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[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第1回】「子会社不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト」~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~

[子会社不祥事を未然に防ぐ] グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第1回】 「子会社不祥事が親会社・親会社役員にもたらすインパクト」 ~場合によっては親会社の屋台骨をゆらがしかねない子会社の不祥事~   弁護士 遠藤 元一   1 後を絶たない会計不祥事 本年9月、東芝は、2度の有価証券報告書等の提出の延期を経て「不適切な会計処理」(不正会計・粉飾)を行っていたとして過年度決算訂正等を行った。 2011年に資本市場の信頼性を損なうような大規模な会計不祥事・経営者不正が起きたことを契機に、監査基準の改定および監査基準の特別基準として「監査における不正リスク対応基準」が導入され、会社法でも企業統治のための制度改正が行われる等、多方面で公正な資本市場の維持のための努力が続けられている最中、企業統治の優等生としてトップランナーと考えられていた東芝が長期にわたり粉飾を行っていたことが市場関係者に衝撃を与えたことは想像に難くない。 もっとも、東京商工リサーチの調査によると、会計不祥事により過年度決算に影響がでた、あるいは今後、影響がでる可能性があることを開示した上場企業は2012年度(2012年4月1日~2013年3月31日)が26件、2013年度が38件、2014年度が42社となっている。 つまり、上記の事例ほどの大掛かりなものではなくても、上場企業において会計不祥事が間断なく発生している。これらの中には、資本市場の信頼性を担保する目的で適正な企業情報を開示するために会計・監査に関する制度・基準が厳格化され、四半期報告の義務化や会計情報の見積的な要素の増加に伴い、会計基準の選択や見積・評価の誤謬等が原因となって生じた事例も多いが、意図的・故意による粉飾事案も少なくない。   2 会計不祥事が及ぼす企業危機 粉飾決算は、一般に公正妥当と認められる会計基準に反する手続により利益を計上する会計行為である。不正・違法な会計操作の積み重ねは、雪だるま式に飛躍的に大きくなり、財務諸表に対し、定量的ではなく、定性的な影響を及ぼし、当初は、アリの一穴と思われていたものであっても、堤防が崩れ、企業の存亡を左右する大災害を及ぼす。 いったん、会計不祥事が発覚すると、その企業は資本市場での信認が著しく毀損される。その信認を回復するため、企業は第三者委員会を設置して調査を行い、事案の解明、原因分析、役職員の責任の明確化等を内容とした調査報告書が市場に公表され、調査報告書の内容に基づき過年度決算訂正が行われる。 市場規制当局も、証券取引等監視委員会による開示調査・特別調査、勧告を経て金融庁による課徴金納付命令の発出がなされ、特に悪質な場合は検察庁に対して刑事告発され、検察庁による強制捜査が行われることもある。また、金融商品取引所からも、逐次、状況の報告を求められ、改善報告書の提出を求められる等の対応を求められ、上場違約金等の措置のほか、特設市場注意銘柄に指定されたり、悪質な場合には市場からの退出(上場廃止)に至るケースもないではない。 さらに、株主等から、役員が任務を十分に果たさなかった(善管注意義務違反)ために、分配可能限度を超えた金員を支払い、第三者委員会の設置・調査費用や、決算訂正(過去の決算期に遡って訂正する場合もある)に費用を支払うなどの損害を被ったとして役員の対会社責任が追及され、あるいは株価の下落により損害を被ったとして会社法・金融商品取引法上の損害賠償を請求されるなどの事態も発展する。   3 子会社における会計不祥事 ところで、会計不祥事事案の中で、子会社・関係会社が舞台となった事案が2013年度で12件(31・5%)、2014年度で16件(38%)と、本社以外で会計不祥事が行われた事案が目につくが、子会社で生じた会計不祥事は、親会社にどのような影響を与えるだろうか。 現代の企業経営では、国際的に事業展開している大規模なグローバル企業だけでなく、中小企業でも、子会社・関係会社(以下「子会社等」という)から構成されるグループ経営が広く浸透している。 法的観点からは、親会社は、子会社等を通じて事業を行う場合、親会社自らが事業を行う場合に比べてコストを減少させ(親会社が自ら行う場合に負担しなければならない、事業部門に配賦される管理費等の間接費用をコストセーブできる)、子会社等の自律的・独立的な経営に委ねることにより法域や業態を超えて、事業を機動的・効率的に多角化できる点にグループ経営の意義があるが、会計面でも、単体ではなく、連結経営での企業業績評価である連結会計が基軸になっており、株主、投資家・資本市場も、単体ではなく、連結ベースでの企業業績の評価が重視され、企業価値も連結ベースでの評価が通例となっている。 子会社等において会計不祥事が発生すると、連結会計の下では、グループ会社の頂点にある親会社に与える影響は、親会社自身で生じた会計不祥事と質的に差異はない。子会社等の会計不祥事が決算に重要な虚偽記載等と認められる程度に至る場合は、親会社の決算に重要な虚偽をもたらし、親会社の企業価値を毀損し、親会社の屋台骨をゆるがすという深刻な事態にも発展しかねない。 JVCケンウッドは、2010年3月、子会社であるビクターの欧州販売会社で営業関係経費の先送り等の会計不正が発覚し統合初年度の2009年3月の連結業績の営業損益を黒字から赤字に修正し、2010年3月期の業績の最終損益の赤字も拡大したほか、取引金融機関と締結した契約に定める「財務上の特約」(財務制限条項)に抵触し、決算短信に「継続企業の前提に疑義」がある旨の注記がなされた。 また、LIXILグループは、本年6月、2014年に買収した中国の子会社が在庫の過大評価、巨額な簿外債務が判明した後、債務超過を理由に破産したことで、連結純利益を大幅に下方修正する事態に追い込まれたこと等の例がみられる。 このように、親会社は、親会社自らにおいて会計不祥事が生じた場合と同様の対応が求められるほか、子会社管理責任が問われる事態も生じ得る。 今回は会計不祥事の事案を取り上げたが、グループ会社の事業・ビジネスには、事業リスク、信用リスク、為替リスク、従業員不祥事やインシデント等、企業価値を左右する様々な事故・事件等が生起する。 グループ会社を統率する親会社にとって、単体のみならず連結の企業業績を重視し、グループ企業全体の企業価値の向上を図るため、どのようなグループ企業管理の基本方針を構築し運用するかが喫緊の課題であることは疑いがないことである。 本連載では、公認会計士の松藤斉先生、公認会計士・公認不正検査士の松澤公貴先生と、弁護士の筆者とがそれぞれの専門的知見の立場から、この課題に関連したテーマを取り扱っていく予定である。しばらく、お付き合いいただきたい。 (了)

#No. 140(掲載号)
#遠藤 元一
2015/10/15

会計上の『重要性』判断基準を身につける~目指そう!決算効率化~ 【第13回】「重要性判断の実践事例④」~税効果会計とアサリの計量

会計上の『重要性』 判断基準を身につける ~目指そう!決算効率化~ 【第13回】 「重要性判断の実践事例④」 ~税効果会計とアサリの計量   公認会計士 石王丸 周夫   今回は、税効果会計における重要性判断を取り上げます。 まず手始めに、以下の問題にチャレンジしてみてください(解答は問題のすぐ下にあります)。 いかがでしたか。正解できたでしょうか。 税効果会計は、イメージがつかみにくい会計処理です。 そんな税効果会計における重要性判断は、どのように行われるのでしょうか。 以下、この解答について触れながら、解説していきます。   《はっきり書いてある「重要性の原則」の適用》 「重要性の原則」というのは、会計のあらゆる場面で広く適用される考え方ですが、税効果会計についてもその適用の例外ではありません。税効果会計の会計基準には、そのことがはっきりと書いてあります(⇒したがって、問題13のアの記述は正しいです)。 (税効果会計に係る会計基準注解(注4)) ここで注意すべきは、重要性判断を一時差異等(一時差異と繰越欠損金等の合計)により行うということです。 繰延税金資産、繰延税金負債あるいは法人税等調整額の金額により重要性を判断するわけではありません(⇒したがって、問題13のイの記述は誤りです)。   《アサリは殻付きで量る》 一時差異の金額と税効果の仕訳の関係を見てみましょう。 以下では、理解しやすいようにあえて単純な前提を置いています。 ▷前提条件  期首の一時差異は0、税率は期首期末ともに30%とする。 一時差異の金額が1,300,000円なので、貸借対照表に計上される繰延税金資産の額は税率30%を乗じた390,000円、損益計算書に計上される法人税等調整額も同じく390,000円です。 この場合の重要性判断について考えてみましょう。 金額的重要性の判定は1,300,000円について行われます。上で見たとおり、実際に決算数値に反映される額はその30%である390,000円ですから、仕訳計上される金額(390,000円)よりも大きな金額で重要性判断が行われます。 これはちょうど、潮干狩りで獲ったアサリの計量に似ています。 アサリはグラムいくらで買い取りますが、計量は殻付きの状態で行われます。実際に食べる部分(可食部)の重さはその40%程度でしかないのにです。 「重要性」というのは、「財務諸表の利用者にとって重要かどうか」を判断するためのものなので、財務諸表への影響額390,000円(可食部)でもって判断してもよさそうですが、なぜか一時差異の金額1,300,000円(殻付き)で判断します。 以下、その点を考えてみます。   《B/S、P/Lにどう影響するか》 税効果の仕訳が財務諸表にどう影響するのかを図示してみます。 借方の繰延税金資産は資産科目です。貸借対照表に影響を与えます。 上の仕訳により、資産の額が390,000円増加します。 貸方の法人税等調整額は損益科目です。損益計算書に影響を与えます。 上の仕訳により、利益が390,000円増加します。 ただし、利益といっても、影響が及ぶのは「当期純利益」です。「税引前当期純利益」には影響しません。法人税等調整額が「税引前当期純利益」の下で加減されるからです。 損益計算書への影響を、税効果を認識したケースとしないケースで比較してみましょう。 上の図の左側は「税効果を認識した場合」、右側は一時差異に重要性が乏しいと判断して「税効果を認識しなかった場合」です。 いずれの場合も、税引前当期純利益は100,000,000円で同じです。 税効果を認識してもしなくても影響ないということです。 一方、税引後の当期純利益は2つのケースで数字が異なります。 税効果を認識するケースでは、法人税等調整額390,000円が税引前当期純利益の2行下で計上されています。その結果、税効果を認識しないケースの当期純利益より390,000円大きい当期純利益となっています。   《一時差異で判断する意味》 ところで、重要性判断の基準値というのは、税引前利益の何%という形で算定されていたことを思い出してください。この連載の【第6回】でお話しましたね。 「重要性の基準値」が税引前利益の5%、「明らかに僅少な額」がその5%とすると、「明らかに僅少な額」は、「税引前利益の0.25%」と言い換えることができます。 上の例では、税効果会計を適用するかどうかで利益が390,000円変動します。その390,000円を「税引前利益の0.25%」と比べて重要性判断を行ってもよさそうですが、理屈からするとちょっと違います。 なぜなら、390,000円は税引後の利益に対する影響ですが、「税引前利益の0.25%」という基準値は、税引前の金額について判断するために設定されたものだからです。ベースが違うのですね。 「税引前利益の0.25%」という基準値を使って重要性判断をするなら、390,000円を税引前ベースに引きなおして考えるべきです。390,000円を税率で割り返した値です。390,000円÷0.3=1,300,000円、まさに一時差異の金額です。 この1,300,000円を「税引前利益の0.25%」(明らかに僅少な額)と比べることになります。390,000円が「明らかに僅少な額」以下かどうかということとは、無関係な話なのです(⇒したがって、問題13のウの記述は誤りです)。 潮干狩りの場合も同じようなものです。殻付きでアサリを持って帰る以上、持つ人にとっては、殻付きの重さがどれほどなのかが気になりますよね。   (了)

#No. 140(掲載号)
#石王丸 周夫
2015/10/15

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第97回】外貨建取引⑥「在外支店の換算」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第97回】 外貨建取引⑥ 「在外支店の換算」   仰星監査法人 公認会計士 上村 治   〈事例による解説〉 〈会計処理〉 原則的処理による支店財務諸表の換算結果は以下のようになります。 【貸借対照表】 (※1) 円建金額の貸借差額 24,000+36,000+16,500+42,000-100,000=18,500 【損益計算書】 (※2) 貸借対照表で計算された当期純利益 (※3) 円建金額の貸借差額 22,000+5,250+18,500-34,500=11,250   〈会計処理の解説〉 1 在外支店の換算手順 在外支店財務諸表の換算の手順は以下のとおりです。 2 原則的換算方法 在外支店における外貨建取引については、原則として、本店と同様に処理します(外貨基準二)。 すなわち、取引発生時には発生時の為替レートで換算し(外貨基準一、1.)、決算時の処理として外国通貨や外貨建金銭債権債務については決算時の為替レートで換算替えを行います(外貨基準一、2.(1))。 事例の貸借対照表項目の換算として、預金や売掛金は決算時の為替レートで換算します。その他の棚卸資産、固定資産、本店勘定は取引発生時の為替レートで換算します。これらの換算結果の貸借差額をもって当期純利益を計算します。 次に損益計算書の換算としては、売上高は取引発生時の為替レート、売上原価は棚卸資産の購入時の為替レート、減価償却費は固定資産の購入時の為替レートで換算します。当期純利益は貸借対照表の貸借差額で計算されており、損益計算書項目で生じる貸借差額は為替差損益とします。 3 換算方法の特例 原則的換算方法では、取引発生時の為替レートで換算することを基本としており、在外支店の取引のほとんどすべてについて、取引時の為替レートを把握しておくことが必要になり、実務的に煩雑です。そのため、以下のような換算の特例が認められています。 ① 収益及び費用の換算の特例 収益及び費用(収益性負債の収益化額及び費用性資産の費用化額を除く)の換算については、期中平均為替レートによることができます(外貨基準二、1.)。 ② 外貨表示財務諸表項目の換算の特例 在外支店の外国通貨で表示された財務諸表項目の換算にあたり、非貨幣性項目の額に重要性がない場合には、すべての貸借対照表項目(支店における本店勘定等を除く)について決算時の為替レートによる円換算額を付する方法を適用することができます。この場合においては、損益項目についても決算時の為替レートによることが認められています(外貨基準二、2.)。 【在外支店の換算方法のまとめ】 *   *   * 次回は、外貨建取引に関する会計処理のうち、在外子会社の換算について解説します。 (了)

#No. 140(掲載号)
#上村 治
2015/10/15

[平成27年9月30日施行]改正労働者派遣法のポイント 【第3回】「雇用安定措置の義務化・キャリアアップ措置の新設」

[平成27年9月30日施行] 改正労働者派遣法のポイント 【第3回】 「雇用安定措置の義務化・キャリアアップ措置の新設」   特定社会保険労務士 岩楯 めぐみ   派遣元が雇用し派遣先が使用する労働者派遣では、「雇用」と「使用」が分離していることから、雇用の安定やキャリアアップの形成が図られにくいという問題がある。そこで、今回の改正では雇用安定措置が強化され、また、キャリアアップ措置が付加された。 第3回は、義務化された「雇用安定措置」と新設された「キャリアアップ措置」についてみていく。   1 雇用安定措置の義務化 改正前も、「派遣元」に対して、有期雇用の派遣労働者等を対象に雇用安定措置を講ずることが努力義務とされてきたが、改正後は、一段進んで雇用安定措置を講ずることが義務化されている。 対象となる派遣労働者、講ずべき雇用安定措置等は次の通りとなっている。 (1) 対象となる派遣労働者 雇用安定措置の義務化の対象となる派遣労働者は、次のいずれにも該当する者となる。 (※) 訂正のお知らせ 2016/2/19 上記(※)部分につきまして、「3年以上」は「3年」の誤りでした。お詫びの上、訂正させていただきます。なお、本稿において以下同様です。 なお、派遣就業終了日の前日までに、派遣元は派遣労働者から就業の希望を聴取する必要がある。 また、「3年以上」従事する見込みの考え方は、次の例示となり、派遣元の主観的な意思ではなく、契約期間という客観的な指標により判断することとされている。 (2) 4つの雇用安定措置 対象となる派遣労働者について派遣元が講じなければならない雇用安定措置は、次の4つのいずれかの措置となる。 なお、上記措置を講ずるにあたっては、次の点にも注意しなければならない。 (3) 事業報告 派遣元は、年に1回求められる事業報告の中で、雇用安定措置の実施状況を報告しなければならず、これにより雇用安定措置の履行確保を図るとされている。 なお、派遣元が雇用安定措置の義務を逃れるために意図的に派遣労働者の派遣期間を3年未満とすることは、雇用安定措置の趣旨に反する脱法的な運用であり、義務違反と同視されるものとして行政指導の対象になる。また、繰り返し指導を行っても改善されない場合は、労働者派遣事業の許可の更新が行われなくなるため注意が必要だ。 (4) 経過措置 派遣元に対する雇用安定措置の義務化には経過措置が設けられており、施行日(平成27年9月30日)以後に“締結”された労働者派遣契約によって行われる労働者派遣を対象とするとされている。 よって、施行日(平成27年9月30日)前の期間は通算されず、施行日(平成27年9月30日)以後に締結された労働者派遣契約の始期を起算日として3年以上従事する見込みがある者が雇用安定措置の義務化の対象となる。 (5) 努力義務 今回の改正では、派遣元に、前述の雇用安定措置を“努力義務”としても課している。その対象となる派遣労働者は、次のいずれかに該当する者である。 (6) 派遣先に求められる措置 派遣元に求められる雇用安定措置に関連して、「派遣先」には次の措置が求められている。なお、下表の「通常の労働者」とある場合はいわゆる“正社員”を指し、「労働者」とある場合は正社員に限らず契約社員やパート等も含めた雇用関係にあるすべての労働者を指す。 (※) 雇用安定措置の義務化と同様に経過措置が設けられている。   2 キャリアアップ措置の新設 派遣労働者のキャリアアップを図るため、「派遣元」に新しく求められる「キャリアアップ措置」は、次の2つとなる。 なお、派遣事業の許可基準に「派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること」が追加され、キャリアコンサルティングの相談窓口の設置や、教育訓練の時期・頻度・時間数等の基準が定められたため、改正後は、派遣元に派遣労働者のキャリアアップを図る体制があることが派遣事業を実施する上での前提となる。また、年に1回求められる事業報告の中で、キャリアアップ措置の取組みについて報告することが求められる。 *   *   * 以上、雇用安定措置とキャリアアップ措置について確認したが、両措置は派遣労働者にとって重要な措置であり、また、派遣事業の許可基準に関わることでもあるため、派遣元においては実際の運用を踏まえた体制整備が必要となり、実施すべき事項・期日を整理した上で、早めの対応が求められる。 (了)

#No. 140(掲載号)
#岩楯 めぐみ
2015/10/15

社外取締役の教科書 【第9回】「社外取締役としての法的責任(その1)」

社外取締役の教科書 【第9回】 「社外取締役としての法的責任(その1)」   クレド法律事務所 駒澤大学法科大学院非常勤講師 弁護士 栗田 祐太郎   1 社外取締役が会社経営一般に対して負う法的責任 今回より新たなテーマ、「社外取締役としての法的責任」について説明したい。 既に【第3回】において、会社と取締役との利害関係が対立する場面があること、その場合には、取締役は会社の利益を優先しなければならないこと(忠実義務)について説明した。あわせて、会社法が規定する典型的な利害対立の場面についても紹介している。 今回は、社外取締役が、会社経営一般についていかなる法的責任を負うのか、について説明することとしたい。   2 善管注意義務から派生する法的責任の全体像 取締役は、会社から経営の委任を受けた「受任者」として、いわゆる「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務。これを敷衍すれば、「会社経営者として、通常期待される内容について、適切に実行しなければならない義務」の意味である)を負う立場にある。 社外取締役もこのような義務を負うことは勿論である。 そして、この善管注意義務の違反が問題となるケースは、大まかに言えば次のように整理されている。 【善管注意義務違反が問題となる類型】 仮に、上記の義務違反が認定された場合、取締役は会社に対して、あるいは会社外の第三者(取引先、従業員等)に対して、その者が被った損害を賠償しなければならない。 このように善管注意義務は、取締役にとって非常に重大な法的責任なのである。   3 経営上の意思決定に関する法的責任-調整弁としての「経営判断の原則」 社外取締役も、取締役会に出席し、取締役間での活発な議論を経て、経営戦略等を策定し経営方針を決定するなど、経営判断を行っていくことになる。 しかし、そこで決定した経営方針(たとえば、将来的な成長が見込まれる特定分野に人員と予算を集中させ、それ以外の部門は縮小・整理するといった絞込み等)が、数年後、市場の時流から完全に外れてしまい、それが原因となり会社が倒産に至ってしまった場合は、その責任の所在はどのようになるのであろうか。 この場合、倒産の原因は、取締役会で決定し、(後から見て、結果的に誤りであった)「経営方針」にある。 それでは、そのような「誤った」意思決定に関与した取締役全員に対し、会社は、あるいは第三者は、損害賠償等の法的責任を追及できるのだろうか。 この点、現在の裁判実務の大勢は、以下のような判断枠組みを採用していると言われている。 【経営判断の原則】 計画通りの実績が出ずに失敗した経営判断について、それがすべて取締役の「誤り」だとして法的責任を負わせることは、取締役を必要以上に萎縮させる。 そうなっては、取締役の地位にある者は、とにかく失敗しない、確実な、手堅い経営判断だけに終始することになりかねず、これでは現状維持のままで何も新しいものを生み出すことはない。ましてや、リスクを取りながら、成功確率は高くないが当たれば非常に大きな利益が見込める分野に参入する等の大胆な会社運営は、到底望めないことになる。 それでは企業の成長は実現せず、株主の利益や社会の発展にも繋がらない。 そこで、上記のような判断枠組みを採り、ここから外れるような「不当な意思決定」がなされた場合に限って、取締役に法的責任を負わせることとしているのである。   4 監視・監督義務の懈怠 取締役、特に社外取締役の基本的職務が「ガバナンスの強化」にあることは、 既に【第1回】、【第4回】で説明してきたとおりである。 そのため、社外取締役を含めた取締役は、各人、代表取締役をはじめとした他の取締役が法令や定款を遵守したうえで業務執行しているかどうかを監視・監督する義務を負っている。 そして、この監視・監督義務は、取締役会に上程された事柄についてだけ監視するにとどまらず、代表取締役等の他の取締役の業務執行一般を監視し、必要があれば取締役会を自ら招集し、あるいは招集することを求め、取締役会を通じて業務執行が適正に行われるようにする職務を有すると考えるのが最高裁判例の立場である。 これは、しがらみに捕われない社外の客観的な見地から業務執行を監視することを期待された社外取締役にとっては、中心的な義務と言いうる。 そうであるからこそ、【第4回】で説明したように、さまざまなチャンネルを通じてその会社の経営状況をモニタリングし、会社の業務執行全般について監視・監督をしていく必要があるのである。   5 内部統制システム構築義務の懈怠 取締役が、他の取締役の業務執行を監視・監督する義務を有するといっても、特に規模が大きい会社においては、取締役が企業活動すべての監視・監督をなし、法令遵守(コンプライアンス)を実現することは到底不可能である。 そこで、企業活動における法令遵守を実効あらしめるためには、「社内における組織作りや業務フローそのものについて、法令遵守へとつながるような体制を整備する必要がある」という方向へと議論が進む。 これが、内部統制構築義務の問題である。 法は、大会社(資本金5億円以上または負債が200億円以上の会社)において、下記のような内部統制を整備する義務を課している。 【内部統制システム構築義務の内容】   6 社外取締役であることによる特殊性はあるか? 社外取締役であっても「取締役」であることには変わりなく、今回説明したような内容の各種の法的責任は、社外取締役であるからといって基本的には免れることはできない。 特に、社外取締役の基本的職務が「ガバナンスの強化」にある以上、業務執行の監視・監督に重要な役割を果たすべきことは、株主の立場から見ても期待されるところである。 したがって、社外取締役に就任しようとする者、あるいは就任した者は、自分がただの「お飾り」、「お客様」であれば足りると思っていたとしたら、大変な誤りである。 社外取締役が、必ずしも経営の専門家ではなかったとしても、自らが出席した取締役会における意思決定について責任を問われる可能性はあるし、他の取締役がなした違法行為に自らは関わっていない場合であっても、それを監視・監督する義務があったにもかかわらず怠ったとして、責任を問われる余地があるのである。 もともと会社と一定の距離を有している社外取締役であるからこそ、今回説明した各種義務を尽くするように普段から注力しなければならない。 次回からは、取締役の法的責任が問われた著名なケースを紹介することにしたい。 (了)

#No. 140(掲載号)
#栗田 祐太郎
2015/10/15

税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第5回】「具体的な資金調達支援の流れ(その2)」~融資の申し込みは2通り~

税理士ができる 『中小企業の資金調達』支援実務 【第5回】 「具体的な資金調達支援の流れ(その2)」 ~融資の申し込みは2通り~   公認会計士・中小企業診断士・税理士 西田 恭隆   前回は、「社長から融資の相談を受けた場合は下手なことは言わず、金融機関に相談に行くようすすめるのが良い」と述べた。 では、「相談に行くとして、どの金融機関を選べばよいのか?」というのは社長からたびたび受ける質問である。 中小零細企業の融資は、大きく分けて以下の2通りの申し込み方法がある。 本稿ではまず、日本政策金融公庫と信用保証協会について簡単に説明し、その後、金融機関の選択について述べる。   1 日本政策金融公庫 日本政策金融公庫の概要と特徴 日本政策金融公庫は、民間金融機関の補完を理念に掲げる金融機関であり、国が株式の100%を保有している。 その理念のとおり公的色合いが強く、中小零細企業の融資に積極的である。そのため、民間金融機関から借り入れが困難な場合でも、相談に乗ってもらえることがある。 日本政策金融公庫への申し込み方法と融資にかかるコスト 日本政策金融公庫への融資の申し込みは、会社の営業所在地を管轄する支店に行う。なお、融資にかかるコストは支払利息のみである。   2 信用保証協会 信用保証協会の概要と特徴 信用保証協会は、中小企業の資金調達を容易にするため、連帯保証サービスを提供する組織である。融資そのものは行っていない。都道府県等が出資する公的な組織で、全国各地に存在する。 連帯保証サービスとは、中小零細企業が借り入れを行う際にその連帯保証人となることで、企業が返済不能に陥った場合、信用保証協会が金融機関に返済を行うものである。 これにより金融機関は確実に債権を回収することができるので、信用保証協会から保証が得られれば、ほぼ確実に金融機関から融資を得ることができる。 中小零細企業が民間金融機関から融資を受ける場合、信用保証協会の保証付き融資がほとんどである。保証なし融資(プロパー融資)は、相当に業績が好調で、金融機関との取引実績がある企業以外は難しい。 信用保証協会への申し込み方法と融資にかかるコスト 信用保証協会への申し込みは、最寄りの金融機関で行う。各金融機関が信用保証協会への申し込み窓口になっている。信用保証協会に直接申し込むことも可能ではあるが、結局金融機関の窓口に行くことになるので、それならば最初から金融機関に行った方が効率的である。直接申し込むことに特に利点はない。 信用保証協会への申し込みに必要な手続は、地域によって異なる場合があるので注意する。都道府県等のあっせん書や、商工会議所で事前の相談が必要な場合など様々である。詳細については金融機関担当者に確認し、その助言に従って手続を進める。 なお、融資にかかるコストとして、金融機関に対する支払利息に加え、信用保証協会に対する保証料が発生する。また、サービスの提供形態上、融資交渉は金融機関と保証協会の両者に対して行うことになる。   3 相談する金融機関の選択 これまで解説してきたとおり、社長から「どの金融機関に相談に行けばよいか」という質問があった場合、日本政策金融公庫の支店か最寄りの金融機関に行くように回答する。しかし、「最寄りの金融機関」と言われても実際には金融機関は多種多様に存在し、どれに行けばよいのか判断に困るであろう。 そういった場合、以下の点に留意して相談する金融機関を選択する。 *  *  * 以上、今回説明した内容をまとめると、社長から「どの金融機関に相談に行けば良いのか」と質問を受けた場合、以下2通りの金融機関への相談を薦める、ということになる。 次回は、金融機関との相談の後、正式に融資を申し込むことになった場合の資料作成支援について述べる。 (了)

#No. 140(掲載号)
#西田 恭隆
2015/10/15

女性会計士の奮闘記 【第34話】「デリケートな数値は慎重に」

女性会計士の奮闘記 【第34話】 「デリケートな数値は慎重に」   公認会計士・税理士 小長谷 敦子   〈ノビ(株)部門別損益表〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。   ◆ワンポントアドバイス◆ 基本的には数字をオープンにすることが大切ですが、人件費などのデリケートな問題は慎重に計上しましょう。 その際も、どのような方法で計上しているかを明らかにし、全社員が人件費を削減して利益を出すため、どうすればよいのかを提案できるようにしましょう。 (了)

#No. 140(掲載号)
#小長谷 敦子
2015/10/15

《速報解説》 第6回 ACFE JAPANカンファレンス「会計不正、ふたたび」が開催~エンロン事件告発者シェロン・ワトキンス氏が緊急来日~

   《速報解説》 第6回 ACFE JAPANカンファレンス「会計不正、ふたたび」が開催 ~エンロン事件告発者シェロン・ワトキンス氏が緊急来日~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   一般社団法人日本公認不正検査士協会(ACFE JAPAN)は、10月9日(金)、御茶ノ水のソラシティ カンファレンスセンターにおいて約300名の参加者のもと、第6回ACFE JAPANカンファレンスを開催した。 カンファレンスの開催概要、プログラムはこちら。 当初、ACFE JAPANは、エンロン社元CFO Andrew Fastow氏の招聘を公表していたが、外務省は氏の日本入国を認めず、代わりに登壇することになったのはエンロン社元Vice Presidentで、エンロン事件の告発者となったSherron Watkins氏であった。 Fastow氏はビデオ上映による基調講演を行うことになり、結果的には、事件の中心人物とその告発者の双方から話を聞くことができるという、非常に興味深いプログラムとなった。 まず、青山学院大学の町田祥弘教授による講演「エンロン事件の解説」が行われた。2001年12月、エンロン社は破産法の適用に至ったわけだが、その背景として、当時の経済環境や会計基準、監査制度が大きな問題を孕んでいたことが示唆された。 Fastow氏によるビデオメッセージのテーマは「規則対原則Rules Versus Principles」。ビデオ画像の氏は、穏やかな口調で、自らが犯した過ちについて語り始めた。 Fastow氏の口調はよどみなく、淡々と、時には微笑みを浮かべて語り続ける。禁固6年という刑期を終え、2,300万ドルを返還した後、法律事務所で訴訟サポート業務を行いながら、国連やFBIの主催する会議で基調講演などをこなしているからだろうか、私たちがイメージする「犯罪者」とは全く異質のように感じられた。 表面的には、犯した罪を真摯に反省しているように見えた。とはいえ、デリバティブなどの金融商品の発達や会計基準、法体系に不備があったことに責任を転嫁するかのような発言があったことも事実である。 そして、もちろん、Fastow氏がすべてを語っているわけではないという印象はあった。 それを決定的なものにしたのは、ビデオの後に登壇したWatkins氏であった。 開口一番、彼女はこう言った。 「Andiの行為は、明らかに法を犯しています。」 「Lessons from Enron’s Collapse:Rules vs Principle / Myth vs Facts」と題された講演において、そしてその後の青山学院大学教授八田進二氏との対談でも、彼女は厳しくエンロン社経営幹部への批判を繰り広げた。 彼女はまた、「裸の王様」の寓話を引き合いに、CEOだったKenneth Layを裸の王様に、COOのJeffrey SkillingとCFOのAndrew Fastowを見えない服地を仕立てあげた詐欺師であると断じてみせた。筆者たちCFEに対しては、有名なゆでガエルの話を交え、ぬるま湯に気づき、ぬるま湯を冷たい水に戻すことの必要性を、「不正に対してはゼロ・トラレンス」で臨まなければならない、と強調した。 彼女の準備したスライドの最後にあった文章を引用する。 後半のパネルディスカッションも興味深いものであった。 中では、パネリストの一人、日本CFO協会理事長・藤田純孝氏が繰り返し強調していた日本企業における不正の特徴について、引用しておきたい。 氏は、日本企業の特徴として、会社が共同体となり、これを終身雇用と年功序列が支えていることから、排他的とならざるをえないこと、社長に人事権が集中し、社長退任後も会長、相談役として長く会社に君臨し、かつ、後継者を自身で指名できることの2点を挙げ、「トップが私腹を肥やす不正は少なく、共同体・従業員を守るという意識が罪悪感を薄くする」結果となることを指摘していた。 ACFE JAPANが第6回カンファレンスのテーマを「会計不正」と決めたのは昨年秋であったということである。運よくといっては何だが、今年4月に発覚した東芝事件によって、あらためて「会計不正」が注目を集めることになったため、時宜を得た企画となった。 公認不正検査士Certified Fraud Examinerは「会計」、「調査」、「法律」、「犯罪学と倫理」という4つの分野に関する知識を習得した不正対策の専門家資格であり、現在世界150ヶ国に約7万人の会員を擁し、日本にも1,400人の会員(うち有資格者約900人)がいる。 (了) ↓お勧め記事↓

#No. 139(掲載号)
#米澤 勝
2015/10/13

《速報解説》 措置法施行規則等の改正により、本人へ交付する源泉徴収票等への個人番号記載は不要に

 《速報解説》 措置法施行規則等の改正により、 本人へ交付する源泉徴収票等への個人番号記載は不要に   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成27年10月2日付け官報号外第227号において、租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令が公布された。 今回の改正により、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下、「番号法」という)の施行後も、本人へ交付する源泉徴収票等に個人番号を記載する必要はないこととされた。 (1) 改正の概要 平成28年1月に、番号法が施行される。それに伴い、租税特別措置法施行規則等においては、源泉徴収票等を本人へ交付したり、税務署等へ提出するときに、それらの書類に個人番号を記載することが求められていた。 しかし、この取扱いに対しては、本人へ交付する源泉徴収票等に個人番号を記載すると、情報漏えいや情報流出のリスクが高まるという指摘がなされていた。 このような指摘に配慮し、今回の改正では、本人へ交付する源泉徴収票や支払通知書等には個人番号の記載を行わないこととされた。 (2) 個人番号の記載が不要となる書類 改正により個人番号の記載が不要となる税務関係書類は、次のとおりである。 個人番号の記載が不要となるのは、給与等の支払いを受ける本人に対して交付するものに限られる。税務署等へ提出するものについては、個人番号の記載が必要となる。 なお今回の改正に合わせ、国税庁の「国税分野におけるFAQ」や特定個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&A等、関係資料についても追加・更新が行われているため留意されたい。 (了)

#No. 139(掲載号)
#篠藤 敦子
2015/10/13

《速報解説》 国税庁、「法人番号公表サイト」を開設~10/26夕刻以降、通知書送付分の「基本3情報」の検索・閲覧が可能に

《速報解説》 国税庁、「法人番号公表サイト」を開設 ~10/26夕刻以降、通知書送付分の「基本3情報」の検索・閲覧が可能に   Profession Journal 編集部   国税庁は10月5日付、企業・団体等の法人に付与される「法人番号」とその法人の本店所在地等が検索・閲覧できる『法人番号公表サイト』を開設した。 法人番号の通知書は10月22日から地域ごとに順次発送されるが、10月26日の夕刻以降同ページにおいて、通知書が発送された法人等の分から、基本3情報(下記参照)の検索・閲覧ができるようになり、12月1日までに段階的に機能拡張される予定となっている。   〇法人番号を利用する場面は 13桁の数字で表される法人番号は、マイナンバー(個人番号:12桁の数字)と異なり利用範囲の制約がなく、誰でも自由に利用することができる。なお、複数の支店や事務所のある法人でも、付与される法人番号は1つである。 法人番号は9月に公表されたスケジュール(下記リンク参照)により、設立登記法人については登記されている本店又は主たる事務所の所在地へ書面(「法人番号指定通知書」)にて通知される。 (※) 設立登記法人については、10月22日から11月25日の間に、都道府県単位で7回に分けて発送される予定。 (※) 「法人番号指定通知書」のイメージは[こちら(国税庁ホームページ)]。 今回開設された「法人番号公表サイト」では、 「法人番号で法人の商号及び所在地などを調べる」 「法人の商号及び所在地などから法人番号を調べる」 ことが主な機能となっており、「基本3情報」といわれる ① 商号又は名称 ② 本店又は主たる事務所の所在地 ③ 法人番号 をそれぞれ連動させた検索が可能となっている。 このため、例えば 出張先で、自社の法人番号を確認したい 新たな取引先の法人番号を確認したい 取引先から提出された書類に記載された法人番号に間違いがないか確認したい といった場面で、同サイトを利用することが考えられる(スマートフォン・タブレット端末表示に対応)。   〇データファイルのダウンロード等も可能に なお、上記のほかに、次のように企業等が一定数の法人番号等のデータを一括して利用するケースについても想定されている。 法人番号等のデータを自社システムのデータベースに取り込む 法人番号をマーケティング(市場調査・開拓)等に活用する 法人番号を活用した取引先情報の維持管理における効率化 法人の名称・所在地の入力事務(システム操作)の省力化 このため、基本3情報はCSV形式やXML形式など、二次活用が容易なファイル形式でダウンロードにより取得することができる。 (※) 文字コードは「Shift-JIS(JIS第一・第二水準)」と「Unicode(JIS第一~第四水準)」の2種類。ファイル形式との組み合わせで3種類のファイルが用意される。 (※) 平成27年11月末時点の基本3情報のダウンロードは平成27年12月1日から利用可能。 なお、所在地(各都道府県及び国外の単位)別に全件データをダウンロードする方法と、新規に法人番号を指定した団体の情報のほか名称・所在地の変更や登記記録の閉鎖等の変更情報をダウンロードする方法とが選択できる。 また、これらの情報データを利用者から事前送付されたDVDに記録して返送するサービスもある。 さらに、平成27年12月1日以降は、利用者の保有するシステムからインターネットを経由して、簡単なリクエスト送信により、指定した法人番号の法人に係る情報や、指定した期間及び地域で抽出した法人の更新(差分)情報を取得できるWeb-API機能の利用も可能となる予定だ(利用にあたってはアプリケーションIDの発行手続が必要)。 その他、法人番号の公表機能の詳細は、この「法人番号公表サイト」内のほか、下記国税庁ホームページを参照されたい。 (了)

#No. 139(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2015/10/08
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