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《速報解説》 既成市街地等内の中高層耐火共同住宅建築に係る買換え特例(措置法37条の5)の適用について文書回答事例が公表~一団の土地に建築された2棟の建物の取扱いを3つのパターンで確認~

 《速報解説》 既成市街地等内の中高層耐火共同住宅建築に係る買換え特例 (措置法37条の5)の適用について文書回答事例が公表 ~一団の土地に建築された2棟の建物の取扱いを3つのパターンで確認~   税理士 内山 隆一   以下では、国税庁ホームページに公表された文書回答事例「容積率の異なる地域にまたがる一団の土地の上に2棟の中高層耐火共同住宅が建築される場合における租税特別措置法第37条の5の規定による買換えの特例の適用について」(東京国税局、平成28年3月15日付)について解説する。   1 租税特別措置法第37条の5の規定の概要 (1) 制度の趣旨 三大都市圏の既成市街地等内について、土地の立体化・高度化による土地の有効利用を推進する観点から、既成市街地等内の土地等を譲渡し、その土地等の上に建設された一定のビルやマンションを取得する買換えについて、課税の繰延べが認められている。 (2) 規定の内容 個人が、次表に掲げる譲渡資産を譲渡し、その譲渡年の12月31日までに、次表に掲げる買換資産を取得し、かつ、その取得の日から1年以内に、その買換資産を、一号の買換資産についてはその個人の居住の用(親族の居住の用も可)、二号の買換資産についてはその個人の事業の用又は居住の用に供したとき又はこれらの用に供する見込みであるときは、その譲渡による所得について一定の課税の繰延べが認められる。   2 事前照会の内容 開発業者が、相互に隣接する土地の地権者甲、乙及び丙から土地を買い取り、地上階数3以上の中高層耐火共同住宅を建築する事業を行うにあたり、その土地が【図表1】のように都市計画法の用途地域が異なるため、容積率を最大限活用するため容積率の高い商業地域と容積率の低い準工業地域にそれぞれ【図表2】のように2棟の中高層耐火共同住宅を建築する場合の買換資産の範囲について、租税特別措置法第37条の5の第2号の買換資産の規定が、「当該事業の施行により当該土地等の上に建築された耐火共同住宅」となっていることから、一の開発事業の中で結果的に自らが譲渡した土地ではない土地に建築された建物等を取得した場合に、同条に規定する買換資産の取得として同条の適用が受けられるのかどうかを確認する事前照会があり、これについて事前照会者の見解のとおり買換資産として差し支えないとの回答があったものである。 なお、その確認内容は、次の3つの態様についてのものであった。   3 解 説 土地の開発事業は、通常ある程度の規模の一団の土地が必要となり、その地域が都市計画法の2以上の用途地域にまたがることも少なくない。 また、このような開発事業においては、隣接する複数の地権者が、必ず自らが譲渡した土地上に建てられた建物を取得できるとは限らず、例えば、譲渡した土地がその開発計画の中で結果的に共用の広場などになるようなことも考えられる。 租税特別措置法第37条の5第2号の規定は、土地の立体化・高度化を図ることで、限りある土地を有効活用し、住宅の供給を促進する趣旨のものであることから、ある程度大きな規模の土地開発が行われた際に、「当該事業の施行により当該土地等の上に建築された・・・」という規定をそのまま形式的に捉えるのではなく、「譲渡された土地を含む一団の土地の上に建築された・・・」と解釈し、事前照会のとおり租税特別措置法第37条第2号の規定を適用することができるということが確認されたということである。 なお、本件は、「一の開発事業」において一団の土地に建設された2棟の建物についての取扱いであり、「同一地域内で行われた異なる開発事業」であれば、このような取扱いはできないこととなるので注意したい(一号買換えは同一区域内の他の特定民間再開発事業等により建築された建物についても適用できる)。 (了)

#No. 166(掲載号)
#内山 隆一
2016/04/26

《速報解説》 ASBJ、「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」を公表~会計方針の変更に関する取扱い等、今回に限られた緊急対応を提案~

《速報解説》 ASBJ、「平成28年度税制改正に係る 減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」を公表 ~会計方針の変更に関する取扱い等、今回に限られた緊急対応を提案~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年4月22日、企業会計基準委員会は「平成28 年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第46号)を公表し、意見募集を行っている。 平成28年度税制改正において、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみとなる見直しが行われた。 公開草案は、当該税制改正に合わせ、平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物から減価償却方法を定額法に変更する場合に、当該減価償却方法の変更が正当な理由に基づく会計方針の変更に該当するか否かに関して、必要と考えられる取扱いを緊急に審議したものである。 意見募集期間は平成28年5月23日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 会計方針の変更に関する取扱い 会計方針の変更に関する取扱いとして、次の2つの事項が規定されている(公開草案2項、3項)。 公開草案は、取り扱う範囲を平成28年度税制改正に係る減価償却方法の改正に限定して緊急に対応したものであり、今回に限られたものとして提案されている(公開草案15項)。 また、今後、当委員会において、抜本的な解決を図るために減価償却に関する会計基準の開発に着手することの合意形成に向けた取組みを速やかに行うことを前提としている(公開草案14項)。 2 開示 公開草案2項に従って会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う場合、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)19項及び20項の定めにかかわらず、次の事項を注記する(公開草案4項、16項)。   Ⅲ 適用時期等 (了) ↓お薦め連載記事↓

#No. 166(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/25

《速報解説》 経済産業省、「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言」を公表~招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた制度整備を求める~

《速報解説》 経済産業省、「株主総会の招集通知関連書類の 電子提供の促進・拡大に向けた提言」を公表 ~招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた制度整備を求める~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年4月21日、経済産業省の「株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会」は、「株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言~企業と株主・投資家との対話を促進するための制度整備~」を公表した。 これは、企業と株主・投資家との対話を促進するという観点から、招集通知関連書類の電子提供を促進・拡大させる方向で柔軟に制度を整備していくことを求めるとともに、その具体的な制度設計の在り方や留意点について、企業実務等の観点を踏まえてとりまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 現行の会社法上の規定 株主総会の開催前に、上場会社が株主に提供すべきと会社法上定められている招集通知及び関連書類には以下のものがある。 招集通知及び関連書類の電子提供に関しては、会社法上、①事前の個別承諾による電子提供制度(会社法299条3項及び301条2項等)と②Web開示によるみなし提供制度(会社法施行規則94条1項、133条3項、会社計算規則133条4項、134条4項)の2つがある。 2 提言内容 提言は、法改正も前提とする様々な考え方の議論をもとに、株主の個別承諾なしに書面に代えて電子提供できる情報の範囲拡大等を内容とする「新たな電子提供制度」の整備を求めている。 「新たな電子提供制度」の利用に関しては、次の2つの案が示されたとのことである。 株主からの書面請求への対応に関しては、次の2つの案が示されたとのことである。 このほか、制度設計に際しての留意点や関係者及び対話支援産業への期待が述べられている。 (了)

#No. 166(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/25

《速報解説》 中小監査事務所等からの質問・提案を受け「監査ツール」の改正(公開草案)が公表~経営者による内部統制の無効化リスクへの対応など追加~

《速報解説》 中小監査事務所等からの質問・提案を受け 「監査ツール」の改正(公開草案)が公表 ~経営者による内部統制の無効化リスクへの対応など追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年4月21日、日本公認会計士協会は「監査基準委員会研究報告第1号『監査ツール』の改正について」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、中小監査事務所のツール利用者や品質管理レビューアーから寄せられた質問及び提案に基づき行ったものである。 意見募集期間は平成28年5月20日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応など 「Ⅱ 主要な概念」の「1.リスクモデル」に《(8)リスク・アプローチの限界を補う監査手続》が追加され、経営者による内部統制の無効化リスクへの対応(21-2項)と重要な取引種類、勘定残高、開示等の各々に対する実証手続を立案し実施すること(21-3項)が追加されている(公開草案11ページの図も修正、様式8-3、様式3-14)。 総勘定元帳に記録された仕訳入力、会計上の見積りにおける経営者の偏向、通例でないと判断されるその他の重要な取引などに関する監査手続が規定されている。 2 不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況の識別 以上の他、改正の対象となる様式が示されている。 (了)

#No. 166(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/22

《速報解説》 改正地域再生法が平成28年4月20日に公布、同日施行~企業版ふるさと納税がスタート

《速報解説》 改正地域再生法が平成28年4月20日に公布、同日施行 ~企業版ふるさと納税がスタート   Profession Journal編集部   平成28年度税制改正で創設された地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税は、既報の通り、地方公共団体が作成し国から認定を受けた「地域再生計画」に記載された事業(まち・ひと・しごと創生寄附活用事業)に対し、法人が寄附を行った場合、従来の損金算入特例(約3割)に加え、新たに法人事業税・法人住民税及び法人税の税額控除(約3割)が適用され、全体として寄附金額の約6割が軽減される特例措置だ。 (※) 財務省ホームページ 本制度の適用は3月末に公布された改正税法において「地域再生法の一部を改正する法律の施行の日」からと規定されており改正地域再生法の動向が注目されていたところ、このたび4月20日付け官報号外第92にて公布、同日施行された(附則第1条)。なお、同法に係る政令・府令も同日公布・施行されている。 このため企業版ふるさと納税は「平成28年4月20日から平成32年3月31日までに支出した寄附金」が適用対象であることが確定したが、上記の通り国から認定を受けた地域再生計画に記載された事業(まち・ひと・しごと創生寄附活用事業)に対する寄附に限定されているため、本制度適用の検討を行っている企業は、寄附を行う予定の各地方公共団体へ、認定等の進捗状況について確認が必要となる。 また、寄附額の下限が10万円であることや、本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外、寄附の代償として経済的利益を伴わないものであることなど、対象となる寄附には要件が付されている。 なお、改正地域再生法の公布・施行に伴い、内閣府(地方創生推進事務局)のホームページでは、「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)活用の手引き」など企業に向けたパンフレット等が公開されている。 ちなみに本制度は国税・地方税にまたがる制度であることから、改正税法においては、下記の条文にそれぞれ分かれて規定されているため、条文内容の確認に当たっては留意されたい(改正地域再生法における本制度の規定は第13条の2)。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 166(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/04/22

プロフェッションジャーナル No.166が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年4月21日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.166を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/04/21

日本の企業税制 【第30回】「法人実効税率引下げと税効果会計の対応」

日本の企業税制 【第30回】 「法人実効税率引下げと税効果会計の対応」   一般社団法人日本経済団体連合会 経済基盤本部長 小畑 良晴   〇はじめに 平成28年度税制改正に関する改正法案は、国税、地方税ともに、3月29日に可決成立し、同月31日に公布された。 今回の税制改正では、法人税の税率を現行23.9%から平成28年度に23.4%、平成30年度に23.2%とする一方、法人事業税所得割の税率を現行6.0%から3.6%(地方法人特別税を除くと0.7%)に引き下げることにより、法人実効税率(標準税率ベース)の20%台への引下げを達成した。 税率引下げの財源としては、課税ベースの拡大が行われる。法人税においては、生産性向上設備投資促進税制の縮減・廃止、建物附属設備及び構築物について新規取得分から減価償却方法の定額法への一本化、欠損金繰越控除上限の見直し、が行われる。 法人事業税においては、平成27年度税制改正では、平成28年度に外形標準課税(付加価値割、資本割)の割合を8分の4とすることとなっていたところ、さらにその割合を拡大し8分の5とする。この結果、付加価値割の税率は1.2%(平成27年度は0.72%)、資本割の税率は0.5%(平成27年度は0.3%)に引き上げられる。   〇税効果会計の対応 これまで、税効果会計において、一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算を行う際に適用すべき法定実効税率は、具体的には、3月決算の会社においては、改正税法が3月末までに「公布」され、将来の適用税率が確定している場合には改正後の税率を適用し(日本公認会計士協会会計制度委員会報告第10号「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」第18項)、3月末までに公布されず会計監査人の監査報告書日までに税率変更を含む改正税法が公布された場合には、税効果会計に関する注記において、その内容及びその影響を注記する(「税効果会計に係る会計基準」 第四 4)こととされていた。 なお、平成27年度税制改正において法人実効税率引下げが行われた際には、自治体の条例改正の時期が年度内の場合と新年度の場合とに別れたこともあり、企業会計基準委員会(ASBJ)から「議事概要別紙」として、改正法公布が4月以降の場合には、税率の変更の内容及びその影響を注記し、改正法公布は年度内だが条例公布は4月以降の場合には、従来標準税率が適用されていたときには改正後の地方税法に規定されている税率を適用し、超過課税が行われているときには決算日現在の超過税率分(超過課税と標準税率との差分)を改正後の地方税法上の標準税率に加算するという取扱いが示された。 今回の平成28年度改正に際しては、本年3月14日に、ASBJから、企業会計基準適用指針第27 号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」が公表され、こうした点については整理がなされた。 まず、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率については、従来の「公布日」基準を改め、決算日において「国会で成立している」税法に規定されている税率によることとなった。したがって、公布日(官報掲載)をチェックする必要はなくなった。 一方、改正条例が決算日以前に各地方公共団体の議会等で成立していない場合については、従来の条例において標準税率で課税することが規定されているときには、改正地方税法等に規定されている標準税率、従来の条例において超過課税が行われているときには、改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える差分を考慮する税率、とされた。   〇法人事業税の超過税の状況 平成28年度税制改正に際しては、平成27年度税制改正の場合とは異なり、法人事業税の超過課税を行っている東京都をはじめとする8つの地方自治体における条例改正は、揃って3月中に行われた。したがって、3月決算法人における法定実効税率は、改正後の条例に基づく税率を適用することとなる。 8つの地方自治体の超過課税は次のとおりである。 (※1) 付加価値割額1億4,000万円以下は1.2% (※2) 資本金等の額1億6,000万円以下は0.5% (了)  

#No. 166(掲載号)
#小畑 良晴
2016/04/21

平成28年度税制改正における減価償却制度の改正ポイント 【第2回】「資本的支出及び施行日前後の取扱いと留意点」

平成28年度税制改正における 減価償却制度の改正ポイント 【第2回】 「資本的支出及び施行日前後の取扱いと留意点」   公認会計士・税理士 新名 貴則   前回は改正の概要と経過措置規定について解説したが、今回は改正後の資本的支出の取扱いと施行日をまたぐ事業年度の取扱いについて解説する。   1 資本的支出の取扱い ① 原則的な取扱い 資本的支出を行った場合、原則として、新たに資産を取得したものとして元の減価償却資産(既存資産)とは別個に減価償却を行う。つまり、既存資産と種類及び耐用年数が同一の、新規の減価償却資産を取得したものとして資産計上し、減価償却を行うことになる。 したがって、建物附属設備や構築物について平成28年4月1日以後に資本的支出を行った場合は、既存資産の償却方法とは関係なく、別個に定額法で減価償却を行うことになる。 【原則的な取扱い】 ② 既存資産に旧定額法又は旧定率法を適用している場合の特例 平成19年3月31日以前に取得し、旧定額法又は旧定率法で償却を行っている既存資産に対して資本的支出を行った場合、既存資産の取得価額に加算した上で、旧定額法又は旧定率法で償却を行うことができる。 この特例は、平成28年度税制改正後も変わらず適用される。したがって、平成19年3月31日以前に取得し、旧定額法又は旧定率法で償却を行っている建物附属設備や構築物について、平成28年4月1日以後に資本的支出を行った場合でも、既存資産の取得価額に加算した上で旧定額法又は旧定率法で償却を行うことができる。 ③ 既存資産に定率法を適用している場合の特例 平成19年4月1日以後に取得し、定率法(250%定率法又は200%定率法)を適用している既存資産に資本的支出を行った場合、資本的支出にも定率法を適用しているときは、翌事業年度から両者を合算して償却することができる特例が設けられている。 具体的には、資本的支出を行った翌事業年度の期首から、その時点の既存資産と資本的支出の帳簿価額の合計額を取得価額とした、1つの減価償却資産を新たに取得したものとして償却することができる。 今回の改正の施行日(平成28年4月1日)を含む事業年度においては、平成28年3月31日までに行った建物附属設備及び構築物に係る資本的支出については、既存資産及び資本的支出ともに定率法を採用している場合は、上記の特例を適用することができる経過措置が設けられている。 ただし、平成28年4月1日以後の資本的支出については、新たな資産として定額法で償却する必要があるため、上記の特例は適用できない。 【9月決算法人の場合】   2 施行日をまたぐ事業年度の取扱い 建物附属設備又は構築物に定率法を適用していた場合、今回の改正の施行日が平成28年4月1日であることから、施行日をまたぐ事業年度においては、同じ建物附属設備又は構築物でも、定率法と定額法が混在する可能性がある。 【12月決算法人の場合】 同様に、施行日をまたぐ事業年度において、1つの既存資産に対して複数の資本的支出を行ったような場合も、施行日の前後で資本的支出の取扱いが異なる。 【12月決算法人の場合】 ※複数の資本的支出を行っている (連載了)

#No. 166(掲載号)
#新名 貴則
2016/04/21

改正国税通則法と新たな不服申立制度のポイント 【第4回】「その他改正事項と実務への影響」

改正国税通則法と 新たな不服申立制度のポイント 【第4回】 「その他改正事項と実務への影響」   弁護士 坂田 真吾   今回は、【第2回】、【第3回】で触れなかった改正点について述べる。なお、再調査の請求、審査請求の双方にわたる改正もあるが、以下、基本的には、審査請求に係る改正に重点を置く。   1 不服申立期間の延長 旧通則法では、課税処分等のち、異議申立てを行う場合、(一定の場合に)異議申立を行わずに直接審査請求をする場合について、処分があったことを知った日の翌日から起算して2ヶ月以内に異議申立て、審査請求を行う必要があった(旧通則法77条1項)。 これに対し、新通則法では、当該2ヶ月の期間が3ヶ月とされた(新通則法77条1項)。 また、旧通則法では、上記期間を遵守できないことに「天災その他やむを得ない理由があるとき」に例外を認めていたが(旧通則法77条3項)、当該例外の文言が「正当な理由があるとき」に変更された(新通則法77条1項ただし書)。   2 標準審理期間の設定 (1) 不服申立てに係る審理期間の目安を規定 旧通則法では、不服申立てに係る審理期間の目安について、特段の規定は置かれていなかったが、審理の遅延を防ぐため、新通則法においては、再調査の請求、審査請求における「標準審理期間」(不服申立てがなされてから決定、裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間)に係る規定が置かれた(新通則法77条の2)。 一方で、国税庁では、従前より、例年、実績の評価として異議申立ての3ヶ月以内の処理件数割合、審査請求の1年以内の処理件数割合を具体的な測定指標として定めており、いずれも9割以上の数値が定められている。 今回の法改正によって、例えば審査請求では次のように標準審理期間が定められた。 (2) 審査請求の流れ なお、審査請求の流れについてまとめると、次のとおりである。 (※) 国税不服審判所ホームページより 審判所では、合議体(担当審判官1名、参加審判官2名)が事案の調査・審理、合議を行い、議決書を作成し(新通則法98条4項)、各支部の所長の補助機関である法規審査部が当該議決書の内容を精査し表現の修正等を行い、本部所長名で裁決がなされる。 実際の流れは支部によって異なるが、大規模支部(東京、大阪など)では、審査請求から1、2ヶ月程度で合議体による当初合議が開催され、8、9ヶ月目頃までに事案の調査審理等を行って議決し、2、3ヶ月間法規審査部、支部所長がこれを精査して裁決を行うのが通常である。 そうすると、標準審理期間が1年とはいえ、合議体が実質的に事実関係を調査する期間は6、7ヶ月程度と考えた方がよい。 したがって、必要な主張や証拠の提出は、可能な限り審査請求の初期段階で提出し、審判所に十分な検討時間を確保させることが肝要である。   3 口頭意見陳述の整備等 (1) すべての審理関係人による口頭意見陳述が可能に 旧通則法においても、口頭意見陳述(異議申立人、審査請求人から口頭で意見を陳述したい旨の申し立てがあった場合にその機会を与えること)の規定は存在したが、新通則法においては、充実した審理とするため、担当審判官が期日及び場所を指定し、すべての審理関係人を招集して口頭意見陳述をさせることとされた(新通則法84条、95条の2)。 審査請求の場合には、請求人は、担当審判官の許可を得て、処分の内容及び理由に関し、原処分庁に対して質問を発することもできる。 (2) 改正後の口頭意見陳述の有効性 審査請求における従前の口頭意見陳述は、筆者としては意義に乏しい制度であったと考えている。すなわち、主張として述べたいことがあるのであれば主張書面を提出するべきであるし、担当審判官に聞きたいことがあるのであれば面談を申し出ればよいのであって、わざわざ口頭意見陳述を行う意味はあまりないように思われる。 これに対して、新通則法における口頭意見陳述では、上記のとおり、すべての審理関係人を招集することとされた。審理関係人とは、請求人、参加人(利害関係人)、原処分庁のことを意味する(新通則法92条の2)。 従前も、同席主張説明という、審判官が請求人及び原処分庁と同席の上、当事者から主張等について説明を求める手続が審判所の裁量で実施されていたが、法改正による口頭意見陳述は、請求人の求めによって開催され、原処分庁に対して質問をすることができることとなるので、うまく運用すれば、処分根拠の透明化、審理の充実等に資することとなると思われる。 なお、従前の同席主張説明では、審査請求は訴訟と異なり当事者双方に証拠が共通でない(原処分庁の記録はほぼ審判所が持つが、請求人には一部しか開示されない)ことから、訴訟の弁論準備手続のような内容に踏み込んだ争点整理が難しく、対象となる事案も限定されざるを得ないという限界があった。 新通則法では、前回述べたように、請求人の証拠の閲覧権限等が拡大し、従前よりも証拠の共有化が図られることから、口頭意見陳述による審理の充実や、審理計画の審理手続の計画的遂行(新通則法97条の2)が実を上げることになるかもしれず、実務の運用が注目される。   4 審理手続の終結 従前は、審判所による審理がいつ終了したかを請求人に通知する旨の規定はなかった。 新通則法では、担当審判官は、必要な審理を終えたと認めるときや提出を求めた物件が提出されなかった場合に審理を終結し、速やかに、審理関係人に審理手続を終結した旨を通知することとなる(新通則法97条の4)。 請求人による証拠の閲覧・謄写は、審理手続が終結するまでの間行うことができるとされ(新通則法97条の3)、かつ、原処分庁がいつ証拠を提出したかは請求人に明らかではないから、請求人としては、担当審判官に、審理手続の終結の見込みの時期を聞き、終結の前に、閲覧・謄写の申請をするといった対応が必要となるであろう。 (了)

#No. 166(掲載号)
#坂田 真吾
2016/04/21

包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第13回】「行為・計算」

包括的租税回避防止規定の 理論と解釈 【第13回】 「行為・計算」   公認会計士 佐藤 信祐   前回は、東京地裁昭和45年2月20日判決、大阪高裁昭和35年12月6日判決の解説を行った。本稿では、最高裁昭和52年7月12日判決(山菱不動産株式会社事件)について解説を行う。   (2) 最高裁昭和52年7月12日判決(TAINSコード:Z095-4019) ① 第一審(東京地裁昭和47年9月12日判決:TAINSコード:Z066-2950) ② 控訴審(東京高裁昭和49年10月29日判決:TAINSコード:Z077-3434) ③ 裁判所の判断 ④ 評釈 このように、第一審と異なり、控訴審では、未収利息相当分の損金算入否認を特に不当として争われている。 納税者は、 と主張しており、貸付けという行為についてはともかく、未収利息の計上という計算に対して否認することは困難であるという主張をしているようである。 これに対する裁判所の判断は、「元本債権に附帯する未収利息債権が運命を共にするものとして、同様の理由により損金算入を否定されることになるのは、行為計算否認の制度趣旨と利息債権の法的性質からやむをえない」というものであり、やや納得感に欠ける。それが故に、上告理由でも、行為計算否認の制度趣旨、利息債権の法的性質、期間計算の建前の3つを挙げたうえで、未収利息債権については貸倒損失を認めるべきであるとしている。 なお、実務上は、不採算のグループ会社に対する貸付金であっても、法人税基本通達9-4-2に該当しない場合には、利息相当部分について寄附金として処理される。そして、法的に利息を認識した場合において、当該未収利息について債権放棄を行ったときは、同通達に該当しない限り、当該債権放棄により生じた損失は、寄附金として損金の額に算入することができないというのは一般的な認識であると思われる。 本事件では、同族会社等の行為計算の否認を適用しているが故にやや分かりにくいものとなっているが、少なくとも現在の法制度では、個別否認規定で否認されるべきものであり、納税者の主張が通る余地はほとんどないと思われる。 次回では、東京地裁平成元年4月17日判決、福岡地裁平成4年2月20日判決、福岡高裁平成11年11月19日判決について解説を行う予定である。 (了)

#No. 166(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/04/21
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