《速報解説》 経産省、H29.3.31適用期限終了の中小企業向け各特例措置について 延長・拡充を要望 ~設備投資減税は器具備品・建物附属設備の一部を適用対象に Profession Journal編集部 前月末で締め切られた各省庁による「平成29年度税制改正要望」において、経済産業省は平成28年度末(H29.3.31)で適用期限が終了する税額控除・特別償却等の租税特別措置について、次のような延長・拡充を要望している。 すでに実務へ定着している特例も含まれていることから、今回の要望事項を含め、今後の動向には注視しておきたい。 〇中小企業投資促進税制、器具備品・建物附属設備の適用を要望 まず、平成29年3月31日で適用期間が終了する中小企業投資促進税制(上乗せ措置を含む)について、2年間(平成30年度末)の延長と、対象設備の追加が要望事項として示されている。 具体的には、現行では機械装置・ソフトウェア等が対象とされている本制度について、高効率の冷蔵陳列棚、省エネ空調等の器具備品・建物附属設備を追加するというもの。 中小企業の設備別投資割合によると、卸小売業やサービス業では現行税制の対象となっている機械装置以外(建物附属設備や器具備品)の設備投資が大きいことから、その必要を求めている。 経済産業省資料では、想定している器具備品・建物附属設備の例として、次のものが紹介されている。 例示のうち「ロボットスーツ」という聞きなれないものが含まれているが、これについては介護支援ロボットスーツ(介護業務の生産性向上と介護職員の負担軽減となるもの)が写真付きで示されている。 なお、平成28年度改正で創設された中小企業等経営強化法に係る固定資産税の特例措置(一定の経営力向上設備等を取得等した場合の固定資産税の3年間半減措置)についても、現行では対象設備が機械装置に限られているが、上記と同様の設備を追加するよう要望がなされている(ソフトウェアは対象外)。 【参考図】 (※) 経済産業省ホームページより 〇研究開発税制は「サービス開発」が試験研究の定義に 研究開発税制については、昨年度改正で本体(恒久措置)として総額型とは別枠でオープンイノベーション型が創設されたところだが、平成29年3月31日で上乗せ措置(増加型・高水準型)が適用期限を迎えることを踏まえ、下記4点が経済産業省・厚生労働省の共同要望とされている。 ①の「サービス開発」については、サービス産業の生産性を飛躍的に向上させることを目的に、第4次産業革命を強力に推進するため、AIやビッグデータ等を活用した高付加価値なサービス開発を支援するとしている。ちなみに「第4次産業革命」とは、IoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等による技術革新のこと。つまりこれらの技術を活用したサービス開発が想定されている。 なお、経済産業省資料ではサービス開発の例として飲食サービス、農業支援サービスにおける上記技術活用事例が紹介されている。 〇商業・サービス業・農林水産業活性化税制、中小企業の法人税率特例措置は延長要望 上記のほか、平成29年3月31日で適用期限を迎える商業・サービス業・農林水産業活性化税制(商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業等が一定の経営改善設備を取得した場合の特別償却・税額控除)については、消費税率10%引上げの2年半延期を考慮して平成31年度末までの3年延長を、中小企業者等の法人税率の特例(中小法人(資本金1億円以下)の年800万円以下の所得金額について15%(本則19%))は平成30年度末までの2年延長をそれぞれ要望している。 〇所得拡大促進税制は中堅・中小企業の税額控除倍増を求める 所得拡大促進税制については平成26年度改正で適用期限が平成30年3月31日まで延長されているが、今回の要望において、中堅・中小企業の税額控除を雇用者給与等支給増加額の 20%(中堅企業は法人税額の 20%、中小企業は 40%が上限)とする要望が示された。さらに中堅・中小企業に対しては、賃上げのネックになっているとして、雇用者給与等の算定基礎に社会保険料(法定福利費)を含めることを求めている。 なお経済産業省資料によると、「中小企業」は資本金1億円未満、「中堅企業」は資本金1億円~10億円未満、「大企業」は資本金10億円超と定義されている。 (了)
2016年9月8日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.184を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第45回】 「混沌とした租税回避論の再整理(その3)」 中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦 3 課税要件の観点からの区別 (1) 租税回避の試みと租税回避 まず、租税回避の試みと、結果としての租税回避について考えてみよう。 これは「課税根拠要件の充足をしているか、していないか」という立場での議論である。 【図3】 租税回避の試みと租税回避 【図3】は、いわゆる我が国における従来からの租税回避論であり、課税要件の充足を免れるものが租税回避であると整理されてきたところである。 租税回避、すなわち租税回避の試みが成功したのであれば、課税根拠要件を充足していないため課税はなされない。 他方で、租税回避の試みが失敗し、課税根拠要件を充足することになれば、当然課税対象となるとの理解である。 したがって、租税回避の試みを行う納税者側としては、「課税根拠要件の充足はしていない」という主張をすることで租税負担の減少を図ろうとするであろう。すなわち、本件は「租税回避」であるという主張をすることになる。 これに対して、課税庁側は、本件は課税根拠要件が充足されている(課税根拠要件の充足を免れていない)ため「租税回避」ではない、したがって課税対象であるという主張を展開することになろう。 (2) 節税の試みと節税 次いで、節税の試みと、結果としての節税について考えてみよう。 これは「課税減免要件の充足をしているか、していないか」という立場での議論である。 【図4】 節税の試みと節税 【図4】は、上記りそな銀行事件(【第43回】参照)において議論されたような課税減免要件の充足が争われる事例がその典型であろう。 節税、すなわち節税の試みが成功したのであれば、法の規定に則り課税はなされない。 他方で、節税の試みが失敗し、課税減免要件を充足しないことになれば、課税対象となるとの理解である。 したがって、節税の試みを行う納税者側としては、「課税減免要件の充足をしている」という主張をすることで租税負担の減少を図ろうとするであろう。すなわち、本件は法の規定に則った「節税」であるという主張をすることになる。 これに対して、課税庁側は、本件は課税減免要件が充足されていないため「節税」ではない、したがって課税対象であるという主張を展開することになろう。 このように考えると、「租税回避の試み」と「租税回避」、「節税の試み」と「節税」は明確に区別して議論すべきであり、また、租税回避、節税、脱税という枠組みにおいてはその空白域が広すぎることは既述のとおりである(【第44回】参照)。 4 行為形態の観点からの区別 (1) 濫用という切り口 上記の課税根拠要件の充足の有無、あるいは課税減免要件の充足の有無で捉える課税要件からの視角とは別に、その行為形態に着目をした捉え方があり得る。 従来の租税回避の定義では、「私法上の選択可能性を利用」して租税負担の軽減を図る行為を租税回避と理解してきた。 これをやや強調して説明するとすれば、租税回避とは、いわゆる私法制度の濫用的行為による租税負担の軽減であるといってもよいであろう。 私法制度の濫用とは、要するにいかなる契約形態を採用するかについての濫用的行為のことを指す。例えば、先に確認した岩瀬事件(【第43回】参照)においては、交換契約か売買契約かという私法上の選択可能性を濫用したと整理することもできなくはない。 この点、いわゆる清水惣事件大阪地裁昭和47年12月13日判決(訟月19巻5号40頁)は次のように判示する。 もっとも、同判決は、私法形式の濫用が企図されたものでないとしても、経済的合理性を全く無視したものであると認められる場合には否認が許されるとの立場であるから、必ずしも私法制度の濫用だけを前提とした議論ではないとの評価もあり得るが、興味深い判示ではなかろうか。 【図5】 私法制度の濫用(岩瀬事件の場合) (※) 租税法を適用するためには、まず事実認定が必要であり、次に、認定された事実に法を適用することになる。すなわち、事実認定は私法に基づいて行われ(私法準拠)、そこに租税法を適用する。上の図にあるように、左側の私法領域が事実認定の話であり、右側の租税法領域が法の適用の話である(次の【図6】においても同じ)。 これに対して、前述のりそな銀行事件は私法制度の濫用ではなく、課税減免規定たる租税法制度の濫用に属するものと思われる。 すなわち、本来、法が予定していたであろう目的とは異なる形で租税法の適用を行ったケースと考えることもできる。 【図6】 租税法制度の濫用(りそな銀行事件の場合) このように、濫用という切り口から見たとき、課税根拠要件の充足の回避を行う租税回避と、課税減免要件の充足を行う節税は、前者は私法制度の濫用的行為、後者は租税法制度の濫用的行為と親和性を有するものとして整理することも可能ではなかろうか。 【図7】 濫用という切り口からみた租税回避と節税 (2) 議論の新たな展開と問題点 今日では、このように議論の対象を従来の「租税回避」に限定せず、「租税法制度の濫用的な節税」をも取り込む方向へとシフトしているものと考えられる。 例えば、今村隆教授は、租税回避という用語のもつ語義感、すなわち「回避」との用語に引きずられて、課税減免要件の充足の問題が欠落してきたこれまでの議論を強く批判される(今村隆『租税回避と濫用法理―租税回避の基礎的研究―』19頁(大蔵財務協会2015))。 そして、租税回避の場合には、私法制度の濫用ばかりが強調されてきたとして、これまでの学説に対する疑問を呈示されている(同書48頁)。 ただし、租税法制度の濫用があった場合にこれを否認できるとする実定法上の根拠規定は、現在の法人税法等わが国の租税法には存在しないという点に留意しておかなければならないであろう。 課税減免規定の濫用であれば、すなわち否認できるとの直接の法的根拠は乏しいといわざるを得ない。 たしかに、前述のりそな銀行事件において最高裁は、本件行為は「外国税額控除制度を濫用するものであり」許されないと説示している。 しかし、同最高裁が、本当に租税法制度の濫用であるがゆえに否認を判断したのかという点については学説上も争いがあり、あくまでも法人税法69条1項の制度趣旨に基づく目的論的解釈(縮小解釈ないし限定解釈)を行ったとみる見解もあることを指摘しておきたい。 結びに代えて 「租税回避」という用語は条文上の文言ではなく、その定義は必ずしも明確であるとはいえない。 今回は従来からの学説上の通説的理解として、金子宏教授や清永敬次教授の定義を紹介したが、論者によって種々の定義付けがなされているところである。 そうであるとすれば、積極的に租税回避を定義付けること自体に疑問を覚えなくもない。 では、これまでの租税回避の定義を巡る議論には意味がなかったのかというと、そのようなことは決してない。 租税回避がいかなる意味を持つのかという点を踏まえて、その定義に拘泥することなく、議論をより建設的なものに組み替えるべきではなかろうか。 例えば、解釈上課税されないとされる租税回避を、課税の対象とするための法を用意する必要性の判断として、あるいは、裁判所が租税回避事案の契約解釈をする際に参考にする道具と捉えるならば、それは有益な議論になるであろう。 不当な「租税回避」や不当な「節税」を課税対象に取り込むなど、いわば、法の潜脱ともいい得る租税回避の試みや、本来の法の目的とは異なる過度な節税の試みにどのように対応すべきかを検討するに当たり、混沌とした今日の租税回避論を改めて整理し直すことは非常に意味のあることではなかろうか。 (了)
さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第16回】 「更正処分取消訴訟係属中の相続事件」 ~最判平成22年10月15日(民集64巻7号1764頁)~ 弁護士 菊田 雅裕 (了)
〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第35回】 「収入印紙によらない納付方法③(税印押なつ)」 税理士・行政書士・AFP 山端 美德 当社は株式会社です。株券等を発行する場合には印紙税が課税されますが、株券等に収入印紙を貼らずに納付する方法があると聞きました。どのような方法ですか。 印紙税は、課税文書に収入印紙を貼付し、消印をすることにより納付するのが原則だが、収入印紙を貼り付けることに代えて、税印を押すことにより納付する方法もある。 この場合、あらかじめ印紙税相当額を現金で納付し、課税文書に税印を押すことを税務署に請求する手続きを要することとなる(法第9条)。 (※) この手続きは税印押なつ機を設置している税務署(全国で118署)において手続きを行うことができ、設置していない署においては手続きができないので注意が必要である。 具体的な手続きは以下のとおりである。 ▷ まとめ (了)
金融・投資商品の税務Q&A 【Q10】 「個人が割引債の償還を受けた場合の取扱い」 ~割引債の発行日が平成28年1月1日以後の場合~ PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子 ●○ 検 討 ○● 割引債の償還差益に対する課税については、従前、割引債の発行時に源泉徴収を行い、個人についてはこの源泉徴収のみで課税関係が終了する源泉分離課税とされていました。 金融所得一体課税の改正に伴い、平成28年以後は、割引債の源泉徴収については発行時ではなく、償還時(支払時)に行われることとなりました。また、償還差益は株式等に係る譲渡所得等として課税されることとなりました。 改正前の規定が適用されるかどうかは、割引債の発行日が平成27年12月31日以前か平成28年1月1日以後かにより異なります。 発行日が平成27年12月31日以前の割引債は、原則として発行時に源泉徴収が行われていましたが、平成28年1月1日以後に発行されたものについては、発行時の源泉徴収を適用しないこととされます。 (1) 源泉徴収 居住者が割引債の償還金の支払を受ける場合、その支払の際、その割引債の償還金に係る差益金額に対して、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により源泉徴収が行われます。 この特例の対象となる割引債の範囲は列挙されていますが(キーワード参照)、割引の方法により発行される公社債はこの範囲に入ります。 源泉徴収の対象となる差益金額は、以下の通り定められています。 なお、割引債が特定口座において管理されている場合には、償還時に特定口座内で源泉徴収が行われることから、本源泉徴収の対象外とされています。 (2) 申告分離課税 平成28年1月1日以後、社債の元金の償還により交付を受ける金額は、社債の譲渡に係る収入金額とみなされます。この取扱いは、利付債、割引債を問わず、同様です。 割引債のうち、平成28年1月1日以後に発行されたもの(すなわち発行時源泉徴収の適用を受けない割引債)の償還により支払を受ける金銭等は、株式等の譲渡による収入金額として課税されます。 本件の割引債は特定公社債に該当するということですので、その償還差益については、上場株式等に係る譲渡所得等として20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)の税率により申告分離課税の対象となります。 なお、(1)で源泉徴収された源泉所得税については、申告時に所得税額から控除されます。 (了)
連結納税適用法人のための 平成28年度税制改正 【第11回】 「日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備」 公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸 [12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る 国内法の整備 1 改正内容 「外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律」について、題名を「外国居住者等の所得に対する相互主義による所得税等の非課税等に関する法律」(以下、「外国居住者等所得相互免除法」という)に改めるとともに、日台民間租税取決め(注)に規定された内容を実施するため、台湾との相互主義に基づき、台湾との間の二重課税を排除する等のための措置を講ずることとなった(外国居住者等所得相互免除法1~43)。 (注) 日台民間租税取決めに関しては、2013年12月から公益財団法人交流協会(日本側)と亜東関係協会(台湾側)の間で協議を重ね、2015年11月26日に署名されている。 (1) 双方居住者の振分けルール 日本と台湾の双方の居住者に該当する者について、恒久的住居の所在等を基準とした振分けルールに基づき、台湾の居住者に振り分けられる者にあっては日本の非居住者とみなし、いずれか一方の居住者に振り分けられない者にあっては下記(2)④の(ニ)及び(ホ)の措置は適用しない。 (2) 台湾居住者等の所得に対する所得税又は法人税の非課税等 下記のとおり、所得の種類ごとに、台湾居住者等の所得に対する所得税又は法人税の非課税等の措置を講ずる。 この場合、下記の措置のうち源泉徴収による所得税につき軽減又は非課税の適用を受けようとする台湾居住者等について、日本の国内法に定める租税条約の適用手続に関する措置と同様の措置を講ずる。 なお、その適用対象となる国内源泉所得に関し、台湾居住者又はその関係者による当該国内源泉所得の基因となる行為の主たる目的の1つが、上記の措置の適用を受けることである場合には、適用しない。 また、日本と台湾で課税上の取扱いが異なる事業体に対する上記の措置の適用については、日本の国内法に定める日本と租税条約の相手国等で課税上の取扱いが異なる事業体への租税条約の適用に関する措置と同様の措置を講ずる。 (3) 台湾における移転価格課税に係る対応的調整 内国法人等に係る台湾の関連者との間で行う取引に関し、その価格が独立企業間価格と異なることにより当該内国法人等の所得が過大となる場合において、国税庁長官の確認を受けたときは、当該取引は独立企業間価格で行われたものとして課税所得を計算する。 (4) 国税庁長官の確認があった場合の更正の請求の特例等 納税申告書の提出等をした者は、上記(1)及び (2)の措置の適用により課税標準等又は税額等が過大となる場合において、国税庁長官の確認があったときは、その確認の日から2月以内に、更正の請求によりこれらの措置の適用を受けることができる。 台湾居住者等が有する所得につき上記(2)の措置の適用により源泉徴収による所得税に係る過誤納があった場合において、国税庁長官の確認があったときは、税務署長は、当該所得に係る源泉徴収義務者に対し、その過誤納金に相当する給付金を支給する。ただし、当該過誤納金につき還付請求をすることができる場合には、この限りでない。 (5) 台湾の租税に関する権限のある機関への情報提供 台湾の租税に関する権限のある機関に対し、租税に関する情報の提供を行うことができる旨の規定を設ける。 (出典) 「参考資料」(財務省) 2 適用時期 平成29年1月1日以後に開始する事業年度又は連結事業年度から適用される(外国人等の国際運輸業に係る所得に対する相互主義による所得税等の非課税に関する法律施行令等の一部を改正する政令「附則」1、所得税法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令、平成28年所法等改正法附則1五)。 (了)
包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第22回】 「実質主義③」 公認会計士 佐藤 信祐 前々回では、東京高裁昭和47年4月25日判決について解説を行い、前回では、東京高裁平成11年6月21日判決について解説を行った。 本稿では、大阪高裁平成14年10月10日判決、東京高裁平成16年1月28日判決についてそれぞれ解説を行うこととする。 4 大阪高裁平成14年10月10日判決(TAINSコード:Z252-9212) (1) 事実の概要 本事件は、原告らが保有する不動産及び株式をそれぞれ18億円、42億円で譲渡したところ、両方を併せて譲渡することにより、不動産の譲渡価格の一部を株式の譲渡価額に付け替えたものとして、本件株式の実質的な譲渡価額は8,772万6,440円であり、残余を不動産の譲渡価額であるとして、課税庁により否認された事案である。 本事件では、審査請求の取下げにより、国税不服審判所の裁決を経ていない処分の取消しを求める訴えの適法性などについても争われているが、本稿では、実質主義に係る点についてのみ解説を行うこととする。 なお、平成17年11月21日にて、最高裁から上告不受理の決定がなされている(TAINSコード:Z255-10203)。 (2) 第一審(神戸地裁平成12年2月8日判決・TAINSコード:Z246-8582) (3) 控訴審 (4) 評釈 このように、第一審では納税者の主張が認められたものの、控訴審では課税庁の主張が認められた。第一審でも、控訴審でも、買い手が必要としたのは土地だけであり、本件不動産を18億円、本件株式を42億円として合計60億円としたのは、国土法の規制をクリアーでき、税金が安くなるという理由であるという点は認められているが、それに対する租税法の判断は分かれたということであろう。実際に譲渡された株式の時価はほとんどなかったことからも、譲渡代金のほとんどは土地に対するものであると認定すべきであったと考えられる。 本事件について、経済的実質主義が認められたと解することはできない。なぜならば、譲渡代金の配分・割付けを仮装であると認定し、真実の事実関係に修正していることは、法的実質主義の範疇であると考えられるからである。 この点につき、両者の真の意図が譲渡代金のほとんどが土地であったとしても、民法上の観点からは、不動産を18億円、本件株式を42億円としたことが両者の合意であり、仮装取引と認定するのは困難なのかもしれない。それが故に第一審と控訴審で判断が分かれたと言えよう。 控訴審のような判断が認められるべきかどうかについては、私法上の法律構成による否認論と併せて検討する必要があると考えられる。 5 東京高裁平成16年1月28日判決 松田直樹『租税回避行為の解明』20-22頁(ぎょうせい、平成21年)では、実質主義の原則の適用を正面から認めたものではないが、法形式に重きを置く租税法律主義の優位性に一石を投じた事件として、東京高裁平成16年1月28日判決が紹介されている。本事件については、稲見誠一・佐藤信祐『組織再編における株主課税の実務Q&A』(中央経済社、平成20年)で解説しているため、詳細についてはそちらを参照されたい。 本事件は、有利発行が行われた場合において、既存株主から新株主に対してみなし譲渡があったものとして法人税法22条2項が適用された。同族会社等の行為計算の否認を適用することによる引き直しでは、既存株主において、同様の課税関係を生じさせることが困難である。さらに、法的実質主義を採用しようにも、既存株主が保有する株式に異動はないのであるから、本事件は、経済的実質主義に回帰しているようにも見える。 これに対し、本事件から現在に至る前、同様の否認がなされた事案は寡聞にして聞いたことがない。しかし、当時は、実質主義が進化した内容である「私法上の法律構成による否認論」が議論されていた時代でもある。私法上の法律構成による否認論がどのようなものなのか、そして、現在でも有効なものなのかは、別途検討する必要があろう。この点については、次々回以降で解説を行う予定である。 次回では、今まで解説した法的実質主義の内容と具体的な内容について解説する予定である。 (了)
〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領 《外貨建取引等》編 【第1回】 「為替予約等が締結されていない場合 ~輸入に係る外貨建取引の円換算」 公認会計士・税理士 前原 啓二 はじめに 外貨建取引は、原則としてその取引発生時の為替相場による円貨額をもって記録し、外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場により円換算額を付すとされます。今回は、為替予約等が締結されていない場合の外貨建取引の円換算として、輸入における仕入・買掛金・前渡金を例に、それらの円換算方法をご紹介します。 1 一連の輸入取引に係る仕訳 〈×1年3月30日:前渡金の支払い〉 〈×1年3月31日:決算日〉 〈×1年12月25日:輸入商品の受取り〉 〈×2年3月31日:決算日〉 〈×2年4月30日:残金の支払い〉 (1) 仕入の円換算額 外貨建取引は、原則として、その取引発生時の為替相場による円換算額を付すこととされます(中小企業会計指針75)。 この設例では、仕入対価10,000ドルのうち1,000ドルは前渡金として仕入に先立って支払われています。外貨建取引高のうち、前渡金が充当される部分については、前渡金の金銭授受時の為替相場(@80円/ドル)による円換算額(1,000ドル×@80円/ドル=80,000円)を付し、残りの部分については、取引発生時の為替相場(@100円/ドル)により換算(9,000ドル×@100円/ドル=900,000円)します(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針26)。 上記の仕訳は、この原則的方法によっています。 ただし、例外的な方法として、営業利益及び経常利益に重要な影響を及ぼさないと認められる場合は、仕入対価10,000ドル全額を取引発生時の為替相場(@100円/ドル)により換算(10,000ドル×@100円/ドル=1,000,000円)して仕入計上するとともに、前渡金の金銭授受時の為替相場(@80円/ドル)と取引発生時の為替相場(@100円/ドル)との相違から生じる為替差額(@(100-80)円/ドル×1,000ドル=20,000円)は為替差益として処理することができます(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針26)。 この場合の仕訳は次のとおりです。 〈×1年12月25日:輸入商品の受取り〉 (2) 期末買掛金残高の円換算額 短期外貨建金銭債務については、決算時の為替相場による円換算額を付します(中小企業会計指針79)。 この設例では、期中に取引発生時の為替相場(@100円/ドル)により円換算した買掛金計上額(9,000ドル×@100円/ドル=900,000円)を、×2年3月31日決算日残高(9,000ドル)について、同決算日の為替相場(@110円/ドル)により換算替え(9,000ドル×@110円/ドル=990,000円)し、この換算差額(990,000円-900,000円=90,000円)は、原則として、営業外損益の部において当期の為替差損益として処理します(中小企業会計指針77)。 (3) 期末前渡金残高の円換算額 前渡金は、期末時(×1年3月31日)残高1,000ドルについては、金銭授受時の為替相場(@80円/ドル)による円換算額(1,000ドル×@80円/ドル=80,000円)を付すものとされ、期末時に為替差損益は生じません。前渡金は将来、財又はサービスの提供を受ける費用性資産であって、外貨建金銭債権ではないからです(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針25)。 2 決算書の金額 ① ×1年3月31日決算期 〈当期末貸借対照表〉 ② ×2年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 〈当期末貸借対照表〉 ③ ×3年3月31日決算期 〈当期損益計算書〉 3 法人税法の規定における換算方法(参考) 4 損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整 この設例のケースは、法人税法上、上記3の①③の適用に該当します。したがって、会計処理と法人税法上の取扱いに差異がないので、損益計算書の当期純損益から法人税申告書の課税所得を算出する際の加算・減算調整はありません。 (了)
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第49回】 サイオステクノロジー株式会社 「社内調査委員会調査報告書(平成28年6月9日付)」 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【社内調査委員会の概要】 【サイオステクノロジー株式会社の概要】 サイオステクノロジー株式会社(旧社名は株式会社テンアートニ。以下「サイオス」と略称する)は、1997(平成9)年設立。ITシステムの開発/基盤構築/運用サポート事業を展開。連結子会社9社。筆頭株主は株式会社大塚商会(17.95%を所有)。売上高9,362千円、経常損失△127千円。従業員数414名(数字はいずれも訂正前の平成27年12月期)。本店所在地は東京都港区。東京証券取引所二部上場。 不適切な取引が発覚したのは、サイオスの100%出資子会社である株式会社関心空間(旧社名は株式会社SIIIS、以下「SIIIS」と略称する)。同社は、資本金65百万円で、ソーシャルメディアの企画等のWebアプリケーション事業を行っている。 【調査委員会報告書の概要】 1 SIIISが参画していた実証事件事業 SIIISは平成23年10月から平成26年3月まで、一般社団法人新エネルギー導入促進協議会(以下「NEPC」と略称する。)による次世代エネルギー技術実証事業費補助金の対象事業である「電力需要抑制のモデル化と高自給率コミュニティの計画・運用体系化に関する実証事業(長崎県佐世保市)」に、双日株式会社(調査報告書では「A社」。以下「A社」で統一する)ほか複数社とともに、補助対象事業者として参加し、補助金を受給していた。 実証事業におけるSIIISの役割は、A社を代表とし数社からなるコンソーシアムのプロジェクトマネジメントオフィス補佐として、同事業の円滑な推進、各関係者及び関係者間の調整、討議や打ち合わせに必要な各種資料作成、各種会議体運営支援を行うこと及びデジタルサイネージ(※)導入業務を行うことであった。 (※) デジタルサイネージとは、屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステムを総称して 「デジタルサイネージ」と呼ぶ。 【参考】 「デジタルサイネージについて」(一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムホームページ) 実証事業に対するNEPCの補助金の交付の対象となる経費は、システム実証に必要な機械装置等の制作・購入又は賃借及び土木作業工事費等の事業費と事業の遂行に必要な調査・設計・企画・調整等を行う職員等に係る経費等の人件費と定められており、当該経費の2分の1が補助率と定められていた。 2 不適切な会計処理が発覚した経緯 平成27年9月、SIIISの取締役に就任した、サイオスの開発事業部・新規事業企画部長であるs7氏は、平成28年3月24日、実証事業に関するSIIISからA社に対する回答が行われていないことを知り、回答準備のために、過去の資料の確認、関係者への聴取等を行ったところ、実証事業に関する経費の水増し・架空売上の計上が行われていた疑いがあることを認識した。 4月11日、s7氏は、サイオス代表取締役社長らに報告を行い、協議の結果、西村あさひ法律事務所に対応を相談。その後、会計監査人である新日本監査法人とも協議のうえ、4月26日のサイオス取締役会において、サイオス常勤監査役を委員長とする社内調査委員会を設置し、調査を行うことを正式に決定した。 3 不適切な会計処理の概要 不適切な会計処理と認定されたのは、(1)協力会社に対する外注費・設備購入代金を水増しした金額で発注を行い、支払った金額の一部を業務委託費等の名目でSIIISに還流させる手口と、(2)SIIISにおける社内人件費を過大報告する手口に基づき、補助金を不正受給したことであった。 【図表1】 還流取引の概要 【図表2】 不正受給額の合計 4 不適切な会計処理に至った背景と目的 実証事業への参加は、次世代エネルギー技術開発を本来的な事業目的として取り組んでいる事業者にとっては将来への投資として意義を有する事業であり、経費の2分の1を補助金で受給できるというメリットはあったと思われるが、SIIISの主たる事業はソーシャルネットワーク関連のIT技術の開発であって、エネルギー関係は本来の事業目的ではない。 また、当時のSIIIS代表取締役s1氏が還流取引を含む実証事業を行ったことにより、個人的な利得を得ていたことまでを示す証拠は得られていない。 こうした点について、s1氏は、実証事業への参加理由について、長崎県の担当者から「やってほしいと頼まれたので断れなかった」と説明するにとどまっている。 調査委員会は、s1氏が、「九州北部の自治体や事業者とのネットワークを事業活動の基盤としている」ことから、この要請にこたえることが将来のビジネスチャンスにつながることを期待して参加を決断したものの、過大な補助金を受給することにより、資金収支のマイナスを縮小し、デメリットを最小化することを企図したものと、「合理的に推察」している。 5 原因分析 調査報告書には、サイオスがSIIISを子会社化した理由について説明はないものの、「出資時の検討不足」を、本件不適切な取引の原因の最初に挙げているため、まずは、第三者割当増資引き受け時のサイオスのリリースを確認したい。 まず、SIIIS社の事業活動について。 次いで、SIIIS代表取締役について。 最後に、サイオスによる第三者割当増資の引き受け目的について。 社内調査委員会は、「深度ある十分な検証が行われていた場合には、少なくとも、出資にあたって本件事業への参加は中止させていた可能性があったのではないか」と指摘しているが、このリリースを読む限り、問題となった実証事業への参加予定(引き受け当時)はむしろ、SIIISの事業の発展性を予見させるものと映ったのではないかと考えられ、私見としては、「出資時の検討不足」を原因の第一に置くのは違和感を持たざるを得ない。 むしろ、出資後、サイオスから派遣された取締役・監査役による管理監督が十分ではなく、本件不適切取引を長期間放置していたのみならず、SIIISの内部統制システムが脆弱なまま、何ら手を打たなかった(「打てなかった」と言うべきかもしれない)ことにこそ、根本原因があるのではないかと思料する。 6 再発防止策 上述のとおり、社内調査委員会と筆者とでは、「原因分析」に対する考え方は少し異なるのだが、ここでは、調査委員会の提言を紹介したい。 (1) 子会社の買収等の際の深度ある調査の実施 調査委員会は、M&Aを実施するにあたっては、単に事業の収益性や利益率のみに関心をもつのではなく、「事業の適法性及び適正性」、「経営者の資質も含めてグループ会社とするにふさわしい体制を整えた企業であるかどうか」について、「深度のある調査及び検証を実施すること」が必要であると強調する。 (2) 社内及びグループ子会社の管理体制の強化 サイオスからSIIISに派遣された取締役・監査役がその職責を十分に果たせなかった原因に、派遣された者がいずれもサイオスでの職務を本務とし、SIIISの役職は兼務であったことから、社内調査委員会は、「子会社に派遣される取締役及び監査役が子会社の監視・監督に十分専念できる職務環境を整えること」を提言し、かつ、それが困難であれば、サイオスにおいて、子会社の管理を主として担当する部門を設け、「子会社に派遣された取締役・監査役と連携して子会社の監督を行う体制を整えること」も、効果的な子会社及び孫会社の業務遂行を可能にする、としている。 (3) 体制・規程の整備 SIIISにおいては、基本規程を含む規程の整備がされておらず、社内体制が著しく不備であったことから、社内調査委員会は、あらためて、各子会社の規定及び体制を確認し、欠けているものがあれば、速やかに整備するように提言している。 (4) 役職員に対するコンプライアンス意識の徹底 サイオスにおいて実施されているコンプライアンス教育が、子会社では実施されていないことから、社内調査委員会は、子会社の従業員向けコンプライアンス教育の実施と子会社の社長や子会社の派遣役員として常に意識すべき責任及び留意点につき教育を施す体制の検討を、提言している。 (5) 社内処分・責任追及 最後に、社内調査委員会は、s1氏をはじめとするSIIISの役員に対する民事及び刑事責任の追及について、連結会計上の影響、返還が必要となる補助金の額、HEPC・資源エネルギー庁による刑事責任追及に関する意向等を踏まえて、「今後更に検討する必要がある」として、提言を締め括っている。 【調査報告書の特徴】 新規事業分野への進出を目論んでM&Aによる子会社化した会社において、あろうことか法律違反行為が発覚した――M&Aを決定した経営陣からすれば、悪夢のような事態であったはずだが、外部の調査協力者を活用した社内調査委員会による調査は、比較的短期間で終わったようである。 1 社内調査委員会の体制 社内調査委員会は、親会社であるサイオスの常勤監査役を委員長に、社外取締役、社外監査役が委員として名を連ねているが、実質的には、西村あさひ法律事務所所属の弁護士とデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社所属の公認会計士・公認不正検査士等が、調査実務を担当しているようである。 連結子会社で発生した会計不正の場合には、こうした体制が一つのスタンダードとして定着しつつあり、上場会社において、監査等委員会設置会社への移行が進む中、今後もこうした体制による不正調査が主流になっていくのではないかと思われる。 2 原因分析に対するちょっとした異論 本文でも言及したとおり、筆者の私見によれば、社内調査委員会による、「深度ある十分な検証が行われていた場合には、少なくとも、出資にあたって本件事業への参加は中止させていた可能性があったのではないか」という指摘には首肯できないものを感じている。 M&Aの場面では決断の早さが要求されることは間違いなく、「深度ある十分な検証」を行っている時間はさほどないだろうし、何より、M&Aを決断しようとしている経営者は、相手先に惚れこんでいるのが実情であるから、それに水を差すような進言も難しいであろう。 であるとすれば、M&Aにより子会社化した会社には、現経営者をコントロールできる有能な管理者を専任の取締役として派遣し、親会社と同等のコーポレートガバナンス体制を早急に整え、内部統制システムを整備し、過去の取引も含め、適法性・適正性を確認することを最優先で行うことを徹底する方が、経営者に受け容れやすいのではないだろうか。万一、そうした人材がいなかったり、体制が整わなかったりという事情があるのであれば、M&Aによる事業領域の拡大は経営戦略としては妥当ではない、ということではないだろうか。 3 過年度損益の修正による影響 ――過年度における剰余金の配当と自己株式の取得における問題点 調査報告書の公表から1週間後、サイオスは過年度の有価証券報告書等を訂正するリリース「平成28年12月期第1四半期決算短信の提出及び過年度の決算短信等の訂正、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出、並びに、過年度における剰余金の配当及び自己株式の取得に関するお知らせ」を公表した。 本リリースのタイトルが長くなった理由は、過年度決算の修正により、分配可能額がマイナスであったにもかかわらず、平成25年3月6日開催の定時株主総会で剰余金の配当を決議して実施したこと、平成25年10月から11月にかけて実施した市場買付の方法による自己株式の取得が、同じく分配可能額の範囲を超えたものであったことを公表したからである。 不適切な取引による影響は、不正に受給した補助金の変換のみにとどまらず、会社法違反へとその影響が拡大している。 4 補助金等の返還 7月29日、サイオスは「補助金等の返還額確定に関するお知らせ」というリリースを出し、SIIIS(現社名は株式会社関心空間)がA社を経由して、NEPCに対して交付を受けた補助金全額と規程による加算金(年10.95%)を加えて、合わせて131,597,622円を返還したことを公表した。 5 補助金適正化法による刑事処分 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律〈補助金適正化法〉には、以下のような罰則規定が置かれている。 サイオスにおいては、前述のとおり、交付された補助金の全額に加え、規程に基づく加算金を合わせて返還しているため、本規定が適用されるのか否かは現時点では不明であるが、安易な不正行為が、会社に経済的な損害を与えるのみならず、会社法違反に加え、刑事罰の可能性もあるということで、不正は割に合わない行為であることをあらためて印象づけられた事件でもあった。 (了)