検索結果

詳細検索絞り込み

ジャンル

公開日

  • #
  • #

筆者

並び順

検索範囲

検索結果の表示

検索結果 10958 件 / 7421 ~ 7430 件目を表示

会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における実務上の留意点-D&O保険を機能させるために- 【第3回】「会社法の解釈と今後の動向」

会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における 実務上の留意点 -D&O保険を機能させるために- 【第3回】 (最終回) 「会社法の解釈と今後の動向」   弁護士・公認会計士 中野 竹司   1 個人型D&O保険の登場 前回まで述べたように、役員が一括して加入するD&O保険では、ある役員の作為ないし不作為の結果生じた免責の効果が他の役員に及ぶことや、特定の役員に多額の保険料が支払われた場合に、他の役員に支払われるべき保険金が少なくなるといった問題が生じる可能性がある。 これに対し、平成28年8月15日付日本経済新聞朝刊によると、三井住友海上火災保険が企業の社外取締役が個人ベースで加入できるD&O保険を国内で初めて開発したことが報じられている。記事によれば、保険料は年額数十万円で、最大で1億~2億円の保険金を受け取れる仕組みとされている。 この保険を契約した場合、役員が一括して加入するD&O保険とは異なり、他の役員のD&O保険料の費消や義務違反、告知と免責事由の分離の有無の影響を受けることがなく(保険金の併給調整は別として)、その点では安心できるともいえよう。 保険料は高く設定されているが、今後の社外役員等に対する責任追及の動き如何によっては、個人型D&O保険の需要は高まる可能性があるであろう。   2 会社法の解釈 (1) 会社法の解釈の明確化 既に述べたように、経産省解釈指針別紙3「法的論点に関する解釈指針」11~12頁で、以下のような手続きがなされれば、その全額が会社法上の役員報酬に該当しないという指針が示された。 この指針は、立法府による立法でも、裁判所による判断でもないという限界はあるが、実務上参考になると思われる。以下、各種手続の法的意味も含めて解説する。 ① 会社が保険料を負担することの可否 役員が会社に対して損害賠償責任を負うことにより、(a)会社の損害が回復され(損害填補機能)、(b)違法行為が抑止される効果(違法抑止機能)がある。 D&O保険は、役員の損害賠償責任を填補するものであるから、会社が保険料を負担することにより、(a)(b)の機能が害されないことが重要である。 そして、 したがって、会社が保険料を負担してよいと結論付けている。 ② 会社が保険料を負担することの手続 なお、ここでいう「社外取締役全員」とは、社外取締役が1名しかいない場合、当該1名の同意でもよいと解される(※1)。 (※1) 武井一浩・松本絢子「新しいD&O保険への実務対応-保険料全額会社負担の解禁を受けて-〔下〕」商事法務No.2101、36頁 (2) 子会社役員を含めたD&O保険の取扱い 企業がD&O保険に加入する際、多重代表訴訟に備える、グループでリスク管理を効率的に行うといった合理的理由により、子会社の役員なども付保対象とする場合がある。この場合、親会社が子会社分を含めて保険料を全額負担する場合と、子会社も保険料について相当程度負担する場合がある。 このうち、完全親会社が合理的理由に基づき全額負担する場合は、子会社がその役員の株主代表訴訟敗訴時担保部分の保険料を負担するわけではないので、親会社で経産省解釈指針別紙3「法的論点に関する解釈指針」11~12頁で示された手続きが取られているか検討することになろう。 これに対して完全子会社が一部負担する場合には、完全子会社において取締役会承認+社外取締役同意等を取得するという方法、又は、完全親会社において取締役会承認+社外取締役同意等を取得する手続にあたって「子会社役員を被保険者とする保険の保険料を子会社役員に負担させない(子会社が負担する)」という部分も含める方法(完全子会社の株主としての承認も兼ねており、完全子会社に社外取締役がいなくても経産省解釈指針を満たすことができる)のいずれかが取られていれば、保険料の会社負担は許容されると思われる(※2)。 (※2) 前掲武井・松本37頁~38頁参照 また、100%子会社でない場合に、親会社決議の方法を採用するにあたっては、親会社と親会社以外の子会社株主全員からの個別承認を追加で行うことで、子会社による保険料負担が経産省解釈指針に沿ったものと正当化されると思われる(※3)。 (※3) 前掲武井・松本38頁参照   3 会社法改正の動き 次回の会社法改正にD&O保険がどのように取り上げられるかも注目すべき点である。 仮にD&O保険に関する規定を会社法に設ける場合には、①会社が締結するD&O保険の内容等に制限を加えるか、②会社がD&O保険契約を締結する手続について規定するか、規定する場合にはその内容などが問題になるであろう(公益社団法人商事法務研究会「会社法研究会」p10参照)。 また、この中で、会社が加入しているD&O保険の内容の開示を義務化すべきかという点が論点として挙げられるが、D&O保険により損害賠償金が支払われる蓋然性が高いことが分かると当該金額の範囲内での和解等を狙った濫訴が発生する可能性もあり、慎重に考えるべきという意見もあり、この点への配慮は必要と思われる。   4 まとめ 社外取締役が今後我が国のガバナンスにおいて活用されていくためには、能力のある人材に社外取締役に就任してもらう必要があり、そのための環境整備としてD&O保険の整備は重要である。 しかし、以上検討したように、いざというときにD&O保険により役員のリスクが本当にカバーされているか、保険契約ごとに契約内容が異なることから、わかりにくいものとなっており、役員が代表訴訟等に「巻き込まれた」ときに本当に機能するか若干心もとない面がある。 今後、D&O保険のニーズが高まり、保険会社による開発が進んでいくと同時に、就任した役員も、D&O保険について十分な理解が必要な時期がすぐそこまで来ているのではないだろうか。 (連載了)

#No. 192(掲載号)
#中野 竹司
2016/11/02

〈小説〉『資産課税第三部門にて。』 【第14話】「みなし贈与と加算税」

〈小説〉 『資産課税第三部門にて。』 【第14話】 「みなし贈与と加算税」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   「これって・・・おかしいですよね。」 谷垣調査官は田中統括官の机の前に立って話しかけた。 「・・・おかしい?・・・何が・・・?」 田中統括官は、昼食後、うつらうつらしながら書類を見ていた。 「長男と次男が父親から低額で土地をそれぞれ取得したので、みなし贈与として課税をしたのですが・・・長男は過少申告加算税で、次男は無申告加算税になるというのです・・・」 谷垣調査官は1ヶ月前に贈与税の税務調査に着手した事案を説明する。 父親がA土地を長男と次男に、共有の状態で、それぞれ譲渡したが、その価額が低いということで、みなし贈与として課税(相法7)するというものである。 「どうしてそういうことになるの?」 田中統括官は、まだ眠そうな様子のまま谷垣調査官に尋ねた。 「ええ・・・長男は、その年に祖父から現金を贈与されていたので、贈与税の申告をしていたのですが、次男は贈与を受けていなかったので、贈与税の申告をしていなかったということなんです・・・」 「それは当たり前のことじゃないの?」 田中統括官は、谷垣調査官を見る。 「しかし・・・」 谷垣調査官は不満そうに言う。 「長男は、その年にたまたま祖父から贈与を受けたから贈与税の申告をしていて、次男はその年に贈与を受けていなかったから無申告であったということだけなのです。贈与税の場合、それぞれの贈与は独立していることから、法人税や所得税と違って、このような加算税制度は馴染みにくいのではないかと思うのですが・・・」 谷垣調査官は、田中統括官の机上で罫紙に図を描いた。 「そうだなあ・・・確かに、次男は、贈与がなければ、贈与税の申告をする必要がないのだから・・・それを税務調査で、しかも、相続税法7条でみなし贈与課税がされるなんて、納税者としては想定外だったろうし・・・それを無申告だと言われても・・・」 田中統括官も同情的に言う。 「法人税や所得税のように、毎期、継続的に確定申告の提出をする納税者に対しては、その申告の提出をしなければ無申告加算税が賦課決定されればよいし、また、その申告した所得金額が過少であれば、過少申告加算税とすべきですが・・・」 谷垣調査官は言葉を強くした。 「ところで、谷垣君。この事案の調査では、相続税法7条を適用して、みなし贈与として課税するということだが・・・君のケースは、納税者が「著しく低い価額」で土地を譲渡したということなんだね。」 田中統括官が事実を確認する。 「ええ。時価が1億円の土地を4,000万円で譲渡していますから、これは相続税法7条の「著しく低い価額」に該当します。」 谷垣調査官は、自信たっぷりに答える。 「相続税法7条に関しては君も知っているように、課税庁にとって苦い判決があるからね・・・」 田中統括官は苦笑する。 「例の・・・東京地裁の平成19.8.23判決ですね。」 谷垣調査官は田中統括官の顔を見た。 「そうだ。あの事件も親族間の譲渡に対して、課税庁はみなし贈与を課税したのだが、裁判では「著しく低い価額」ではないと判断されて、課税庁が敗訴した・・・」 田中統括官は残念そうな表情を浮かべる。 「もっとも、あの事件は、相続税評価額で譲渡していたにもかかわらず、相続税法7条を適用したことが、そもそもおかしかったのです。」 谷垣調査官は判決文を思い出しながら説明する。 「判決では、時価とは地価公示価格を示しているといい、次の3つの理由を挙げて、相続税評価額での譲渡価格は妥当だと述べています。」 谷垣調査官はそう言いながら、田中統括官の机の上で、罫紙に3つの理由を書いた。 「だから相続税評価額で譲渡しても、相続税法7条の適用はないということになるんだね。」 田中統括官は納得した表情になった。 (つづく)

#No. 192(掲載号)
#八ッ尾 順一
2016/11/02

《編集部レポート》 日本税務会計学会、第52回年次大会を開催

《編集部レポート》 日本税務会計学会、第52回年次大会を開催   Profession Journal 編集部   日本税務会計学会(多田雄司学会長)は、10月26日、東京税理士会館において「第52回年次大会」を開催した。 年次大会では、下記のテーマにより個別の発表が行われた。 また、これに引き続き、「消費税の軽減税率とインボイス」をテーマにパネルディスカッションが行われ、消費税率引上げによる税務の課題と今後の税理士業務への影響について議論が交わされた。 いずれの発表においても、実務上の問題点や制度自体への疑問など質疑応答が多数あり、関心の高さがうかがえた。 研究報告後には懇親会も行われ、会員の交歓がなされた。 (多田雄司学日本税務会計学会会長) (了)

#No. 192(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/11/02

《速報解説》 東証、決算短信の自由度向上に係るパブコメを募集開始~本体である短信のサマリー情報の使用義務撤廃、平成29年3月末日以後最初に終了する通期決算又は四半期決算の開示から適用へ~

《速報解説》 東証、決算短信の自由度向上に係るパブコメを募集開始 ~本体である短信のサマリー情報の使用義務撤廃、 平成29年3月末日以後最初に終了する通期決算又は四半期決算の開示から適用へ~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年10月28日、株式会社東京証券取引所は、「決算短信・四半期決算短信の様式に関する自由度の向上について」を公表し、意見募集を行っている。 これは、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループから、会社法、金融商品取引法、上場規則に基づく3つの制度開示について、全体としてより適時に、よりわかりやすく、より効果的・効率的な開示が行われるよう、開示に係る自由度を向上させるという提言を受けたものである。 意見募集期間は11月27日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 内容 短信の様式に関する自由度の向上として、次のことが述べられている。   Ⅲ 適用時期等 平成29(2017)年3月末日以後最初に終了する通期決算又は四半期決算の開示から適用することを提案している。 決算短信・四半期決算短信の記載事項の具体的な見直し等については、パブリック・コメント期間終了後、本年中を目途に改めて公表すると述べられている。 (了)

#No. 191(掲載号)
#阿部 光成
2016/11/01

《速報解説》 改正「中小企業の会計に関する指針」の公開草案が公表~敷金に関する会計処理を新たに規定~

《速報解説》 改正「中小企業会計指針」の公開草案が公表 ~敷金に関する会計処理を新たに規定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年10月28日、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会は、「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案を公表した。 意見募集期間は、11月28日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の主な内容 1 敷金(39項) 現行の中小会計指針89項にある「今後の検討事項」(資産除去債務)への対応として、固定資産の項目に新たに敷金に関する会計処理について、次のように規定している。 2 税効果会計 企業会計基準委員会から「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)が公表されているので、従来の「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い(監査委員会報告第66号)」から改正している。 3 資産除去債務 従来、資産除去債務は、「今後の検討事項」として掲げ、今後の我が国における企業会計慣行の成熟を踏まえつつ引き続き検討すると述べられていたが、今回、当該記述を削除している。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 191(掲載号)
#阿部 光成
2016/11/01

《速報解説》 国際会計士倫理基準審議会(IESBA)、違法行為に気付いた場合の職業会計士の対応に関する新規定を公表~企業内会計士含むすべての職業会計士へ適用、国内基準等の同程度の厳格化を求める~

《速報解説》 国際会計士倫理基準審議会(IESBA)、違法行為に気付いた場合の 職業会計士の対応に関する新規定を公表 ~企業内会計士含むすべての職業会計士へ適用、国内基準等の同程度の厳格化を求める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年7月14日付で、国際会計士連盟(International Federation of Accountants:IFAC)の国際会計士倫理基準審議会(International Ethics Standards Board for Accountants:IESBA)から、新規定「違法行為への対応(原題:Responding to Non-Compliance with Laws and Regulations)」が公表された。 この規定は、職業会計士が、業務を実施する過程で、違法行為又はその疑いに気付いた場合の対応について規定したものであり、すべての職業会計士(会計事務所等所属の職業会計士及び企業等所属の職業会計士)に対して適用されることになる。 このため、監査法人に所属する公認会計士だけでなく、企業等所属の公認会計士(いわゆる組織内会計士)も理解する必要があると考えられる。 平成28年10月20日、日本公認会計士協会は、本規定の概要及びファクト・シートの仮訳を作成しており、本解説はこれらに基づいて述べるものである。より関心のある方は、IFACのホームページから原文を入手していただきたい。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 「違法行為への対応」は、監査人及びその他の職業会計士に対する国際倫理基準である。 監査人でなくとも職業会計士である限り遵守しなければならないものである。 本基準は、公共の利益のために期待される効果に着目しており、次のことが考えられている。 1 違法行為の対象 違法行為は、関与先、雇用主、その統治責任者・経営者、又は、関与先もしくは雇用主のためもしくはその指揮の下で働く他の者によって行われる、作為又は不作為の、故意又は故意ではない、現行の法規制に違反する行為である。 違法行為の対象となる法規制は、①財務諸表の重要な金額及び開示の決定に直接影響を与える法規制、②当該法規制を遵守することが、事業体の事業や経営の根幹に関わるほど重要であり、又は、重大な罰則を回避するために必須であるその他の法規制である。 対象となる法規制の例示は、以下のとおりである。 2 違法行為の対象外となるもの 3 対象となる職業会計士 本基準は、すべての職業会計士に適用される。 ただし、次のカテゴリー応じて、異なる権限及び影響力、並びに、異なるレベルの公共からの期待を考慮しており、それぞれのレベルに対応した責任となっている。   Ⅲ 上級の職にある企業等所属の職業会計士への要求事項 上級の職にある企業等所属の職業会計士とは、人的、財務的、技術的、物的及び無形の経営資源の取得及び配分並びに経営資源に対する支配に関して、重要な影響力を行使し、決定できる取締役、執行役員又は上級の職にある社員である。   Ⅳ 適用時期等 平成29(2017)年7月15日から適用される(早期適用可)。 次のことが述べられている。 (了)

#No. 191(掲載号)
#阿部 光成
2016/10/28

《速報解説》 確定申告の無料相談会場等で税理士がマイナンバーを取り扱う場合の対応をまとめた「国税庁による質疑応答集」が日税連HP上で公表~税務支援においても納税者との同意書取交しを要請

《速報解説》 確定申告の無料相談会場等で 税理士がマイナンバーを取り扱う場合の対応をまとめた 「国税庁による質疑応答集」が日税連HP上で公表 ~税務支援においても納税者との同意書取交しを要請   Profession Journal編集部   平成28年分の確定申告から、確定申告書には納税者のマイナンバー(個人番号)の記載が必要となる。 毎年確定申告時期には税理士会や税務署、納税協力団体などによる確定申告の無料相談会が全国各地で開催されるが、各会場で税理士会の税務支援事業として納税者の税務相談や申告書作成等に従事する税理士にとって、会場に訪れた納税者のマイナンバーを取り扱う際の対応が気になるところだ。 そこでこのたび日税連の会員専用ページにおいて、国税庁個人課税課が作成した「マイナンバー制度に関する質疑応答集~税務支援事業編~」が公表された。 この質疑応答集の冒頭では、「平成28 年分確定申告から確定申告書へのマイナンバー記載が開始することに伴い、実務的な対応の本格化に向けて局署における協議が行われることとなるため、平成28 年分の確定申告期の税務協力が円滑に実施されるよう、基本的な事項及び協議の中で団体から質問のあった事項等を質疑応答集として取りまとめた」と記載されている。 なお日税連ホームページによると、「税務支援」事業は、 に区分され、毎年、全国の税理士が約180万人の納税者の相談に応じており、ボランティアとなる税理士の延べ従事人数は約14万人に上るとのことだ。 質疑応答集は次の4章からなっており、全77問が掲載されている。 この質疑応答集だが、解説内容の多くで言及されているのが、来場した納税者と業務に従事する税理士が「特定個人情報の取扱いに関する同意書」を取り交わす必要があるかどうか、というもの。 例えば第2章【税務支援(独自事業・受託事業)編】のQ7では、 という質問に対し、同意書の要否は特定個人情報(マイナンバーを内容に含む個人情報)を取り扱うかどうかにより判断され、単に相談のみの場合は特定個人情報を取り扱うことはないため同意書は不要と考えられるものの、無料相談では相談と申告書等の作成を明確に区分することが困難なケースが考えられるため、その場合には同意書の作成が必要と考えるとの回答がなされている。 その他基本的には税務支援業務に従事する税理士は相談に訪れた納税者と同意書を取り交わすことを要請しているが、多くの来場者が予想される確定申告の相談会場ではその対応が負担となる可能性がある。 そこで といった質問及び回答についても掲載されている。 また、税務支援における同意書については、原則として業務に従事する税理士(又は税理士会等)において保存することとされ、保存年限については法令上の定めはないものの、課税処分の期間制限を踏まえ7年間の保存とすることが望ましいとしている。 (※) 同意書の様式として日税連ホームページには「特定個人情報の取扱いに関する覚書(ひな型)」が掲載されている。 その他、納税者が自身のマイナンバーを把握していない場合の対応(【税務支援(独自事業・受託事業)編】Q19)や、納税者が同意書の記載に応じない場合(【税務支援(独自事業・受託事業)編】Q18)、納税者が同意書に押印するための印鑑の持参を失念した場合(【税務支援(独自事業・受託事業)編】Q17)など、相談会場で起こりうる事項への対応も掲載されている。 実際の相談会場では様々なケースの発生が予想されるが、税理士は税務支援業務への要請があった場合に備えこの質疑応答集に目を通すとともに、各会場の運営組織・団体へ、対応方針や実務内容について事前の確認をしておきたい。 なお、第1章【税理士本人確認編】では、顧問先等の本人確認の必要の有無や、税務代理人として申告書等を税務署へ提出する場合の税理士の身元確認書類の添付など、税務支援にかかわらず税理士業務において必要となる対応がまとめられている。 すでに「税理士のためのマイナンバー対応ガイドブック」等で制度を学んでいる税理士も、例えば といった実際に想定しうる場面についての解説も掲載されているため、一読をお勧めしたい。 (了)

#No. 191(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/10/27

プロフェッションジャーナル No.191が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年10月27日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.191を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/10/27

山本守之の法人税“一刀両断” 【第28回】「売り上げの計上時期はどうなっているか」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第28回】 「売り上げの計上時期はどうなっているか」   税理士 山本 守之   1 収益の認識基準 各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入すべき金額は、具体的には商品や製品の販売、有価証券や固定資産の譲渡、受取利息や受取配当等、資産の賃貸料収入などがその大宗を占めます。 これらをどの時点で益金の額として認識するかについて、実定法上は「当該事業年度の収益の額とする」と規定しているだけです。 もっとも、法人税法の全文改正(昭和42年)の際には、「当該事業年度に実現した収益の額とする」という表現をすることについて検討がなされたとのことです。 しかし、「実現」というのは、法令上の用語ではなく企業会計上の用語であり、しかも、この実現の内容をめぐって、会計学者の間でも議論があるだけでなく、実現そのものも販売基準を主体として成立するもので、交換等や契約上の収益(特に貸金利息)に対する認識基準としては明確でないため、まぎらわしさを避ける意味で「実現」という言葉が削られたといわれます。 いずれにしても、実定法は帰属を表現するものとしては「の」の一字があるに過ぎないのです。 「の」の一字によって、収益をどのような帰属として認識するかは、もっぱら解釈によるほかないですが、「当該事業年度に帰属する収益の額」と解すべきことは疑いありません。 収益計上時期を実定法で示しているのが、「の」の一字だけで、これを解釈する方法がないとすれば、その解釈を会計に委ねる他はないので、それでは「一般に公正妥当と認められる会計処理」の基準に求める他ないのです。ただ、実務としては、それを会計に委ねるほど会計が発達していないのが問題です。 わが国の企業会計においては、収益の認識を実現主義によっており、この実現主義は、発生主義による収益の認識をより明確にするためであるとされています。 この点について、「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」では、次のように述べています。 また、企業会計原則でも、売上高の計上は、「実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したもの」に限られます(原則第二、3B)。 ここで、商品の販売の場合に例をとって、収益の認識基準を考えてみましょう。 商品や製品の販売は、通常次のような流れをたどるものと考えます。 この流れからすれば、最も早い収益の認識基準は契約の時ということも考えられます。特定物の譲渡契約については、意思主義によって所有権が移転し、その物件の危険負担も所有権を取得している者が負うという考え方からすれば、契約の時点で収益の発生があったとみることができます。 これは、契約によって所有権が移転した時に、代金の請求権を取得するとともに物件の引渡債務も発生するという法的な考え方をした場合です。 民法上の意思主義によれば、「売りましよう」「買いましょう」という意思を表示した時に所有権が移転したとされます。 では、なぜ企業会計の慣行では、契約が成立した時は、その契約書を会計外の事項を示す書類として保存しておくだけで、何の仕訳もせず、商品又は製品の出荷の時又は検収の時に売掛金の発生伝票を起こすことにしているのでしょう。 ここでは、単に商品が管理し得る状態から離れた時に、相手勘定である売掛金に転化したという認識をしているのです。 もちろん、商品が出庫される以前に売先から前受金等を収受する場合がありますが、この場合は「前受金」又は「預り金」という仕訳をしておき、現実に出荷した時に売上に振り替えるという経理をするのでしょう。 商品等の販売について、物の引渡しがない場合でも、所有権が相手方に移転していれば売上の計上をすべきだという考え方もないわけではありませんが、所有権が移転したからといって現物の引渡しをしないで相手方に代金を請求しても、相手方は「現物を引き渡さない限りは代金を払わない」という同時履行の抗弁権を主張することになるでしょうから、具体的な請求権を行使し得る状態になったとはいえません。 つまり、特別な場合を除いて、商品が貨幣やこれに相当する具体的請求権として行使し得るものに転化しない限りは、未現実のものとして収益の計上を認めないのが企業会計の立場であるといえます。 法的基準として意思主義による所有権移転の時を売上計上だとしても、対象物を引き渡さない限りは「同時履行の抗弁権」が働くから、引渡基準の方が現実的といえます。   2 税法ではどうするか 会計とは異なり、税法における収益認識基準として「権利確定主義」がその主流を占めていたことがありました。 これは、旧所得税基本通達で「収入金額とは収入すべき金額をいい、収入すべき金額とは収入する権利が確定した金額をいうものとする」(194)としていたからです。 しかも、「事業所得については、権利の確定する時期は、原則として収入すべき金額の基礎となった契約効力発生の時による」(198)としていました。 また、当時の法人税基本通達では「資産の売買による損益は、所有権移転登記の有無及び代金支払の済否を問わず売買契約効力発生の日に属する事業年度の益金又は損金に算入する。但し、商品、製品等の販売に関しては、商品製品等の引渡しの時を含む事業年度の益金又は損金に算入することができる」(249)としていました。 このような税法の考え方に対して、筆者は当時、次のように批判をしていました。ところが、中年を過ぎた税務学者にとって、20代の筆者の批判は「何を生意気な」と受け取られ、相手にされなかったのです。 筆者としては、商品が現金や売掛債権等に転換する時点で収益の認識をすることが社会通念上妥当ではないかとして、販売時点に先行する権利確定主義を批判したのです。 もっとも、法人税法の取扱いとしては、商品や製品については引渡基準を適用する余地を残しており、税法としては法的基準としてその確実性に着目して認識する限りはやむを得ないとする立場もあったようです。 この立場は、期間損益を単なる会計の事実行為に基づく基準によるときは、租税の公平な負担という租税法の目的に充分そうことはできないし、通常の経済取引は有効な法律行為を介して行われるのですから、法律上全ての納税者の取引を画一的に取り扱うためには、法的基準によって年度帰属を決定すべきと言うのです。   3 整備答申の考え方 多くの議論のあるなかで、昭和38年12月の「所得税法及び法人税法の整備に関する答申」(税制調査会)では、次のような答申を出しました。 まず、収益計上基準について次のような4つの基準があることを示しました。 つまり、法的基準は所有権の移転又は役務の提供があったとしながらも、具体的な運用は引渡し又は同時履行の抗弁権を失ったときとすることに近くなるとしたのです。   4 通達の定め 税法における収益計上時期は、昭和55年に定められた法人税基本通達2-1-1から2-1-48です。 本来、これらは会計で定めるべきですが、会計がその役割を果たしていないので、税務が定めざるを得なかったのです。 特に現行通達のなかには、「客観的にみてそこで収益が実現したといえるような状態があり、しかも会計の面からみて、これを会計事実として記帳するに適した状態というのは一体どういった状況のことをいうのか、といった面から考えるべきこと」とする態度が貫かれているように思われます。 (了)

#No. 191(掲載号)
#山本 守之
2016/10/27

〈平成28年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「今年から適用される改正事項(その1)」

〈平成28年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第1回】 「今年から適用される改正事項(その1)」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   10月も下旬となり、年末調整に向けて準備を始める時期となった。今年は、マイナンバー制度導入後、実質的に初めての年末調整となる。 年末調整の業務は、短期間に多くの作業を行う必要があるため、早目に準備をしておきたい。 今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。今回と次回(第2回)は、平成28年分の所得税に適用される税制改正事項のうち、年末調整に影響のあるものを取り上げ解説する。 【第1回】で取り上げる事項は、 【1】 通勤手当の非課税限度額の引上げ 【2】 マイナンバー制度に伴う様式の改正 である。 なお、この3回分に加え、論末掲載の連載目次に掲載された平成24年分からの拙稿(年末調整のポイント)もご覧いただきたい。 特に、各書類の記載方法や理解しておくべき用語の解説等を行った次の拙稿については、ぜひおさえておいていただきたい。   【1】 通勤手当の非課税限度額の引上げ (1) 改正の概要と年末調整への影響 平成28年度税制改正により、通勤手当の非課税限度額が10万円から15万円に引き上げられた(所法9①五、所令20の2①③④)。 改正内容と経過措置の詳細は、以下の拙稿をご参照いただきたい。 本年1月1日から3月31日までの間に支払われた通勤手当については、改正前の規定に基づいて源泉徴収が行われている。 本改正は、平成28年1月1日に遡って適用されるため、改正により、新たに非課税となる通勤手当のある役員や従業員(以下、従業員等という)については、年末調整で給与の総支給金額を調整する必要がある。 (2) 具体的な手続 年末調整における具体的な調整方法は、次のとおりである。 (3) 源泉徴収簿の記入方法 上記〈例〉に基づいて源泉徴収簿を記入すると、次のとおりである。 〈源泉徴収簿記載例〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。   【2】 マイナンバー制度に伴う様式の改正 平成28年分の源泉徴収票や支払調書には、マイナンバー制度の導入に伴い、支払を受ける者やその控除対象配偶者等の個人番号と支払者の法人番号(又は個人番号)を記載する欄が新たに設けられている。 なお、税務署に提出する源泉徴収票と支払調書並びに市区町村に提出する給与支払報告書には、支払を受ける者やその控除対象配偶者等の個人番号と支払者の法人番号(又は個人番号)を記載するが、受給者交付用の源泉徴収票と、支払を受ける者に写しを交付する場合の支払調書には、個人番号と法人番号は記載しない。 つまり、本人に渡す源泉徴収票や支払調書には、個人番号と法人番号を記載しないということである。 平成28年分の源泉徴収票や主な支払調書の様式は、次のとおりである。 従業員等の個人番号はもちろんのこと、報酬や不動産の使用料等の支払先が個人であれば、それらの人の個人番号も記載する必要がある。該当する個人がいる場合には、個人番号を取得しているかどうかの確認をしておきたい。 〈参考〉 平成28年分の各様式 「平成28年分 給与所得の源泉徴収票」 「平成28年分 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」 「平成28年分 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」 「平成28年分 不動産の使用料等の支払調書」 (※) 国税庁「平成28年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」より なお、平成28年分の給与所得の源泉徴収票は、サイズがA6版(横)からA5版(縦)になり、マイナンバーに関係する部分以外の様式にも変更がある。 記載方法等については、下記の国税庁ホームページが参考になる。 (了)

#No. 191(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/10/27
#