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税理士ができる『中小企業の資金調達』支援実務 【第21回】「まとめ」

税理士ができる 『中小企業の資金調達』支援実務 【第21回】 (最終回) 「まとめ」   公認会計士・中小企業診断士・税理士 西田 恭隆   中小零細企業を顧問先に持つ税理士に向け、資金調達支援の実務を解説してきた。今回は最終回として、第1回から第20回の内容を振り返り、まとめとする。 【第1回】 税理士が資金調達支援を行うメリット 税理士が資金調達支援を行うメリットは、他の専門家との差別化を図ることができ、新規客獲得および既存客の満足度向上につながるという点である。税理士は会計の専門家であり、会社とすでに顧問契約関係にあるから、金融機関に対する信用及び支援スピードにおいて有利である。税理士であるからこそ支援に取り組むべきである。   【第2回~第3回】 資金調達支援における税理士の役割 資金調達支援における税理士の立ち位置は仲介者である。会社社長と金融機関の間に立ち、両者の情報共有が十分に行われるよう支援し、融資交渉が円滑に進むよう働きかける(第2回)。決算書や事業計画書、資金繰り表の作成支援を通じて、税理士は仲介者としての役割を果たすことができる(第3回)。   【第4回~第8回】 具体的な資金調達支援の流れ 融資全体の流れに沿って、税理士の支援内容を説明した。社長から資金調達の相談を受けた時の対応、融資申込書類の作成や審査面談における支援内容を述べた。 中小零細企業の融資申込先は主に2通りあり、それは日本政策金融公庫および信用保証協会の保証付融資である。融資申込窓口の選定についてもポイントを解説した(第5回)。 融資審査の面談前は、税理士にとって存在感を示す良い機会である。社長が不安や悩みを相談してきた際、一緒に悩むという姿勢は重要である(第7回)。 「税理士による資金調達支援」というと、社長に代わって金融機関と交渉し、融資を勝ち取ってくる華やかなイメージがあるけれども、実際はそんなことはなく、税理士は社長に同行すべきではない。返済責任を負う社長自身が金融機関と交渉するのが筋である。税理士はあくまで当事者外の仲介者として、交渉支援にとどまるべきであると解説した (第8回)。   【第9回~第17回】 金融機関提出書類の作成ポイント 金融機関に提出する各書類の作成ポイントについて解説した(第9回~第15回)。提出書類とは、損益計算書、貸借対照表、合計残高試算表、事業計画書、資金繰り表である。 念のため、第9回冒頭で述べたことを繰り返すけれども、融資の可否は総合判断である。ポイントを1つでも落とすと融資は得られない、というわけではない。マイナス要素があったとしても、他のプラス要素があれば融資を得られる可能性はある。 上記作成ポイントの補足として、粉飾決算と経営指標に関する筆者の考えを述べた(第16回、第17回)。金融機関が粉飾を見抜く方法、社長から粉飾を求められた場合の対応、経営指標は融資判断の決め手にはならないと考える根拠を示した。   【第18回】 融資実行後における税理士の役割 【第19回~第20回】 資金調達支援ノウハウの応用 融資実行後においても、税理士は金融機関に対する実績報告について支援できる(第18回)。 最後に、資金調達支援ノウハウの応用として、経営改善コンサルおよび助成金補助金申請支援について解説した(第19回、第20回)。経営改善、助成金補助金申請には、それぞれ事業計画書が必要である。融資による資金調達支援を行える税理士であれば、事業計画書の作成支援を通じて、どちらの業務も展開可能である。資金調達支援ノウハウを活かすことで、税理士としての業務の幅が広がる。 *   *   * 以上が、本連載のまとめである。   (連載了)

#No. 172(掲載号)
#西田 恭隆
2016/06/09

〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第3回】「検証しやすい仮説はこう作る!」

〔新規事業を成功に導く〕 フィージビリティスタディ10の知恵 【第3回】 「検証しやすい仮説はこう作る!」   中小企業診断士 西田 純   フィージビリティスタディについての連載も第3回となりました。これまで、フィージビリティスタディとはということ、仮説とは、条件さえ整えばスタディの対象となるであるということ、さらに検証プロセスにおいては仮説をしっかりと把握したうえで、ことの大切さをお伝えしました。 今回は、検証しやすい仮説の作り方について説明します。 ▷ 新規事業が儲かるためには 「条件さえ整えば儲かる」ためにはまず、「儲け」とは具体的に何のことなのかがしっかりと認識されなくてはなりません。その前提条件として、まずは資金流出額に比べて流入額が大きいことが求められます。 計画上例外的に、単年度で流出額が流入額より大きくなってしまうことがあるかもしれませんが、その場合には資金の累積残高から融通するなどして、資金ショートを起こさないようにしなくてはなりません。短期的には資金ショートさえ起こさなければ事業は存続できるわけですから。 そのうえで ~ここが重要なのですが~ ことが求められます。全体の利益は単年度の利益が積み重なったものになりますので、妥当性のある事業運営により、なるべく早く単年度の損益が黒字になるようにします。 資金繰りの見通しについては、理論的に言えば売掛・買掛に関する決済条件と在庫および手許現金を含む運転資本管理、銀行との取引きなどがポイントになるのですが、これらは定常的な動きをする場合が多いことから、一般的には大きな問題になりにくい要素です。同時に原価率・経費率等も経験値等からある程度想定できるので、多くの場合はとなります。 調査段階で、正面から聞いてもなかなか情報が得られない場合には、参考となる数値をどれだけ工夫して集められるかがポイントとなります。そのためには、日本国内など既存の市場においてで売上が立っていたか、また目標収益率を達成するためにはどのくらいの単価水準でなくてはいけないか、を予め押さえておくと情報収集がしやすくなります。 ただ実際、途上国に行ってそのような数字を直接集めようとしても難しいことが多い(※)ので、平米あたりの数字が欲しいのであれば予め建物の大きさと対象物の量の両方を知りたいということを申し込んでおく、などの事前準備が必要になります。 (※) 仕事で一人あたり、平米あたり、などの管理指標を使うというやり方は、途上国ではあまり一般的ではありません。 売上高がある程度予測できたとして、これは案件の規模や業種によっても異なるのですが、ようでないと、好収益(高収益ではありません)の確保は見込みづらくなるでしょう。F/S段階でギリギリの損益しか確保できない案件は、その後の意思決定を含めて厳しい茨の道を歩くことになります。 ▷ 条件整理の仕方 第二に「条件さえ整えば」について、実現されるべき到達点または目標が何なのか?を可視化した形で整理しておくと良いでしょう。 条件とは、多くの場合「必要な情報が確認される」「必要な措置が可能になる」「必要な許認可が遅滞なく取得できる」等、自社のみでは決められず、外部の変化に左右される部分が出てきます。ほとんどの場合が「もしも~が満足されれば」という前提条件として(ここでは外部条件と言います)、英語で言う仮定法(if)で表現されます。 確認すべき目標それぞれに対して、外部条件の内容を対応させた表を作っておくと調査がしやすくなります。 ▷ 検証しやすい仮説とは ① 条件がはっきりしていること 上で触れたように、目標と外部条件の一覧表を作ることができれば差し当たりは十分ですが、調査を進める中で確認したプロセスがさらなる確認事項を生み出してしまうという事態もしばしば発生します。 他方で、調査には常に締め切りがあるため、時間内に確認を終えるためにも、可視化された条件は現地パートナーなども含めた関係者間で前倒しに共有しておくことが望ましいと言えます。 ② 場合分けがMECEになっていること Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(ダブりや漏れがないこと)は、論理的な情報整理を進めるうえで第一に求められる要件ですが、F/Sの条件整理についても同様のことが言えます。 特に技術プロセスが伴うような事案については、どうしても技術陣任せになりがちですが、事務系のメンバーとしては最終的な報告先に含まれるであろう非技術系の向け先(役所や金融機関)の目から見てわかりやすい場合分けになっているか、論理的におかしな仕立てになっていないか、目配りをすることが重要です。 ③ 必要な検証結果を数値で表現できていること 金額や物量など、量的な情報は比較的問題ないのですが、見過ごしがちなのが時間に関する情報です。 いつまでに許認可が得られれば良いのか、事務工期はどのくらいかけられるのかといった点は、確実に裏付けを取る必要があるため、仮説作りの段階であえて明示的に記載して、検証段階でチェックがなされるようにします。 *   *   * ここまで、検証しやすい仮説の作り方についてまとめてお伝えしました。次回は「なぜ深く検討すればするほど実現可能性は低下するのか」と題して、検証作業が見込みよりも長引いてしまう場合についてお伝えします。 (了)

#No. 172(掲載号)
#西田 純
2016/06/09

税務ピンポイント解説 【第1回】「スイッチOTC薬控除制度」

税務ピンポイント解説 【第1回】 「スイッチOTC薬控除制度」   Profession Journal 編集部   平成28年度税制改正で、セルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること)の推進を目的とした新たな医療費控除の特例(スイッチOTC薬控除)制度(措法41の17の2)が創設されました。 新制度は現行の医療費控除制度(所法73)との選択適用となり、また、確定申告を行うことで控除を受けられることとなります。適用期間は平成29年1月1日から平成33年12月31日までの5年間です。 新制度の要件は、健康維持増進や疾病への予防取組みとして、医師の関与がある検診等または予防接種を行う者が、自己又は生計を一にする親族に係る一定のスイッチOTC医薬品を購入した場合とされており、その購入費用(年間10万円を限度)のうち1万2,000円を超える額が所得控除されます。 周知のように、現行の医療費控除(所法73)でも、疾病の治療を行うために薬局などで購入した市販薬の購入費も控除の対象となっています。しかし、新制度はスイッチOTC医薬品に限られることになります。とはいえ、現行制度の要件である“10万円の壁”に比べると、新制度の使い勝手は良くなるのではないでしょうか。 ところで、聞きなれない「スイッチOTC医薬品」ですが、医療薬から市販薬に転用(=スイッチ)された医薬品であり、OTC(Over the Counter)、すなわちカウンター越しの対面販売される一般市販薬を指します。新制度の対象となる成分は厚労省より公表されているものの(平28.3.31 厚労省告示178)、私たちには、どの医薬品がスイッチOTC医薬品に該当するのか見当がつきません。 こうした状況に対して、医薬品業界では、店頭で「スイッチOTC医薬品」であることをパッケージに明示するなどの対応を急いでいます。また確定申告の際に必要となるレシートについても、小売店サイドではレシートにスイッチOTC医薬品を購入したことが判明するよう対処を行うとしています。 制度が開始となる平成29年1月までには、購入者準備が整うことでしょう。 (了)

#No. 172(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/06/09

《速報解説》 経済産業省、『「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引』の内容を更新~表記見直しが中心もQ2問を新設~

《速報解説》 経済産業省、『「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬 (いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引』の内容を更新 ~表記見直しが中心もQ2問を新設   Profession Journal編集部   既報のとおり平成28年度税制改正では、事前確定届出給与について特定譲渡制限付株式等による給与は届出が不要とされ、また利益連動給与の算定指標の範囲にROE等の利益に関連する指標が含まれることが明確化されるなど役員給与の取扱いについて見直しが行われている。 これを受け経済産業省では4月28日付、今回の改正内容及び税務(法人税・所得税)・会計・会社法上の取扱いを解説した『「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~』を公開したところだが、このたび6月3日付けで、解説部分の変更や問答の入替え、新たな問答の追加等の更新を行った。 本誌が経済産業省に確認したところ、今回の更新では、例えば「Q1-2 税制措置の対象となる「特定譲渡制限付株式」とはどのようなものですか。」という問いに対し、更新前に記載のあった「① 役員給与の対価として交付される株式であること」という項目が他の項目と重複するため削除されるなど文言の修正が中心となっており、取扱いに変更はないとのことだ。 ただし、「Q2-7 「特定譲渡制限付株式」の交付後、法人が組織再編成を行った場合(更新前は「法人に組織再編が生じた場合」)にはどのようになりますか。」の解説部分において、更新前は「一定の組織再編成」とされていた箇所が更新後は「合併又は分割型分割」とされより詳しい表記に変更されている箇所もあることから、更新後の内容についても目を通しておきたい(Q&A以外にも「譲渡制限付株式割当契約書(例)」では記載に係る注書きが追加されている)。 なお、今回新設された問答は次の2問。 (了)

#No. 171(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/06/08

《速報解説》 「日本再興戦略2016」で示された会計・開示制度に関する今後の取組内容

《速報解説》 「日本再興戦略2016」で示された 会計・開示制度に関する今後の取組内容   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月2日、「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」(以下「再興戦略2016」という)が閣議決定された。 再興戦略2016では、①新たな「有望成長市場」の戦略的創出、②人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する「生産性革命」、③新たな産業構造を支える「人材強化」の3つの課題に向けた施策が述べられている。 本稿は、再興戦略2016で示された会計及び開示に関連する事項について紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 実効的なコーポレートガバナンス改革に向けた取組の深化 上場企業のコーポレートガバナンスの実効性の向上を促していくとして、次のことが述べられている(第2、Ⅱ、2、2-1(2)、i)①)。 1 最高経営責任者(CEO)の選解任 2 政策保有株式の縮減 3 株主総会関係   Ⅲ 情報開示、会計基準及び会計監査の質の向上 投資家が必要とする企業情報を効果的かつ効率的に提供するとともに、会計基準・会計監査の更なる品質向上・信頼性確保を図るために以下の取組を行う(第2、Ⅱ、2、2-1(2)、i)③)。 (了)

#No. 171(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/07

《速報解説》 ASBJより「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」が公表~退職給付に関する会計基準等の一部見直しも~

《速報解説》 ASBJより「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」が公表 ~退職給付に関する会計基準等の一部見直しも~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月2日、企業会計基準委員会は次のものを公表し、意見募集を行っている。 これは、平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」に基づき実施される施策として、新たな確定給付企業年金の仕組みが平成28年度に導入される予定であることから、これに関する会計処理等を規定するものである。 意見募集期間は平成28年8月2日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の主な内容 1 範囲 「リスク分担型企業年金」に関する会計処理及び開示に適用する(公開草案2項)。 リスク分担型企業年金とは、確定給付企業年金法に基づいて実施される年金制度のうち、給付の額の算定に関して、確定給付企業年金法施行規則25条の2に定める調整率(積立金の額、掛金額の予想額の現価、通常予測給付額の現価及び財政悪化リスク相当額に応じて定まる数値)が規約に定められる企業年金制度をいう(公開草案2項、15項)。 厚生労働省は、リスク分担型企業年金の導入について、確定給付企業年金法施行令の一部を改正する政令案等に関する意見募集を実施している。 2 会計上の退職給付制度の分類 退職給付制度の分類は次のように行う(公開草案3項、4項)。 退職給付会計基準4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金は、制度の導入後、新たな労使合意に基づく規約の改訂の都度、会計上の退職給付制度の分類に関する上表の①及び②に従い、会計上の退職給付制度の分類を再判定する(公開草案5項、21項)。 当該分類の再判定にあたっては、会計上の退職給付制度の分類の①の「制度の導入時の規約」を「直近の規約の改訂時における改訂後の規約」と読み替える(公開草案5項)。 3 会計処理 退職給付会計基準4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、規約に基づきあらかじめ定められた各期の掛金の金額(移行時に未払金等を計上した特別掛金相当額を除く)を、各期において費用として処理する(公開草案7項)。 退職給付会計基準5項に定める確定給付制度に分類される退職給付制度から退職給付会計基準4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金に移行する場合、退職給付制度の終了に該当する(公開草案9項、10項)。 4 開示 退職給付会計基準4項に定める確定拠出制度に分類されるリスク分担型企業年金については、次の事項を注記する(公開草案12項)。   Ⅲ 適用時期等 実務対応報告は、公表日以後適用する予定である。 (了)

#No. 171(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/03

《速報解説》 会計士協会、公認会計士の「職業倫理ガイドブック」を公表

《速報解説》 会計士協会、公認会計士の「職業倫理ガイドブック」を公表   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月1日、日本公認会計士協会は「職業倫理ガイドブック」を公表した。 ガイドブックは、日本公認会計士協会の会員の職業倫理に関する理解に資する資料を提供することを目的として作成されたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 概要 公認会計士法で定める職業倫理に関する規定や日本公認会計士協会が定めた会則、倫理規則、独立性に関する指針、利益相反に関する指針、職業倫理に関する解釈指針及びその他の倫理に関する諸規定等について、図解や参考などを用いて、全体を分かりやすく解説している。 利用に際しては次のことに注意が必要である。 以下では特徴的な記載について述べる。 2 基本原則 会員が会計事務所等に所属しているか、又は、企業等に所属しているかに関係なく、会員は次の5つの基本原則を遵守しなければならないことについて述べている。 3 概念的枠組みアプローチ 会員は、基本原則を遵守するために、「概念的枠組みアプローチ」を適用しなければならない(倫理規則8条及び注解6)。 概念的枠組みアプローチとは、次の(1)から(4)までの手順によって、基本原則の遵守を阻害する要因を除去(もしくは許容可能な水準にまで軽減)するか、又は、阻害要因の重要性が余りに重大である(もしくは適切なセーフガードを適用できない)場合には専門業務を辞退(もしくは契約を解除するか雇用主との関係を終了)するか、という判断を行うことをいう。 4 基本原則を阻害する要因 基本原則を阻害する要因として次の5つがあげられている。 5 報酬の水準と成功報酬 例えば、正当な根拠に基づかない低廉な報酬の提示及び請求は、一定の水準の専門業務を実施することが困難となることが考えられることから、職業的専門家としての能力及び正当な注意の原則の阻害要因を生じさせる。 専門業務の内容又は価値に基づいた報酬を請求することが適切であり、報酬の算定・請求に当たって基本原則を遵守するために概念的枠組みアプローチを適用しなければならない(倫理規則21条及び注解18)。 成功報酬に基づいて保証業務や非保証業務の契約を締結する場合、公正性の原則の遵守を阻害する要因を生じさせ、又は生じさせる可能性があることから、監査業務を含む保証業務については、成功報酬に基づいて契約を締結してはならず、また、成功報酬に基づく非保証業務の契約を締結する場合には、基本原則を遵守するために概念的枠組みアプローチを適用しなければならない。 6 依頼人への就職 監査業務チームの構成員であった者又は会計事務所等の社員等であった者が、依頼人の役員、これに準ずる者又は使用人であって、会計記録や監査対象となる財務諸表の作成に重要な影響を及ぼす職位に就いた場合、独立性を阻害する馴れ合い又は不当なプレッシャーを受ける脅威を生じさせる可能性がある。 そのため、監査業務の主要な担当社員等(業務執行責任者、審査を行う者、重要事項について重要な決定や判断を行う者)が、会計事務所等を退職後に、関与していた監査業務の依頼人の役員等に就任する(又は財務諸表の作成に重要な影響を及ぼす職位に就く)ことについては、一定の制限がある。 (了)

#No. 171(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/03

《速報解説》 平成28年度税制改正を受けた東京都の法人事業税・法人都民税の税率改正案が明らかに

《速報解説》 平成28年度税制改正を受けた 東京都の法人事業税・法人都民税の税率改正案が明らかに   公認会計士・税理士 八代醍 和也   Ⅰ はじめに 企業会計基準委員会による「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号、以下「本適用指針」という)公表を受け、既にこれまで下記拙稿において適用する税率に関する改正点・留意点及並びに設例を用いた実際の取扱いについての解説を行った。 東京都では平成28年3月31日に公布された「東京都都税条例の一部を改正する条例(平成28年東京都条例第79号)」において、改正地方税法を受けた都税条例改正の第一弾として、上記《速報解説》で述べたとおり、平成28年4月1日以後開始事業年度の外形標準課税法人に係る法人事業税率を改正していたが、平成29年4月1日以後開始事業年度における税率改正、すなわち、地方法人特別税・譲与税の廃止及び法人住民税法人税割の税率引下げに伴う、法人事業税及び法人都民税の税率改正については、『平成28年第二回定例会以後の東京都議会に東京都都税条例の改正として提案する予定で』あるとして、改正後税率が決定されていなかった。 このたび、平成28年5月25日に改めて東京都主税局のホームページにおいて、平成29年4月1日以後開始事業年度における法人事業税(所得割・収入割)、法人都民税法人税割の税率の改正について、予定通り第2回東京都議会定例会に東京都都税条例の改正として提案する旨及びその改正内容がリリースされた。 こうした状況を受け、以下では改正後の条例を受けた実際の計算方法及び成立が決算・開示業務に与える影響について解説を行う。   Ⅱ 改正内容 東京都が今般公表した改正内容は以下のとおり。 【法人事業税】(平成29年4月1日以後に開始する事業年度について適用) (※) 東京都主税局ホームページより 【法人都民税】(平成29年4月1日以後に開始する事業年度について適用) (※) 東京都主税局ホームページより   Ⅲ 改正条例の税率による法定実効税率の計算と決算・開示業務に与える影響 Ⅱの改正案が成立した場合、以下の計算式に基づき、東京都の平成30年3月期、平成31年3月期の法定実効税率を計算すると以下のようになる。 【30年3月期】 前提:法人都民税10.4%(23区内・超過課税)として計算している。 【31年3月期】 前提:法人都民税10.4%(23区内・超過課税)として計算している。 成立が6月下旬頃と考えられるところ、仮にこの改正案が予定どおり成立した場合には、平成28年6月以後に決算を迎える会社からは、上記計算方法によって法定実効税率を算定することになる。 なお、上記計算式を見ると、地方法人税と法人都民税の合計値(20.7%)が改正前のそれと変わらず、また、地方法人特別税廃止後の法人事業税の税率が、改正前の超過税率適用法人における地方法人特別税考慮後の税率と変わらないことから、法定実効税率に与える影響はないことになる。【30年3月期】の計算結果が前回《速報解説》の東京都のそれと変わらないことを確認されたい。 また、平成28年5月以前に決算を迎えた会社について、財務諸表等規則では、決算日後に法人税等の税率の変更があった場合に、その内容及び影響を注記することが求められているが、上記よりこの税率改正が既に計上されている繰延税金資産及び繰延税金負債に与える影響はないことになる。 (了)

#No. 171(掲載号)
#八代醍 和也
2016/06/02

《速報解説》 会計士協会、「不正な財務報告及び監査の過程における被監査会社との意見の相違に関する実態調査報告書」を公表~上場企業の監査責任経験者へのアンケートに基づいた詳細な分析結果が明らかに~

《速報解説》 会計士協会、「不正な財務報告及び監査の過程における被監査会社との意見の相違に関する実態調査報告書」を公表 ~上場企業の監査責任経験者へのアンケートに基づいた詳細な分析結果が明らかに~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年5月30日、日本公認会計士協会は「不正な財務報告及び監査の過程における被監査会社との意見の相違に関する実態調査報告書」を公表した。 本文は表紙を含めて124ページにわたる大部なものであり、その要約版が25ページのものとして公表されている。 これは、平成26年4月期から平成27年3月期に係る1年間に上場企業の監査責任者として関与した公認会計士を対象に実施したアンケートに基づいて分析したものである(アンケート実施期間:平成27年10月19日~11月9日)。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 調査結果(主なもの) 以下では「要約版」をもとにして、調査結果の概要を記載する。 下記に記載した順位以下の回答については、要約版又は調査報告書本文をお読みいただきたい。 また、調査報告書では「監査人交代のプレッシャー等に関する実証分析」についても記載されている。 1 調査の対象と回収の状況 調査の対象と回収の状況は次のとおりである(「要約版」Ⅰの表Ⅰを一部修正)。 2 調査結果の概要   Ⅲ 監査会社(の経営者)との意見の相違 監査の過程で被監査会社(の経営者)との意見の不一致が特に起きやすいと考えられる項目については、「固定資産(のれんを含む)の減損」(73.9%)、「税効果会計の適用」(47.0%)、「債権の回収可能性、貸倒引当金の見積り」(34.2%)、「(工事)進行基準の適用(契約(工事)に係る損失引当金の計上を含む)」(23.6%)の順番である。 (了)

#No. 171(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/02

プロフェッションジャーナル No.171が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年6月2日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.171を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/06/02
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