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給与計算の質問箱 【第4回】「社会保険の料率の変更」

給与計算の質問箱 【第4回】 「社会保険の料率の変更」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 今月から新年度(令和2年度)になりますが、各種社会保険の料率は変更されるのでしょうか。 A 労災保険、雇用保険、厚生年金保険の料率の変更はない。 健康保険、介護保険(第2号被保険者)、子ども・子育て拠出金の料率は変更がある。 * * 解 説 * * 1 料率の変更がないもの (1) 労災保険 労災保険料は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから、給料計算には関係しない。 〔労災保険率表〕 (※) 厚生労働省ホームページより (2) 雇用保険 一般の事業の雇用保険料率は、会社負担が0.6%、従業員負担が0.3%である。従業員は、給料の総支給額×0.3%=雇用保険料を給料から天引きされる。 例えば給料の総支給額300,000円の場合、300,000円×0.3%=900円の雇用保険料を給料から天引きされる。 〔令和2年度の雇用保険料率〕 (※) 厚生労働省「令和2年度の雇⽤保険料率について」より (3) 厚生年金保険 厚生年金保険の料率は、18.3%を折半して会社負担が9.15%、役員・従業員負担が9.15%である。 役員・従業員は、標準報酬月額×9.15%=厚生年金保険料を給料から天引きされる。例えば標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×9.15%=27,450円の厚生年金保険料を給料から天引きされる。 〔令和2年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)〕 (※) 協会けんぽホームページより   2 料率の変更があるもの (1) 健康保険 協会けんぽに加入の東京の会社の令和2年2月分(3月納付分)までの健康保険の料率は、9.9%を折半して会社負担が4.95%、役員・従業員負担が4.95%だった。令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険の料率は、0.03%引下げの9.87%を折半して会社負担が4.935%、役員・従業員負担が4.935%になった。 役員・従業員は、標準報酬月額×4.935%=健康保険料を給料から天引きされる。例えば標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×4.935%=14,805円の健康保険料を給料から天引きされる。 (2) 介護保険(第2号被保険者) 第2号被保険者とは、40歳以上65歳未満の役員・従業員をいう。40歳未満及び65歳以上の役員・従業員の給料からは、介護保険料を天引きしない。 協会けんぽに加入の東京の会社の令和2年2月分(3月納付分)までの介護保険の料率は、1.73%を折半して会社負担が0.865%、役員・従業員負担が0.865%だった。令和2年3月分(4月納付分)からの介護保険の料率は、0.06%引上げの1.79%を折半して会社負担が0.895%、役員・従業員負担が0.895%になった。 役員・従業員は、標準報酬月額×0.895%=介護保険料を給料から天引きされる。例えば標準報酬月額300,000円の場合、300,000円×0.895%=2,685円の介護保険料を給料から天引きされる。 (3) 子ども・子育て拠出金 子ども・子育て拠出金は、会社が全額負担し従業員の負担はないことから、給料計算には関係しない。 令和2年3月分(4月納付分)までの子ども・子育て拠出金の料率は0.34%だった。令和2年4月分(5月納付分)からの子ども・子育て拠出金の料率は、0.02%引上げの0.36%になった。 子ども・子育て拠出金の額は、被保険者個々の厚生年金保険の標準報酬月額×0.36%の総額である。例えば厚生年金保険の標準報酬月額300,000円の役員1名だけが社会保険に加入している会社の場合、300,000円×0.36%=1,080円の子ども・子育て拠出金を年金事務所へ支払う。 (了)

#No. 365(掲載号)
#上前 剛
2020/04/16

〈Q&A〉消費税転嫁対策特措法・下請法のポイント 【第1回】「消費税転嫁対策特措法・下請法の概要と異同」

〈Q&A〉 消費税転嫁対策特措法・下請法のポイント 【第1回】 「消費税転嫁対策特措法・下請法の概要と異同」   のぞみ総合法律事務所 弁護士 大東 泰雄 弁護士 福塚 侑也   ◇ はじめに ◇ 本連載は、施行されて約6年半となる「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(以下「消費税転嫁対策特措法」という)が禁止する消費税転嫁拒否等の行為と、「下請代金支払遅延等防止法」(以下「下請法」という)による規制の異同について、両法律が重なり合う範囲に絞ってQ&A方式で横断的に解説し、両法律の内容やこれらを遵守するために留意すべきポイントを、読者の皆様にご理解いただくことを目指すものである。 *  *  * 【Q】 消費税転嫁対策特措法と下請法は、それぞれどのような法律ですか? また、これらの法律の共通点と相違点はどのようなものですか?   【A】 消費税転嫁対策特措法は、消費税の円滑かつ適正な転嫁を図るため、消費税の転嫁を拒む5つの行為を禁止しています。 下請法は、下請取引の適正化を図るため、親事業者に4つの義務を課し、11の行為を禁止しています。 これらのうち、「減額」、「買いたたき」、「商品購入、役務利用又は利益提供の要請」は、両方の法律で禁止されている行為ですが、規制を受ける事業者の範囲や規制内容は大きく異なっていますので、両法律の異同を正しく理解することが重要です。   1 消費税転嫁対策特措法の概要 消費税転嫁対策特措法は、消費税率の引上げに伴って社会で生じることが予想される様々な不都合を解決するために必要な4つの措置を定めた法律であり、平成25年6月5日に成立し、同年10月1日から施行されている。なお、消費税率引上げに適切に対処するための法律であるため、令和3年3月31日限りで効力を失う時限立法とされている。 同法の定める4つの措置の概要は、以下のとおりである。 ※下線は、下請法との交錯が特に問題となるため本連載で取り上げる違反行為。 以上のとおり、4つの措置の内容は、それぞれ全く異なるものである。消費税率の引上げに伴う混乱を回避するために必要な4つの措置が、1つの法律にパッケージとして詰め込まれたと考えると、この法律の全体像をイメージしやすいのではないかと思われる。 本連載が取り上げるのは、上記の4つの措置のうち、消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置である。上記措置は、「特定事業者」が、「特定供給事業者」に対し、消費税転嫁拒否等の行為を行うことを禁止するというものである。   2 下請法の概要 下請法は、多数の中小企業に支えられる我が国の産業構造を踏まえ、親事業者が下請事業者に不利益を与える行為等を規制することによって、親事業者の下請事業者に対する取引を公正化するとともに、下請事業者の利益を保護することを目的とする法律である。 同法は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という)が禁止する優越的地位の濫用規制を補完する立法であると位置づけられている。もっとも、優越的地位の濫用規制は個別具体的事情に応じた実質判断を重視するのに対し、下請法は事件処理の迅速化・効率化のため形式判断を重視する点に特徴がある。 下請法は、「下請事業者」と取引する「親事業者」に対し、以下の4つの義務を課すとともに、以下の11の行為を行うことを禁止している。 《親事業者の4つの義務》 《親事業者の11の禁止行為》 ※下線は、消費税転嫁対策特措法との交錯が特に問題となるため本連載で取り上げる違反行為。 お気づきの読者も多いのではないかと思われるが、下請法が禁止する11の禁止事項のうち、「下請代金の減額」、「買いたたき」、「物品の購入・役務の利用強制」、「不当な経済上の利益の提供要請」は、消費税転嫁対策特措法においても、消費税転嫁拒否等の行為として禁止されているものである。 つまり、異なる2つの法律において、「買いたたき」の禁止など同じ名称の規制が設けられていることになるため、コンプライアンスの徹底のためには、これらの異同を正確に把握しておく必要があるということになる。   3 2つの法律の大まかな異同 消費税転嫁拒否等の行為が禁止されるのは、事業者がお金を支払って物を購入したり、サービスを利用したりする場面であり、その点では下請法の適用場面と重なるが、対象となる取引の範囲は下請法と比較して極めて広範にわたる。下請法の規制対象となる「親事業者」及び「下請事業者」の意義、消費税転嫁対策特措法の規制対象となる「特定事業者」及び「特定供給事業者」の意義については、本連載の第3回で詳しく述べることとしたい。 次に、2つの法律に含まれる同じ名称の規制であるが、名称は同じであっても、規制の内容や留意すべき場面はかなり異なっている。「買いたたき」については第4回及び第5回、「減額」については第6回、「商品購入、役務利用又は利益提供の要請」については第7回で、それぞれ詳しく述べることとしたい。 そして、次回の第2回では、これらの具体的な規制の異同や留意すべきポイントを述べるに先立ち、消費税転嫁対策特別措置法及び下請法における当局の調査・勧告等の状況について述べることとする。 (了)

#No. 365(掲載号)
#大東 泰雄、福塚 侑也
2020/04/16

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第4回】「鑑定評価に登場する価格形成要因と相続税の財産評価との関係」

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第4回】 「鑑定評価に登場する価格形成要因と相続税の財産評価との関係」   不動産鑑定士 黒沢 泰     1 鑑定評価と価格形成要因 (1) 一般的要因とは 一般的要因とは、この経済社会において不動産の価格を形成する上で共通する要因を指します。具体的には、①自然的要因、②社会的要因、③経済的要因及び④行政的要因がこれに該当しますが、各々のイメージは以下のとおりです。 これらはマクロ的要因ともいえますが、例えば不動産に関する税制改正の状況(緩和又は強化)が取引件数や需要量にどのような影響を与えているのかといった問題は、一般的要因と深く関連します。 ただし、わが国全体として捉えた場合、これら諸要因の動向と地域的にみた場合の動向とが必ずしも一致するとは限らない点に留意する必要があります。例えば、大都市の中心部の経済状況と地方都市のそれとは必ずしも連動しておらず、タイムラグを生ずることは筆者もしばしば経験するところです。 このように、一般的要因の影響といっても、それは全国一律に同質に作用するものではなく、地域ごとに異なった影響を与え、また、同種の地域に対しては同質的な影響を与える(=地域的な指向性がある)ことも経験則によって認められています。 (2) 地域要因とは 地域要因とは、不動産の属する地域の特性(住宅地か商業地か工業地か、さらに住宅地であれば戸建住宅の多い地域か共同住宅の多い地域か等)を形成する上で基になっている要因を指します。 例えば、戸建住宅の多い地域であれば、建蔽率は40%、容積率は80%に指定されていることが多いでしょうし、共同住宅の多い地域であれば建蔽率は60%、容積率は200%に指定されていることが多いと思われます(ただし、これは一般的なケースであり、なかには容積率が200%に指定されていても、その地域のほとんどが戸建住宅という場所もあります)。 地域要因にはこのような都市計画法及び建築基準法上の規制だけでなく、以下に例示するとおり、その地域に属する不動産の価格の形成に全般的な影響を与える様々な要因が含まれています(住宅地域であれば居住の快適性に、商業地域であれば収益性に、工業地域であれば生産性に重点が置かれます)。 (不動産鑑定評価基準総論第3章第2節Ⅰ.1) (3) 個別的要因とは 個別的要因とは、不動産に個別性を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因をいいます。例えば、その土地が角地であれば眺望がよく(商業地であれば商品陳列の効果もあります)、道路に接していても間口の著しく狭い土地であれば利用上の便が劣るなど、価格に与える影響は様々です。 財産評価基本通達に規定されている画地条件に関する様々な補正率表は、これに該当する個々の要因を画一的に評価に反映させるために作成されているといってもよいでしょう。その意味で、ここに明らかな形で鑑定評価との接点(共通点)を見い出すことができるといえます。 ただし、ここで忘れてはならないことは、不動産の価格を求めるに当たっては、その不動産の属している地域の特性や地域における標準的な使用方法との関連を考慮に入れながら個別的要因の分析を行う必要があるという点です(個々の不動産の価値は地域の特性に裏付けられた価格水準を基に形成されているからです)。   2 財産評価基本通達による土地評価と価格形成要因 それでは、財産評価基本通達によって土地の評価を行う場合、鑑定評価における一般的要因や地域要因はどのように捉えればよいのでしょうか。 冒頭にも述べましたが、財産評価基本通達に掲げられている補正率表はあくまでも画地条件に関するものであり、個々の土地の特徴を評価に反映させるためのものです。その基になるのは、「評価対象地の属する地域の標準的な区画形状の土地の価格水準がいくらとなっているか」ということであり、ここに、鑑定評価にいう地域要因が反映されなければならないということになります。 財産評価基本通達に基づく路線価図には各土地の接する路線で1つのまとまりごとに価格が付されていますが、これがまとまった地区ごとに想定されている標準的な区画形状の土地の価格を表しており、地域要因の集約された結果であるということができます。そして、路線価図には目に見える形で登場してはこないものの、一般的要因の動向が根底に位置しており、地域の価格水準に全般的な影響を及ぼしていると考えることができます。 このように捉えた場合、ともすれば個々の補正率表のみに目が向けられがちな相続税の財産評価にも、鑑定評価と共通する一般的要因や地域要因の考え方が反映されていることが理解されます。 以上述べてきた内容をイメージしたものが次の図です。 (了)

#No. 365(掲載号)
#黒沢 泰
2020/04/16

[新型コロナウイルスを乗り越えるための]中小企業の経営相談 【第2回】「資金繰り対策」~融資、助成金・補助金、リスケ、支払い繰り延べ~

[新型コロナウイルスを乗り越えるための] 中小企業の経営相談 【第2回】 「資金繰り対策」 ~融資、助成金・補助金、リスケ、支払い繰り延べ~   虎ノ門第一法律事務所 弁護士 山口 智寛 株式会社バンカーズ・アイ 代表取締役 山田 正貴   -相談内容- 当社はコロナショックのあおりを受けて売上げが激減してしまっています。財務状況を分析したところ、このままだと数ヶ月後に資金ショートすることがわかりました。倒産を回避するためには、どのような資金繰り対策の手段があるでしょうか。   ※本稿は2020年4月13日時点での情報に基づくものです。 ● ● ● 回 答 ● ● ● 1 資金繰り対策の手段とコロナショック対応 中小企業の資金繰り対策としては、新たな資金を獲得する手段として、①金融機関等の融資、②補助金・助成金の給付があり、資金流出を抑える手段として、③金融債務のリスケジュール(リスケ)、④金融債務以外の支払いの繰り延べ等がある(他にも経営者個人や個人投資家からの資金投入もあり得るが、どの会社にも有効な現実的手段とは言い難いのでここでは取り扱わない)。 いずれの手段においても、従来からの制度に加えて、今回のコロナショックに伴う緊急措置として特別な制度や優遇措置が設けられている。以下では、本稿執筆時点での最新情報に基づき、各種資金繰り手段の特徴について整理する。 具体的な制度内容については、経済産業省のサイトに最新情報がまとめられているので、こちらを参照していただきたい。刻一刻と状況が変わっているので、最新情報をこまめにチェックしておくと良い。   2 金融機関等の融資 (1) 民間金融機関(メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合等) 金融庁は2020年2月以降、各金融機関に対して事業者の資金繰り支援への対応を度々要請しているものの、現状、一定規模以上の融資以外については、中小企業向け緊急融資の対応は主に政府系金融機関頼みになっているようである。 とはいえ、銀行等の民間金融機関もコロナショックで多くの会社で資金需要が高まっていることは十分に理解しているから、まずはメインバンクに融資の相談をしていただきたい。融資は無理でもリスケには応じる、という対応をしてもらえる可能性もある(リスケについては後述する)。 なお、既にリスケに応じてもらっている金融機関から追加融資を得ることは非常に難しい。この状況は、コロナショックの発生を前提とする現在においても基本的には変わらないものの、リスケ中の追加融資が絶対にあり得ないというわけではないので、追加融資の相談を躊躇する必要は無い。 (2) 政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工中金、農林中金) 日本政策金融公庫、商工中金(商工組合中央金庫)、農林中金(農林中央金庫)といった政府系の金融機関は、中小企業向けの融資については種々の制度を設定しており、コロナショックに伴う中小企業の緊急の資金需要にもいち早く対応している。 特に日本政策金融公庫の融資は、保証人や信用保証協会の保証が不要で、金利や返済開始までの据え置き期間等の優遇措置も充実しているので、中小企業の資金繰りの頼みの綱と言える。現在は、融資の申し込みが殺到している中で、公庫の側もフル稼働で融資審査に対応しており、最短で数日から1週間程度で融資が実行されている。 (3) 信用保証協会 信用保証協会は、中小企業の資金繰りの円滑化を図るために、中小企業が金融機関から融資を受ける際にその債務を保証することを業務とする公益法人である。企業の側からすれば、信用保証協会の保証額の枠が広がれば、その分、金融機関から融資を受けることができる額も増えることになる。 信用保証協会の保証については、もともと中小企業の緊急の資金需要に対応するセーフティネット保証(経営安定関連保証)の制度が設けられていたが、今般のコロナショックを受けて、セーフティネット保証の対象、要件、保証限度枠が緩和されるとともに、大規模な経済危機・災害等の発生時に発動される危機管理保証も適用されることとなった。 (4) その他(中小機構、自治体) 中小機構(中小企業基盤整備機構)は、中小企業の事業活動の活性化のための基盤整備を行う独立行政法人である。中小機構には小規模企業共済と経営セーフティ共済という2つの共済制度があり、いずれにおいても共済契約者は借入を行うことができる。 このほか、多くの自治体でも独自に制度融資を設定している。信用保証協会の保証料や金融機関の利息の一部を補助する制度を用意しているところもある。自社が拠点を置いている自治体の情報を収集してみると良い。   3 補助金、助成金等 補助金、助成金といった言葉の定義は明確でないが、いずれも、国や自治体が給付する返済不要の資金のことを指している。 一般的には、事業そのものに対して援助がなされる(したがって、審査をクリアするために事業内容とその有用性を説明する必要がある)ものが「補助金」、雇用関係や研究開発といった事業の中の1つの事象に対して援助がなされる(したがって客観的な要件を満たせば受けられる)ものが「助成金」であるとされている。その他、給付金、奨励金などという名称が付されたものもある。 補助金や助成金は、厳格な要件が定められていて申請手続が煩雑である点、融資のように数千万円から数億円単位での給付は期待できない点、審査を経て給付がなされるまでにある程度時間がかかる点で、金融機関等の融資に比べると緊急時の資金繰り方法としての優先度は劣る。 しかし、返済不要である点で資金繰りには非常に有用なので、自社が支給を受けることができそうな補助金や助成金の情報にあたった場合には、是非、申請を検討していただきたい。 なお、4月7日に閣議決定した令和2年度補正予算案には、個人事業主及び中小事業者の事業の継続支援策として「持続化給付金」が盛り込まれた。コロナショックの影響により売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が(中堅・中小企業のほか、フリーランスを含む個人事業者など幅広い事業者が対象になる予定)、法人は最大200万円、個人は最大100万円の給付を受けることができるというものである。令和2年度補正予算案の正式な成立が前提であるため、現時点では制度の詳細は未定とされているが、早晩実現されることは確実であるから、こまめに情報収集をしていただきたい。   4 リスケ 借入先の金融機関と交渉して金融債務の返済条件の変更に応じてもらうことを、リスケ(リスケジュール)と言う。一般的には、約定利息のみ支払いを続け、元本については6ヶ月後に一括返済することとし、その後、6ヶ月ごとに元本返済猶予を繰り返すことが多い。金融債務の返済を少しでも抑えることで、運転資金を確保するわけである。 借入先の金融機関が複数ある場合には、すべての金融機関で同時にリスケに応じてもらう必要がある。そうでなければ、金融機関同士で不公平が生じるからである。 金融機関にリスケに応じてもらうためには、試算表、資金繰り表、経営改善計画書といった客観資料を作成し、リスケ期間中に経営改善を行うことで返済を正常化できるということを説得する必要がある。 コロナショックを受けて、金融庁は2020年3月6日付で官民の金融機関に対して「元本・金利を含めた返済猶予等の条件変更について、迅速かつ柔軟に対応すること」を要請している。これを受けて、各金融機関は、従来であればリスケの相談から実行まで1ヶ月ほど要していたところ、最短で数日から1週間程度で実行に至るなど、かなり柔軟性のある対応をとっているようである。 一方、リスケにはデメリットもある。第一に、金融機関にリスケに応じてもらった場合、金融機関内部における債務者の信用格付け(区分)が「正常先」から「要注意先」又は「破綻懸念先」に低下し、新規の融資を受けることが非常に難しくなる。 第二に、信用保証協会付きの融資についてリスケする場合、信用保証協会に対して追加の信用保証料を支払う必要がある(信用保証料は借入金額及び返済期間に基づいて算定されるので、リスケして返済期間が延びると、その分保証料も高くなる)。   5 金融債務以外の支払いの繰り延べ 金融債務のリスケに加えて、それ以外の支払いについてもできる限り繰り延べ(一時的な支払い留保)ができれば非常にありがたい。そこで、支払いに優先順位を付けて管理すると良い。 支払いの優先順位は、①支払手形、②従業員の給与、③仕入先への支払い(買掛金)、④設備・インフラ関係の固定費(賃料、水道光熱費等)、⑤公租公課(税金、社会保険料)である。 (1) 支払手形 手形取引をしている場合、不渡りを繰り返すと銀行取引停止処分になり事業活動ができなくなってしまうので、手形の支払いは最優先で行う必要がある。 東日本大震災のときは、震災の影響で手形決済ができない場合には不渡りとして取り扱わないという特別措置が実施されたが、今回のコロナショックに際しては、現在(2020年4月1日時点)のところ同様の措置は実施されていない。 そこで、手形の支払いが困難になった場合には、手形所持人と交渉して手形の書換(支払延期/ジャンプ)に応じてもらうよう努めるべきである。 (2) 従業員の給与 給与は個々の従業員の生活の糧であり、また、従業員の給与を満足に支払うことができなければ、従業員の士気が下がり、会社の事業がますます停滞してしまう。 したがって、経営者や役員の報酬をカットしたり支払いを繰り延べたりする場合でも、一般従業員の給与については支給日に満額支払わなければならない。 なお、労働基準法で給与は必ず支給日に全額支払わなければならないとされており、これに反した使用者には罰則(30万円以下の罰金)が課される(第24条、第120条第1号)。 (3) 仕入先への支払い(買掛金) 仕入先への支払いに関しては、相手と直談判して、代金の支払いを一定期間猶予してもらったり、分割払いに応じてもらったりできれば良いが、そこまで至らなくても、支払期日を少しずらしてもらうだけでも資金繰りが改善することがある。 売掛金の支払期日(回収日)も買掛金の支払期日(支払日)も、どちらも月末に設定されていることが多いが、例えば、大口の仕入先に対する買掛金の支払いを翌月5日や10日に変更してもらえれば、月末に回収した売掛金から余裕を持って買掛金の支払いを行うことができる。買掛金の支払期日がより早く設定されている場合には、尚更である。 (4) 設備・インフラ関係の固定費(賃料、水道光熱費等) 本社や事業所、工場の賃料は、支払日に賃料の入金が無いからと言って直ちに貸主に賃貸借契約が解除されることはない。電気、ガス、水道などの公共料金も、通常、1、2ヶ月支払いが遅れても利用が停止されることはない。 したがって、いずれも正常に支払いを行うに越したことは無いが、緊急時には他の支払いを優先させることもやむを得ないだろう。 (5) 税金・社会保険料 税金・社会保険料については、従来からある制度の拡大適用や新たに創設された特例制度により、納税・支払いの猶予が認められる可能性がある。所轄の税務署・年金事務所に相談してみると良い。 なお、何の相談もなく単に納税・支払いをしないで放置していると、会社の資産の差押えを受けたりする可能性もあるので注意が必要である。 (了)

#No. 365(掲載号)
#山口 智寛、山田 正貴
2020/04/16

中小企業経営者の[老後資金]を構築するポイント 【第24回】「生前贈与の手法と老後資金の関係」

中小企業経営者の [老後資金]を構築するポイント 【第24回】 「生前贈与の手法と老後資金の関係」   税理士法人トゥモローズ   前回までは、事業承継後にできる老後資金準備策について検討を行ってきたが、今回から4回にわたり、相続対策と老後資金の関係について解説する。 はじめに検討する相続対策は、生前贈与についてである。生前贈与は相続税の節税対策や遺産分割対策として、相続対策の中でも最もポピュラーな手法であり、顧客に提案するケースも多い。   1 生前贈与の種類 (1) 暦年贈与 受贈者1人あたり年間110万円まで非課税枠があるため、子や孫が複数人いれば、毎年「その人数分×110万円」の財産を無税で次世代に移すことができる。また、相続税の限界税率と贈与税の実効税率を比較し、敢えて110万円を超える贈与をすることにより、より効果的な節税をすることも可能だ。なお、暦年贈与をする上での注意点は下記2を参照されたい。 (2) 相続時精算課税制度 相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度である。非課税枠は2,500万円で、それを超えた場合には一律20%の税率となる。相続時精算課税贈与による財産は、相続時に贈与時の時価にて持ち戻されるため、収益不動産や将来価値が上がる財産を贈与した場合など、相続税の節税ができるケースは限定的である。 (3) 生前贈与に係る主な特例制度 生前贈与に係る主な特例制度は下記の通りである。各特例の適用要件については国税庁ホームページにまとめられているため割愛するが(各リンク先を参照)、本稿執筆現在、②については令和3年3月31日まで、③については令和3年12月31日までと期間が定められているため、適用の際は最新の制度内容を確認するよう留意されたい。   2 名義預金と認定されないための生前贈与の方法 生前贈与を行うに当たり、そのやり方を間違えてしまうと贈与不成立(いわゆる名義預金)と税務当局から認定され、相続税の課税対象となってしまうことがある。名義預金と認定されないための生前贈与の方法を以下に解説する。 (1) 贈与契約書の作成 贈与契約は口頭でも成立するため、贈与契約書の作成は、贈与契約成立のための必須ではない。しかし、口頭での贈与はいつでも取り消すことができるため、税務当局への説明資料という観点からも、贈与契約書を作成すべきである。 (2) 贈与の実行 贈与契約書を作成しただけで満足してしまい、実際の贈与の実行を失念してしまうこともあるが、必ずその贈与を贈与契約書記載の通りに実行する必要がある。また、金銭贈与の実行は、現金ではなく、できるだけ客観的な記録が残る預金を通して行うべきである。 (3) 贈与後の管理支配 受贈者は、贈与を受けたお金を管理支配しないと、贈与が成立したとはいえない。贈与者は、子や孫に無駄遣いさせないためや金銭感覚を狂わせないために、贈与した後も贈与したお金を実質的に管理支配してしまうケースが散見される。しかし、これでは贈与が成立したと税務署に対抗することができない。 贈与後は、受贈者がもらったお金を自由に使える状態にしなければならない。そのためには、受贈者が普段から使っている普通預金の口座に振り込むのが良いであろう。   3 生前贈与と老後資金の関係 本連載の趣旨からみた場合、老後の生活資金が枯渇するほど生前贈与をしては、本末転倒である。このため、生前贈与を実施する前に、必ず現状把握をすることが大切である。この場合の「現状把握」とは、現在の個人貸借対照表(すなわち財産債務目録)の作成及び、個人資金繰り表(すなわち将来のキャッシュフローがわかる表)の作成である。 個人貸借対照表を作成することにより、贈与に当てられる流動資産がどのくらいあるのかを把握することができる。また、個人資金繰り表を作成することにより、将来予想される収入と支出を把握し、今どのくらいの資金が必要かを逆算することができる。主な将来の支出としては、生活費、遊興費、医療費、老人ホーム入居費用、自宅のリフォーム等、様々なものが想定できる。また、将来の相続税も流動資産で残しておく必要がある。 これらを事前に把握した上で、贈与可能な金額の算出、受贈者及び贈与手法の選定、将来の相続税の限界税率と贈与税の実効税率を比較等して、適正な贈与計画を策定する必要がある。 (了)

#No. 365(掲載号)
#税理士法人トゥモローズ
2020/04/16

《速報解説》 「独立性に関する指針」の改正に伴うローテーションに関する規定の見直しを受け、会計士協会が「監査人の独立性チェックリスト」を改正

《速報解説》 「独立性に関する指針」の改正に伴うローテーションに関する規定の見直しを受け、 会計士協会が「監査人の独立性チェックリスト」を改正   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年4月9日付けで(ホームページ掲載日は2020年4月13日)、日本公認会計士協会は、「倫理委員会研究報告第1号「監査人の独立性チェックリスト」の改正について」を公表した。 これは、2018年4月に「独立性に関する指針」が改正され、ローテーションに関する規定が見直されたことを受けて、チェックリストの関連する項目について見直しを行うものである。チェックリストについては、エクセル版も公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 改正箇所 2 見直しを行った主なチェック項目 (了)

#No. 364(掲載号)
#阿部 光成
2020/04/15

《速報解説》 金融庁、開示府令の改正により金商法に基づく有価証券報告書等の提出期限を一律本年9月末まで延長する方針を示す

《速報解説》 金融庁、開示府令の改正により金商法に基づく有価証券報告書等の提出期限を一律本年9月末まで延長する方針を示す   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020(令和2)年4月14日、金融庁は、「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について」を公表した。 また、同日、東京証券取引所は、上記の金融庁の公表を受けて、「「有価証券報告書等の提出期限の延長」に伴う決算発表日程の再検討のお願い」を公表している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 金融庁の公表 今後、3月決算企業をはじめとする多くの企業において、決算業務や監査業務を例年どおりに進めることが困難になることが想定されることから、次の対応を行う。   Ⅲ 東京証券取引所の公表 東京証券取引所は、上場会社において決算作業等の円滑な実施が困難となった場合に、当初のスケジュールにかかわらず、役職員や取引先そのほかの関係者の健康及び安全の確保を最優し、決算発表日程を再検討するようお願いしている。 前述の金融庁の方針を踏まえ、改めて自社の決算作業等の進捗状況を的確に把握し、必要な対応を検討するようにお願いしている。 なお、東京証券取引所の有価証券上場規程601条1項10号に規定する「有価証券報告書又は四半期報告書の提出遅延」については、上場会社が新たに定められる期日(本年9月末)までに有価証券報告書等を内閣総理大臣等に提出しなかった場合に限って適用することとなる。 (了)

#No. 364(掲載号)
#阿部 光成
2020/04/15

《速報解説》 会計士協会、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」を公表~不確実性の高い環境下における監査上の留意事項を中心に言及~

《速報解説》 会計士協会、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」を公表 ~不確実性の高い環境下における監査上の留意事項を中心に言及~   公認会計士 阿部 光成     Ⅰ はじめに 2020年4月10日、日本公認会計士協会は、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」を公表した。 これは、2020年3月18日の「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」に続くものであり、主として、不確実性の高い環境下における監査上の留意事項について述べている。 なお、同日、企業会計基準委員会は、「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」をホームページに掲載している。 その後、2020年5月11日 に企業会計基準委員会から議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」が公表されたことを受け、2020年5月12日付けで、留意事項(その2)が更新されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 基本的なポイント 留意事項(その2)の基本的なポイントは次のとおりである。 2 不確実性の高い環境下における監査の基本的な考え方 現在の新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においては、財務諸表の利用者等の意思決定に資するという公共の利益を勘案して、各監査人は監査意見の形成局面において職業的専門家としての慎重な判断が求められることに留意する。 3 会計上の見積りの監査 新型コロナウイルス感染症拡大の影響下において、監査人は、監査報告書に記載されるとおり、経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する責任がある。 監査手続を実施する場合の留意事項は次のとおりである。 (了)

#No. 364(掲載号)
#阿部 光成
2020/04/14

《速報解説》 金融庁から「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等が公表される~財務諸表等規則ガイドラインにおいて「重要な会計方針の注記」に係る規定を新設~

《速報解説》 金融庁から「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等が公表される ~財務諸表等規則ガイドラインにおいて「重要な会計方針の注記」に係る規定を新設~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020(令和2)年4月10日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。 これは、2020年3月31日に公表された「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(改正企業会計基準第24号)、「収益認識に関する会計基準」(改正企業会計基準第29号)及び「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(企業会計基準第31号)等を踏まえ、財務諸表等規則等を改正するものである。 意見募集期間は2020(令和2)年5月11日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正(案)」、「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正(案)」、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則の一部改正(案)」などのほか、「「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)の一部改正(案)」などが公表されている。 以下では、主に財務諸表等規則に関する改正について解説する。 1 重要な会計方針の注記(財規8条の2関係) 「重要な会計方針の注記」(財規8条の2)では、従来、有価証券の評価基準及び評価方法、棚卸資産の評価基準及び評価方法など10項目を注記しなければならないとしていた。 公開草案は、会計方針については、財務諸表作成のための基礎となる事項であって、投資者その他の財務諸表の利用者の理解に資するものを注記しなければならないとし、現行の10項目の会計方針の記載を削除している。 一方、財務諸表等規則ガイドライン8の2において、次の規定を新設する。 2 重要な会計上の見積りに関する注記(財規8条の2の2関係) 「重要な会計上の見積りに関する注記」(財規8条の2の2)において、当事業年度の財務諸表の作成に当たって行った会計上の見積り(この規則の規定により注記すべき事項の記載に当たって行った会計上の見積りを含む)のうち、当該会計上の見積りが当事業年度の翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるもの(「重要な会計上の見積り」という)を識別した場合には、所要の事項を注記する。 当該財務諸表等規則の規定に対応して、財務諸表等規則ガイドライン8の2の2を新設する。 3 未適用の会計基準等に関する注記(財規8条の3の3関係) 財規8条の3の3第1項3号に掲げる事項は、当該会計基準等が専ら表示方法及び注記事項を定めた会計基準等である場合には、記載することを要しないとする。 4 収益認識に関する注記(財規8条の32関係) 顧客との契約から生じる収益については、次に掲げる事項であって、投資者その他の財務諸表の利用者の理解に資するものを注記しなければならない(重要性の乏しいものについては、注記を省略することができる)。 当該財務諸表等規則の規定に対応して、財務諸表等規則ガイドライン8の32において、「収益認識に関する会計基準」が適用される場合の注記に関する留意事項を規定する。 5 表示科目等(財規15条、39条、47条、93条等関係) 次のように表示科目等について改正する。 6 棚卸資産及び工事損失引当金の表示(財規54条の4関係) 同一の工事契約に係る棚卸資産及び工事損失引当金がある場合に、所要の注記を行う。 7 売上高の表示方法(財規72条関係) 売上高については、顧客との契約から生じる収益及びそれ以外の収益に区分して記載するものとする。 この場合において、当該記載は、顧客との契約から生じる収益の金額の注記をもって代えることができる。 ただし、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成しているときは、当該記載及び当該注記を省略することができる。 財務諸表等規則ガイドライン72-1は、各企業の実態に応じ、売上高、売上収益、営業収益等適切な名称を付すものとし、また、顧客との契約に重要な金融要素が含まれる場合には、顧客との契約から生じる収益と金融要素の影響(受取利息又は支払利息)を損益計算書において区分して表示するものとしている。   Ⅲ 適用時期等 公布の日から施行する予定である(経過措置に注意)。 (了)

#No. 364(掲載号)
#阿部 光成
2020/04/14

《速報解説》 ASBJが、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方を公表~財務諸表を作成する際の留意点を明示~

《速報解説》 ASBJが、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方を公表 ~財務諸表を作成する際の留意点を明示~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 2020年4月10日、企業会計基準委員会は、「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」をホームページに掲載した。 これは、2020年4月9日に開催された第429回企業会計基準委員会における審議の概要であり、財務諸表を作成する上での会計上の見積りを行う際の留意点を述べている。 その後、2020年5月11日に開催された第432回企業会計基準委員会において、新型コロナウイルス感染症の影響に関する開示について審議が行われ、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」を公表し、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示について強く要望している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計上の見積りを行う際の留意点 新型コロナウイルス感染症の広がりは、経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予測することは困難であるため、会計上の見積りを行う上で、特に将来キャッシュ・フローの予測を行うことが極めて困難な状況にあるとの認識を示した上で、次の留意点を述べている。   Ⅲ 会計上の見積りを行う際の留意点の追補 上記の会計上の見積りを行う際の留意点の④の「重要性がある場合」 について、 当年度に会計上の見積りを行った結果、当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望まれると記載されている。 (了)

#No. 364(掲載号)
#阿部 光成
2020/04/13
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