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《速報解説》 国税庁、通達改正により「特定譲渡制限付株式に係る所得税法上の取扱い」を整備

 《速報解説》 国税庁、通達改正により 「特定譲渡制限付株式に係る所得税法上の取扱い」を整備   公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎   1 はじめに 平成28年7月5日付、国税庁より『「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)』が公表された(ホームページ公表日は7月8日)。 この中では、役員に対して付与された「特定譲渡制限付株式」(いわゆるリストリクテッド・ストック)に関する所得税法上の取扱いが新たに追加されている。 ここでいう「特定譲渡制限付株式」は、平成28年度の税制改正において、事前確定届出給与の範囲に新たに追加されたものであり(法法34①二)、本通達はその受け手側(役員)における所得税法上の課税関係を明確にするものである。 そこで本稿では、新たに追加された所得税法上の取扱いについて、公表された通達に基づき解説することとする。 なお、平成28年度の税制改正における役員給与税制の見直しについては、下記拙稿『平成28年度税制改正における役員給与税制の見直し』を参照されたい。   2 新たに公表された通達 今回の改正では、特定譲渡制限付株式に関する取扱いとして、以下の通達が追加された。 また、特定譲渡制限付株式に係る定めが追加されたことに伴い、以下の通り、従来の新株予約権に係る規定の項番ないし号番が繰り下げられた。 これに伴い、改正後の通達でも参照先の修正が行われている。   3 新設された通達の内容 (1) 特定譲渡制限付株式等の譲渡についての制限が解除された場合の所得区分(所基通23~35共-5の2) この通達は、特定譲渡制限付株式を交付された者において、その譲渡制限が解除された場合には、交付法人との関係に着目して以下のように所得を区分することを明らかにしたものである。 (2) 特定譲渡制限付株式等を交付された場合の所得の収入すべき時期(所基通23~35共-5の3) この通達は、特定譲渡制限付株式を付与された場合に、それに係る所得の収入すべき時期(認識時期)を明らかにしたものである。 すなわち、特定譲渡制限付株式等の交付に係る経済的利益については、株式交付日ではなく譲渡制限解除日に課税されることが明らかにされている。 ただし、「無償取得事由」(所令84①二)に該当することによって、交付法人がその譲渡制限付株式等を(交付された者から)無償で取得することとなった場合には、その交付された者は課税されない(対象となる株式を手放すため)。 (3) 特定譲渡制限付株式等の価額(所基通23~35共-5の4) (2)で説明したとおり、特定譲渡制限付株式等の交付に係る経済的利益は、譲渡制限が解除された日に課税されることとなるが、具体的には「譲渡制限解除日における価額」すなわち譲渡制限解除日における時価で課税されることとなる。 この通達は、「譲渡制限解除日における価額」の内容について明らかにしたものであるが、従来の所得税基本通達23~35共-9(株式等を取得する権利の価額)と同様の取扱いとなっている。 (4) 特定譲渡制限付株式等の価額(所基通48-1の2) 特定譲渡制限付株式等の取得価額は「譲渡制限解除日における価額」によることとされており(所令109①二)、この通達は、その算定方法は上記(3)により求めた価額とすることを明らかにしたものである。 この結果、特定譲渡制限付株式等を付与された者(交付法人の役員)は、その譲渡制限が解除された日において、その日の価額によってその株式(有価証券)を取得するとともに、給与所得、退職所得、事業所得又は雑所得として課税されることとなる。 (了) ↓お勧め記事↓

#No. 177(掲載号)
#鯨岡 健太郎
2016/07/15

《速報解説》 東京国税局、有料老人ホームが入居一時金を受領した際に交付する「預り証」に係る印紙税の取扱いに関する文書回答事例を公表

 《速報解説》 東京国税局、有料老人ホームが入居一時金を受領した際に交付する 「預り証」に係る印紙税の取扱いに関する文書回答事例を公表   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   有料老人ホームが入居一時金を受領した際に交付する「預り証」に係る印紙税の取扱いについて、平成28年6月29日付で、東京国税局からの回答が公表された。   1 照会の趣旨 老人福祉法第30条に規定する「有料老人ホーム協会」の会員が、入居者との間で締結する有料老人ホームの入居に係る契約に基づいて、入居者から入居一時金を受領する際に交付する「預り証」についての印紙税の課否について、「金銭又は有価証券の受取書で売上代金に係るもの以外のもの」(第17号の2文書)に該当するものと解してよいかどうかというものである。   2 照会に係る取引事実関係   3 結論 「預り証」は、入居一時金の受領事実を証明するために入居者に交付するものであり、第17号文書に該当する(基通別表第一第17号文書1)。 また、老人ホームに入居後に、契約が解除されるなどの場合があり、解除された以降の期間に対応する部分を返還することとされたとしても、家賃等の対価であることから「売上代金」に該当する。 したがって、この場合の入居一時金を受領する際に交付する「預り証」は、売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(第17号の1文書)に該当する。 なお、公益法人又は公益財団法人が作成されるもの、及び会社以外の法人のうち、法令の規定又は定款の定めにより利益金又は剰余金の配当又は分配をすることができない法人が作成するものは営業に関しない受取書に該当するため、非課税となる(法別表第一第17号文書非課税物件2及び基通別表第一第17号文書21・22)。   【参考】 (了)

#No. 177(掲載号)
#山端 美德
2016/07/15

《速報解説》 国税庁、マイナンバー制度をめぐる「相続税・贈与税に関するFAQ」を公開~相続人等間での本人確認は不要など取扱いを解説

《速報解説》 国税庁、マイナンバー制度をめぐる「相続税・贈与税に関するFAQ」を公開 ~相続人等間での本人確認は不要など取扱いを解説   Profession Journal編集部   国税庁は、このたび7月8日付けHP上で、マイナンバー制度をめぐる「相続税・贈与税に関するFAQ」を公開し、相続税と贈与税の申告におけるマイナンバー(個人番号)の取扱いに関する注意点を明らかにした。   〇申告に関わらない人の個人番号は出さないことが基本 周知のとおり、相続税・贈与税の申告については、本年1月1日以降に開始する相続・遺贈、そして同日以降に行われる贈与に伴って申告書へのマイナンバーの記載及び本人確認用の書類(①マイナンバーカード、②通知カード+運転免許証等、③マイナンバーが記載された住民票の写し+運転免許証等、のいずれか)の提出が求められる。 相続税・贈与税の申告においても、マイナンバーに関する基本的な取扱いは所得税等と大きく異なることはない。相続人や受贈者が申告に際して本人確認のために自身の住民票を提出する場合には、申告者以外のマイナンバーが表示されていれば、マイナンバーの安全管理措置としてマスキングを行った上での提出が求められる(Q1-5)。 一方で、複数の相続人等が同一の書面にマイナンバーを記入する際には、相続人等の1人がマイナンバーを記入した後に、マスキング等をせずに他の相続人等に渡しても番号法上の「特定個人情報の提供」には該当しないため、特に問題はないとされている(Q1-4)。 基本的な取扱いをまとめると次のとおり。   〇税務で留意したい取扱い 相続税申告の際に使用する第1表には、被相続人のマイナンバーを記入することとなる。しかし、場合によっては被相続人のマイナンバーを確認できないこともあろう。その場合には、申告書に被相続人のマイナンバーを記載しないまま提出することも認められている(Q1-2)。ちなみに、被相続人については本人確認が不要となっているため、被相続人の本人確認書類を提出する必要はない(Q1-3)。 税理士事務所では相続税・贈与税の申告書の控えを保管するケースが想定される。その際にはマイナンバーを記載しない、または複写により控えを作成する場合はマイナンバー部分が複写されないようマスキングを施すなど、安全管理措置の面からマイナンバーの取扱いに十分注意する必要がある(Q1-6)。   〇贈与特例では金融機関へ提出する申告書でもマイナンバーの記載が必要に 資産の世代間シフトに有効な特例である教育資金贈与特例(措法70の2の2)と結婚・子育て資金贈与特例(措法70の2の3)では、申告書を金融機関に提出することとなる。 その際には、マイナンバーの記載が必要となるばかりでなく、金融機関が本人確認を行う必要があるため、金融機関に対して書類の提出を行うことに留意したい(Q2-8、Q2-9)。 (了)

#No. 176(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/07/14

プロフェッションジャーナル No.177が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年7月14日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.177を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/07/14

酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第43回】「混沌とした租税回避論の再整理(その1)」

酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第43回】 「混沌とした租税回避論の再整理(その1)」   中央大学商学部教授・法学博士 酒井 克彦   はじめに 租税回避とは課税されるべきであろうか。それとも、課税されるべきではないのであろうか。 「租税回避はけしからん」として、課税されるべきであると考えられがちであるように思われる。 この点、学説上の通説は、租税回避とは課税されないものと理解している。 いわば、租税回避は一種の安全地帯(セーフハーバー)として捉えられているのである。 しかし、今日の租税回避論は混沌としている感が否めない。 すなわち、従前では考えられなかった租税負担の軽減を図る行為が頻発し、裁判や学説上、「租税回避とは何か」を再考する契機となっている。 例えば、最近ではヤフー事件が注目を集め、りそな銀行事件なども大変話題となった。これらは、租税法学者に限らず、租税実務家にも非常にインパクトのあった事件であると思われる。 本稿では、こうした最近の租税負担の減少を図った事件などに触れた上で、混沌とした租税回避論について一定の整理を図りたいと考えている。   Ⅰ 租税回避の定義の再確認 1 従来の租税回避の定義 通説的な学説として、金子宏教授の租税回避の定義を確認しておこう。 一見すると少し難しい定義かもしれないが、極々簡単にいえば、租税回避とは、①私法上の選択可能性を利用し、②課税要件の充足を免れることといえるだろう。 続いて、清永敬次教授による租税回避の定義も確認しておきたい。 両教授の定義に共通するところをまとめれば、租税回避とは、「課税要件の充足を免れて、税負担の軽減を図ること」であり、これが従来の租税回避の代表的な捉え方である。 なお、課税要件が充足されれば納税義務が発生するわけであるが、ここで定義されている「租税回避」とは、課税要件を満たさないようにすることで租税負担を免れる行為である。 租税法律主義の要請の下、課税要件を充足していない限り課税はなされない。これが、今までの通説的な理解であったことを、最初に踏まえておきたい。 2 租税回避事例 ―岩瀬事件― 租税回避を理解する上で重要な事件として、いわゆる岩瀬事件がある。 これは、当事者の有する2つの土地について、交換契約によると所得税が高くなることを知った納税者らが、交換契約ではなく、あえて2つの土地についてそれぞれ売買契約を締結し、所得税負担の減少を図った事件である。税務署長は、納税者の行った2本の売買契約を、1本の交換契約であるとして更正処分を行った。 第一審東京地裁平成10年5月13日判決(判時1656号72頁)は、当該2本の売買契約は、本来は交換(民法586条)であったと認定し、更正処分を適法と判断した。 これに対して、控訴審東京高裁平成11年6月21日判決(判時1685号33頁)は、当事者が1本の交換契約によらずに2本の売買契約という法形式を選択したことについて、 として、交換契約ではなく2本の売買契約を採用した目的が、租税負担を軽減するためであったと認定した上で、 と判示し、当事者の「税負担の軽減を図る」という本来の目的を考える以上、交換契約を採用することは考え難く、その目的達成のためには売買契約を選択することが当事者の真意に合致するとして、 として原審判断を覆し、更正処分を違法としたのである(上告不受理)。 前述のとおり、租税回避の定義は、①私法上の選択可能性を利用し、②課税要件の充足を免れることと理解されている。この事件は、①交換か売買かという私法上の選択可能性を利用し、②売買契約を締結することで、交換に対応する課税要件の充足を免れた事案であり、まさに租税回避の典型例であるといえる。 この事例では契約の解釈が争点となっていたが、東京高裁は「租税負担の軽減」という当事者の意思を織り込んで契約解釈を行っており、租税回避に中立的な判決と評することができるであろう。 3 租税回避の否認 租税回避を否認するということは、課税要件を満たしていないにもかかわらず、これを否認して課税をすることになるのであるから、租税法律主義の下、明文の規定が必要になる。 同様に、法人税法132条の同族会社等の行為計算否認規定などは、税務署長の権限において、相当程度幅広く租税回避を否認する規定であるため、その適用範囲について無条件の拡大を許すことは、租税法律主義の下認められないことであるが、どこまで拡張が許容されるべきかについては、昨今の種々の事件を背景として関心が寄せられている部分である。 ところで、租税回避の否認とは、課税要件を充足していないものについて、課税要件を充足させる行為であるから、セーフハーバーからの排除、すなわち、租税回避の状態のままにしないために、セーフハーバーから課税地帯へ引き上げることを意味する。 学説どおりに「租税回避」を課税要件の充足がないものであると捉えると、「租税回避」とは課税されないものとなるが、しかし、「租税回避」をこのようなものとして理解しない向きも多い。この点については、むしろ、「租税回避」とは、結局課税されるか、課税されないかの判断待ちの状態であり、ある意味で「経過的な状態」と捉えられているのかもしれない。しかしながら、そのような理解は、「租税回避」の学説上の理解とは相容れない。   Ⅱ 租税回避の再考 1 新しいタイプの租税軽減行為 ―りそな銀行事件― 我が国の租税法には、一定の政策目的を実現するために租税負担を免除ないし軽減する規定(以下「課税減免規定」という)が用意されている。 例えば、国際的二重課税を排除するために設けられている法人税法69条などもその1つである。 最近、こうした課税減免規定の要件を形式的に充足し、その規定の本来の趣旨に沿わないところで、租税負担の免除・軽減を図ろうとする従来見られなかった事例がある。 このような事例については、法律の要件を満たしている以上、課税減免は認められて当然と理解するべきであろうか。 それとも、本来の趣旨から外れた規定の適用は排除すべきと考えるべきであろうか。 このような新しいタイプの事件として、いわゆる「りそな銀行事件」と呼ばれる事例を確認しておこう。 事実関係はとても複雑であるが、簡潔に言ってしまえば、X社(原告・被控訴人・被上告人)がクック諸島において本来自らが納付する必要のない外国税額を納付し、それを法人税法69条に定める外国法人税であるとして、自らの法人税から控除したことにつき、税務署長Y(被告・控訴人・上告人)が否認した事案である。 第一審大阪地裁平成13年12月14日判決(民集59巻10号2993頁)は、X社の行った取引を「投資の総合的コストを低下させるための手段と位置づけることが可能である。」とし、Yの主張を排斥した(控訴審大阪高裁平成15年5月14日判決(民集59巻10号3165頁)もおおむね維持)。 この事件は、上告され、上告審最高裁平成17年12月19日第二小法廷判決(民集59巻10号2964頁)は次のように述べ、Yの逆転勝訴とした。 であるとし、そうした行為は、 と示し、原審判断を覆したのである。 本件は、法人税法69条の適用において、同制度の趣旨目的に限定して適用を認めるべきか否かが争点となった事例であるが、最高裁はこれを肯定したものである。 本件取引は、X社があえて二重課税を生じさせることで、法人税法69条の適用要件を充足したものであり、同条の国際的二重課税排除の趣旨目的からは逸脱していると判示されたのである。 (続く)

#No. 177(掲載号)
#酒井 克彦
2016/07/14

金融・投資商品の税務Q&A 【Q3】「公募利付債券の課税関係」~改正後の取扱い~

金融・投資商品の税務Q&A 【Q3】 「公募利付債券の課税関係」 ~改正後の取扱い~   PwC税理士法人 金融部 パートナー 税理士 箱田 晶子   ●○ 検 討 ○● 従前、公社債に対する課税については、利子は源泉分離課税(所得税15.315%、地方税5%)、譲渡益は原則非課税、償還益は雑所得として総合課税の対象とされており、株式の譲渡損益や配当に対する課税とは異なるものとされていました。しかし、平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後、その取扱いが以下の通り変更され、特定公社債については基本的に上場株式と同様の課税とされます。 なお、発行日が平成27年12月31日以前の公社債についても、利払日、譲渡日、償還日が平成28年1月1日以後の場合は、原則として新税制が適用されます。   1 利子にかかる税金 公社債の利子については、支払の際に20.315%(国税15.315%、地方税5%)の源泉徴収がなされます。 特定公社債の利子はその金額にかかわらず、源泉徴収で課税関係を完結することができますが、申告する場合は、上場株式等の配当所得等として申告分離課税20.315%(国税15.315%、地方税5%)が適用されます。申告をした場合、上場株式等(特定公社債を含む)に係る譲渡損との損益通算等が可能です。   2 売却・償還時の取扱い 平成27年12月31日以前は、公社債の譲渡益は原則として非課税とされていました。また、償還益は雑所得として総合課税の対象とされていました。 平成28年1月1日以後は、公社債の譲渡益及び償還益は、株式等に係る譲渡所得等として取り扱われることとなりました。 具体的には、特定公社債の譲渡については、他の所得と区分し、上場株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(以下、「上場株式等に係る譲渡所得等」)として、申告分離課税(所得税15.315%、地方税5%)が適用されます。 特定公社債の元本の償還により交付を受ける金銭等の額については、公社債の譲渡による収入金額としてみなされることにより、譲渡と同様に課税されることとなります。 特定公社債の譲渡損、償還損は、上場株式等に係る譲渡損失として取り扱われます。申告分離課税の適用上、その年中の他の上場株式等(特定公社債を含む)に係る譲渡所得等との相殺は認められますが、上場株式等に係る譲渡所得等の合計額が損失となった場合は、その損失は他の所得と相殺することはできません。 ただし、一定の譲渡損益については以下の特例の対象となります。 ◆配当所得等との損益通算 特定公社債の譲渡(償還を含む。以下同様)により生じた損失のうちその譲渡日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除しきれない金額は、申告を要件に、当該損失をその年分の上場株式等の配当所得等の金額(特定公社債の利子を含み、申告分離課税を選択したものに限る)から控除することが認められます。 ◆損失の繰越控除 特定公社債の譲渡により生じた譲渡損失のうちその譲渡日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除しきれない金額は、一定の条件のもと、その年の翌年以後3年内の各年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除が認められます。 詳細については【Q2】を参照ください。      (了)

#No. 177(掲載号)
#箱田 晶子
2016/07/14

連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第4回】「役員給与の見直し」

連結納税適用法人のための 平成28年度税制改正 【第4回】 「役員給与の見直し」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸   [6] 役員給与の見直し 1 改正の内容 多様な株式報酬や業績連動報酬の導入を促進することで経営者に中長期的な企業価値向上のインセンティブを与えるため、役員給与について、次の見直しが行われている。 (1) 特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)の交付により支給される給与の取扱い 内国法人の支給する役員給与のうち、「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)の交付により支給される給与」は、事前の届出をしなくても、事前確定届出給与として損金算入できることとなった(法法34①二)。 ここで、特定譲渡制限付株式とは、次に掲げる要件を満たす株式をいう(法法34①二、54①、法令111の2①)。 そして、役員に支給される特定譲渡制限付株式のうち、次に掲げる要件を満たすものが事前の届出が不要な事前確定届出給与として損金算入されることとなる(法法34①二、法令69②)。 また、内国法人を合併法人とする合併により被合併法人の特定譲渡制限付株式を有する者に対し交付される当該内国法人の譲渡制限付株式等(承継譲渡制限付株式)についても同様の取扱いとなる(法法34①二、54①、法令111の2③)。 なお、特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)等の交付による株式報酬制度を導入する手続については、平成25年7月に経済産業省が公表した「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」の報告書や本年4月公表の「「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~」に取りまとめられている。 (2) 特定譲渡制限付株式の交付により支給される給与の損金算入の時期 内国法人が、役員又は従業員から受ける将来の役務の提供の対価として特定譲渡制限付株式を交付した場合には、その役務の提供に係る費用の額は、原則として、その譲渡制限付株式の譲渡制限が解除された日の属する事業年度の損金の額に算入する(法法54①、所令84①)。 また、この場合、役務の提供に係る費用の額は、特定譲渡制限付株式の交付が正常な取引条件で行われた場合には、当該特定譲渡制限付株式の交付につき給付され、又は消滅した債権(当該役務の提供の対価として役員又は従業員に生ずる債権に限る)の額に相当する金額とする(法令111の2⑤)。 なお、譲渡制限が解除されない場合、役務の提供を受けたことによる費用の額又は当該役務の全部若しくは一部の提供を受けられなかったことによる損失の額は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できない(法法54②)。 また、役員又は従業員から役務の提供を受ける内国法人は、特定譲渡制限付株式の一株当たりの交付の時の価額、交付数、その事業年度において譲渡についての制限が解除された数その他当該特定譲渡制限付株式又は承継譲渡制限付株式の状況に関する明細書を当事業年度の確定申告書に添付しなければならない(法法54③)。 (3) 利益連動給与の算定指標の範囲の拡充 利益連動給与の算定指標の範囲に、純粋な利益指標(営業利益、経常利益等)に加え、ROE、ROA等など一定の利益に関連する指標が含まれることになった(法法34①三)。 具体的には、次に掲げる算定指標が対象となる(法法34①三、法令69⑧)。 なお、利益連動給与に関するそれ以外の取扱いは変更されていない。   2 適用時期 上記1(1)及び(3)については、平成28年4月1日以後に開始する連結事業年度から適用される(平成28年所法等改正法附則1・21)。 上記1(2)については、平成28年4月1日以後に交付の決議(当該決議が行われない場合には、その交付)がされる特定譲渡制限付株式及び承継譲渡制限付株式について適用される(平成28年所法等改正法附則1・24)。 (了)

#No. 177(掲載号)
#足立 好幸
2016/07/14

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第15回】「過大役員退職給与」~役員退職給与が過大であると判断した理由は?~

理由付記の不備をめぐる事例研究 【第15回】 「過大役員退職給与」 ~役員退職給与が過大であると判断した理由は?~   中央大学大学院商学研究科 博士後期課程 (酒井克彦研究室所属) 泉 絢也   今回は、青色申告法人X社に対して、前代表取締役に対する役員退職給与の額が過大であるとして、その一部の損金算入を否認した法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた、静岡地裁昭和63年9月30日判決(判時1299号62頁。以下「本判決」という)を取り上げる。   1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記) (注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。   2 本件理由付記から読み取ることができる関係図   3 本判決の判断 本判決は、大要次のとおり、理由付記に不備はないと判断した(この判断は、控訴審である東京高裁平成元年1月23日判決・税資169号5頁においても維持されている)。 (1) 法人税法130条2項の趣旨 (2) 理由付記の十分性   4 私見 (1) 関係法令等の確認 本件更正処分は、X社が損金の額に算入した前代表取締役Mに対する役員退職給与の額の一部について、内国法人がその役員に対して支給する退職給与の額のうち不相当に高額な部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができないことを定める法人税法34条2項により、損金の額に算入しないというものである。 この不相当に高額な部分の金額、すなわち過大役員退職給与の額の損金不算入に係る要件は次のとおりである(法令70二)。 (2) 求められる理由付記の程度 本件更正処分は、X社が支給し、損金の額に計上した前代表取締役Mに対する役員退職給与の額2億7,269万1,500円について、その帳簿書類の記載を覆すことなくそのまま肯定した上で、類似法人の役員退職給与の支給状況に照らし、不相当に高額であると認められる部分の金額を、法人税法34条2項により、損金の額に算入することはできないとするものであるため、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に該当すると考える。 したがって、理由付記の程度としては、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信憑力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を更正処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないことになる(最高裁昭和60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁等参照)。 (3) 理由付記の十分性 次のとおり、本件理由付記は、法の求める理由付記として十分なものであると考える。 本件理由付記は、本件更正処分の理由として、「X社は、×年×月×日に、前代表取締役Mに対して、役員退職給与の額2億7,269万1,500円を支給し、損金の額に算入していること」を記載しているため、支給年月日、支給対象者及び支給金額を特定した上で、「内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して退職給与を支給した」という上記(1)の過大役員退職給与の損金不算入に係る要件①に対応する事実を、処分の根拠として示していることになる。 また、本件理由付記は、本件役員退職給与の額には、X社と同種の事業を営み事業規模が類似すると認められる類似法人5社の役員に対する役員退職給与の支給状況に照らし、不相当に高額な部分の金額があるという課税庁の判断を示すとともに、その根拠として、課税庁が役員退職給与適正額を算出するに当たり用いた、最終月額報酬、勤続年数及び功績倍率の各根拠(別表)についても明らかにしており、上記(1)の過大役員退職給与の損金不算入に係る要件②に対応する事実を、処分の根拠として示していることになる。 そうすると、本件理由付記は、その記載内容から法令上の根拠が明らかになるものであり、かつ、法令上の要件に対応する具体的な事実を記載するものであり、これによって課税庁の判断過程が明らかとなるものであるから、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の趣旨目的に適うものであると考える。 (4) 異なる視点 今後の議論の発展のためにも、以下では、上記と異なる視点による主張を示しておく。 ア 更正処分庁の恣意抑制という趣旨との適合性 法人税法施行令70条2号は、「その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの」の役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、役員退職給与の過大性の判断を行うことを定めているにもかかわらず、本件理由付記には、別表の類似法人の事業種目、売上金額、所得金額、総資産額、資本金の額などの記載がなく、別表の類似法人がX社と「同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの」であることの根拠が明示されていない。 すると、本件理由付記は処分の根拠となる事実や判断過程を省略して記載しており、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するという理由付記の趣旨と必ずしも適合しないという主張もあり得る。 仮に、この程度の理由付記でも不備はないと解した場合には、厳密にはX社と「同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの」とは言い難いような他の法人について、役員退職給与の適正額を算出する場合の同業類似法人に含めるか否かの判断を課税庁が恣意的に行うことが可能となるから、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するという理由付記の趣旨に適うものとはいえないという見解もあり得よう。 実際、本判決の事案において、課税庁は、訴訟提起後に、本件更正処分の根拠とした5社とは別の類似法人8社を抽出して、処分の適法性を主張している。しかも、当該5社に係る勤続年数、最終月額報酬、支給退職金額及び功績倍率の各数値と、当該類似法人8社に係る各数値とを比較すると、1つとして合致するものがなかったというのであるから、課税庁は、本件訴訟において、本件更正処分の根拠に用いた5社はX社の同業類似法人としては妥当ではない面があると判断したものと推測される。 課税庁が実際に恣意的に類似法人の選択を行ったか否かは不明であるが、このことは、恣意的に行うことが可能となるような水準の理由付記をもって、理由付記に不備はないと論断することの危うさを表しているといえよう。 イ 不服申立ての便宜を与えるという趣旨との適合性 同様に、別表の類似法人がX社と「同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの」であることの根拠が明示されていないのであるから、処分の相手方が不服申立てを行うか否かを判断する際に、あるいは実際に不服申立てを行おうとする際に、具体的にどの点をどのような形で反論するべきであるかなどの点について、十分な検討ができない面がある。 このような意味では、本件理由付記は不服申立てを行う(又は行うか否かを判断しようとする)納税者にとって甚だ不都合であるから、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与えるという理由付記の趣旨に適うものとはいえないという主張があり得る。 *  *  * 次回は、修正申告書において損金の額に算入された収用等の特別控除を否認した法人税更正処分の理由付記の事例を取り上げる。 (了)

#No. 177(掲載号)
#泉 絢也
2016/07/14

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第11回】「譲渡制限株式の譲渡①」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第11回】 「譲渡制限株式の譲渡①」   公認会計士 佐藤 信祐   【第2回】から【第10回】までは、募集株式の発行等が有利発行に該当するか否かについて争われた事件をいくつか紹介した。 【第11回】以降は、譲渡制限株式の譲渡において、売買価格の決定の申立てがなされた事件について解説を行うこととする。   1 東京高裁平成20年4月4日決定・金判1295号49頁 (1) 事実の概要 発行済株式6,000株のうち3,600株を有する申立人に対して、株式会社カプコンがその保有する株式2,400株(1株当たり5万円)を譲渡した。引き続き、申立人が相手方に対して本件会社の株式3,600株(1株当たり5万5,555円)を譲渡した。その結果、相手方が3,600株、申立人が2,400株を保有することになった。 本事件は、その2年後に、申立人が有する株式の譲渡を行おうとしたところ、当該株式の譲渡を承認しないことの通知を受け、相手方を指定買受人に指定する決議がなされたため、売買価格の決定の申立てがなされた事件である。 (2) 申立人の主張 (3) 相手方の主張 (4) 原決定(東京地裁平成20年1月22日判決・金判1295号55頁) (5) 裁判所の判断 原審の判断をそのまま採用しているため、詳細な解説は省略する。 (6) 評釈 本事件は、譲渡制限株式の譲渡が経営権の移動に準じて取り扱うことができる場合として採用された事例である。 本事件は、申立人が40%、相手方が60%という分かりやすい持分比率であることから、経営権の移動に準じて取り扱うという判断になりやすいが、申立人の保有比率が20%程度であったとしても、個別の事情に応じ、同様の判断をすべきであると考えられる。 本事件では、取引事例が少ないこと、類似会社が存在しないこと、配当実績がないことなどから、結果として、収益還元方式と純資産方式のいずれか、または折衷することにより算定するのかという点が本事件の中心的な論点となっている。ただ、本事件では、取引事例が当事者間のものに近いものとなっており、裁判所としては、その内容をもう少し検証すべきだったように思われる。 裁判所は、創業してから間もないベンチャー企業であることや、年々、順調に売上が上昇していることから、純資産方式では過小評価になりかねず、収益還元法のみを採用することが相当であると判断したようである。しかしながら、資本還元率を「一般に用いられる10%」と算定しているが、資本還元率が10%となる企業の方が少なく、実際は、もう少し低い資本還元率になるはずである。 過去の裁判例の一定の傾向を見てみると、支配株主にとっての株式価値を算定するに当たっては、DCF法や収益還元法を採用しながらも、一定の場合には、純資産方式との折衷方式を採用するという傾向がある。 前回までで解説した募集株式の発行等についての裁判例と異なり、譲渡制限株式の売買価格の決定の申立ては、裁判所の裁量により価格が決定されるものである。そのため、最も正しい株式価値を算定することを目的とするものではないという点に留意が必要である。 次回では、福岡高裁平成21年5月15日決定について解説を行う予定である。 (了)

#No. 177(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/07/14

税務判例を読むための税法の学び方【86】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その14:「「退職所得」の意義①」(最判昭58.9.9))

税務判例を読むための税法の学び方【86】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その14:「「退職所得」の意義①」(最判昭58.9.9))   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   1 はじめに この判例は、退職所得の意義を明らかにした最高裁判決である。 それまでは、厳密な意味で何が退職所得に該当するのかという点は明らかにされていなかったところ、昭和58年後半に、2つの退職金に関する最高裁判決(①5年で打切り支給の退職金として支払われた金員についての事案、②10年で打切り支給の退職金として支払われた金員についての事案)により明確にされた。そこで、今回はこの2つの判決を見ていこう。ただし①事案を中心に見ることとし、②事案は、検討のする中で一部を紹介するのに留める。   2 事案の概要 原告(控訴人・上告人)は、経営状態を不安視した労働組合(当時、中小企業が営業を停止し退職金を支払わずに従業員を解雇する事例が相次いでいた)からの申し入れにより、退職金の支払を実質上前払の形で保障し、併せて営業停止の際の退職金支払に要する経理上の負担を軽減する趣旨で、給与規程を改正し、同一条件で継続的に勤務する従業員も含め全ての従業員に対して勤務年数を5年間で打切り計算して退職金名義で手当を支給することとした。原告は、昭和41年4月から同44年5月までの間に勤続期間が5年に達した従業員に対しこの規程に基づきその都度退職金として金員を支給し、源泉徴収すべき所得税額はないとしていた。これに対して、原処分庁が、この退職金として支給した金額は給与所得(賞与)に該当するとして、各源泉所得税の納税告知処分及等を行ったため、処分の取消しを求めて出訴したものである。   3 関係法令等 (1) 法令 (2) 通達 (3) 本件事案の従業員給与規定および就業規則 (判決にあるものから可能な限り抽出した。) ① 従業員給与規定(昭和40年12月改訂) ② 就業規則(昭和42年8月改訂) *   *   * 次回からは、実際の裁判所の判断の内容について取り上げる。 (続く)

#No. 177(掲載号)
#長島 弘
2016/07/14
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