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金融・投資商品の税務Q&A 【Q3】「公募利付債券の課税関係」~改正後の取扱い~

筆者:箱田 晶子

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金融投資商品税務

【Q3】

「公募利付債券の課税関係」

~改正後の取扱い~

 

PwC税理士法人
金融部 パートナー
税理士 箱田 晶子

 

[Q]

私(居住者たる個人)は、保有する資金を内国法人が発行する円建利付債券で運用しようと思います。
個人に対する債券の税制が平成28年以後変更になったということですが、債券の売買や償還に係る損益、利子はどのように取り扱われますか。上場株式の譲渡損益や配当との損益通算なども可能になるのでしょうか。

なお、本件の社債は公募発行のため、税務上の特定公社債に該当します。

[A]

特定公社債の譲渡及び償還により生じる損益については、他の所得と区分し、上場株式等に係る譲渡所得等として、申告分離課税(所得税15.315%、地方税5%)が適用されます。他の上場株式等の譲渡損益との損益通算や上場株式等の配当等(特定公社債の利子を含む)との損益通算が可能となります。

特定公社債の利子については、20.315%の源泉徴収がなされます。申告不要を選択することも可能ですが、上場株式等の配当所得等として申告分離課税(所得税15.315%、地方税5%)を選択して上場株式等の譲渡損失と損益通算を行うことも可能となります。

検 討

従前、公社債に対する課税については、利子は源泉分離課税(所得税15.315%、地方税5%)、譲渡益は原則非課税、償還益は雑所得として総合課税の対象とされており、株式の譲渡損益や配当に対する課税とは異なるものとされていました。しかし、平成25年度税制改正により、平成28年1月1日以後、その取扱いが以下の通り変更され、特定公社債については基本的に上場株式と同様の課税とされます。

なお、発行日が平成27年12月31日以前の公社債についても、利払日、譲渡日、償還日が平成28年1月1日以後の場合は、原則として新税制が適用されます。

〔追記:2018/6/22〕
上記の下線部分について、公開時は「平成26年度税制改正」となっていましたが、正しくは上記のとおりです。
お詫びの上、訂正させていただきます。

 

1 利子にかかる税金

公社債の利子については、支払の際に20.315%(国税15.315%、地方税5%)の源泉徴収がなされます。

特定公社債の利子はその金額にかかわらず、源泉徴収で課税関係を完結することができますが、申告する場合は、上場株式等の配当所得等として申告分離課税20.315%(国税15.315%、地方税5%)が適用されます。申告をした場合、上場株式等(特定公社債を含む)に係る譲渡損との損益通算等が可能です。

 

2 売却・償還時の取扱い

平成27年12月31日以前は、公社債の譲渡益は原則として非課税とされていました。また、償還益は雑所得として総合課税の対象とされていました。

平成28年1月1日以後は、公社債の譲渡益及び償還益は、株式等に係る譲渡所得等として取り扱われることとなりました。

具体的には、特定公社債の譲渡については、他の所得と区分し、上場株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(以下、「上場株式等に係る譲渡所得等」)として、申告分離課税(所得税15.315%、地方税5%)が適用されます。

特定公社債の元本の償還により交付を受ける金銭等の額については、公社債の譲渡による収入金額としてみなされることにより、譲渡と同様に課税されることとなります。

特定公社債の譲渡損、償還損は、上場株式等に係る譲渡損失として取り扱われます。申告分離課税の適用上、その年中の他の上場株式等(特定公社債を含む)に係る譲渡所得等との相殺は認められますが、上場株式等に係る譲渡所得等の合計額が損失となった場合は、その損失は他の所得と相殺することはできません。

ただし、一定の譲渡損益については以下の特例の対象となります。

配当所得等との損益通算

特定公社債の譲渡(償還を含む。以下同様)により生じた損失のうちその譲渡日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除しきれない金額は、申告を要件に、当該損失をその年分の上場株式等の配当所得等の金額(特定公社債の利子を含み、申告分離課税を選択したものに限る)から控除することが認められます。

損失の繰越控除

特定公社債の譲渡により生じた譲渡損失のうちその譲渡日の属する年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除しきれない金額は、一定の条件のもと、その年の翌年以後3年内の各年分の上場株式等に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除が認められます。

詳細については【Q2】を参照ください。

 

◇ ◆ キーワード ◆ ◇

『特定公社債』

特定公社債とは、次に掲げる公社債(預金保険法に規定する長期信用銀行債、償還差益について発行時に源泉徴収がされた割引債等を除く)をいいます。

国債、地方債、外国国債、外国地方債

会社以外の法人が特別の法律により発行する債券(外国法人に係るもの並びに投資法人債、短期投資法人債、特定社債及び特定短期社債を除く。)

公募公社債、上場公社債

発行の日前9月以内(外国法人にあっては、12月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債

金融商品取引所(外国の法令に基づき設立されたこれに類するものを含む)において公表された公社債情報(一定の期間内に発行する公社債の上限額、発行者の財務状況等その他その公社債に関する基本的な情報をいう)に基づき発行する公社債で、目論見書に当該公社債情報に基づき発行されるものである旨の記載のあるもの

国外において発行された公社債で、次に掲げるもの(取得後引き続き保管が委託されているものに限る。)

・国内において売出しに応じて取得した公社債

・国内において売付け勧誘等に応じて取得した公社債で、その取得の日前9月以内(外国法人にあっては、12月以内)に有価証券報告書等を提出している法人が発行するもの

外国法人が発行し、又は保証する債券で一定のもの

国内又は国外の法令に基づいて銀行業又は金融商品取引業を行う法人又は当該法人との間に完全支配の関係がある法人等が発行する社債(その取得した者が実質的に多数でないものを除く。)

平成27年12月31日以前に発行された公社債(その発行の時において法人税法第2条第10号に規定する同族会社に該当する会社が発行したものを除く。)

【参考(関連条文)】
措法第3条、第8条の4、第8条の5、第37条の10、第37条の11

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

連載目次

金融・投資商品の税務Q&A

連載が単行本になりました!!

【Q1】~【Q30】 ※クリックすると表示されます

【Q31】~

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筆者紹介

  • 箱田 晶子

    (はこだ・あきこ)

    PwC税理士法人 金融部 パートナー。 税理士。

    金融機関、ファンド等に対し、内外の投資信託、仕組債、リッパケージローン等の金融商品に関する税務上のアドバイス、クロスボーダーのファンド投資ストラクチャー組成に関する税務コンサルティングサービスを数多く行っている。

    【主な共著書】
    ・『金融・投資商品の税務Q&A』共著(清文社)
    ・『逐条解説投資信託約款』共著(金融財政事業研究会)
    ・『投資ストラクチャーの税務(九訂版)』共著(税務経理協会)
    ・『信託の税務』共著(税務経理協会)
    ・『法人税重要事例400』共著(税務研究会)

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