業務委託契約書」(継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)25) 〈酒税関係〉 新設なし 〈法定調書〉 新設なし (了)
2016年12月1日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.196を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
monthly TAX views -No.47- 「トランプ税制の最大注目点」 中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹 トランプ大統領の誕生には驚かされたが、氏の税制改革案も驚くべき内容だ。 税率引下げによる所得税減税は高所得者優遇になり、さらなる格差の拡大につながる。法人税率の大幅な減税は、失敗に終わったレーガン1期の税制改革を想起させる。さらに財源なき大幅減税は、財政赤字の拡大・金利高騰をもたらす(すでに先取りが始まっている)。 次の図表は、最新の情報に基づき税制改革案をまとめたものだが、今後は共和党の税制改革案とのすり合わせなしには物事は運ばないので、現実的な案ができるのだろう。 トランプ次期大統領税制改革案 (※) Tax Policy Centerなど米国シンクタンクの情報から筆者作成 筆者が最も注目するのは、国際課税の改革である。米国多国籍企業が海外(タックスヘイブンや低税率国)に留保している莫大な利益(2兆ドルともいわれている)の還流を促す税制改革を行うというもので、この成否がトランプ経済政策のカギを握っているといってもよい。 国際課税原則として、わが国を含む多くの先進国は、国外所得免除方式(子会社が海外で稼ぎその国で税を支払えば、配当としてわが国に還流させても非課税、わが国では5%分は課税、また支店については全世界所得課税)を採用しているが、米国は、全世界所得課税方式、つまり米国企業が世界で稼ぐ全所得に対して米国は課税権を持ち、二重課税は外国税額控除で調整する。 この方式の下では、米国多国籍企業が海外での税引き後利益を配当として米国に還流させると、差額が追加的に米国で課税される。企業はこれを避けるため、米国に還流せず海外の低税率国に利益を留保する。つまり、全世界所得課税方式という税制が、米国企業が2兆ドルを超える利益を海外に留保する最大原因となっている。 そこでこれを国外所得免除方式に変更しようというのが、かねてからの共和党案であり、今回のトランプ案である。 問題は、たまっている利益をどう還流させ、どう課税するのか、という点である。追加課税が大きすぎると、企業にはインバージョン(国籍を変える租税回避)の誘因が働き、米国への還流は夢に終わる。他方、税率が低すぎると、財源にはならない。 これに対しては、トランプ案と共和党案との間で意見の相違があるので、未だ明確ではないが、04年にブッシュ大統領が行った一時的な利益還流への軽減税率(10%)での課税(リパトリエーション税)が有力案となっている。 これを財源としてラストベルト(Rust Belt:錆びついた工業地帯)のインフラ投資の財源に充てるということのようだ。 うまく還流させ、米国経済の底上げになるような投資などに活用されれば、トランプ税制は中期的に好影響を米国経済に与えるであろう。 また還流マネーには、ユーロ建てのものもある。それがドルとして還流されれば、わが国にはドル高・円安要因として歓迎されるだろう。 トランプマジックは、成功するのだろうか。これが最大の見ものだ。 (了)
金融・投資商品の税務Q&A 【Q22】 「外国籍会社型投資法人の投資口を保有する場合の タックス・ヘイブン税制の適用」 PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子 ●○ 検 討 ○● 1 タックス・ヘイブン税制の概要 タックス・ヘイブン税制(外国子会社合算税制)は、外国子会社を通じて行われる租税回避に対処するため、一定の条件の下で、軽課税国に所在する外国の子会社の所得をその株主である内国法人又は居住者の所得に合算して課税するものです。 具体的には、その発行済株式又は出資の総数又は総額(発行済株式総数等)の50%を超える数又は金額の株式又は出資(株式等)を、居住者及び内国法人並びにこれらの特殊関係非居住者によって直接に又は他の外国法人を通じて間接に保有(直接及び間接に保有)されている外国法人(外国関係会社)で、法人の所得に対する税の負担が日本での負担に比して著しく低い国又は地域に本店を有するもの(特定外国子会社等)の所得(適用対象金額)のうち、当該外国法人の発行済株式総数等の10%以上を直接及び間接に保有する居住者(同族株主グループを含む)の当該保有する株式等に対応する部分の金額(課税対象金額)は、特定外国子会社等の各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する年分のその居住者の雑所得に合算して、日本において課税されます。ここで、間接に保有する株式等は、各段階の持株割合を乗じて計算します。 ただし、当該外国法人が独立企業としての実態を備え、かつ、その地で事業活動を行うことにつき十分な経済合理性があると認められる等一定の要件に該当する場合には、タックス・ヘイブン税制の適用から除外され、合算課税は行われません(特定外国子会社等の営む事業が株式債券の保有等や船舶・航空機の貸付等である場合を除く)。なお、適用除外基準を満たし、合算課税の対象とならない場合であっても、一定の資産性所得については合算課税が行われます。 外国関係会社の判定は、その発行済株式総数等のうち50%超を居住者及び内国法人(特殊関係非居住者を含む)が直接及び間接に保有しているかどうかで判定しますが、議決権の数が1個でない株式等や請求権の内容が異なる株式等を発行している場合には、当該発行済株式総数等の割合と、次の①、②、③に定める割合のいずれか高い割合により判定します。 タックス・ヘイブン税制適用の有無の判定は、特定外国子会社等の発行済株式総数等の10%以上を居住者又は内国法人(同族株主グループを含む)が直接及び間接に保有しているかどうかで判定しますが、特定外国子会社等が議決権の数が1個でない株式等や請求権の内容が異なる株式等を発行している場合には、当該発行済株式総数等の割合と上記①、②、③に定める割合のいずれか高い割合により判定します。 2 本件へのあてはめ 外国籍の会社型投資法人についても、当該投資法人が法人格を有していること等により日本の税法上は外国法人として取り扱われる場合は、タックス・ヘイブン税制の適用対象となりえます。 まず、投資法人全体に占める日本人投資家の割合をカウントする必要があります。日本人投資家(特殊関係非居住者を含む)の割合が50%超の場合、投資法人は外国関係会社に該当します。 次に、投資法人がどの程度税負担をしているかをチェックする必要があります。基本的に外国投資法人の場合、その設立国では課税されていないことが多く、その場合は特定外国子会社等に該当します。 投資法人の場合、通常は株式債券の保有等が主たる事業であることから、基本的には適用除外基準は満たさないと考えられます。 さらに、個々の居住者(特殊関係非居住者を含む)が保有する投資口の割合が発行済株式総数等の10%以上の場合、タックス・ヘイブン税制の適用があります。 適用対象となる場合、投資法人の所得(適用対象金額)のうち居住者の保有する株式等に対応する部分の金額(課税対象金額)は、投資法人の各事業年度終了の日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する年の雑所得に合算して日本において総合課税の対象とされます。 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第41回】 「金銭又は有価証券の受取書⑦(介護サービス利用料金に係る領収書)」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は介護サービス事業所です。利用者から介護サービスの利用料金を受領する際には、領収書を発行しています。この場合、同じ介護サービスを行っている事業所でも、事業所の組織形態によって領収書に収入印紙を貼付する事業者と貼付しなくてもよい事業者がいると聞きました。当社は特定非営利活動法人(NPO法人)ですが収入印紙は必要ですか。 【領収書例】 介護サービス事業者が、介護サービスに係る利用料金を受領した場合に作成する領収書は、第17号の1文書(売上代金に係る金銭の受取書)に該当する。ただし、特定非営利活動法人(NPO法人)が作成する領収書は第17号文書の非課税物件欄2の規定により、営業に関しないものとして非課税となる。 [検討1] 受取書の範囲 金銭又は有価証券の受取書は、債権者が作成する債務の弁済事実を証明するものに限らず、金銭又は有価証券の受領事実を証明するすべてのものをいう。 介護サービスに係る利用料金を受領した場合に作成する領収書は、売上による金銭の受領事実を証明するものであり、第17号の1文書に該当する。 [検討2] 非課税文書 第17号の1文書に該当したとしても、次の場合には非課税になる。 (1) 地方公共団体そのものが作成者であるもの (2) 記載された受取金額が5万円未満のもの (3) 営業に関しないもの (※) 営業に関しないものとは、例えば、その領収書の作成者が公益法人(財団法人、社団法人、社会福祉法人又は医療法人等)であるもの及び特定非営利活動法人(NPO法人)等が該当する。 ▷ まとめ (了)
被災したクライアント企業への 実務支援のポイント 〔税務面(法人税・消費税)のアドバイス〕 【第3回】 「義援金、災害見舞金等の取扱い」 公認会計士・税理士 新名 貴則 1 義援金 義援金とは、被災者を支援するために、日本赤十字社等に対して拠出する寄附金のことである。これに対して、後述する災害見舞金とは、被災した従業員等や取引先に対して直接渡す見舞金のことをいう。 災害が発生した際に法人が義援金を支出した場合、法人税法上は寄附金として取り扱い、損金に算入されるか否かはその支出先によって異なる。その義援金が「国又は地方公共団体に対する寄附金」や「財務大臣が指定した寄附金(指定寄附金)」に該当する場合は、その全額が損金に算入される(法法37③)。 「特定公益増進法人に対する寄附金」は、定められた算定式によって求められる限度額の範囲内で損金に算入される(法法37④、法令77、77の2)。 また、これら3種類の寄附金に該当しない義援金については「一般の寄附金」に分類され、定められた算定式に基づく限度額の範囲内で損金に算入される(法法37①、法令73)。 2 被災した従業員等への災害見舞金 (※) 被災した取引先に対する災害見舞金の取扱いについては、【第4回】を参照されたい。 ① 従業員等 被災した従業員やその親族等に対して、法人が一定の基準に従って支給する災害見舞金品に要する費用は、福利厚生費として損金に算入される(措通61の4(1)-10(2))。 ここでいう「一定の基準」とは、災害前から定めていた規程等であれ、災害を機に新たに定めた規程等であれ、次の2つの要件を満たすものが該当する。 ② 元従業員や採用内定者 また、既に退職した元従業員や採用内定者に対して、災害見舞金品を支給する費用についても、従業員と同一の基準(上記の2要件を満たすもの)によって支給するものについては、福利厚生費として損金に算入される(措通61の4(1)-10(2)、国税庁「災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いFAQ」(以下「災害FAQ」)Q14)。 ③ 専属下請先の従業員等 法人が従業員と同等の事情にある専属下請先の従業員等又はその親族等に対して、一定の基準に従って支給する災害見舞金品に要する費用についても、損金に算入される(措通61の4(1)-18(4))。 ④ 消費税の取扱い 従業員等に対して金銭で支給する災害見舞金については、対価性がないため不課税取引となる。物品を購入して支給する場合には、課税取引となる。 3 同業団体への分担金 法人が所属する同業団体等へ次のように分担金等を拠出する場合、寄附金として取り扱わず、支出した事業年度の損金に算入する(法基通9-7-15の4)。 ここでいう「構成員相互の扶助等に係る規約等」とは、災害前から定めていた規約等であれ、災害を機に新たに定めた規約等であれ、次のような事項を定めている必要がある。 同一の連合会に属する他の同業団体等の構成員が被災し、その者に対する災害見舞金に充てるための分担金等を拠出した場合も、当該団体等との事業関連性などからみて、構成員相互の扶助等を目的として実施するものであれば、損金に算入される(国税庁「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」 Q6)。 4 自社製品等の提供 (※) 被災した取引先に対する事業用資産の供与の取扱いについては、【第4回】を参照されたい。 ① 不特定又は多数の被災者救援のための緊急の提供 法人が不特定又は多数の被災者を救援するために、緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、寄附金や交際費等としては取り扱わず、全額を損金に算入する(法基通9-4-6の4、措通61の4(1)-10の4)。 この取扱いは、自社製品等の提供が次のような側面を持つためである。 したがって、予め特定の限られた者(得意先の従業員等)に対する贈答として、自社製品等を提供する場合は、寄附金又は交際費等に該当する。 しかし、得意先の従業員等が避難している避難所に対して自社製品等を提供する場合でも、多数の被災者の救援のために緊急に行うのであれば、広告宣伝費に準ずるものとして損金に算入する(「災害FAQ」Q24)。 ② 「自社製品等」とは 上記のような自社製品等の提供が寄附金や交際費等には該当せず、全額が損金に算入されるのは、広告宣伝費に準ずる側面も有しているからである。 この趣旨からして、ここでいう「自社製品等」は次のように整理される。 ③ 消費税の取扱い 被災者への自社製品等の無償提供は、対価性がないため不課税取引となる。 仕入税額控除を個別対応方式で行う場合、自社製品等の提供のために要した課税仕入等については、提供した自社製品等の内容に応じて次のように取り扱う。 (※) 自社製品等の提供時に要した関連費用(被災地までの旅費や宿泊費等)に係る課税仕入は、「課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入」に該当する。 5 ボランティア活動の人件費 法人の従業員が被災地でボランティア活動を行う場合、その活動中の給与相当額は寄附金には該当しない。これは、次のいずれの場合も同様である(「災害FAQ」Q27)。 (了)
租税争訟レポート 【第30回】 「使途を明らかにしない商品券の購入代金に対する課税 (東京地方裁判所判決)」 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【事案の概要】 本件は、株式会社A(以下「原告」という)が、原告との吸収合併により消滅した株式会社B(以下「B社」という)が、平成19年3月期及び平成21年3月期の法人税の確定申告をしたところ、土浦税務署長から各更正処分を受けたことに関し、各更正処分につき、いずれも違法があると主張して、それらの部分の取消しを求める事案である。 争点は、B社が、①平成19年3月期において購入した商品券の購入のための費用が損金の額に算入することができるか否か、②平成21年3月期において、市場価格より低額で取得した株式の取得により、譲受差額に相当する額が受贈益として益金の額に算入されるか否か、③同じく、市場価格より低額で譲渡した株式の譲渡により、譲渡差額に相当する額が収益として益金の額に算入され、かつ、同額が寄附金の額に該当するか否か、の3点であるが、本稿では、もっとも実務上の参考になると思料する①の争点について、原告の主張とそれに対する裁判所の判断を検討したい。 【原告の主張:B社による商品券の購入とその使途】 【国税不服審判所による裁決の内容】 原告は、本件訴訟を提起するに先立って、国税不服審判所に審査請求をしており、その要旨が、以下のとおり公表されている(一部抜粋し、引用にあたり固有名詞を統一した)。国税不服審判所による裁決では、交際費等の3要件である、 を説明したうえで、次のように請求人(原告)の請求を退けている。 【東京地方裁判所の判断】 東京地方裁判所は、こうした原告による主張立証を踏まえ、次のように判断した。まず、一般論として、損金算入の是非について、こう判示した。 次いで、東京地方裁判所は、原告の主張の変遷について検討する。 1 原告、B社による主張の変遷 裁判所は、土浦税務署による税務調査時の状況、審査請求時の主張、本件訴訟における主張が変遷していることを以下のように指摘した。 (1) 土浦税務署による税務調査時のB社の対応 土浦税務署に所属する職員は、B社の経理担当者に宛てて、「「商品券」の購入がありますが、使用状況のわかる書類をお願いします。」と記載した平成23年6月8日付けの「税務調査におけるご依頼の件について」と題する書面を送付し、同職員らは、その送付の後である同年8月10日、B社の代表者に対して、「総勘定元帳で交際費として計上している商品券と記載があるが、使用状況の分かる書類を提示してください。」との質問をしたところ、同人は、「商品券を渡した相手は多数で、特に明細は作っていません。頭の中では、誰に渡したかは分かっています。」との回答をし、提示を求められた書類を提示することはなかったことが認められる。また、証人自身、本件商品券について、特定の時点における在庫の枚数や、いつ、どこで、誰に、何枚渡されたかについて記録された帳簿や書面はなく、本件商品券を交付した相手から領収の事実を証する書面をもらっていないことなどを自認していることにも照らすと、本件商品券の使途を具体的に特定する事項を記録した書面等は、B社が本件商品券を購入してから現在に至るまで、全く存在しないものと認められる。 (2) 審査請求時における原告(審査請求人)の主張 原告又は合併前のB社は、本件各更正処分についての審査請求において、本件商品券の使途が、①「新しい教育機関の認可を取得するために助言してくれた人たちへの謝礼としての合計500,000円分」、②「学校等を設立するために書類作成やスタッフの募集に協力してくれた人達への謝礼としての合計500,000円分」及び③「学校職員の募集に応じて面接に来た者、スタッフ等の約50名に対する交通費としての合計1,000,000円分」である旨の主張をしているところ、この主張に係る使途のうち少なくとも①及び②については、本件訴訟における原告の主張とは全く異なるものであるし、③についても、具体的な相手に食い違いがあるといわざるを得ないのであって、このこと自体からみても、証人の供述をにわかに信用することができないというべきである。 2 結論 東京地方裁判所は、こうした原告、B社による主張の変遷を重要視し、以下のように結論づける(下線は引用者)。 【解説】 購入した商品券などの金券については、購入枚数や金額を記録したうえで、その配布先、配布時期、配布枚数などを記録し、常に残高を把握するという管理は、法人組織の内部管理体制としては、通常のものであると言って差し支えないと考える。 本件は、そうした内部管理ができていなかった場合に、課税庁、国税不服審判所及び裁判所がどのような判断を行うかという点を改めて確認するには、格好の事例であると考え、取り上げた次第である。 1 変遷した原告の主張に対する裁判所の不信感 原告及びB社による商品券の使用状況に関する説明は、 「商品券を渡した相手は多数で、特に明細は作っていない」 「頭の中では、誰に渡したかは分かっています」 認可取得のための助言の謝礼・・・合計500,000円 学校等を設立するため協力してくれた人達への謝礼・・・合計500,000円 募集に応じて面接に来た者、スタッフ等の交通費・・・合計1,000,000円 面接に来てくれた者への交通費の代わりや、就任を承諾した者への御礼 という変遷をたどっているが、いずれにせよ、購入時から配布完了時までの原始記録は存在せず、結果として、原告の主張は認められなかった。 2 事業関連性はあるか否か 本件訴訟では、交際費等の3要件である相手方を原告が立証できなかったため、その支出が事業に関係のある者等であるか否か、すなわち、事業関連性については、争点とならなかったわけだが、本件において、もし、原告が配布者リストを作成していたとすれば、その支出の相手方が、事業に関係のある者であったかどうかが焦点となることも考えられる。 本件は、原告及びB社の当時の営業とはあまり関連性のない新規教育機関設立のための謝礼であったという、原告の説明が仮に認められたにしても、事業関連性をどう主張立証するかという問題があったかと思料する。 (了)
さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第22回】 「パチンコ球遊器事件」 ~最判昭和33年3月28日(民集12巻4号624頁)~ 弁護士 菊田 雅裕 (了)