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《速報解説》 国税庁、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に係る債権放棄が行われた場合の課税関係について[文書回答事例]を公表

 《速報解説》 国税庁、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に係る 債権放棄が行われた場合の課税関係について [文書回答事例]を公表   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(以下、ガイドラインという)に従って債権放棄が行われた場合の課税関係について、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会(以下、ガイドライン研究会という)から国税庁に照会が行われ、平成28年1月15日付けで国税庁からの回答が公表された(ホームページ掲載日は平成28年1月22日)。   (1) ガイドライン策定の経緯 大規模な自然災害が発生すると、その影響を受けた個人は、住宅ローンや事業性ローン等の弁済ができなくなることがある。このような状況になると、既往債務を抱えたまま、個人が生活を再建することは困難である。 そこで、法的倒産手続によることなく、債務整理を公正かつ迅速に行い、個人の自助努力による生活や事業の再建を支援し、ひいては被災地の復興・再活性化に資する目的で、債務整理を行う場合の指針となるガイドラインがまとめられた。 ガイドラインは、平成27年12月25日に公表され、平成28年4月1日から適用が開始されることとなっている。 また、ガイドラインに法的拘束力はないが、金融機関等や債務者である個人等により自発的に尊重、遵守されることが期待されている。 なお、ガイドライン及びガイドラインQ&Aは今回の回答事例が掲載されたページに添付書類として示されているが(上記リンク参照)、全国銀行協会ホームページでも公開されている。   (2) ガイドラインの概要 ガイドラインの概要をまとめると、次のとおりである。 ① 対象となり得る債務者(主な要件) ② 対象債権者 対象債権者とは、特定調停手続によりガイドラインに基づく債務整理が成立したとすれば、それにより権利を変更されることが予定されている債権者をいう。 具体的には、対象債務者の債権者である銀行、信用金庫、信用組合、リース会社、クレジット会社、信用保証協会等の金融機関等である。 ③ 登録支援専門家 ガイドラインに基づく債務整理を的確かつ円滑に実施するため、債務者及び債権者のいずれにも利害関係を有しない中立かつ公正な立場の者として、弁護士、公認会計士、税理士及び不動産鑑定士の「登録支援専門家」がガイドラインに基づく手続の支援を行う。 ④ ガイドラインに基づく債務整理手続 ガイドラインに基づく債務整理の手続は、次の手順により実施される。   (3) ガイドラインに従って債権放棄が行われた場合の課税関係 ガイドラインに基づいて作成・確定した調停条項により債権放棄が行われた場合の対象債権者及び対象債務者の課税関係について、ガイドライン研究会からの照会内容と国税庁からの回答をまとめると以下のとおりである。 ① 対象債権者(法人)の課税関係 対象債権者において債権放棄により生じた損失は、法人税基本通達9-6-1(3)であり、その切捨てが同通達(3)ロに該当することから、法人税法上、債権放棄した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。 (※) 下線及び赤字は筆者 ② 対象債務者(個人)の課税関係 対象債務者において債務免除を受けたことによる債務免除益は、所得税基本通達44の2-1《「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難」である場合の意義》における「破産法の規定による破産手続開始の申立て又は民事再生法の規定による再生手続開始の申立てをしたならば、破産法の規定による免責許可の決定又は民事再生法の規定による再生計画認可の決定がされると認められるような場合」になされたものであることから、所得税法上、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されない。 (※) 下線及び赤字は筆者 *  *  * 近年、毎年のように大規模な自然災害が発生している。今後、ガイドラインの活用により、個人の債務整理が円滑に進められることが期待される。 (了)

#No. 155(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/02/05

《速報解説》 東京国税局より「公社債の譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期の取扱いについて」(文書回答事例)が公表~H27年中の契約効力発生→H28年中の引渡しの場合は申告不要~

 《速報解説》 東京国税局より「公社債の譲渡による所得の総収入金額の 収入すべき時期の取扱いについて」 (文書回答事例)が公表 ~H27年中の契約効力発生→H28年中の引渡しの場合は申告不要~   税理士 仲宗根 宗聡   東京国税局は、平成28年1月21日付(ホームページ掲載は平成28年1月26日)で、事前照会に対する回答文書を公表した。ここでは、その内容について解説する。   【 前 提 】 〈特定公社債等の譲渡損益の課税関係〉 従来、公社債等の譲渡による所得は非課税とされ、譲渡による損失はないものとされていた。 しかし、「金融所得課税の一本化」(平成25年度改正)により、下記のとおり、平成28年1月1日以後、特定公社債等の譲渡については、株式等に係る譲渡所得等の課税対象とされた。 〈金融所得課税の一本化〉 平成28年1月1日以後、特定公社債等の利子・収益分配や売却による所得が申告分離課税の対象とされ、これらの所得間の損益通算、上場株式等の配当所得及び譲渡所得との損益通算、特定公社債等の譲渡損失の繰越控除が可能となった。 (※) 特定公社債等とは、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債等の一定の公社債及び公募公社債投資信託をいう。 〈譲渡所得の収入計上時期〉 株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期は、原則、株式等の引渡しがあった日とする。 ただし、納税者の選択により、株式等の譲渡に関する契約の効力発生日により申告があったときは、これを認めるとされている。   【事前照会の要約】 証券会社を通じ公社債を譲渡すると、契約効力発生日から引渡し日までに通常4営業日を要するため、平成27年中に公社債の譲渡に関する契約効力が発生し、その引渡しが平成28年中となる場合が生じる。 平成27年中の譲渡となれば非課税となり、平成28年中の譲渡となれば課税対象となる。 株式等に係る譲渡所得等の収入計上時期は、「契約の効力発生日により申告があったときは、これを認める」とされているが、平成27年中の譲渡は非課税であるため、何ら申告をすることなく、その譲渡による所得の収入計上時期を契約効力発生日の平成27年中とすることが認められるものと解してよいか。   【回答の要約】 平成27年中の契約効力発生日を収入計上時期とした場合は非課税であるため、所得税の申告義務がないにも関わらず申告義務を課すことは相当でない。 また、申告書の提出は不要としつつ「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」に記載して提出する必要があるとする考えもあるが、計算明細書は、確定申告書を提出するときに、その添付が義務付けられている書類であるため、申告義務がない者に計算明細書のみの提出を求めることも相当でない。 これらのことから、平成27年中に契約効力が発生した場合は、何らの申告をすることなく、その譲渡による所得の総収入金額の収入すべき時期を、契約効力発生日である平成27年とすることが認められるものと解される。 (了)

#No. 155(掲載号)
#仲宗根 宗聡
2016/02/05

プロフェッションジャーナル No.155が公開されました!~今週のお薦め記事~

  2016年2月4日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.155を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/02/04

monthly TAX views -No.37-「国会での消費税議論-「益税」「減収額」「簡易課税」」

monthly TAX views -No.37- 「国会での消費税議論-「益税」「減収額」「簡易課税」」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   甘利大臣問題に隠れがちだが、予算委員会・財政金融委員会で軽減税率についての議論が盛り上がると思われる。背景には、軽減税率に対する国民の見方が変化しており、NHKの世論調査などでも、反対が賛成を上回っているという状況がある。民主党としては、ここで給付付き税額控除の代替案を出して、国民にアピールしたいところであろう。 この問題(軽減税率か給付付き税額控除か)は、新聞が軽減税率の支持をしていたということから、国民的な議論が行われたとは言い難いので、この機会に改めて議論することは、意義があると思っている。 ◆  ◆  ◆ 議論の中でまず出てくるのが、代替財源としての「益税」の問題である。 これについては、インボイス導入により「益税」が少なくなるので、その分を軽減税率導入に伴う減収額1兆円の代替財源の一部にしたいという考え方で、日経新聞1月14日朝刊が報じている。 「益税」については、これまでも様々な場面で議論されてきた。しかしこの議論は感情的な部分も含まれており、必ずしも冷静な議論となっていないところがある。 「益税」とは、一般的に、消費者の負担した消費税が納税されないまま事業者の手元に残ることをいう。代表的には、消費者が免税事業者から税抜き価格100円のものを108円で購入した、という場合である。もっとも事業者の仕入れには消費税を負担しているので、「益税」額は8円ではなく、そこから仕入れにかかる消費税額を差し引いたものである。 問題は、そのようなケースについての「益税」がどの程度発生しているのか、その金額については不明である、ということである。 事業者ごとに価格転嫁の度合いを調べなければならないが、それは不可能である。また、事業者の中には、価格転嫁できなくて、「損税」だという議論も出てくる。 ◆  ◆  ◆ 一方で、確実に「益税」と言えるのは、簡易課税制度における、みなし仕入率と実際の仕入率との相違からくる消費税額である。 これについては、これまで会計検査委員から指摘され、また、税制当局も累次の改正をして、対応してきた。しかし、未だこの「益税」があることは、広く知られている。 簡易課税制度については、平成28年度与党税制改正大綱に、「軽減税率導入3年以内をめどに、・・・軽減税率導入による簡易課税制度への影響・・・を検証し、必要と認められるときは・・・法制上の措置・・・を講ずる」と記されている。 軽減税率の導入により、軽減対象とそれ以外というように取引が複雑になる中で、「簡易」ではなくなる可能性が高く、大幅な見直しが予想される。 ここで取り上げたいのが、免税点制度に伴う「益税」だ。 現行消費税制度のもとでは、免税事業者からの仕入れについても仕入税額控除ができる。これは、免税事業者が取引から排除されないことへ配慮したものである。 インボイスが導入されると、免税事業者はインボイスを発出できないので、彼らからの仕入税額控除ができなくなる。そこで、免税事業者は、取引からの排除を避けるため、課税選択することが予想される。そうなれば、増収が生じる。 これによる増収は、経過措置の切れる2027年に、最大限5,000億円程度と筆者は試算している。 その根拠は次の通りである。 免税事業者は500万者といわれている。免税事業者の平均的売上げを500万円と仮定すると、免税事業者の売上げは25兆円になる。平均的なマージンを20%とすると、免税事業者のマージン(売上から仕入れを引いた粗利)は5兆円で、これが免税事業者の消費税課税ベースといえよう。そこで、これに消費税率10%を乗じると5,000億円となる。 もっともこれは「益税」というより、「インボイス導入に伴う免税事業者取引からの増収額」というべきであろう。 しかし、これを恒久財源とみなすにはあまりにも問題が多い。 そもそも免税事業者からの仕入税額控除ができなくなるのは、2027年からである。また、どの程度の免税事業者が課税選択するのかもはっきりしない。 科学的根拠をもって「安定的な恒久財源」を探す必要がある。 (了)

#No. 155(掲載号)
#森信 茂樹
2016/02/04

平成27年分 確定申告実務の留意点 【第4回】「誤りやすい『国外転出時課税』に関するQ&A」

平成27年分 確定申告実務の留意点 【第4回】 (最終回) 「誤りやすい『国外転出時課税』に関するQ&A」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   シリーズ最終回は、今年から適用となる国外転出時課税制度について、平成27年分の確定申告実務で留意すべき事項をQ&A形式でまとめることとする。なお、この制度の概要については【第2回】を参照されたい。   【Q1】 国外転出時課税の対象者 国外転出時課税の対象者の要件の1つに、「国外転出等(※)の日の前10年以内に国内に住所若しくは居所を有していた期間の合計が5年超であること」がある。対象資産を1億円以上保有等している次の①、②の人は、国外転出時課税の対象となるか。 (※) 国外転出等:国外転出、非居住者に対する贈与、非居住者が相続人や受遺者となる相続の開始 【A】 ①、②とも対象とならない。 【解説】 国外転出時課税の適用には、国籍についての要件はない。したがって、日本国籍の居住者であっても、国外転出等の日の前10年以内に国内に居住していた期間(以下、国内居住期間という)が5年以下である場合には、国外転出時課税の対象とならない。 一方で、外国国籍の人であっても、国外転出等の日の前10年以内の国内居住期間が5年を超える居住者であれば、原則として国外転出時課税の対象となる。ただし、「出入国管理及び難民認定法」別表第一(在留資格)の左欄の在留資格をもって在留していた期間は、国内居住期間から除かれることとなっている(所令170②一)。 ②の居住者は、外国企業の日本支社に勤務しているため「企業内転勤」の在留資格を持っていると考えられる。よって、日本に住んでいる7年は国内居住期間に含まれず、国外転出時課税の対象外となる。 (注) 平成27年6月30日までに下記「出入国管理及び難民認定法」別表第二の左欄の在留資格(永住者、永住者の配偶者、定住者等)で在留している期間がある場合は、その期間も国内居住期間に含まないこととされている(所令附則8②)。     【Q2】 対象資産の内容と価額の計算日 国外転出時課税の対象者の要件の1つに、「国外転出等の時に所有等している対象資産の価額の合計が1億円以上であること」がある。 ① 1億円以上であるかどうかは、いつの価額で判定するのか。 ② 次の(ア)から(ウ)の資産は、金額基準の判定に含まれるか。 (ア) 日本国内に保有する土地 (イ) 外国法人の株式(海外の証券会社の口座で管理) (ウ) 日本国債 【A】 ① 対象資産の価額の合計が1億円以上であるかどうかは、下記の【解説】〈対象資産1億円以上の判定〉に掲げる時の価額で判定する。 ② (ア) 含まれない。 (イ) 含まれる。 (ウ) 含まれる。 【解説】 (①について) 対象資産の価額の合計が1億円以上であるかどうかは、次の表に掲げる時の対象資産の金額に基づいて判定する(所法60の2①②③⑤、60の3①②③⑤)。 〈対象資産1億円以上の判定〉 (A):有価証券等の価額に相当する金額 (B):未決済信用取引等を決済したものとみなして算出した利益の額又は損失の額に相当する金額 (※) 国外転出の前に確定申告書を提出する場合で、国外転出の予定日から起算して3月前の日から国外転出時までの間に取得等した有価証券等と未決済信用取引等がある時には、それらは取得等した時の価額が合計の対象となる。 (②について) 対象資産は、有価証券等と未決済信用取引等であり、それ以外の資産(土地等)は含まれない。 また、国外で所有等しているものであっても対象資産に該当するのであれば、金額基準の判定に含める必要がある。 対象資産の具体例と金額基準の判定に関する注意点は、次のとおりである。 〈対象資産の例〉 (※) 国債や地方債等を平成27年12月31日以前に譲渡した場合の所得は非課税とされている。平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後は課税対象となる(措法37の11)。   【Q3】 課税の対象となる譲渡益 国外転出時に、次の①から③の有価証券を所有していた。国外転出時課税の適用を受ける場合、①から③すべてを譲渡したものとみなして課税されるのか。 ① 上場株式 ② 日本国債 ③ 公社債投資信託(MMF) 【A】 平成27年中に国外転出している場合には、①のみが課税の対象となる。②と③の含み益部分には課税されない。 【解説】 平成27年12月31日以前は、公社債等(公社債や公社債投資信託の受益権等)の譲渡による所得は非課税とされていた(改正前措法37の15①)。したがって、平成27年12月31日以前に国外転出している場合は、公社債等の含み益には課税されない。 【Q2】の〈対象資産の例〉「注意点」に記載したとおり、譲渡による所得が非課税となるものも、国外転出時課税の対象者を決める時の判定対象には含まれるので注意が必要である。 (注) 平成28年1月1日以後は、公社債等の譲渡による所得も課税の対象となる。同日以後に国外転出等をした場合には、公社債等についても譲渡したものとみなして課税される。   【Q4】 対象資産に含み損がある場合 上場株式と未上場株式を所有しており、上場株式には含み損、未上場株式には含み益が生じている。国外転出時課税の適用を受ける場合、次の①から③の取扱いはどのようになるのか。 ① 上場株式の含み損と未上場株式の含み益を通算できるか。 ② 上場株式の含み損と上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択)を損益通算できるか。 ③ 上場株式の含み損が未上場株式の含み益よりも多額である場合、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例を適用することはできるか。 【A】 ① 通算できる。 ② 損益通算できない。 ③ 特例を適用することはできない。 【解説】 (①について) 平成27年12月31日以前に国外転出時課税の適用を受ける場合には、上場株式の含み損と未上場株式の含み益を通算することができる(改正前措法37の10)。 なお、平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後は、上場株式等に係る譲渡所得とそれ以外の株式等に係る譲渡所得は区分され、別々の申告分離課税制度となる。よって、平成28年分からは、それぞれの区分内で譲渡損益を通算することはできるが、上場株式等の譲渡損益と未上場株式等の譲渡損益を通算することはできなくなる(措法37の10、37の11)。国外転出時課税の適用を受ける場合にも同様の取扱いとなるため、平成28年分からは、上場株式の含み損と未上場株式の含み益を通算することはできない。 (②について) 申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得と損益通算することができるのは、上場株式等を金融商品取引業者への売委託により売却している等、一定の要件を満たした場合に限られている(措法37の12の2①②)。 国外転出時課税は、譲渡があったものと「みなして」課税する制度であるため、損益通算の前提となる要件を満たしていない。よって、上場株式の含み損と申告分離課税制度を選択した上場株式等の配当所得を損益通算することはできない。 (③について) 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例を適用することができるのは、上場株式等を金融商品取引業者等への売委託により売却している等、一定の要件を満たした場合に限られている(措法37の12の2⑤⑥)。 国外転出時課税は、有価証券等の譲渡があったものと「みなして」課税する制度であるため、当該特例の前提となる要件を満たしていない。よって、特例を適用することはできない。 *  *  * 上記Q&Aで示した点以外にも、納税猶予の手続きや要件、対象資産の評価方法等について、国税庁HP等を利用し確認していただきたい。 (連載了)

#No. 155(掲載号)
#篠藤 敦子
2016/02/04

〔平成28年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「法人事業税及び地方法人特別税の見直し・欠損金の繰越控除限度額の見直し」

〔平成28年3月期〕 決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】 「法人事業税及び地方法人特別税の見直し・ 欠損金の繰越控除限度額の見直し」   公認会計士・税理士 新名 貴則   平成27年度税制改正における改正事項を中心として、平成28年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は、「法人税率の引下げ」「地方法人税の創設」及び「法人住民税均等割の資本金等の見直し」について解説した。 【第2回】は、「法人事業税及び地方法人特別税の見直し」と「欠損金の繰越控除限度額の見直し」について、平成28年3月期決算において留意すべき点を解説する。   1 法人事業税及び地方法人特別税の見直し 平成26年度及び平成27年度税制改正において、事業税が大きく見直されている。平成26年度改正においては事業税所得割の税率引上げと、地方法人特別税の税率引下げが行われている。更に平成27年度改正において、外形標準課税の見直しが行われている。 ① 外形標準課税の適用対象でない法人 平成26年度税制改正により、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、事業税所得割と地方法人特別税の税率が変更されている。平成28年3月期決算申告においては、税率の変更が必要である。 (※) 所得割額に対して乗じる税率 ② 外形標準課税の適用対象法人 ①で解説した通り、平成26年度改正により、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、事業税所得割と地方法人特別税の税率が変更されている。しかし、平成27年度改正により、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、外形標準課税について更なる見直しが行われている。 したがって、外形標準課税の適用対象法人の平成28年3月期決算申告においては、平成27年度改正による税率等が適用されることになるので、注意が必要である。 (※) 所得割額に対して乗じる税率 また、事業税資本割の課税標準についても見直しが行われている。平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、事業税資本割の課税標準は、法人税法上の「資本金等」と、会計上の「資本金+資本準備金」のいずれか大きい方を用いることとされた。過去に自己株式の取得等により、資本金等の金額が減少している法人等は、税額が増加する可能性があるので、注意が必要である。 ③ 事業税付加価値割における所得拡大促進税制の導入 平成27年4月1日から平成30年3月31日までに開始する事業年度については、給与等支給額が一定額以上増加している法人において、一定額を付加価値割の課税標準から控除する制度が導入されている。 ④ 外形標準課税の負担増加の軽減措置 平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度については、付加価値額が40億円未満の法人において、外形標準課税の拡大によって事業税の負担が増加することに対して、一定額を控除する制度が導入されている。 なお、この制度は平成28年度税制改正により拡充されることが予定されている。   2 欠損金の繰越控除限度額の見直し 平成23年12月の税制改正において、中小法人等を除き、欠損金の繰越控除限度額は、繰越控除前所得の100%相当額から80%相当額にまで引き下げられていた。これが、平成27年度税制改正によりさらに引き下げられている。 平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度については、繰越控除限度額は繰越控除前所得の65%相当額にまで引き下げられているので、注意が必要である。 また、平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以後に開始する事業年度については、繰越控除限度額の見直しが予定されている。 ただし、中小法人等については、引き続き繰越控除前所得の100%相当額を繰越控除限度額とし、引下げは行われていない。 (※) 資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の大法人の完全子会社を除く) また、新設法人及び経営再建中の法人については、繰越控除限度額を引き下げることによる負担が大きいことから、次の通り特例が設けられている。 ① 新設法人 設立直後の法人については、一定期間内の事業年度においては、控除限度額を控除前所得の100%相当額とする特例措置が設けられている。 ② 経営再建中の法人 次のような事実が発生した経営再建中の法人については、一定期間内の事業年度においては、控除限度額を控除前所得の100%相当額とする特例措置が設けられている。 上記改正事項の詳細については、下記拙稿を参照されたい。 (了)

#No. 155(掲載号)
#新名 貴則
2016/02/04

マイナンバーの会社実務Q&A 【第3回】「退社時の書類」

マイナンバーの会社実務 Q&A 【第3回】 「退社時の書類」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   〈Q〉 従業員が退社した際に作成する行政手続書類のマイナンバー対応について教えてください。   〈A〉 従業員が退社した際に作成する行政手続書類のマイナンバー対応は、以下の(1)~(6)の通りである。   (1) 給与所得の源泉徴収票 〈提出時期〉 従業員が退社してから1ヶ月以内に会社が従業員へ交付する。 〈法人番号〉 従業員交付用は記載不要。税務署提出用は記載必要。図表1の青枠内に記載する。 〈個人番号〉 従業員交付用は記載不要。税務署提出用は記載必要。図表1の赤枠内に記載する。 図表1 給与所得の源泉徴収票(左:税務署提出用、右:従業員交付用) ※画像をクリックすると別ウィンドウでPDFが開きます   (2) 退職所得の源泉徴収票 〈提出時期〉 従業員が退社してから1ヶ月以内に会社が従業員へ交付する。 〈法人番号〉 従業員交付用は記載不要。税務署提出用は記載必要。図表2の青枠内に記載する。 〈個人番号〉 従業員交付用は記載不要。税務署提出用は記載必要。図表2の赤枠内に記載する。 図表2 退職所得の源泉徴収票(左:税務署提出用、右:従業員交付用) ※画像をクリックすると別ウィンドウで大きい画像が開きます   (3) 退職所得の受給に関する申告書 〈提出時期〉 退職金の支給日までに従業員が会社へ提出する。提出を受けた会社は、社内で保管する。提出しない場合、退職金に20.42%の税率を乗じた源泉所得税を徴収しなければならない。 〈法人番号〉 記載必要。図表3の青枠内に記載する。 〈個人番号〉 記載必要。図表3の赤枠内に記載する。 図表3 退職所得の受給に関する申告書 ※画像をクリックすると別ウィンドウで大きい画像が開きます   (4) 雇用保険被保険者資格喪失届 〈提出時期〉 退社日の翌日から10日以内に会社がハローワークへ提出する。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載必要。図表4の赤枠内に記載する。 従業員が個人番号の記載を拒否したり、会社が退社日までに個人番号を取得しなかったために個人番号の取得が困難になり、個人番号を記載せずにハローワークへ提出した場合であっても、ハローワークは受理する。ハローワークから個人番号の届出を督促されることはない。 後日、個人番号を取得できた場合は、個人番号を個人番号登録・変更届出書(図表5)の赤枠内に記載し、ハローワークへ提出する。 図表4 雇用保険被保険者資格喪失届 ※画像をクリックすると別ウィンドウで大きい画像が開きます 図表5 個人番号登録・変更届出書 ※画像をクリックすると別ウィンドウで大きい画像が開きます (5) 雇用保険被保険者離職証明書 〈提出時期〉 退社日の翌日から10日以内に会社がハローワークへ提出する。提出後、ハローワークから離職票-1、離職票-2、失業者向けパンフレットが会社へ交付され、会社は従業員へそれらを渡す。 離職票-1は、従業員の個人番号を記載する箇所がある(図表6参照)。ただし、従業員本人が個人番号を記載することとされているので、会社は記載不要である。 離職票-2は、雇用保険被保険者離職証明書の複写なので、以下の通り、法人番号、個人番号は記載不要である。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載不要。 図表6 離職票-1 ※ 画像をクリックすると別ウィンドウで大きい画像が開きます (6) 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届 〈提出時期〉 退職日から5日以内に会社が年金事務所へ提出する。 〈法人番号〉 記載不要。 〈個人番号〉 記載不要。 (了)

#No. 155(掲載号)
#上前 剛
2016/02/04

財産債務調書の実務における留意点 【第2回】「財産債務調書に記載する財産等の価額」

財産債務調書の実務における留意点 【第2回】 「財産債務調書に記載する財産等の価額」   デロイト トーマツ税理士法人 ディレクター 税理士 飯塚 信吾   財産債務調書に記載する財産の価額は、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」による(国外送金等調書令12の2②、国外送金等調書規則12⑤、15④)こととされており、国外財産調書の規定が準用されている。 時価とは、その年の12月31日における財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に成立すると認められる価額をいい、具体的には専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格などをいう(取扱通達6の2-8)とされ、財産評価基本通達が定める時価と同じである。 要するに、財産債務調書に記載する価額は、財産評価基本通達が定める時価のほか、国外財産調書と同様に時価に準ずるものとして見積価額によることが認められている。 ここで見積価額とは、事業所得における棚卸資産の場合にはその評価額、青色申告書を提出する者の不動産所得、事業所得及び山林所得に係る減価償却資産については、その償却後の金額とされているほか、それ以外の財産については、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的に算定した価額(取扱通達6の2-8)とされている。 見積価額の例示は、取扱通達において概要以下のとおり定められている(取扱通達6の2-9)。 *   *   * (文中、意見にわたる部分は筆者の見解であり、所属する組織の見解ではないので、ご留意いただきたい。) (了)

#No. 155(掲載号)
#飯塚 信吾
2016/02/04

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第5回】「雑収入(従業員の横領による損害賠償請求権の収益計上)」~従業員の横領による損害賠償請求権を収益に計上しなければならないと判断した理由は?~

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第5回】 「雑収入(従業員の横領による損害賠償請求権の収益計上)」 ~従業員の横領による損害賠償請求権を 収益に計上しなければならないと判断した理由は?~   中央大学大学院商学研究科 博士後期課程 (酒井克彦研究室所属) 泉 絢也   前回に引き続いて、青色申告法人X社に対して行われた売上計上漏れ(損害賠償請求権に係る雑収入計上漏れ)を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成23年2月8日裁決(裁決事例集82号117頁。以下「本裁決」という)を取り上げる。 1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (再掲) (注) 本裁決の事案における実際の理由付記の一部を筆者が加工している。 なお、ア及びイの部分に係る理由付記の十分性については前回検討したため、今回は、ウの部分に係る理由付記の十分性について検討する。   2 本件理由付記から読み取ることができる関係図と仕訳 (再掲) (1) 関係図 【X社の処理】 【本件更正処分】 (2) 仕訳   3 本裁決の判断 (再掲) 本裁決は、次のとおり、理由付記に不備はないと判断した。 (1) 求められる理由付記の程度 (2) 理由付記の十分性   4 私見 (1) 求められる理由付記の程度 本件更正処分の理由は、損害賠償請求権の雑収入計上漏れである。したがって、課税庁は、X社が帳簿書類に損害賠償請求権として雑収入計上していない100万円を、雑収入に計上すべきであるとして更正処分を行ったことになる。 そうであれば、損害賠償請求権(雑収入)として計上していないことの否認という広い意味において、X社の帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当するものと考える(この点については、最高裁昭和38年12月27日第二小法廷判決・民集17巻12号1871頁、最高裁昭和54年4月19日第一小法廷判決・民集33巻3号379頁など参照)。 そうすると、理由付記の程度としては、 ことになる(最高裁昭和60年4月23日第二小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (2) 理由付記の十分性 次のとおり、本件理由付記(ウの部分に限る)は、法の求める理由付記として十分なものではないと考える。 ア 本件理由付記に対する疑問 本裁決に係る審査請求において、課税庁は次のように主張している。 上記主張によれば、課税庁は、Rに対する損害賠償請求権の益金(収益)計上時期について、通常人を基準にして、権利(損害賠償請求権)の存在・内容等を把握し得ず、権利行使が期待できないといえるような客観的状況にあったかどうかという観点から、判断を行うことになる(これは、いわゆる日本美装事件における東京高裁平成21年2月18日判決・訟月56巻5号1644頁の判示を参考とした主張であろう)。 しかしながら、本件理由付記には、このような観点から判断を行うのに必要な事実(Rによる不正行為の内容・手口など)の記載がない。したがって、本件理由付記に対して、次のような疑問や問題点が生じる。 以下、これらの疑問や問題点を踏まえて、本件理由付記の十分性を検討してみたい。 イ 根拠資料の摘示 ウ 理由付記の趣旨目的との適合性 ただし、別の考え方として、不法行為による損害賠償請求権については、損害発生時に発生・確定することが原則であることを重視して、本件理由付記は、本件ではこのような原則的な取扱いが当てはまらない特段の事情の存在を認めることはできないため、原則どおりの課税を行うことを記載したものであり、理由付記に不備はないという見解があり得る。 *  *  * 次回は、仕入取引の一部が架空であり、架空仕入れに係る仕入代金が代表取締役に返金されていると認定した法人税更正処分の理由付記の事例を取り上げる。 (了)

#No. 155(掲載号)
#泉 絢也
2016/02/04

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第44回】「日本IBM事件」

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第44回】 (最終回) 「日本IBM事件」   公認会計士 佐藤 信祐   平成27年3月25日に日本IBM事件の控訴審判決が下された。 日本IBM事件の第一審判決は、本連載の【第16回】から【第18回】で解説したが、控訴審判決の内容は、やや第一審判決と異なるものとなっている。   30 日本IBM事件控訴審判決(TAINSコード:Z888-1926) 控訴人(国)は、第一審では、①被控訴人を中間持株会社としたことに正当な理由ないし事業目的があったとはいい難いこと、②本件一連の行為を構成する本件融資は、独立した当事者間の通常の取引とは異なるものであること及び③本件各譲渡を含む本件一連の行為に租税回避の意図が認められることを主張していたが、控訴審では、①及び③の主張を撤回した。 そのうえで、 とした。 これに対し、被控訴人(納税者)は、 と反論した。 これらの主張に対して、裁判所は、 と判断したため、控訴人の主張が一部認められたと考えられる。 さらに、 としたものの、本件一連の行為が、源泉所得税の圧縮の実現のために一体的に行われたものか否かについては、 と判示した。 このように、「独立かつ対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引(独立当事者間の通常の取引)と異なっている場合」にも、経済合理性基準により、同族会社等の行為計算の否認が適用できることを認めただけでなく、源泉所得税の負担を減少させるために行われたスキームであったことも認めながらも、本事件では、同族会社等の行為計算の否認の適用を認めなかった。朝長英樹氏の「国が本件の事実関係に関して『源泉所得税を減らすことを目的として本件一連の行為を行った』という見方を前面に強く打ち出して自らの主張を述べようとしたことが、かえって裏目に出た、という印象を受けます」(注1)という指摘は、本事件が、法人税の負担を不当に減少させたか否かを争っていることから、まさにその通りである。 (注1) 朝長英樹「検証・IBM事件高裁判決(第1回)」T&Amaster592号16ページ(平成27年) このように、日本IBM事件控訴審判決の内容は、どちらかというと訴訟戦術によるものが強すぎるため、今後の実務にはあまり参考にならないのかもしれない。東京高裁の判断も、控訴人の主張が変わっていれば、異なる結果になったことも否めないからである。 敢えて参考になる点を挙げれば、同族会社等の行為計算の否認が適用できる場合として、「独立かつ対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引(独立当事者間の通常の取引)と異なっている場合」を挙げた点であろう。しかしながら、この点についても、拙著『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務(中央経済社、平成21年)』1頁において、「『通常用いられない法形式の選択』については、達成しようとする経済的成果に合理的な理由がない場合だけでなく、達成しようとする経済的成果に合理的な理由があるものの当該経済的成果を達成するために選択する法形式に合理的な理由がない場合も含まれるべきである」と指摘させていただいているため、従来の解釈と変わらないということになる。 前回、解説したヤフー・IDCF事件の控訴審判決と、今回、解説した日本IBM事件の控訴審判決は、いずれも組織再編・資本等取引に関する裁判例として注目されていたものであり、本連載のきっかけとなったものである。いずれの事件も細かな事実認定を除いては納得感のある判決であり、今までの実務とさほど変わらない内容となっているが、今後、本事件を受けて、さらなる研究が行われることが期待される。 *   *   * 本連載は、いったんここで終了させていただくが、別の連載(包括的租税回避防止規定の理論と解釈)を通じて、さらなる研究を続けたいと思う。 本連載が読者のお役に立つことができれば幸いである。  (連載了)

#No. 155(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/02/04
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