税務ピンポイント解説 【第5回】 「金融庁が平成29年度税制改正で創設を要望している「積立NISA」とは?」 Profession Journal 編集部 年末に向けて平成29年度税制改正の議論が高まっていくなか、金融庁からの改正要望の中に「NISA(少額投資非課税制度)」を拡充した「積立NISA」の創設が盛り込まれ、注目を集めています。 NISAは平成26年に創設され、20歳以上の人を対象として、株や投資信託などの運用益や配当金を一定額非課税にする制度です。NISA口座で取引をすると、年間投資金額120万円までの株式投資や投資信託にかかる値上がり益や配当金(分配金)が最長5年間非課税となる税金面のメリットが受けられます。また、昨年度の税制改正では、19歳までの未成年者を対象とした「ジュニアNISA」が創設されていることは周知のとおりです。 NISA口座開設数(ジュニアNISAを含む)は、本年6月現在で1,030万口座を超えており着実に普及していますが、積立による利用は、総口座数の1割以下、口座を開設しただけで、株式等を全く購入していない口座が半数以上存在しており、一層の活用策が求められています。 金融庁は、こうした課題を克服すべく、開設したまま利用されていないNISA口座の活用化のために「積立NISA」を創設し、NISAのさらなる普及・改善を促したい考えです。 この「積立NISA」ですが、年間投資上限は現行制度の半分の60万円と少額で、非課税期間は現行制度の4倍の20年とされるなど、より少額で長期に分散した投資が行えることから、これまでに比べて投資しやすい制度となっています。新制度ですが、現行のNISAと選択適用となっています。 投資対象商品は、現行NISAが上場株式等・公募株式投信であるのに対して、積立NISAではバランス型ファンド、非毎月分配型ファンドなどと呼ばれる長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品が見込まれています。 なお、現行NISAが平成35年までの時限立法であるのに対し、新制度は恒久的措置として要望されています。 (了)
《編集部レポート》 第43回日税連公開研究討論会が沖縄で開催 Profession Journal 編集部 日本税理士会連合会(神津信一会長)は、平成28年11月4日(金)、第43回日税連公開研究討論会を沖縄で開催した。 公開研究討論会は、税理士による研究成果の発表、討論の過程を通じて、税制・税務行政及び税理士業務の改善・進歩並びに税理士の資質の向上を図るとともに、本会が行う研修事業に資することを目的として実施する、との理念の下、毎年開催されているもの。 討論会に先立ち行われた記者会見の席で、神津会長は、過去の討論会で提言された事項である三世帯同居特例などが税制改正に結実したしたことなどを挙げ、実務家ならではの視点から税制等の検討がなされる本討論会の意義を説明した。 (神津信一日本税理士会連合会会長(左から3人目)) 今回の研究発表の担当は、九州北部税理士会、南九州税理士会、沖縄税理士会の3税理士会(7グループ)が担当し、それぞれ次のテーマで発表を行った。 「税理士が行う租税教育等の意義と課題」(九州北部会) 「中小企業を巡る税制上の諸問題-区分、法人成り、役員給与-」(南九州会) 「地方創生における税理士の果たす役割」(沖縄会) 会場には、全国より900名以上の税理士が集まったほか、中里実政府税調会長も姿をみせ、2年にわたる研究の成果に聴き入っていた。 (了)
《速報解説》 ASBJより「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」が公表 ~移管に伴う実質的な内容変更は意図せず~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年11月9日、企業会計基準委員会は、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第59号)を公表し、意見募集を行っている。 これは、日本公認会計士協会の「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第63号)などについて、企業会計基準委員会に移管するためのものである。 意見募集期間は平成29年1月10日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の主な内容 次のものについて、基本的にその内容を踏襲した上で表現の見直しや考え方の整理等を行っており、実質的な内容の変更は意図していないとのことである。 1 範囲 次の事項に適用する。 以下のものは公開草案の適用範囲に含まれていない(公開草案24項~25項)。 2 会計処理 3 更正等による追徴及び還付 4 開示 上記のほか、貸借対照表における表示、受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税、外国法人税、更正等による追徴及び還付についても規定している。 Ⅲ 適用時期等 (了)
《速報解説》 金融庁、リスク分担型企業年金に関する 財務諸表等規則等の改正(公開草案)を公表 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成28年11月7日、金融庁は次のものを公表し、意見募集を行っている。 これは、企業会計基準委員会が公表した「退職給付に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第58号)、「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第47号)などに対応するものである。 意見募集期間は平成28年12月6日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の主な内容 1 財務諸表等規則及び連結財務諸表規則 2 財務諸表等規則ガイドライン及び連結財務諸表規則ガイドライン 財務諸表等規則ガイドライン8の13の2において次のように規定する。 連結財務諸表規則ガイドライン15の8の2は、「財務諸表等規則ガイドライン8の13の2の取扱いは、規則第15条の8の2に規定する確定拠出制度に関する注記について準用する。」とする。 Ⅲ 適用時期等 企業会計基準委員会の公開草案の結果を踏まえ公表される企業会計基準「退職給付に関する会計基準」等の適用日と同日から施行予定である。 (了)
《速報解説》 東京局、サブリース物件の措置法65条の8適用時における 9号買換えの買換資産の範囲及び面積要件について 文書回答事例を公表 税理士 菅野 真美 東京国税局は10月20日付け(ホームページ公表は11月2日)で、サブリース物件が措置法65条の8の特例を受ける場合の、9号買換えにおける買換資産の範囲及び面積要件について、下記の文書回答事例を公表した。 ▷どのような事案を事前照会したのか? 当社は、40年以上国内に所有していた建物とその敷地を平成28年7月にA社に売却した。A社は建物を取り壊して9階建てのオフィスビルを建設し、完成後、当社は2階から4階までの3フロアの専有部分の区分所有権と区分所有する床面積合計1,491.93㎡に応じた土地の敷地利用権合計311.39㎡を取得し、1年以内に事業の用に供する予定である。なお、当社は3フロアのうち、2フロアは自社の事務所として利用し、1フロアはA社か賃借し、第三者に事務所として転貸する予定である。 この譲渡について措置法65条の8(特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けた場合の課税の特例)の規定の適用を受けようと考えている。この特例の適用を受けるための要件として土地等は特定施設の敷地の用に供されていること、敷地面積が300㎡以上であることがある。この事案について、これらの要件を満たしているか。 ▷何が問題か? 措置法65条8の事業用資産の買換えの特例は、要件を満たした場合は、譲渡益の80%が繰り延べられるものである。 この要件の1つとして、土地等が特定施設の敷地の用に供されていることがある。特定施設とは事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設に該当するものを除くとされている)と定義され、所有や使用の主体が誰かを規定していない。 本件においては、当社がA社に賃貸し、A社が転貸して事務所の用に供されることが予定されているが、このような権利関係の場合においても特定施設の敷地の要件を満たすことになるのか。 また、敷地の面積が300㎡以上に限るとされている。措置法通達65の7(1)-30の3(長期所有の土地等の買換えに係る面積判定)において、区分所有に係る特定施設の敷地の用に供されているものについては、土地等の総面積に法人の専有部分の床面積の総床面積に占める割合を乗じて計算するとされている。また、特定施設に該当するかは、区分所有建物については、最低単位である独立部分ごとに判定することになる。 このケースのように3フロアが別々に区分所有された建物の敷地利用権について、300㎡以上か否の判定は3フロアの合計面積で行うのか、1フロアごとに個別判断を行うのか。 ▷結論は? 〇誰が所有し誰が利用しているかではなく、何のために利用しているかで考える 敷地利用権は土地等の新たな取得に該当し、賃貸オフィスビルを主目的として建設された建物の2フロアを自社の事務所用として利用し、1フロアはマスターリース契約により転借人が事務所として利用する予定であると考えられることから、3フロアとも事務所の用に供される。よって、3フロアのすべての敷地利用権が、特定施設の敷地の用に供されられる土地等に該当する。 〇一の取引で複数の区分所有権等を取得した場合は、合計面積で判断する 区分所有された敷地利用権はすべて特定施設の敷地の用に供する土地等に該当し、一の取引で3つの専有部分をまとめて取得していることから、3フロアの敷地利用権の面積の合計額311.39㎡で判断し、300㎡以上であることから面積要件も満たされる。 (了)
《速報解説》 国税庁、「国際戦略トータルプラン」で 『重点管理富裕層』への取組みを明らかに Profession Journal編集部 国税庁が10月25日付けで公表した「国際戦略トータルプラン-国際課税の取組の現状と今後の方向-」は、経済社会が国際化する中で、いわゆる「パナマ文書」やBEPSの動向等を通じ国民の関心が高まっている国際的な租税回避行為に対し、国税庁の取組みと今後の方向を明らかにしたもの。 国税庁はこれらの取組みを通じ、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に適切に対処するとともに、新たに生じる国際課税上の課題に積極的に対応するとしている。 〇富裕層PTは平成29事務年度から全国展開へ トータルプランで注目すべきは、超富裕層に関する情報収集を行う「重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)」の取組みについて、公の資料によって明記された点だろう(p12)。 富裕層PTは、従来の富裕層に対する取組みに加え、富裕層に関する情報収集機能を更に強化するという観点から、平成 26(2014)事務年度(平成26年7月~)より、東京、大阪及び名古屋の各国税局に設置された。 富裕層 PT では、富裕層の中でも特に多額の資産を保有していると認められる納税者を「重点管理富裕層」とし、その関係者や主宰法人、関連する法人を「管理対象者グループ」として一体的に管理して情報を収集した上で、その情報の分析・検討を行っている。 この分析の結果、調査が必要と認められた場合には、「調査対象者の態様に応じ、複数の調査担当部署による連携調査を始めとした組織的な調査体制を編成し、関係部署と十分な連絡をとった上で、総合的な調査を的確に企画・実施する」としており、主宰する法人との取引等を含めた総合調査が想定される。 なお現在、富裕層PTは3つの国税局(東京・大阪・名古屋)にのみ設置されているが、平成29(2017)事務年度(平成29年7月~)からは他の国税局へも展開するなど、全国的な取組みとする方針であることが示されている。 〇目的は納税者への牽制効果? トータルプランには、国内外の資産の保有・移動状況を把握するための各方策について、制度概要及び現行の取組み状況や今後のスケジュール等が説明されている。記載された方策を列挙すると次のとおり。 財産債務調書の提出といった納税者からの直接的な情報収集だけでなく、国外送金等調書など金融機関からの報告や、租税条約等を通じた国家間による情報交換など、多方面からの情報収集策が整備されつつあることが見て取れる。 なお、トータルプランには取組みとしての記載はされていないが、いわゆるマイナンバー(個人番号)の導入は、国外送金等調書や財産債務調書、国外財産調書にもそれぞれ記載が求められることから、これらの実効性を強化するのは間違いないだろう。 ただし、今回のトータルプラン公表には、上記の方策を用いても国際的な課税逃れを実際に補足するのは困難なため、納税者への牽制効果を狙うという目的もあるのではないだろうか。特に国外財産調書及び財産債務調書はその年の12月31日における財産状況を把握する必要があり、これから年末にかけて、一定の資産を保有する者は国内外の財産状況を収集しなければならないことから、これらの動向に対する牽制の効果は大きいと考えられる。 〇金融商品を用いた租税回避阻止の取組みも また着目しておきたいのが、資料p13にある下記の記述だ。 国際的な租税回避の手段としてデリバティブ(金融派生商品)などの金融取引が利用されるケースも多いが、複雑・高度化する金融商品への課税の取組みに国税庁が本腰を入れ始めたという見方もできよう。今後の制度改正も含めた動向には注視が必要だ。 (了)
2016年11月2日(水)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.192を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!- - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
monthly TAX views -No.46- 「アベノミクスのアキレス腱」 中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹 安倍政権の本質がポピュリズムであることは、多くの識者が指摘しているところだが、今回の配偶者控除の見直し議論は、それを物語っている。 そもそも安倍政権が自ら掲げる一丁目一番地の政策は、働き方改革だ。同一労働同一賃金のガイドライン作り、無限定正社員システムの見直し、金銭解雇制度の是非など様々な論点があり、大きな議論と強いリーダーシップが必要な改革である。 労働力不足が深刻になりつつある中で、女性の就労を阻害している「103万円の壁」の原因となっている配偶者控除制度の見直しは、働き方改革として極めて重要なことと思われた。 ところが総選挙の風が吹き始めた途端、その議論がストップしてしまった。見直しにより、専業主婦家庭の税負担が増えると、選挙にマイナスだということのようだ。 他方で、配偶者控除の適用を150万円程度(収入ベース)に引き上げるという小手先の議論が進んでおり、そうなれば新たに「150万円の壁」が生じる。これを行っても、パート本人の収入が130万円を超えると「本人に税負担が生じる」という点は変わらない。 もう一つの壁である「130万円の壁」はどうか。こちらの方は、2016年10月より、従業員501人以上の企業では保険適用を拡大し、年収106万円以上となった。改正の方向は間違ってはいないが、中途半端な改革は新たに「106万円の壁」を作ることとなった。 安倍政権の下で行われているのは、パッチワークのような名前だけの改革であり、抜本的な改革には手が付けられていない。 * * * 欧米では、このような壁を「貧困の罠」(ポバティー・トラップ)と称して、抜本的な対策を導入している。それは、低所得者に対して勤労に応じて税と社会保険料負担を軽減する「勤労税額控除」という制度である。 有名なのは英国(ユニバーサルクレディット)とオランダの制度であるが、米国やスウェーデン、さらには韓国でも勤労奨励税制という名前で導入されている。 英国はブレア政権が導入し、保守党政権のキャメロン政権もそれを引き継ぎ、勤労インセンティブの向上に大きな成果を上げている。オランダでは、この制度で「オランダ病」を「オランダの奇跡」に変えた。 いずれの制度も、税と社会保険料負担を一体としてとらえて、勤労により一定の所得に達するまで負担軽減や給付をするという制度で、名前は「税額控除」だが、実態は「社会保障給付」である。 わが国でも、政府税制調査会が先進諸国の導入状況の調査を行っている。ホームページに掲載された報告書を一覧にまとめると、以下のとおりである。 勤労税額控除の評価(16年3月政府税制調査海外調査報告書からの抜粋) (※) 筆者作成 なぜわが国では、このような政策が導入されないのか。それは、税と社会保障が別の官庁で所管される「霞が関の壁」があるからだ。筆者はそれを「バカの壁」(自分の知りたくない情報は遮断し、それ以上の思考を停止させる自らの脳の行い)とも呼んでいる。 より根本的な原因は、安倍政権の税・社会保障への関心の低さである。ここにアベノミクスの落とし穴がある。金融政策で将来の「期待」に働きかけても、社会保障の将来に「不安」がある状況では、全く効果はないではないか。 (了)
平成29年分源泉徴収税額表の変更点 税理士・社会保険労務士 上前 剛 本稿では、平成29年1月からの源泉徴収税額表の変更点について、まとめることとする。 1 給与所得の源泉徴収税額表(月額表)の変更点 ① 甲欄 833,000円未満の表記は、平成28年分と同じである。833,000円以上の表記が平成28年分と異なる。 【平成28年分の甲欄の一部】 【平成29年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 338,000円未満の表記は、平成28年分と同じである。338,000円以上の表記が平成28年分と異なる。 2 給与所得の源泉徴収税額表(日額表)の変更点 ① 甲欄 27,800円未満及び118,500円を超える金額の表記は、平成28年分と同じである。27,800円以上118,500円以下の表記が平成28年分と異なる。 【平成28年分の甲欄の一部】 【平成29年分の甲欄の一部】 ② 乙欄 11,200円未満の表記は、平成28年分と同じである。11,200円以上の表記が平成28年分と異なる。 ③ 丙欄 28,000円未満の表記は、平成28年分と同じである。28,000円以上の表記が平成28年分と異なる。 3 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の変更点 ① 甲欄 12.252%以下の表記は、平成28年分と同じである。14.294%以上の表記が平成28年分と異なる。 【平成28年分の甲欄の一部】 ※クリックすると大きい画像が開きます。 【平成29年分の甲欄の一部】 ※クリックすると大きい画像が開きます。 ② 乙欄 23,9000円未満の表記は、平成28年分と同じである。239,000円以上の表記が平成28年分と異なる。 4 退職所得の源泉徴収税額表の速算表の変更点 変更点はない。 5 電子計算機等を使用して源泉徴収税額を計算する方法を定める財務省告示の別表の変更点 別表第1~第3のうち、別表第2と別表第3は、平成28年分と同じである。 別表第1の833,333円以下の表記は、平成28年分と同じである。833,334円以上の表記が平成28年分と異なる。 【平成28年分の別表第1】 【平成29年分の別表第1】 (了)
〈平成28年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第2回】 「今年から適用される改正事項(その2)」 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 前回に続き、平成28年分の所得税に適用される税制改正事項のうち、年末調整に影響のあるものを取り上げ解説する。 今回取り上げるのは 【1】 給与所得控除額の引下げ 【2】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合の取扱い 【3】 学資金の取扱い である。 【1】 給与所得控除額の引下げ 平成26年度税制改正により、平成28年分の所得税から、給与所得控除額が段階的に引き下げられることとなった。 平成28年分の所得税については、給与等の収入金額1,200万円超に適用される230万円が上限となる(所法28②、別表第五)。 改正内容の詳細については、平成26年公開の下記拙稿をご参照いただきたい。 【2】 国外居住親族を扶養控除等の対象とする場合の取扱い (1) 制度の概要 平成28年分以後の所得税及び平成29年度分以後の個人住民税について、国外に居住する親族を扶養控除等の対象とするときには、「親族関係書類」と「送金関係書類」を「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除等申告書という)や「給与所得者の配偶者特別控除申告書」(以下、配偶者特別控除申告書という)に添付又は提示することが必要となった(所令316の2②③)。 本改正の詳細については、以下の拙稿をご参照いただきたい。 「親族関係書類」は、扶養控除等申告書を提出するときに添付又は提示することとなっているため(※)、年末調整においては、「送金関係書類」の添付又は提示を受けることが必要となる。 (※) 配偶者特別控除の適用を受ける場合には、扶養控除等申告書に配偶者に関する記載が行われないため、配偶者特別控除申告書を提出するときに「親族関係書類」を添付又は提示する。 (2) 年末調整で必要となる手続 年末調整において、国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける従業員等は、次の手続を行う必要がある。 ① 国外居住親族を配偶者控除、扶養控除、障害者控除の対象とする場合 〈記載例〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 ② 国外居住親族を配偶者特別控除の対象とする場合 〈記載例〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 「親族関係書類」と「送金関係書類」については、該当する書類の範囲や要件が詳細に規定されている。国外居住親族を扶養親族等の対象とする従業員等がいる場合には、以下の国税庁ホームページの内容等を参考に、書類の準備状況を確認しておきたい。 【3】 学資金の取扱い 平成28年度税制改正により、「給与所得者がその使用者から受けるもので、通常の給与に加算して受ける学資金」が非課税所得とされた(所法9①十五)。 つまり、使用者から支給を受けていても、「通常の給与に加算して受ける学資金」であれば、所得税は非課税となる。この改正は、平成28年4月1日以後給付される学資金に適用される。 ただし、役員に対する学資金や、従業員の配偶者や親族等に対する学資金は、通常の給与に加算して受けるものであっても従来通り給与課税の対象となる。したがって、「一般の従業員が、会社から通常の給与に加算して受ける学資金」がこの取扱いの対象となる。 なお、「学資金」について法律上の定義はないため、非課税となるかどうかは実態で判断することになる。 改正内容の詳細については、以下の拙稿をご参照いただきたい。 (了)