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〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第26回】「公益法人が作成する契約書等」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第26回】 「公益法人が作成する契約書等」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   公益法人の場合、契約書や領収書に印紙税がかからない場合があると聞きました。 事例1、事例2は公益法人が作成する文書ですが、印紙税の取扱いはどうなりますか。 【事例1】 契約書の場合 【事例2】 領収書の場合   【事例1】 公益法人が作成する「清掃業務請負契約書」は営利法人と同様に印紙税が課税される。事例の場合は、清掃業務を継続的に行うために定めた文書であるが、公益法人は第7号文書の要件である営業者には当たらないため、第7号文書には当たらず、第2号文書(請負に関する契約書)に該当し、当契約書は記載金額の計算ができないことから、記載金額なしの印紙税額は200円となる。 【事例2】 「領収書」は公益法人の場合、営業に関しない受取書に該当し、非課税となる。   [検討1] 公益法人は営業者となるか 公益社団法人、公益財団法人、宗教法人、学校法人、医療法人及び社会福祉法人等の公益法人は、公益を目的とし、かつ営利を目的としない法人であるため、印紙税法上の「営業者」には該当しない。したがって、事業のうち出版や物品販売等の収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当する。 また、行政庁の公益認定を受けていない一般社団法人、一般財団法人については公益法人ではないが、会社以外の法人のうち、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができないものは営業者に該当しないこととされている。したがって、この要件に該当する一般社団法人、一般財団法人が作成する金銭又は有価証券の受取書は、収益事業に関して作成するものであっても、営業に関しない受取書に該当し、非課税となる。 [検討2] 継続的取引の基本となる契約書の範囲 第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)の要件は、請負契約の場合、特約店契約書その他名称のいかんを問わず、営業者の間において、請負に関する2以上の取引を継続して行うために作成される契約書で、当該2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格を定めるものとされる。 したがって、公益法人の場合、そもそも営業者には該当しないため、第7号文書に該当しない。   ▷ まとめ   (了)

#No. 166(掲載号)
#山端 美德
2016/04/21

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第12回】「アプライド事件」~最判平成17年1月25日(民集59巻1号64頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第12回】 「アプライド事件」 ~最判平成17年1月25日(民集59巻1号64頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 166(掲載号)
#菊田 雅裕
2016/04/21

IFRS第16号「リース」の要点と実務への影響 【第2回】「新基準の概要と実務への影響」

IFRS第16号「リース」の要点と実務への影響 【第2回】 「新基準の概要と実務への影響」   公認会計士 松橋 香里   4 新基準の概要 借手はリース開始日に原則として全てのリースをオンバランス処理しなければならない。ただし、短期リース及び少額資産のリースに関しては例外的にオフバランス処理が認められている。これに対し、貸手についてはIAS第17号から大きな変更はない。すなわち、リース取引をオペレーティング・リースまたはファイナンス・リースに分類し、それぞれに対して異なった会計処理を適用する。 以下、借手の会計処理を中心に解説する。 (1) リースの識別 リースとは、「資産を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部分」と定義される。IAS第17号のような、リスクと経済価値が貸手から借手に移転する程度に基づいたリースの分類は採用されない。 ここで重要なのは、顧客が“資産を使用する権利”を有しているか否か、言い換えれば、借手が資産の使用権を得て「支配」を有していることに焦点が当てられている点である。 具体的には、以下の3要件全てを満たす場合には、リースに該当する。 (2) 借手の会計処理 ① 貸借対照表 原則として全てのリースについて、貸借対照表上でリース負債および対応する使用権資産を認識する。 リース負債は、リース期間にわたる未決済リース料総額の割引現在価値として測定される。使用権資産は、リース負債の当初測定額に一定の調整額を加えた額として測定される。 リース期間とは、解約不能期間に借手によるオプションの行使が合理的に確実な期間を加えた合計として算定される。測定にあたっては、リース期間をどのように定めるかが貸借対照表価額に大きな影響を与える。 ② 損益計算書 使用権資産について減価償却費、リース負債から生じた利息を損益計算書に計上する。 ③ 表示 損益計算書上の表示への影響として、IAS第17号ではオペレーティング・リースに関連する費用を営業費用に計上していたが、今後は減価償却費を営業費用に、利息費用を金融費用に計上する。 また、キャッシュ・フロー計算書への影響として、IAS第17号ではオフバランスであるが故に営業キャッシュ・フローとして処理されていたリース負債(元本)の返済に該当する金額を財務活動によるキャッシュ・フローとして表示することになる。 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローの金額は減少、財務活動によるキャッシュ・フローの金額は増加する。 ④ 例外的処理 原則として、全てのリース取引が貸借対照表に計上されることになるが、2つの例外が存在する。 以下いずれかに該当する場合は、リースを貸借対照表に計上せず、支払リース料総額をリース期間にわたり費用として会計処理することが容認される。   5 開示事項 新基準の適用に伴い、従来に比べて開示の範囲も拡充する。 (借手) 新基準では開示の目的が「リースが借手の財政状態、財務業績及びキャッシュ・フローに与えている影響を財務諸表利用者が評価するための基礎を提供すること」であることが明示されている。これに従い、以下に関する情報の開示が求められる。なお、使用権資産及びリース負債について、期首残高と期末残高の調整表の開示までは求められていない。 ● 定量的開示(原則として表形式) - 使用権資産の減価償却費 - リース負債から生じた利息 - 短期リースの費用 - 少額資産のリースの費用 - 変動リース料に係る費用 - 使用権資産の転リースからの収益 - リースに関するキャッシュ・アウトフローの合計額 - 使用権資産の増加 - セール・アンド・リースバック取引から生じた利得及び損失 - 使用権資産の期末の帳簿価額 - リース負債の満期分析 ● 追加的開示 開示目的を満たすために必要な追加情報を開示する。   6 その他 米国FASBにおいても基準の開発が進められており、2016年2月に改訂基準の公表が予定されている。その内容について、IFRSとは一部重要な差異が存在することが見込まれる(本稿執筆現在)。 基準の発効に伴い、現行のIAS第17号「リース」、IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」、SIC第15号「オペレーティングリース-インセンティブ」、SIC第27号「リースの法形式を伴う取引の実質の評価」が廃止される。 (連載了)

#No. 166(掲載号)
#松橋 香里
2016/04/21

〔経営上の発生事象で考える〕会計実務のポイント 【第4回】「工場閉鎖の決定の場合」

〔経営上の発生事象で考える〕 会計実務のポイント 【第4回】 「工場閉鎖の決定の場合」   仰星監査法人 公認会計士 竹本 泰明     1 工場閉鎖の決定によって一般的に考えられる事象 工場の閉鎖が決定された場合、今後どのようなことが起こると想像されるであろうか。 まずは、工場を閉鎖するため、これまで獲得していたキャッシュが、今後は獲得できなくなることが考えられる。また、閉鎖によって当初予定よりも早期に固定資産の使用が中止されることが見込まれる。さらに、工場で働いていた従業員に対する手当ても必要になるであろう。 これらの想像される事象を踏まえて、個々の会計処理についてみていく。   2 減損損失の認識の判定 資産又は資産グループが使用されている範囲又は方法について、例えば、資産又は資産グループの稼働率が著しく低下した状態が続いており、著しく低下した稼働率が回復する見込みがないような、当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化が生じたか、又は、生ずる見込みである場合には、減損の兆候となる(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」第13項)。 また、減損の兆候とは、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象であるため、回収可能価額を著しく低下させる変化が生じる見込みである場合も該当する。このため、実際に変化が生じた場合のみならず、取締役会等において決定された段階で減損の兆候に該当することとなる(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」第82項)。 したがって、工場閉鎖の決定は、使用方法について回収可能価額を著しく低下させる変化が生じる見込みがあるため、減損の兆候に該当する。 なお、工場閉鎖の決定について、社内規定等に基づき、他に決定権限が委譲されている場合には、取締役会でなくても、当該決定権限に従った権限者が承認した時点で減損の兆候となる。 減損の兆候が認められる場合、減損損失の認識の判定という次のステップに進む必要があるが、減損損失の認識の判定以降のステップの詳細はベーシック会計Q&Aをご参照いただきたい。   3 固定資産の耐用年数の見直し 減価償却は耐用年数(経済的使用可能予測期間)にわたって固定資産の適正な原価配分を行うため、固定資産の使用状況や環境の変化等によって、当初予定による残存耐用年数と将来の経済的使用可能予測期間にかい離が明らかになった場合には、耐用年数を変更する必要がある。 工場閉鎖の決定が行われた場合、通常、経済的使用可能予測期間が当初予定よりも短くなることが想定される。そのため、固定資産の耐用年数を工場閉鎖の時期まで短縮する変更が必要となる。 なお、固定資産の耐用年数の見直しに関する具体的な会計処理については、ベーシック会計Q&Aをご参照いただきたい。   4 リストラクチャリング引当金の計上 工場閉鎖の決定によりリストラクチャリング引当金が計上されることがある。そのため、工場閉鎖に伴い将来に発生が見込まれる費用又は損失について、リストラクチャリング引当金の計上を検討する必要がある。 どのような費用・損失が対象となるかは、以下の「企業会計原則」注解18の要件に合致するか否かによって異なるが、事例では賃借契約の解約に伴う中途解約違約金や割増退職金等が引当金に含まれているようである。 なお、工場に勤務する従業員に対して割増退職金を支給する場合、引当金として計上する時期に注意が必要である。 工場閉鎖を決定したのみの段階では、従業員にも知らされていないことから、工場閉鎖の実行可能性が不透明な場合や合理的な見積りが困難な場合が多く、一般的には、引当金の認識要件を満たさないと考えられる。 人員整理の規模・金額の概要を含むリストラクチャリング計画が従業員に周知された段階では、リストラクチャリングの実行可能性が高まり、金額の合理的な見積りも可能となるケースもあると想定されるため、引当金の認識要件を満たすことがあると考えられるが、労使関係等の状況によって慎重な判断が必要となる。 早期退職の募集が開始された場合には、募集期間が終了していない段階であっても、リストラクチャリング計画が従業員に周知された段階と同様に、応募人員や金額の合理的な見積りが可能となるときもあると想定されるため、引当金の認識要件を満たすことがあると考えられる。 早期退職の募集期間が終了し、早期退職者が確定した段階では、割増退職金は債務として確定しているため、未払退職金等として計上される。 (※)上記は一般的に考えられる会計処理について解説したものであり、会計処理のすべてを網羅的に解説したものではない。   【検討事項のチェックリスト】 ~工場閉鎖の決定の場合~ ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (了)

#No. 166(掲載号)
#竹本 泰明
2016/04/21

金融商品会計を学ぶ 【第19回】「任意組合・匿名組合等、建設協力金等の会計処理」

金融商品会計を学ぶ 【第19回】 「任意組合・匿名組合等、建設協力金等の会計処理」   公認会計士 阿部 光成   今回は「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号。以下「金融商品会計基準」という)及び「金融商品会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第14号。以下「金融商品実務指針」という)における任意組合、匿名組合等への出資の会計処理及び建設協力金等・敷金の会計処理について述べる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 任意組合、匿名組合等への出資の会計処理 任意組合、匿名組合、パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ等への出資の会計処理は、次のように規定されている(金融商品実務指針132項、308項)。 任意組合、匿名組合、パートナーシップ、リミテッド・パートナーシップ等については、多様な実情を踏まえ、組合等への出資(有価証券とみなされるものを含む)については、その契約内容の実態及び経営者の意図を考慮して、経済実態を適切に反映する会計処理及び表示を選択することとなる(金融商品実務指針308項)。   Ⅱ 建設協力金等・敷金の会計処理 将来返還される建設協力金等の差入預託保証金は、金銭債権であるので、金融商品会計基準の対象である(金融商品実務指針10項)。 建設協力金は、建物建設時に消費寄託する建物等の賃貸に係る預託保証金であり、契約に定めた期日に預託金受入企業が現金を返還し差入企業がこれを受け取る契約である(金融商品実務指針221項)。 1 建設協力金等の会計処理 将来返還される建設協力金等の差入預託保証金(敷金を除く)の会計処理は次のようになる(金融商品実務指針133項、309項)。 将来返還される差入預託保証金のうち現在価値に割り引かないものは、債権に準じて処理する。 差入預託保証金のうち、将来返還されない額は、賃借予定期間にわたり定額法により償却する。 預り預託保証金についても、差入預託保証金等と同様に処理する。 2 敷金の会計処理 敷金は取得原価で計上する(金融商品実務指針133項)。 敷金は、賃料及び修繕の担保的性格を有し償還期限は貸借契約満了時であり、法的には契約期間満了時に返還請求権が発生すると解されており、通常無金利である(金融商品実務指針309項)。 ただし、次のことに注意する(金融商品実務指針133項)。 賃貸人の支払能力から回収不能と見込まれる金額がある場合には貸倒引当金を設定する(金融商品実務指針133項)。 3 割引率 割引率は次のように算定する(金融商品実務指針133項、309項)。 (了)

#No. 166(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/21

〔誤解しやすい〕各種法人の法制度と税務・会計上の留意点 【第1回】「一般社団法人」

〔誤解しやすい〕 各種法人の法制度と 税務・会計上の留意点 【第1回】 「一般社団法人」   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎 公認会計士・税理士 濱田 康宏   ▷ 法制度について 1 はじめに 日本には、株式会社以外にも一般社団法人、医療法人、NPO法人のように多様な法人が存在する。社会ニーズの多様化や株式会社の数の減少等もあり、本ウェブサイトの中心的読者である税理士、公認会計士等の専門家にとっても、顧客への提案や新たな顧客の獲得のためにも、これら株式会社以外の法人の制度への正しい理解は欠かせないといえる。 本連載では、株式会社以外の法人を「各種法人」と定義し、その法制面と税務・会計面において知っておくべき知識を紹介する。   2 一般社団法人とは 一般社団法人は、「一般社団法人及び財団法人に関する法律」(以下、「一般法人法」という)の規定に基づき設立された構成員に対して剰余金または残余財産を分配しないという性質を有する非営利の社団法人である。 一般社団法人が「公益社団法人及び公益財団法人の認定に関する法律」(以下、「認定法」という)に基づき公益認定を受けると、公益社団法人となる。 一般社団法人と公益社団法人は、別の種類の法人というわけではなく、一般社団法人が公益認定という王冠を授かることによって誕生するイメージである。   3 一般社団法人誕生の背景 いわゆる公益法人制度改革によって、行政との癒着等が批判されていた従来の民法法人である社団法人制度は廃止され、改正前の民法法人は、特例民法法人として一般法人法施行の5年後である平成25(2013) 年11月30日までの移行期間の間に、定款を一般法人法に合致するものに変更したうえで、認定法の要件を満たして公益社団法人に移行する認定を受けるか、公益認定を受けずに一般社団法人へ移行する認可を受けなければ、移行期間満了と同時に解散となることとされた。 つまり現在存在する一般社団法人には、従来の民法法人が一般社団法人化した法人と一般法人法に基づき新規に設立された法人が存在する。   4 準則主義 一般社団法人は株式会社と同様に、登記によって成立する(一般法人法22条)。設立自体に許認可が必要となるのではない。 主な流れは次のとおりである。 定款には目的も記載するが、法令上特に目的に制限はない。 株式会社のように不動産事業や、物販などの事業を目的とすることもできるし、株式会社では認められないようにボランティア事業などを目的とすることができる。   5 機関 一般社団法人の場合、(ⅰ)法人の最高意思決定機関である社員総会、(ⅱ)業務執行を行う理事1人が最低限必要な機関である。 設立時には社員が2人必要であり、そのうち1人を理事とすることで最低2人で設立することができる。設立後社員が1人になった場合でも、解散事由とはならない(一般法人法148条4号)。 定款の定めにより、理事会・監事・会計監査人を設置することができる(一般法人法60条2項)。理事会を設置した一般社団法人は、監事を設置しなければならない(一般法人法61条)。 また、最終の事業年度の貸借対照表上の負債の部の計上額が200億円以上である大規模一般社団法人(一般法人法2条2号)は、会計監査人を設置しなければならない(一般法人法62条)。 理事、監事および会計監査人は、社員総会によって選任され(一般法人法63条1項)、その任期はおおむね理事が2年、監事が4年、会計監査人が1年である(一般法人法66条・67条1項、69条1項)。ただし、会計監査人には、みなし再任規定の適用がある(一般法人法69条2項)。   ▷ 税務・会計について 1 公益認定を受けていなければ株式会社に準じた処理が可能 公益認定を受けていない場合あるいは旧公益法人からの移行法人以外は、企業会計に準じた会計処理が可能である。極論すれば、一般的には、運用次第で、市販の株式会社向け会計ソフトを流用することも可能である。ただし、運用上の注意点があるため、税務・会計の専門家の助言を受けておくことをお勧めする。 これに対して、公益認定を受けている場合には、公益法人会計基準に準拠した処理を行うことが必要である。科目処理・財務諸表名称も独特であり、公益目的事業会計・収益事業等会計・法人会計の区分を設けて処理を行うなどの特徴がある。対応した市販ソフトを購入すると、それなりに高額である。本稿では、公益認定を受けている場合の処理については、これ以上触れない。   2 一般社団法人・一般財団法人には出資持分の定めがないため、純資産の部が全く異なる (1) 会計 公益認定を受けていない場合、基本的には、企業会計と同様の処理が可能である。ただし、一般社団法人・一般財団法人には、出資の受入れ勘定である資本金が存在しない。そのため、資本金勘定あるいは準備金勘定は存在しない。 ここで注意すべきは、一般社団法人に限り、基金勘定が存在していることである。この基金は、劣後債務であるため、純資産の部に表示されることになる。しかし、基金は資本金とは全く異質である。情報調査機関などのレポートなどでは、ときに、この基金額を資本金額として表示している例があるが、間違いである。 (2) 税務(法人税) 法人税計算では、会計同様、資本金の額がないことに加え、税務上の拠出資本を表わす資本金等の額が存在しないことになる。税務上の純資産額は、利益積立金額のみになる。 ここで所得計算は、その法人が、特別の利益供与を行わないなどの一定の要件を充たす非営利型法人の場合または公益認定法人には、34業種の収益事業にのみ課税される。しかし、この要件を充たさなければ、株式会社同様に、すべての所得に課税が行われる。34業種の収益事業は、公益認定における収益等事業とは全く別個の法人税法の概念であるが、混同しがちであり注意が必要である。 なお、実務的には、この税務上の収益事業を把握するために、会計上の部門別会計を利用するなどの工夫が行われるのが一般的である。 (3) 税務(消費税) 消費税計算では、課税事業者となる場合の仕入税額控除において、株式会社と異なる特殊規定がある。会費などの対価性のない収入額について、特別な計算が必要になる。 (4) 税務(相続税・贈与税) 一般社団法人・一般財団法人が所有する財産には、現行法上、相続税が課されない。このため、個人からの財産移転における租税回避防止規定が用意されているが、本稿では、存在の指摘に留める。   3 純資産規定が異なることが影響する項目に注意する (1) 資本金 法人税法においては、交際費限度額計算や中小企業税制において、資本金基準が存在するが、これらについて、別途規定により計算することになる。また、消費税法における小規模免税規定における資本金額基準も発動しない。繰り返すが、基金は、資本金ではない。 (2) 資本金等の額 寄附金限度額計算において、資本金等の額を用いる計算は使えない。また、地方税均等割計算における基準でも同様である。なお、人数計算は不要であるが、地方公共団体によっては、誤解している例があるようなので、注意が必要である。   ▷ 具体的な活用事例 一般社団法人の活用事例としては、事業承継に向けた株式の保有法人としての活用方法、検定試験などの制度普及に向けた団体の受け皿としての活用などの活用が実際になされている。 一般社団法人の出資持分がない、登記のみでできるという特徴を生かした活用が広がっている。 (了)

#No. 166(掲載号)
#北詰 健太郎、濱田 康宏
2016/04/21

税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第18回】「融資実行後における税理士の役割」

税理士ができる 『中小企業の資金調達』支援実務 【第18回】 「融資実行後における税理士の役割」   公認会計士・中小企業診断士・税理士 西田 恭隆   前回まで、会社が金融機関に融資を申し込むにあたり、税理士が支援できる内容について解説してきた。今回は、融資を受けた後における税理士の役割を解説する。 融資後の主な役割は、金融機関に対する実績報告を助けること、そして再度、追加の資金調達が必要になった場合に会社を支援することである。   実績報告の支援 融資実行の条件として、金融機関から実績の報告を求められることがある。「年に1回、税務署に提出した決算申告書を提出してください」、「半年に1回、中間時点と本決算の実績を報告してください」、「毎月上旬までに先月分の合計残高試算表と最新の資金繰り表を提出してください」等である。融資金額が多かったり、返済が滞ったりすると、求められる報告頻度は多くなる。 税理士はこの報告に関して、社長を支援できる。【第9回】から【第15回】で解説した各書類の作成ポイントを押さえつつ、合計残高試算表や決算申告書、資金繰り表等の作成を支援する。書類提出後、金融機関から計数に関する質問があった場合、回答を社長に伝える点も同様である。 記帳代行業務を行う税理士であれば、期中の合計残高試算表の作成や月次決算処理を通して存在感を示す機会が増えるだろう。相談業務のみの税理士も、チェック作業を請け負うことで会社に関与する機会が増える。   計画と実績の差異報告も支援 金融機関は、会社が提出した事業計画書を信用して融資を実行したのであるから、その計画数値と実績数値の対比表も提出し、「事業は計画通りに進んでいる」とアピールしても良い。会社及び社長の信用は良くなる。 対比表は月次事業計画書に実績と差異の列を加えるだけである。以下に一例を示す。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 目安として、売上・利益の実績が計画の80%に届かない場合、その原因と次月以降の対策も合わせて金融機関に報告すると良い。経営内容について厳しい指摘を受けるのではないかと思われるかもしれないけれども、そんなことはない。返済が予定通りに行われているうちは、問題ない。むしろ会話の中で金融機関担当者から有益な助言を得られる場合もある。資金繰り表も同様である。直近の実績を反映し、今後も資金ショートの危険はなく、返済が問題なく行われることを金融機関にアピールする。 といっても、金融機関の方もお忙しいので、訪問して報告したい場合は、社長から事前に連絡を入れ、都合の良い日時を調整した方が良い。   追加融資の依頼に対応する 融資を受けた後しばらくして、社長から「追加の融資を受けたい」と相談を受ける場合がある。追加融資の支援内容は、金融機関に初めて融資を申し込む場合と基本的に同じである。 一度、融資を受けたことのある金融機関に対し、再度、融資を申し込む場合は、決算書等の実績関係の書類だけで済む場合がある。金融機関はすでに、前回提出した事業計画書を通して、会社の概要や強み、事業内容を理解しているからである。その他提出する可能性がある書類としては、資金繰り表及びその根拠としての月次事業計画書の計数情報である。金融機関や社長の要望に従い、対応する。計数関係の書類のみであるから、作成にそれほど手間はかからない。 追加融資の申込先として、取引関係のない金融機関に初めて申し込む場合や、既存事業と異なる、全く新しい事業に進出するための融資を申し込む場合は、文章の部分を含めて、事業計画書を新しく作成する必要がある。そのように助言し、支援する。   報酬交渉を行う 現在の税務顧問報酬の中に、資金調達支援にかかる報酬が含まれていないのであれば、融資実行後のタイミングは報酬増額を交渉する良い機会である。支援の結果、無事に融資を得られたのであれば、社長の印象は良いであろうし、資金繰りに余裕がある時に報酬アップ交渉を持ちかけた方が、まとまる可能性は高い。 残念ながら、良い結果を得られなかった場合は、このような交渉は難しいけれども、支援の姿勢は評価してもらえることが多い。税理士にとっては社長との信頼関係、存在感の強化という成果が残る。「再挑戦の際には、最善を尽くす」と約束すれば心強く感じてもらえるであろう。なお、融資を断られた後、金融機関に再度申し込むには、考えられるマイナス要因を取り除き、少なくとも半年以上期間を空ける必要がある。 *   *   * 以上のとおり、融資実行後は、金融機関に対する実績報告及び追加融資の申込について、税理士は支援、助言することができる。 特に、事業計画書の計画値と実績値の比較検討、差異原因の把握と対策は、第三者の客観的な視点が有効である。税理士との質問、回答を繰り返すことによって社長の考えは整理されていく。これは経営コンサルティング業務に他ならない。 計画と実績の比較検討を繰り返して経営を改善していく方法は、本来、金融機関への報告とは関係なく、会社が自主的に行うべきことである。次回は、税理士がこの方法を支援することによって、経営コンサルタントとしての役回りができることを解説する。 (了)

#No. 166(掲載号)
#西田 恭隆
2016/04/21

《速報解説》 所得税基本通達、学資金に係る非課税範囲の見直しにより一部改正~平成28年4月1日以後給付されるものから適用~

 《速報解説》 所得税基本通達、学資金に係る非課税範囲の見直しにより一部改正 ~平成28年4月1日以後給付されるものから適用~   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成28年度税制改正では、所得税が非課税となる学資金について、範囲の一部に見直しが行われている。この見直しに伴い、所得税法基本通達の一部が改められ、3月31日付で公表された(ホームページ公表日は4月5日)。   (1) 平成28年度税制改正の概要 奨学金など、学資に充てるために給付される金品(学資金)は、原則として非課税所得として扱われるが、学資金であっても「給与その他対価の性質を有するもの」は、給与課税の対象となる(所法9①十五)。 平成28年度税制改正で、この「給与その他対価の性質を有するもの」から「給与所得者がその使用者から受けるもので、通常の給与に加算して受けるもの」が除かれることとなった。つまり、使用者から支給を受けていても、「通常の給与に加算して受けるもの」であれば、所得税は非課税となる。 ただし、役員に対する学資金や、従業員の配偶者や親族等に対する学資金は、通常の給与に加算して受けるものであっても従来どおり給与課税の対象となる。 この改正は、平成28年4月1日以後給付される学資金に適用される。   (2) 改正の背景 改正の背景には、厚生労働省の平成28年度税制改正要望「地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益の非課税措置の創設」がある。 今回の改正により、地方自治体が設置主体である医療機関に勤務する医師が、その地方自治体から修学等資金の返還免除を受けた場合にも、債務免除による経済的利益は給与課税されない。 改正の対象は、医師が受けた債務免除による経済的利益に限定されていないため、たとえば、企業が卒業後の勤務を条件として学生に奨学金を貸与し、一定期間勤務した後に奨学金の返還を免除した場合等にも適用される。   (3) 公表された基本通達の概要 公表された基本通達の内容をまとめると、次のとおりである。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 165(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/04/21

《速報解説》各委員会報告を改訂・統合した「公益法人会計基準に関する実務指針」が確定~コメント対応も同時公表~

《速報解説》 各委員会報告を改訂・統合した 「公益法人会計基準に関する実務指針」が確定 ~コメント対応も同時公表~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年3月22日、日本公認会計士協会は非営利法人委員会実務指針第38号「公益法人会計基準に関する実務指針」を公表した。 これは、平成27年4月24日に内閣府公益認定等委員会委員長から日本公認会計士協会会長あてに「公益法人の会計に関する諸課題の更なる検討について(協力依頼)」が発出されたことを受けたものである。また、非営利法人委員会報告第28号、第29号、第31号及び第32号に必要な改訂を行った上で、各委員会報告を統合している。 実務指針の公表に際して、「非営利法人委員会実務指針『公益法人会計基準に関する実務指針』(公開草案)に対するコメントの概要及び対応について」が公表されている。 これにより、平成28年2月24日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 実務指針は、Q&A形式で、次の事項に関する49項目を取り上げている。 社団法人・財団法人は、法令によって特定の会計基準の適用が強制されていないため、自らの判断によって、採用する財務報告の枠組み(会計基準)を選択適用することになる(Q1)。 ただし、「新たな公益法人制度への移行等に関するよくある質問」(FAQ)(平成27年4月版内閣府)問Ⅵ-4によれば、いずれの法人類型も利潤の獲得と分配を目的としない非営利法人であることから、「通常は、公益法人会計基準を企業会計基準に優先して適用することになる」と述べられている。 また、公益法人会計基準について(平成20年4月11日 内閣府公益認定等委員会、平成21年10月16日改正)別紙公益法人会計基準を選択適用している法人が多いと思われると述べられている。 実務指針は、寄付の取扱いとその会計処理、有価証券の評価とその会計処理、固定資産の減損会計、税効果会計などについて、設例と仕訳を用いて丁寧に記載している。   Ⅲ 適用時期等 公表日(平成28年3月22日)から適用する。 「公益法人会計基準に関する実務指針」(非営利法人委員会報告第28号)、「公益法人会計基準に関する実務指針(その2)」(非営利法人委員会報告第29号)、「公益法人会計基準に関する実務指針(その3)」(非営利法人委員会報告第31号)及び「公益法人会計基準に関する実務指針(その4)」(非営利法人委員会報告第32号)は廃止する。 (了)

#No. 165(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/20

《速報解説》 「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」、正式公表

《速報解説》 「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」、正式公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年4月13日、金融庁の金融審議会は、第5回のディスクロージャーワーキング・グループを開催し、「金融審議会『ディスクロージャーワーキング・グループ』報告(案)-建設的な対話の促進に向けて-」を提示した。 その後、4月18日に、報告(案)は「金融審議会『ディスクロージャーワーキング・グループ』報告-建設的な対話の促進に向けて-」として公表され、4月19日の第37回金融審議会総会・第25回金融分科会合同会合に提出、報告された。 金融審議会では、企業と投資者の建設的な対話を促進する観点も踏まえつつ、投資者が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するための情報開示のあり方等を検討していた。 以下では、報告(案)からの主な変更点を踏まえつつ、確定した報告について述べる。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 建設的な対話の促進に向けた開示のあり方 1 開示内容の整理・共通化・合理化 現在の開示制度を見直し、全体として、より適時に、かつ、より効果的・効率的な開示が行われるよう、開示に係る自由度を向上させることが重要であるとしている。 以下のように開示制度の見直しが述べられている。 2 対話の促進に向けた開示の日程・手続のあり方 次のことが述べられている。   Ⅲ 非財務情報の開示の充実 非財務情報は、有価証券報告書のMD&Aや事業等のリスク、コーポレート・ガバナンス報告書におけるガバナンス情報、CSR(企業の社会的責任)報告書、環境報告書等で開示されている。 非財務情報は、今後とも、ステークホルダーのニーズに応じて企業の創意工夫を生かした開示を行っていく観点から、任意開示の形で充実させていくことが考えられる。 一方、非財務情報の内容によっては、制度上、開示を義務付けるべきものが出てくることも考えられている。   Ⅳ 単体財務諸表におけるIFRSの任意適用 単体財務諸表や会社法上の計算書類についてもIFRSに準拠して作成することを認めてほしいという要望があり、関係省庁において検討を進めることが望まれる。   Ⅴ 情報の公平・公正な開示についてのルール 諸外国では、企業が情報をタイムリーに公表するためのルールとともに、公表前の内部情報を特定の第三者に提供する場合に当該情報が他の投資者にも同時に提供されることを確保するためのルール(フェア・ディスクロージャー・ルール)がある。 近年、企業の内部情報を顧客に提供して勧誘を行った証券会社に対する行政処分の事案において、上場会社が当該証券会社のアナリストに未公表の業績に関する情報を提供していたなどの問題が発生しているとのことである。 こうした状況を踏まえれば、企業による公平・公正な情報開示により、株主・投資者との建設的な対話を促進するとともに、市場参加者の信頼を確保するため、我が国においても、フェア・ディスクロージャー・ルールの導入について、具体的に検討する必要があるものと考えられると述べている。   Ⅵ 中長期的な視点からの投資判断 報告(案)では「投資者のリテラシー向上に向けた取組み」であったが、確定した報告では「中長期的な視点からの投資判断」と表題が変更されている。 企業による情報開示を、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上につなげるためには、企業が開示した情報が投資者による中長期的な視点からの投資判断に活用されるようにするための取組みを引き続き充実させていく必要があるとのことである。 例えば、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」での議論や、日本証券業協会等による個人投資家のリテラシー向上に向けた取組みにおいて、中長期的な視点からの投資に関する教育を一層拡充させていくことが考えられると述べられている。 また、報告(案)にはなかったが、確定した報告では、脚注17において、 と述べられている。 (了)

#No. 165(掲載号)
#阿部 光成
2016/04/20
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