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《速報解説》 改正会社法等への対応により「監査役等とのコミュニケーション」等が改正~平成27年4月1日以後開始事業年度に係る監査より適用~

《速報解説》 改正会社法等への対応により 「監査役等とのコミュニケーション」等が改正 ~平成27年4月1日以後開始事業年度に係る監査より適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年5月29日、日本公認会計士協会は、監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」等の改正を公表した。これにより、平成27年2月26日から意見募集していた公開草案が確定することになる。 なお、「監査基準委員会報告書の公開草案に対するコメントの概要及び対応について」があわせて公表されている。 今回の改正は、以下の事項について行うものである。 特に、③については注意が必要と思われる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容   Ⅲ その他 監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」の改正に伴い、5月29日付けで「監査基準委員会研究報告第1号「監査ツール」の改正について」が公表されている。 また、日本公認会計士協会の会員に向けて、「監査基準委員会報告書260の改正に伴う監査役等への品質管理レビューの結果の伝達に関する留意点」も公表されている。①品質管理レビューの結果の伝達開始時期及び②新規業務受嘱のための提案書での品質管理レビュー結果の記載については、注意が必要と思われる。   Ⅳ 適用時期等 ① 平成27年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。 ② 15-2項は、平成27年5月29日以後行われる監査役等とのコミュニケーションから適用するものとし、外部のレビュー又は検査の結果については、平成27年5月29日以後受領した品質管理レビューの報告書又は検査結果通知書を対象として伝達する。  ただし、日本公認会計士協会の品質管理レビューについては、平成27年5月29日までに受領したレビュー報告書に記載されている限定事項及び改善勧告事項で、平成27年5月29日時点で、フォローアップ・レビューによる改善状況の確認が未了の事項を伝達対象とする。 (了)

#No. 108(掲載号)
#阿部 光成
2015/06/02

《速報解説》 監査基準委員会研究報告第4号「監査品質の枠組み」(確定)が公表~監査品質に影響を及ぼす要因を体系化~

《速報解説》 監査基準委員会研究報告第4号 「監査品質の枠組み」(確定)が公表 ~監査品質に影響を及ぼす要因を体系化~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年5月29日、日本公認会計士協会は、監査基準委員会研究報告第4号「監査品質の枠組み」を公表した。これにより、平成27年2月26日に意見募集されていた公開草案が確定することになる。 「監査基準委員会研究報告の公開草案に対するコメントの概要及び対応について」が公表されている。 研究報告は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)において公表された“A Framework for Audit Quality”をもとに、我が国において監査品質に影響を及ぼす要因を加味して体系的に取りまとめたものである。 改正会社法施行規則やコーポレートガバナンス・コードにおいて、監査人に関する新たな規定が設けられていることから、事業会社においても、本研究報告は重要な内容であると考えられる。 例えば、平成27 年5月に東京証券取引所から公表されたコーポレートガバナンス・コードでは、次のことが記載されている(【補充原則】3-2①。アンダーラインは引用者による)。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 監査品質の定義 「監査品質」という用語は、監査の利害関係者における議論やコミュニケーションにおいて使用されているが、監査品質は多面的で複雑な主題であり、国際的にも確立した監査品質の定義は存在しないと述べている(研究報告4項)。 前述のように、監査役は外部会計監査人を適切に評価することからも、監査人が監査役等に対して監査品質に関する情報を提供し、監査品質の向上に向けて有意義な協議を行う際には、監査業務レベル及び監査事務所レベルで監査品質に影響を及ぼす要因が中心になると考えられると述べられている(研究報告9項)。 2 監査品質に影響を及ぼす要因 研究報告は、監査品質に影響を及ぼす要因を次のものに分類している。 さらに、インプット、プロセス及びアウトプットの各要因を、主体別に、監査業務レベル、監査事務所レベル及び国レベルの三階層に体系化し、それぞれの要因を具体的な項目に展開している。 監査人の価値観、倫理及び姿勢 監査人の知識、技能、経験及び時間 監査業務レベルの主な項目として、次のものがあげられている。 ① 監査チームは、監査が公共の利益のために実施されること及び職業倫理に関する規定を遵守することの重要性を認識している。 ② 監査チームは、公正性と誠実性を有している。 ③ 監査チームは、独立性を保持している。 ④ 監査チームは、職業的専門家としての能力を保持し、正当な注意を払っている。 ⑤ 監査チームは、職業的専門家としての懐疑心を保持・発揮している。   厳格な監査プロセスと品質管理手続は、監査品質に影響を及ぼす。 監査業務レベルの主な項目として、次のものがあげられている。 ① 監査チームは、関連法令、監査の基準及び監査事務所の品質管理手続を遵守している。 ② 監査チームは、ITを適切に活用している。 ③ 監査の利害関係者と相互に効果的なコミュニケーションが行われている。 ④ 効果的かつ効率的な監査を実施するために、被監査会社と監査の進め方について調整している。   監査に関連するアウトプットは、監査人が作成する監査報告書や被監査会社内部のみで利用される情報(例えば、会計上や内部統制上の改善提案等)のほか、被監査会社、日本公認会計士協会及び監査監督当局から公表される報告書や情報が含まれる。 経営者、監査役等及び規制当局等は、監査品質に影響を及ぼすインプット要因を直接知ることができるため、相対的に監査品質を的確に評価し得る立場にあると述べられている。   「監査の利害関係者」には、財務諸表が作成・承認され、監査を経て、分析・利用されるまでの全プロセスにおける関係者をいい、監査人のほか、経営者、監査役等、監査済財務諸表の利用者、規制当局等が含まれる。 監査人と経営者との率直で建設的な関係は、監査人の指導・助言機能の発揮につながり、職業倫理に関する規定の枠内で、例えば、被監査会社の財務報告実務に関する改善の可能性などに関する監査人の見解等を経営者に提供する環境を生むと述べられている。 一方、両者間で協力的で誠実な関係が構築できない場合には、高品質な監査を実施できる可能性は低いと述べられている。 監査役等は、以下を通じて、監査人の監査品質に影響を及ぼすと述べられている。 ① 財務報告上のリスク及び監査上特に注意すべき事業領域に関する監査役等の見解の提供 ② 監査を適切に実施するために十分な監査時間が割り当てられているかどうか、及び投入された監査時間に対して監査報酬が合理的かどうかの検討 ③ 監査人の独立性の評価(違反があった場合の対応状況の評価を含む) ④ 監査人による不正リスクの評価、経営者の見積りや仮定及び会計方針の選択に関する監査人の見解に対する監査役等の評価(経営者の主張に対する監査人の職業的専門家としての懐疑心の適用状況の評価) ⑤ 経営者と監査人との間に見解の相違がある場合、建設的かつ理論的な協議を可能とする環境の醸成   次の背景的要因(環境要因)は、財務報告の内容と品質、及び直接的又は間接的に監査品質に影響を及ぼす可能性があると述べている。 ① 商慣行及び商事法 ② 財務報告に関連する法令 ③ 適用される財務報告の枠組み ④ 情報システム ⑤ コーポレート・ガバナンス ⑥ 文化的要因 ⑦ 監査に対する規制 ⑧ 訴訟環境 ⑨ 人材 ⑩ 財務報告スケジュール 付録として、《付録 インプット要因及びプロセス要因の具体的な項目-監査業務及び監査事務所レベル》がある。 そこでは、監査業務レベル及び監査事務所レベルのインプット要因及びプロセス要因を展開した具体的な項目の説明が記載されている。 監査品質に与える影響を検討するに当たって、各項目の相対的な重要度は個々の状況によって異なるため、評価に用いる項目を適宜選択することが想定されている。 (了)

#No. 108(掲載号)
#阿部 光成
2015/06/02

《速報解説》JICPAより、平成27年度税制改正を受けた「税効果会計に関するQ&A」の改正(確定)が公表~外国子会社益金不算入制度の見直しへ対応~

《速報解説》 JICPAより、平成27年度税制改正を受けた 「税効果会計に関するQ&A」の改正(確定)が公表 ~外国子会社益金不算入制度の見直しへ対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年5月26日付けで(ホームページ掲載日は5月28日)、日本公認会計士協会は「『税効果会計に関するQ&A』の改正について」を公表した。これにより、平成27年4月3日から意見募集を行っていた公開草案が確定することとなる。 意見募集に対して、コメントは寄せられなかったとのことである。 今回の改正は、平成27年度税制改正に係る改正法の公布等に対応するものであり、Q12とQ14の改正が行われている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 外国子会社配当益金不算入制度(Q12) 「税効果会計に関するQ&A」のQ12では、平成21年度税制改正について述べており、外国子会社からの配当が外国子会社の所在地国において損金算入されている場合であっても、その配当の額の95%が益金不算入として取り扱われていた。 平成27年度税制改正では、次のように改正されている。 このため、内国法人が外国子会社から受け取る配当等の額の全部又は一部が外国子会社の本店所在地国の法令において損金算入することとされている場合における、外国子会社から受け取る配当等の額に関する親会社の個別財務諸表における税負担額は、受け取る配当等の額に親会社の実効税率を乗じた額になるものと考えられると述べられている。 「税効果会計への影響」についてでは、連結財務諸表上の取扱いについて、詳細に述べられている。 2 復興特別法人税の1年前倒しの廃止(Q14) 「税効果会計に関するQ&A」のQ14では、「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」などの公布に関する実効税率などについて、次の事項が記載されていた。 当該Q14が削除された。 (了)

#No. 121(掲載号)
#阿部 光成
2015/06/01

《速報解説》 税効果会計に係る「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」が公表~意見募集期間は平成27年7月27日まで~

《速報解説》 税効果会計に係る 「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」が公表 ~意見募集期間は平成27年7月27日まで~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成27年5月26日、企業会計基準委員会は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第54号)を公表し、意見募集を行っている。 繰延税金資産の回収可能性に関する取扱いについては、現行、日本公認会計士協会の「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(以下「監査委員会報告第66号」という)に基づいて判断されているが、これを見直し、企業会計基準委員会に移管するものである。 意見募集期間は、平成27年7月27日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容(会社分類関係) 1 会社分類 監査委員会報告第66号における企業の分類に応じた取扱いの枠組みを基本的に踏襲しており、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得等に基づいて繰延税金資産の回収可能性を判断する際に、要件に基づき企業を(分類1)から(分類5)に分類し、当該分類に応じて、回収が見込まれる繰延税金資産の計上額を決定することを提案している。 (分類1)から(分類5)に係る分類の要件をいずれも満たさない企業は、過去の課税所得又は税務上の欠損金の推移、当期の課税所得又は税務上の欠損金の見込み、将来の一時差異等加減算前課税所得の見込み等を総合的に勘案し、各分類の要件からの乖離度合いが最も小さいと判断されるものに分類する。 2 「経常的な利益(損益)」から「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得」 監査委員会報告第66号では、(分類2)及び(分類3)を行うに際して、「経常的な利益(損益)」という会計上の利益を用いている。 公開草案は、「臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得」に基づく要件に変更することを提案している。 3 (分類2)におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異 監査委員会報告第66号では、(分類2)に該当する企業においては、スケジューリング不能な将来減算一時差異について、一律に繰延税金資産を計上することができないとする取扱いとなっている。 公開草案は、(分類2)に該当する企業においては、原則として、スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産については、回収可能性がないものとしている。ただし、スケジューリング不能な将来減算一時差異のうち、税務上の損金算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合、当該スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとすることを提案している。 4 (分類3)における将来の一時差異等加減算前課税所得の合理的な見積可能期間 監査委員会報告第66号では、(分類3)に該当する企業においては、「将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)内の課税所得の見積額を限度」とする規定となっている。 公開草案は、(分類3)に該当する企業においては、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合、当該繰延税金資産は回収可能性があるものとすることを提案している。 5 (分類4)に係る分類の要件を満たす企業が(分類2)又は(分類3)に該当する場合の取扱い 監査委員会報告第66号では、「重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等」であっても、 とされている。 公開草案は、過去(3年)又は当期において重要な税務上の欠損金が生じていること等により(分類4)に係る分類の要件を満たす企業においては、重要な税務上の欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、将来の一時差異等加減算前課税所得を見積もる場合、将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できるときは(分類2)に該当するものとして取り扱い、将来においておおむね3年から5年程度は一時差異等加減算前課税所得が生じることが合理的に説明できるときは(分類3)に該当するものとして取り扱うことを提案している。   Ⅲ その他 注記事項に関して、以下の事項が検討されており、意見募集が行われている。 Ⅳ 適用時期等 適用時期等について、以下の提案がなされており、意見募集が行われている。 (了)

#No. 121(掲載号)
#阿部 光成
2015/05/28

プロフェッションジャーナル No.121が公開されました!~今週のお薦め記事~

2015年5月28日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.121が 公開されました。 プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布中!   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2015/05/28

山本守之の法人税“一刀両断” 【第11回】「役員退職金をめぐる最近の判決」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第11回】 「役員退職金をめぐる最近の判決」   税理士 山本 守之   1 判決とその内容 この連載の【第1回】で取り上げた事例ですが、役員の退職金について、分掌変更の支給の場合の支給遅延については、平成27年3月3日の東京地裁の判決で次のようになり、第2回目の支払分の損金算入が認められました。国側は控訴を断念しましたので、納税者勝訴が確定しました。 役員退職金については、次のような2つの通達があります。 〔第一通達〕では、役員の退職給与は、会社法361条の適用を受けるので、株主総会の決議を経てはじめて具体的な退職給与請求権が確定するのでそのように書かれたものです。 法人税の取扱いにおいても、株主総会等で退職給与の額が具体的に確定した日の属する事業年度で損金の額に算入するのが原則となっています。ただ、株主総会等における支給決議を退職後いつまでに行わなければならないかを定めた規定は存在しません。 一般的には退職後最初に開催される株主総会等で退職給与の支給決議が行われるでしょうが、決議時期について特段の規定がない以上は、退職後長期間を経てから支給決議をしても、税務上これが容認されるべきだとする考え方がなくもありません。 しかし、特段の事情がないにもかかわらず、支給決議を必要以上に遅らせることを税務上容認すれば、これが利益操作の具として使われ、恣意的に役員退職給与の損金算入時期が決定され、課税上の弊害が生じます。 また、合理的な理由がないのに退職後相当期間を経ても退職給与の支給決議がないのは、退職給与を支給しないことで解決済みとの見方もできます。 こうなると、退職後いつまでに株主総会の決議が行われれば税務上容認されるかが問題となりますが、課税庁の解説書では次のように述べています(東京国税局調査第一部調査審理課『法人税実例集成』(税務研究会、308頁)。 ただ、課税庁のなかには〔第一通達〕では完全退職の場合に適用され、分掌変更の場合は特例である〔第二通達〕によるとの考え方がありますが、これは誤りで、訴訟(平成27年3月3日判決)でも否認されています。 ところで、〔第二通達〕(法基通9-2-32)に関し、支払遅延があった場合について、国税不服審判所の裁決(平成24年3月27日)では次のように述べています。 つまり、代表取締役から非常勤取締役となった次の事業年度に支払った1億2,500万円は、退職給与とならないとすると一般の役員給与となり、法人税法34条1項の1号から3号に該当しなければ、原則損金不算入の規定の適用を受けるというのです。 現行法の法人税法34条は、1項の1号~3号以外については原則損金不算入となりますから、退職給与とはならなければ、そのまま損金不算入となるのです。 (※) 1号~3号は「定期同額給与」「事前確定届出給与」「利益連動給与」です。 この点について国税不服審判所の裁決では としています。 つまり未払分や1年後支払分は一時的未払ではないから退職給与といえない――その他の給与だから法人税法34条の3要件(定期同額給与等)ではなく、賞与の性格であるとしているのです。 定期同額給与等の3要件に入らない給与は損金不算入であるというのです。   2 〔第二通達〕のただし書き この訴訟では、〔第一通達〕のただし書き(→支給額を支給日の属する事業年度で損金経理する)は、完全退職の場合にだけ認められ、分掌変更の場合は適用できない特例であるとしている国側に対して、 と反論しています。 ともすれば、〔第一通達〕本書きは完全退職の場合に適用し、ただし書きは分掌変更の場合に適用できず、分掌変更で適用できるのは〔第二通達〕だけであるとする課税庁、審判所の考え方の誤りを指摘したのです。 この点は税理士が〔第一通達〕は完全退職の場合だけ適用し、〔第一通達〕ただし書きは分掌変更の場合は適用できず、分掌変更で適用されるのは〔第二通達〕だけと思い込んでいたとすれば、その誤りは正さなければならないでしょう。   3 なぜ退職給与にこだわるのか 法人税法34条1項による損金不算入は次のようになっています。 【図表2】によれば、退職給与は法34条1項の損金不算入の適用はないので、課税庁が損金不算入としたい場合は退職給与ではないと主張するのです。 裁判所は退職給与を次のように考えています。 また、次のように判示しています。 また、〔第二通達〕は特例であるとする国側の主張については、租税法律主義(課税要件法定主義)に反するとしています。 注意したいのは、〔第二通達〕は課税要件を規定しており、租税法律主義に反しますが、税理士や学者はこれに疑問を持たず容認してきました。 この背景には、〔第二通達〕は特例であるとの理由から、決議後1年も経て支給しても退職給与とはされず、法34条1項(定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与以外は損金不算入)が適用されるとしたのです。 しかし、通達で「課税要件」を定め、これを特例とするのは租税法律主義に反するものだとする納税者の主張を認め、〔第一通達〕のただし書きを適用するとした判決の意義は大きいのです。 〔第二通達〕は節税屋税理士が利用したものですが、国税不服審判所及び原処分庁では、これは特例であるとしています。判決では法人税基本通達9-2-28のただし書を適用すべきものとして として法34条1項の適用はできないとしています。 この判決は租税法律主義(課税要件法定主義)を重視するもので、通達を頼りにしている税理士や学者に反省を求めるものです。 (了)

#No. 121(掲載号)
#山本 守之
2015/05/28

「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税特例」の活用ポイント 【第1回】「制度の概要について」

「結婚・子育て資金の一括贈与に係る 贈与税非課税特例」の活用ポイント 【第1回】 「制度の概要について」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   はじめに 平成27年度税制改正において、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税特例(以下「結婚・子育て資金贈与特例」)が創設された。一方、平成27年1月1日以降に他界した場合の相続税につき、基礎控除の引下げが行われ、相続税が課税される対象者が拡大し、相続税に対する関心が高まっている。 このため、結婚・子育て資金贈与特例は、相続税対策という観点からら顧客へ説明する機会も増加すると考えられる。 本連載では、結婚・子育て資金贈与特例につき、 を説明していくこととしたい(※1)。 (※1) 本連載では、原稿執筆時点(平成27年5月19日)で公表されている以下のものに基づき、説明を行う。 なお、租税特別措置法通達、財務省立法担当者解説(「税制改正の解説」財務省HP)は執筆時点では公表されていないため、その内容については解説を割愛する。   1 制度の概要 平成27年4月1日から平成31日3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の個人(以下「受贈者」)が、結婚・子育て資金に充てるため、金融機関等との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(父母、祖父母など。以下「贈与者」)から下記による贈与を受け結婚・子育て資金口座の開設等を行った場合、信託受益権又は金銭等の価額のうち1,000万円までの金額に相当する部分の価額については、金融機関等の営業所等を経由して結婚・子育て資金非課税申告書を提出することにより、贈与税が非課税となる。 信託受益権を付与された場合 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合   2 受贈者の要件 結婚・子育て資金贈与特例が適用される受贈者は、20歳以上50歳未満の個人に限られる。 20歳以上50歳未満であるかは、結婚・子育て資金管理契約の締結日を基準として判断される。   3 結婚・子育て資金とは 「結婚・子育て資金」とは、以下の金銭をいう。 ① 受贈者の結婚に際して支出する費用で次の費用に充てられる金額 受贈者の婚姻の日の1年前の日以後に支払われる婚姻に係る婚礼(結婚披露を含む)のために要する費用で一定のもの 受贈者又はその配偶者の居住の用に供する家屋の賃貸借契約(受贈者が締結するものに限る)であって、婚姻の日の1年前の日からその婚姻の日以後1年を経過する日までの期間に締結されるものに基づきその締結の日以後3年を経過する日までに支払われる家賃、敷金その他一定のもの 受贈者が、受贈者及びその配偶者の居住の用に供するための家屋に転居(婚姻の日の1年前の日からその婚姻の日以後1年を経過する日までの期間にする転居に限る)をするための一定の費用 ② 受贈者又はその配偶者の妊娠、出産及び育児に要する費用で次の費用に充てられる金銭 受贈者又はその配偶者の不妊治療のために要する費用又は妊娠中に要する費用で一定のもの 受贈者又はその配偶者の出産の日以後1年を経過する日までに支払われるその出産に係る分べん費その他の費用で一定のもの 受贈者の小学校就学前の子の医療のために要する費用で一定のもの 幼稚園、保育所等を設置する者に支払う受贈者の子に係る保育料その他の費用で一定のもの   4 贈与者の要件 結婚・子育て資金贈与特例が適用される贈与につき、贈与者は受贈者の直系尊属(父母、祖父母など)に限られる。したがって、義理の父母から贈与を受けた場合には、贈与者は受贈者の直系尊属に該当しないため、結婚・子育て資金贈与特例は適用できない。   5 非課税限度額 結婚・子育て資金贈与特例の非課税限度額1,000万円(結婚に際して支払う金銭については、300万円が限度)は、受贈者ごとに判定する。したがって、祖父及び祖母からそれぞれ1,000万円を贈与された場合であっても、結婚・子育て資金贈与特例は合計1,000万円までしか適用できない。 なお、直系尊属(同一個人)から複数にわたって結婚・子育て資金の贈与を受けた場合には、他の要件を満たしている前提で、その合計額が1,000万円までは結婚・子育て資金贈与特例の適用が可能である。   6 結婚・子育て資金管理契約の期間中に贈与者が死亡した場合 信託等があった日から結婚・子育て資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合には、当該死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算する。   7 結婚・子育て資金管理契約の終了 次に掲げる事由に該当した場合には、結婚・子育て資金管理契約は終了する。 上記イ又はロに掲げる事由に該当したことにより結婚・子育て資金管理契約が終了した場合において非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額があるときは、これらの事由に該当した日に当該残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する。 「父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」(国税庁) (了)

#No. 121(掲載号)
#根岸 二良
2015/05/28

平成27年度税制改正における「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて 【後編】

平成27年度税制改正における 「受取配当等の益金不算入制度」の見直しについて 【後編】   辻・本郷税理士法人 税理士 安積 健   (5) 負債利子控除制度の見直し② 前回は、課税ベース拡大に伴う緩和策として負債利子控除制度の見直しがされたことを解説した。しかし、負債利子控除制度の改正はそれだけではない。 負債利子の計算方法には、「原則法」と「簡便法」がある。前者は総資産簿価按分法と呼ばれ、負債利子に期末の総資産価額に対する期末の株式等の帳簿価額の占める割合を乗じて控除される負債利子を計算する方法である。これに対して後者は、基準年度実績により控除される負債利子を計算する方法である。 原則法である総資産簿価按分法では、総資産の帳簿価額をもとに一定の調整を加えて計算を行う。この場合の一定の調整について改正が行われた。改正前は、次に掲げる5項目について調整を行うことになっていた。 これに対して、改正後は、上記(エ)及び(オ)については調整を行わないこととなった。既に述べた通り、改正後、負債利子を考慮するのは関連法人株式等に係る配当のみであり、また納税者の事務負担に配慮しての改正である。したがって、改正後は、法令上、上記(ア)から(ウ)までの調整を行うことになる。 (6) 負債利子控除制度の見直し③ 負債利子の計算方法のうち、簡便法についても改正が行われた。「簡便法」とは、基準年度において原則法で計算した場合の控除負債利子を基礎に算定した割合を用いて当年度の控除負債利子を計算する方法である。 ここで「基準年度」とは、『平成22年4月1日から平成24年3月31日までの間に開始する各事業年度』であるが、平成27年度税制改正により、『平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度』に改正された。 前回述べたように、改正により負債利子控除を適用するのは関連法人株式等に係る配当等のみとなった。また、「関係法人株式等」から「関連法人株式等」に名称が変わり、その持株比率基準も見直された。 その結果、簡便法適用時の基準年度も見直されたものと思われる。 (7) 証券投資信託の収益の分配金に対する課税の見直し 公社債投資信託を除く証券投資信託については、株式だけでなく債券等にも運用されており、運用財産から株式等を抜き出し、これに係る収益の分配金を算定することは実務上困難であるところから、一種の割り切りとして、収益の分配金のうち2分の1相当額が株式等に係る配当等と考えて益金不算入制度の対象とされてきた。ただし、外国の株式や債券等で運用されている投資信託については4分の1相当額が益金不算入の対象となる。 平成27年度税制改正により、公社債投資信託を除く証券投資信託については、その全額が益金算入とされた。ただし、特定株式投資信託については、非支配目的株式等として、その収益の分配額の20%相当額が益金不算入とされる。 「特定株式投資信託」とは、信託財産を株式のみに対する投資として運用することを目的とする証券投資信託のうち、その受益権が金融商品取引所に上場されているものをいう。 特定株式投資信託は、株式等に投資していることと変わらないことから、改正前より、株式等と同等のものとして取り扱われてきた。改正後は、非支配目的株式等として収益の分配額の80%相当額が課税の対象となる。   3 適用時期 平成27年4月1日以後開始する事業年度から適用される。   4 改正の影響 受取配当等の益金不算入制度の改正の概要は上記の通りであるが、株式等の保有状況は法人により異なるため、改正の影響も一律ではない。 ここでは、改正項目についてどのような影響があるかを見ることとする。  (再掲) (※)下表の内容は前回を参照。 (1) 持株比率33%超100%未満の株式等に係る配当等 これは改正前は関係法人株式等として負債利子を控除した上で配当等の全額が益金不算入とされていたところ、改正後は関連法人株式等として負債利子を控除した上で配当等の全額が益金不算入とされる。したがって、負債利子がない場合には、改正前後で影響はない。 負債利子がある場合でも、考え方が改正前後で変わらないため、影響がないように見えるかもしれないが、控除負債利子を計算する場合の関連法人株式等の範囲が改正前の関係法人株式等の範囲と異なるため影響が生じることになる。 総資産価額が変わらないと仮定すると、分子に計上する関連法人株式等の範囲の方が、改正前の関係法人株式等の範囲よりも狭いことからすると、改正後の割合の方が低くなると考えられることから、課税所得が減ることになる。 (2) 持株比率25%以上33%以下の株式等に係る配当等 これは改正前は関係法人株式等として負債利子を控除した上で配当等の全額が益金不算入とされていたところ、改正後は負債利子を控除せずに配当等の金額の50%相当額が益金不算入とされる。したがって、負債利子がない場合には、改正後は課税所得が増えることになる。 しかし、負債利子がある場合には、配当等の金額と控除負債利子の額との比較により影響が決まる。具体的には、配当等の金額が(改正前の)控除負債利子の額の2倍を超えると改正後は課税所得が増えると考えられる。 (3) 持株比率5%超25%未満の株式等に係る配当等 これは改正前はその他の株式等として負債利子を控除した上で配当等の金額の50%相当額が益金不算入とされていたところ、改正後は負債利子を控除せずに配当等の金額の50%相当額が益金不算入とされる。 したがって、負債利子がない場合には、改正前後で影響はないが、負債利子がある場合には、改正後は課税所得が減ることになる。 (4) 持株比率5%以下の株式等に係る配当等 これは改正前はその他の株式等として負債利子を控除した上で配当等の金額の50%相当額が益金不算入とされていたところ、改正後は負債利子を控除せずに配当等の金額の20%相当額が益金不算入とされる。したがって、負債利子がない場合には、改正後は課税所得が増えることになる。 しかし、負債利子がある場合には、配当等の金額と控除負債利子の額との比較により影響が決まる。具体的には、配当等の金額が(改正前の)控除負債利子の額の3分の5を超えると、改正後は課税所得が増えると考えられる。 (5) 基準年度変更に伴う影響 控除負債利子の額を簡便法により計算する場合、基準年度が平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度に改正された。 例えば、3月末決算法人の場合、平成28年3月期では、その期だけの数値を基に簡便法の割合を計算する。 したがって、平成28年3月期では、原則法と簡便法で計算結果が一致することになる。しかし、厳密には、簡便法で計算する場合の負債利子控除割合は小数点以下3位未満を切り捨てるため、簡便法が有利になると考えられる。 平成29年3月期以降は、平成28年3月期と平成29年3月期の実績をもとに負債利子控除割合を計算し、平成30年3月期以降は同じ割合を使用することになる。 (連載了)

#No. 121(掲載号)
#安積 健
2015/05/28

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例26(相続税)】 「更正の請求期限を分割確定後1年であるものと誤認したため、期限を徒過し、特例の適用が受けられなくなってしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例26(相続税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 相続税の申告にあたり、遺産の範囲及び分割の方法について相続人間で分割がまとまらず、当初申告を未分割で行い、同時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出した。その後、遺産分割が調停に持ち込まれ、調停が成立したことから、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」を適用した更正の請求を行おうとしたところ、更正の請求期限を徒過したため、特例の適用が受けられなくなってしまった。 これにより、特例により減額できた金額につき損害が発生し、賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 平成X4年8月 被相続人死亡。 平成X5年6月 分割協議がまとまらず、未分割の相続税申告書及び「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出。 平成X6年10月 調停により遺産分割が成立。 平成X6年11月 調停の調書を受領。 平成X7年3月 更正の請求期限(請求失念) 平成X7年4月 依頼者より更正の請求期限が過ぎているとの指摘を受け、請求失念に気づく。 平成X7年5月 関与先に報告し、賠償請求を受ける。   《基礎知識》 ◆更正の請求の特則(相法32) 相続税について申告書を提出した者は、分割されていない財産について民法の規定による相続分の割合に従って課税価格が計算されていた場合において、その後当該財産の分割が行われ、共同相続人が当該分割により取得した財産に係る課税価格及び相続税額が過大となったときは、当該事由が生じたことを知った日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額につき更正の請求をすることができる。 (※) 相続税法の特例に基づく場合 (1) 未分割財産について法定相続分による申告をしていた場合、分割が行われ当初の相続分による課税価格と異なることとなった場合 (2) 認知の訴え、相続人の廃除又はその取消し、相続の放棄の取消し等に関する裁判の確定により、相続人に異動が生じた場合 (3) 遺留分の減殺請求に基づき返還すべき、又は 弁償すべき額が確定した場合 (4) 遺贈に係る遺言書が発見され、又は 遺贈の放棄があった場合 (5) 条件付の物納許可が取り消され、その理由がその物納財産が土壌汚染等であることが判明した場合 (6) 上記の事由に準ずるものとして次の事由が生じた場合 ① 相続又は遺贈により取得した財産の権利の帰属に関する訴えの判決があった場合 ② 分割後に被認知者からの請求があったことにより、弁済すべき額が確定した場合 ③ 条件付又は期限付の遺贈について、条件が成就し、又は期限が到来した場合 (7) 裁判による特別縁故者への相続財産の分与が確定した場合 (8) 未分割財産が、申告期限から3年以内に分割されたことにより配偶者の税額軽減の適用ができることとなった場合 (9) 相続開始の年において、被相続人から贈与を受けた財産を贈与税の課税価格計算に算入していた場合   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は、未分割遺産については適用がない。ただし、申告書提出時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、3年以内に分割が整えば適用を受けることができる。その場合、分割が整ってから4ヶ月以内に更正等をする必要がある。 税理士は、期限内申告書提出時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、調停が成立した直後に、調書を受け取っていた。しかし、更正の請求期限を分割確定後1年であるものと誤認し、依頼者からの指摘によりはじめて期限徒過に気づいている。 提出期限までに更正の請求を行っていれば上記特例の適用は受けられたことから、税理士に責任がある。   《予防策》 [ポイント①] 依頼者又は弁護士から定期的に連絡をもらう 毎年申告がある所得税や法人税と比べると、相続税の申告業務は、納税者たる相続人との関係が希薄であることが多い。 したがって、分割されるまで定期的に分割協議や調停等の進捗状況を確認する方法や、相続人から報告を受ける方法を決めておく必要がある。これにより、期限のある申請書や更正請求書の提出失念を防止することができる。 [ポイント②] 契約書等を取り交わす 相続税の申告のような、継続的な関与が行われない単独の業務を受任する場合には、口頭での約束だけで、契約書等の書面による契約を取り交わさないケースも散見される。 しかし、本事例のように、当初申告だけで完結せず、その後2年以上もの長期にわたり関与が続くような場合には、必ず契約書等を取り交わし、受任範囲を明確にしておく必要がある。 その際、具体的な受任業務の内容や提出期限、依頼者が税理士に対してすべきこと、及びその報告方法等も明記しておくと良い。さらに、依頼者から報告がなかった場合や報告が誤っていた場合の責任についても明記しておけば、その後の賠償請求を回避できる可能性もある。 (了)

#No. 121(掲載号)
#齋藤 和助
2015/05/28

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第27回】「事前確定届出給与から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第27回】 「事前確定届出給与から源泉徴収する 所得税及び復興特別所得税の処理」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   当社の事業年度は、6月1日~5月31日です。代表取締役Aの役員報酬は、月額30万円です。また、平成26年6月に事前確定届出給与に関する届出書を税務署へ提出しており、平成27年5月31日に事前確定届出給与100万円を支給する予定です(下記様式参照)。 事前確定届出給与を支給する際、給与として源泉徴収するのか、賞与として源泉徴収するのかがわかりません。なお、代表取締役Aは他にも会社を経営しており、乙欄での源泉徴収になります。 事前確定届出給与から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。 〈事前確定届出給与に関する届出書・付表〉 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 事前確定届出給与は、賞与である。ただし、他に定期の給与を受けていない者に対し継続して毎年所定の時期に定額を支給する旨の定めに基づき支給されるものは、給与とされる(所基通183-1の2(注))。 今回のケースにおいては、事前確定届出給与100万円は、賞与である。平成27年分源泉徴収税額表の賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表の乙欄の前月の社会保険料等控除後の給与等の金額30万円(241千円以上305千円未満)に対する所得税及び復興特別所得税の税率は、20.42%である。 以上より、事前確定届出給与から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税は、次の通りである。 (了)

#No. 121(掲載号)
#上前 剛
2015/05/28
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