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顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第5回】「スコアリングモデルの特長」 ~非会計情報を、定量化し、相対評価せよ~

顧問先の経理財務部門の “偏差値”が分かる スコアリングモデル 【第5回】 「スコアリングモデルの特長」 ~非会計情報を、定量化し、相対評価せよ~   株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦   はじめに 前回述べたとおり、スコアリングモデルは、経理財務を構成する18種類の業務について、「正確性」、「効率性」、「安定性」、「リスク管理」、「戦略性」の5つの視点で設定した137個のKPIを使って、経理財務部門のサービスレベルを評価する手法である。 スコアリングモデルは、経理財務部門のサービスレベルを評価する標準的な手法として経済産業省の実証事業により構築された。 おそらくこれより前にも、巷では経理財務部門のサービスレベルを評価する手法は存在していたであろう。それでも、この実証事業に経済産業省が取り組んだのは、スコアリングモデルがこれまでの国内外の取組みと決定的に異なる特長を備えており、国の事業として取り組む意義があると考えたからである。 では、他の取組みと異なるスコアリングモデルの特長とは何か。 これが、今回のテーマである。   他の取組みと異なる特長 スコアリングモデルがこれまでの国内外の取組みと決定的に異なる特長として、次の3つが挙げられる。 (1) 非会計情報 1つ目は、評価にあたり非会計情報を活用していることである。 そもそも、スコアリングモデルが評価の対象としているのは、財務指標で表される会社の経営成績の結果ではなく、経理財務部門が行う業務そのもののサービスレベルの良し悪しである。 そこで、会計情報が生成される前の業務プロセスに照準を当てて、組織のあり方や従業員の行動を変革することによって、直接的に管理し改善することができる非会計情報からKPIを作った。その必然的な結果として、137個のKPIとして、会計情報を加減乗除して作る財務指標は一切採用していない。 その意味で、財務分析に使う財務指標を結果指標とすれば、スコアリングモデルは、非会計情報から導き出される先行指標、プロセス指標を活用しているといえる。 例えば、スコアリングモデルでは、販売先の与信判断を見直す頻度、予算編成の日数等をKPIとして設定しているが、これらのKPIは会社の業績が好況であろうと不況であろうと、そのような経営成績の結果とは独立して、経理財務部門が能動的に管理することができるし、日常の行動を意識的に変えることで改善を図ることができるという点で、経理財務部門が行う業務のサービスレベルを評価するプロセス指標であり、先行指標であるといえる。 (2) 定量化 2つ目は、評価に使うすべてのKPIは定量化されるということである。 まず、スコアリングモデルは、会社間の比較を行うので、できるだけ定量指標を多く設定することを目指した。その結果、137個のKPIのうち6割強に当たる85個が数えられる定量指標、4割弱に当たる52個が監査証拠に基づき「はい」又は「いいえ」で答える定性指標とされている。 例えば、従業員当たりの業務処理量、業務処理の平均日数等は、数えることによって初めて管理し会社ごとに比較できる定量指標である。これらは、元々が定量指標であるため、評価においてもそのまま定量化が可能である。 より重要なのは、6割強の定量指標だけでなく、4割弱に当たる定性指標についても、評価される会社から成る母集団の回答状況に応じて、難易度が設定される統計処理によりスコアに変換され、定量化していることである。 このような「はい」又は「いいえ」で答える定性指標は、これまでも監査法人が利用するチェックリストにおいて数多く取り入れられていたが、会社の経理財務部門のサービスレベルを定量化できる体系は用意されていなかったと思われる。 (3) 相対評価 3つ目は、相対評価を採用していることである。 すなわち、スコアリングモデルでは、母集団を構成する複数の会社から提供されたKPIデータ群の偏差に基づき、その会社の経理財務部門のサービスレベルを比較するのである。比較から得られる評価は、経済産業省の評価でもなく、コンサルタントや監査法人の評価でもない。あくまで各会社が提供したKPIデータに基づく評価であり、いわばKPIデータ群によって形成されるベンチマークに基づく評価である。 KPIデータによる相対評価を採用するということは、言い方を変えれば、人による絶対評価を採用しないということである。 例えば、監査役監査、内部統制監査においても、経理財務部門のサービスレベルを評価するかもしれないが、それらはいずれも人による絶対評価である。なぜなら、それらは特定の前提に基づいてあらかじめ設けられた監査基準に照らして評価対象が基準に準拠していることを、専門的な知見と経験則を活用して判断し、有効か否か、妥当か否かという発想で評価するからである。 無論、監査役や会計監査人は、監査実務の蓄積の過程で、会社の経理財務部門の優劣を心証として持っていることが多いかもしれない。しかし、それはいわば属人的な経験則に基づくため、その人が背負ってきた価値基準のバイアスを受けやすく、客観的な会社間比較に利用するにはおぼつかないと思われる。   時代のベストプラクティスは顧問先自らが自己責任で作り上げるもの スコアリングモデルでは、なぜ、相対評価を採用するのか。 スコアリングモデルは、会社の経営者が絶えず経営管理の改善を継続している現実を重視し、その時代のベストプラクティスを決めるのは、特定の価値基準を持つ人ではなく、切磋琢磨する会社に実在する客観的データ群であるべきという発想に立つからである。 例えば、読者が顧問先の業務のあり方を振り返ったとき、20年前には時代を先取りするベストプラクティスであった業務処理が、今の時代ではどの会社でも当たり前になっている事例があるのではないかと拝察する。 時代のベストプラクティスが何かを見極めるのは、難しい作業である。 むしろ、評価をKPIデータに委ね、自社の経理財務部門のサービスレベルがその時代のベンチマークからどのくらい優れているのか、あるいはどのくらい劣っているのかを相対評価することで、自社に必要な改善点が浮き彫りになる自発的契機を促すと考えている。 このような考え方に立って初めて、顧問先の経営者は、KPIデータに裏付けられた「総合スコア」、「財務諸表の信頼性スコア」、「業務の有効性・効率性スコア」、「5つの視点別スコア」、「18種類の業務プロセス別スコア」、「137個のKPI別スコア」を通じて、自社の経理財務部門のサービスレベルがその時代のベンチマークと比較してどのくらいのレベルにあるのかという客観的ポジショニングを自社の問題として認識し、納得できるようになると思う。 翻ると、そのような詳細かつ納得性のある会社間比較を人による絶対評価を通じて達成することは困難ではないか。 相対評価を敷衍すれば、属人性のバイアスから解放されたKPIデータによる評価結果は、そのKPIデータを提供した会社の経理財務部門、究極的には経営者の経営管理のありようを忠実に映し出す。 KPIデータ群が作るベンチマークが、時代のベストプラクティスを指し示す。 ベンチマークとの比較を通じて行う相対評価だからこそ、その評価結果は自己責任であり、切磋琢磨する会社群が作り上げた時代のベストプラクティスに近づく努力も同じく自己責任であるということが、顧問先の経営者の中で、すっきりと腑に落ちるようになるであろう。 (了)

#No. 26(掲載号)
#島 紀彦
2013/07/04

《速報解説》 「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」の解説

《速報解説》 「「無形資産に関する 検討経過の取りまとめ」の解説   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成25年6月28日、企業会計基準委員会は「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」(以下「中間整理」という)を公表した。 中間整理は、平成21年12月の「無形資産に関する論点の整理」公表以降に行ってきた審議の状況やリサーチ活動などの概要を取りまとめたものである。 なお、中間整理については、論点整理や公開草案のようなコメントの募集は行われていない。 以下では、中間整理の概要を述べ、整理の状況について解説を行う。 なお、文中、意見に関する部分は私見であることを申し添える。   Ⅰ 中間整理の概要 中間整理は大きく次の論点から構成されている。 企業会計基準委員会では、無形資産に関して会計基準のコンバージェンスの観点から長期間にわたり検討してきたが、「企業結合時に識別される無形資産の取扱い」や「他社から研究開発の成果を個別に取得した場合の取扱い」についても、現時点で一定の方向性を打ち出す状況には必ずしもないと考えられ、継続的な検討課題としている。   Ⅱ 個別論点の概要 個別論点の概要として、次の事項が述べられている。 (了)

#No. 25(掲載号)
#阿部 光成
2013/07/04

《速報解説》 「金融商品の監査における特別な考慮事項」(公開草案)の解説

《速報解説》 「金融商品の監査における 特別な考慮事項」(公開草案) の解説   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成25年6月28日、日本公認会計士協会は「監査基準委員会研究報告『金融商品の監査における特別な考慮事項』(公開草案)」(以下「公開草案」という)を公表し、意見募集を行っている。 意見募集期間は平成25 年7月18 日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の内容 1 公開草案の概要 公開草案の概要は、次のとおりである。 2 公開草案のポイント 公開草案は、大きく「第Ⅰ部 金融商品についての一般的な情報」と「第Ⅱ部 金融商品に関する監査上の考慮事項」に分けて述べられており、目次は次のとおりである。 公開草案は、金融商品を利用する目的とリスクに関して、様々なリスクを述べるとともに、内部統制、網羅性、正確性、実在性、金融商品の評価、金融商品の表示と開示まで幅広く取り扱っている。 公開草案18項及び19項では金融商品に関連するリスクの主な種類が具体的に述べられており、金融商品に関する内部統制を整備・運用する際にもポイントになるものと思われる。また内部統制に関連しては、「付録 金融商品に関する内部統制の例示」が記載されており、実務において参考になるものと思われる。 「第Ⅱ部 金融商品に関する監査上の考慮事項」は監査人向けのものであるが、その記載内容は経営者や監査役などにおいても参考になるものと思われる。 (了)

#No. 25(掲載号)
#阿部 光成
2013/07/04

《速報解説》 「我が国の引当金に関する研究資料」の解説

《速報解説》 「我が国の引当金に関する 研究資料」の解説   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成25年6月24日、日本公認会計士協会は「我が国の引当金に関する研究資料」(会計制度委員会研究資料第3号。以下「研究資料」という)を公表した。 「研究資料」は、我が国の引当金の実務においては、経済環境の変化や企業の事業内容の多様化・複雑化などを背景として、認識又は測定に係る判断が容易ではない場合があるとの指摘が従来から見られ、監査実務においても論点となることが多いと述べている。 そこで、主として、我が国企業における「引当金の計上基準」の開示状況等による引当金に関する個別論点の洗い出し、具体的な会計処理(主に「企業会計原則」注解18に基づく)及び開示についての考察を行い、検討経過を研究資料として公表したものである。 「研究資料」については、次のことに注意が必要である。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 「研究資料」の内容 「研究資料」は、「具体的事例の考察」として、ケースごとに、(a)具体的事例、(b)会計処理の考え方を述べ、参考として、国際財務報告基準に照らした考察を行っている。 「研究資料」が取り扱っている引当金は次のものである。 このほか、「引当金の開示」についても考察を行い、また、「付録:我が国の会計基準とIAS37の比較」が記載されている。 (了)

#No. 25(掲載号)
#阿部 光成
2013/06/27

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について 【第4回】「適用を受けるために必要な手続とその留意点②(教育資金支払時及び契約終了時)」

教育資金の一括贈与に係る 贈与税非課税措置について 【第4回】 「適用を受けるために必要な手続と その留意点②(教育資金支払時 及び契約終了時)」   ミレニア綜合会計事務所 代表税理士 甲田 義典   1 はじめに 前回では、平成25年度税制改正で創設された「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」(以下「本制度」という)の手続に関する項目のうち、教育資金の贈与時の手続を中心に解説した。 本稿では、本制度の教育資金の支払時及び契約終了時に必要な手続とその留意点について解説する。   2 教育資金の支払時(措法70の2の2⑦⑧、国税庁QA3-1) 本制度の適用を受ける受贈者は、教育資金の支払いに充てた金銭に係る領収書その他の書類又は記録でその支払いの事実を証するもの(相続税法21条の3第1項2号の規定の適用により、教育費扶養義務者相互間において教育費に充てるためにした贈与により取得した財産で贈与税の非課税となるものを除く。以下「領収書等」という)を、受贈者が選択した方法ごとに定められた次の(イ)又は(ロ)の提出期限までに、取扱金融機関の営業所等に提出しなければならない。 また、(イ)又は(ロ)の選択は、一度選択すると変更できないため留意が必要である(国税庁QA3-1注書)。   3 教育資金管理契約の終了時(措法70の2の2⑩⑪⑫) (1) 教育資金管理契約の終了の日とは(措法70の2の2⑩) 教育資金管理契約は、次の(イ)~(ハ)に掲げる事由の区分に応じて、それぞれ定める日のいずれか早い日に終了する。   (2) 教育資金管理契約の終了時の受贈者の課税関係(措法70の2の2⑪⑫) 上記(1)の「(イ)受贈者が30歳に達した場合」又は「(ハ)取扱金融機関との合意により契約が終了した場合」には、非課税拠出額(「教育資金非課税申告書」(前回参照)記載額)から教育資金支出額(取扱金融機関が教育資金の支払事実の確認、記録した金額)を控除した残額(通常は使残しに相当する部分)に対して、受贈者が30歳に達した日又は合意に基づく終了日の属する年に贈与税が課税される。 一方、受贈者の死亡により契約が終了した場合(上記(1)(ロ)の場合)には、使残しがあったとしても贈与税は課税されない。 (3) 終了時に未提出の領収書等の取扱い(国税庁QA3-1但書) 教育資金管理契約が終了した日において取扱金融機関の営業所等に対する未提出の領収書等については、上記2の(イ)又は(ロ)の提出期限ではなく、その教育資金管理契約が終了する日の属する月の翌月末日までにその領収書等を取扱金融機関の営業所等に対して提出しなければならない。 必要な手続と課税関係を簡便的にまとめると、以下のとおりとなると考えられる。 連載最終回となる次回は、「学校等」「教育資金」の範囲など、個別の論点について解説する。 (了)

#No. 25(掲載号)
#甲田 義典
2013/06/27

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例3(所得税)】 「個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースしたところ、同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例3(所得税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 平成20年から22年分の所得税につき、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースしたところ、同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた。 税理士はこれを不服として、異議申立、審査請求を行ったが認められず、依頼者との相談によりこれを受け入れ、訴訟には持ち込まなかった。 これにより更正による追徴税額900万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 ・税理士が個人所有の賃貸建物につき同族会社とのサブリース契約を提案。 ・同族会社に支払う管理料を賃料収入の20%に設定。 ・依頼者はその提案を受け入れ、平成20年から22年まで同様に申告。 ・平成23年9月に税務調査で「著しく高額」の指摘を受ける。 ・税務署より更正処分を受ける。 ・税理士はこれを不服として、異議申立、審査請求を行ったが認められず。   《基礎知識》 ◆同族会社の行為計算の否認(所得税法157条1項) 同族会社の行為又は計算で、これを容認した場合には、その株主等である居住者の所得税の負担を不当に減少させる結果となるものがあるときは、その居住者の所得税に係る更正又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより総所得金額及び所得税額などを計算することができる旨を規定したものである。   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 依頼者は、個人所有の賃貸建物を同族会社にサブリースする際、その賃料について税理士に相談したところ、税理士から「同族会社に支払える不動産管理手数料は20%が税務上の限度」とのアドバイスを受け、これに基づいて賃料を決め申告を行った。 しかし、その後の税務調査で同族会社が受け取る管理料相当額が「著しく高額」として同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けた。税理士はこれを不服として、異議申立、審査請求を行ったが認められず、依頼者との相談によりこれを受け入れ、訴訟には持ち込まなかった。 本事例はサブリース契約が税理士主導で行われ、金額の決定も税理士が行っていた場合には、税理士の責任も問われることになると思われる。 ただし、税賠保険の観点からは、結果として更正処分を認めていることから、追徴税額は「本来納付すべき税額」となるため、対象とはならない。   《予防策》 [ポイント] 情報収集を心がける かつては暗黙の了解であった「同族会社に支払える不動産管理手数料は20%が税務上の限度」が変わりつつある。 本事例のように同族会社の行為計算の否認により更正処分を受けるものもあれば、以下の国税不服審判所の裁決事例のように、「名ばかりで管理の実態がなければ経費性はない。」として、同族会社の行為計算の否認を使うまでもなく、その経費性を否認されているものもある。 税制改正はもちろんのこと、国税庁から発せられる通達や情報、国税不服審判所の裁決事例、さらには判決事例などにも関心を持ち、常にアンテナを張り、情報収集に心がけたい。 (了)

#No. 25(掲載号)
#齋藤 和助
2013/06/27

経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第3回】「人事活動と税金」―役員給与の税務―

経理担当者のための ベーシック税務Q&A 【第3回】 「人事活動と税金」 ─役員給与の税務─   仰星税理士法人 公認会計士・税理士 草薙 信久     1 会社法の取扱い 会社法では、役員報酬と役員賞与は包括的に規定されており、役員に対する報酬等は「職務遂行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(会法361①)」と定義されています。   2 税務上の取扱い いわゆる「お手盛り」や租税回避の弊害を防止するため、会社法施行前後において、役員給与が法人税法上、損金不算入であることに変わりはありません(法法34)。 法人税法では、役員給与が、「定期同額給与(※1)」、「事前確定届出給与(※2)」又は「利益連動給与(※3)」のいずれかに該当する場合に限り、それが不相当に高額な部分の金額を除き(法法34②)、損金の額に算入できるものとされています。 具体的には、税務上の役員給与は次のように区分され、その内容や性質等に応じて損金算入・損金不算入の取扱いを受けます。 (※1) 債務の免除、経済的利益の供与を含みます。 (※2) 被付与者が、給与所得課税等が生じた日の属する事業年度にストックオプションの費用を損金算入します。   3 経営の状況が著しく悪化した場合 経営の状況が著しく悪化したこと等の理由(業績悪化改定事由)により役員給与の額を減額改定し、減額改定前が「定期同額給与」、かつ、減額改定後も「定期同額給与」の場合には、全額が「定期同額給与」に該当し、損金算入が認められます(法令69①一ハ)。 経営の状況が著しく悪化した等の理由とは、経営の状況が著しく悪化しやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情にあることをいいます。したがって、一時的な資金繰りの都合や、単に業績目標に達しなかったこと等は含まれませんので注意が必要です(法基通9-2-13)。 具体的には、 が該当します。   4 業績の悪化が不可避と認められる場合 会社経営上の数値的指標が相当程度悪化しているといえない場合であっても、役員給与を減額する等の対策を講じなければ、客観的な状況から、今後、経営の状況が著しく悪化することが不可避と認められる場合には、業績悪化改定事由に該当します。また、これらの対策を講じたことにより、結果として著しく悪化することが回避できた場合でも、業績悪化改定事由に該当します。 ここでのポイントは、あくまで客観的な状況によって判断することです。 したがって、客観的な状況ではなく、単に将来の業績見込みに基づいて役員給与を減額したような場合には、業績悪化改定事由による減額改定には該当しませんので注意が必要です(「役員給与に関するQ&A(国税庁 平成20年12月(平成24年4月改訂)」)。 なお、役員給与を減額改定する場合には、 を作成し、具体的に説明できるようにしておく必要があります。 (了)

#No. 25(掲載号)
#草薙 信久
2013/06/27

企業不正と税務調査 【第11回】「粉飾決算」 (2)架空売上・架空循環取引

企業不正と税務調査 【第11回】 「粉飾決算」 (2) 架空売上・架空循環取引   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   本連載の第4回でも触れたが、粉飾決算によって業績を良く見せる場合の手口としては、 という2つの方法しかない。 あらゆる粉飾は、これらの手口が単独で、又は、組み合わされて行われる。 前回取り上げた棚卸資産の過大(架空)計上は、上記の(2)に属する手法であったので、今回は、(1)の手法として、架空売上と架空循環取引をテーマとして取り上げたい。 単純な架空売上は、売掛債権が回収できないという致命的な欠陥を有しているため、すぐに不正が見抜かれてしまう。そこで、売掛債権が通常どおり回収されたように見せかけ、不正を長期間続ける手法として、架空循環取引が注目を浴びることとなった。 その手法自体は、古くから環状取引として知られ、その損失負担をめぐる裁判例もあったのだが、平成16年11月において株式会社メディア・リンクスによる架空循環取引の実態が報じられて以来、毎年のように、大きな架空循環取引事件が発覚しては、話題を集めてきた。 近時では、さすがに架空循環取引の手口も周知のものとなり、大きな事件はあまり聞かれないようになっていたところ、5月8日にリリースされた老舗機械商社の椿本興業株式会社の調査報告書では、長く、架空循環取引が行われてきたことが明らかになった(本事案の調査報告書については、本誌同号掲載の拙稿「会計不正調査報告書を読む【第9回】」を参照いただきたい)。 今回は、架空売上の計上、架空循環取引について、その手口と、財務諸表上に表れる特徴について検討したい。   1 架空売上の計上とその効果 (1) 架空売上計上の手口 最も単純な手口としては、期末に、何の根拠もなしに、売上を計上するというものである。 黒字達成まであと利益が20万円不足していたとする。平均的な粗利益率が20%の会社であれば、あと100万円の売上を計上する必要がある。 黒字を確保しなければならない事情(不正のトライアングルでいうところの「動機」)が強くあり、売上を計上するための証拠となる書類が必要とされない、又は、事後提出でも許される(「機会」)となれば、何らかの「正当化」すべき理由を見つけて100万円の架空売上を計上することは、そう難しくない。 まず、期末日で、以下のとおり架空売上・架空仕入を計上する。 次いで、翌期のはじめに、この売上と仕入を取り消せば、所期の目的は達成できる。 もちろん、このようなプリミティブな架空売上計上は、会計監査を受けることが義務付けられている会社であれば、会計監査によってすぐに露見してしまうところである。 ただし、こうした少額の粉飾により黒字決算を確保したいという欲求は、主に中小企業に多く、金融機関の融資を継続させるため、入札参加資格を維持するためといった「正当化」によって、粉飾決算が行われているのが実態である。 (2) 架空売上の計上が財務諸表に与える影響 中小企業によるこうした粉飾決算の結果は、貸借対照表の売掛金残高と買掛金残高を増加させる。どの程度の架空売上を計上するかにもよるが、期末の売掛金残高が年商との比較で大きいようだと、売掛金残高の実在性に疑念が生じる。また、長引く景気の低迷の影響により、いったん架空売上を計上して粉飾決算を行ってしまうと、これを毎期繰り返さざるを得ず、しかも金額がどんどん嵩んでいくことになる。そうすると、売上高自体は前年と変化しないのに、売掛金の期末残高だけが増加傾向を示すことになる。 また、キャッシュフローに注目すれば、利益を計上しているにもかかわらず、営業キャッシュフローが赤字続きだったり、借入金の返済が一向に進んでいなかったりと、さらに疑念が拡がることはいうまでもない。 (3) 税務調査による発見 このような単純な粉飾決算であるから、当然、国税調査官も期末の売上計上が架空のものではないかという心証を持つのであるが、それを指摘してしまうと、過大に計上した利益に対する課税を取り消さなければならないため、あえて、法人側の「翌期に売上のキャンセルがあった」という虚偽の説明に同意し、調査では争点にしないこともある。   2 架空循環取引とその効果 (1) 架空循環取引とは何か 架空循環取引とは、複数の企業が共謀して販売取引を連続して行ったように仮装して、資金を半永久的に循環させる取引であり、債権債務は金銭によって決済され、証憑書類も整備されているため、一見、通常の販売取引に見えるが、首謀者である企業の資金繰りの行き詰まりにより破綻する。 これまで発覚した多くの架空循環取引を用いた不正事件は、企業業績を維持・拡大するために、又は、首謀者が所属する部門業績を維持・拡大するために行われることが多く、首謀者を含め、関与者の私利私欲のための不正ではなく、組織の存続・拡大を図るための不正であるという点に特徴があった。 (2) 架空循環取引の事例 5月8日、老舗機械商社の椿本興業株式会社(以下「椿本興業」という)は「第三者委員会の報告書受領と当社の対応方針について」というリリースを出し、同社東海地区の営業部門において、長年、架空循環取引を含む不正取引が行われ、過去7年間では、売上高約70億円、当期純利益約15億円が減少すると発表した。 報告書では、架空循環取引を含む不正取引の首謀者である部門長が、親密であった取引先KE社の資金繰りを支援するために行った架空循環取引を次のようにまとめている。 部門長は、KE社と椿本興業の間に売掛先7社を関与させ、KE社から関与先7社のうちのいずれかに発注させる。発注を受けた関与先7社はこれを椿本興業に発注、椿本興業は仕入先4社又はKE社に発注し、仕入先4社は最後にKE社に発注して、資金を循環させる。 【資金の流れ】 首謀者である部門長は、こうした架空循環取引を含む不正な取引を通じて、椿本興業からKE社などの関与会社に架空発注を行い、これを現金化することによって、横領を繰り返し、自らの遊興費や愛人の生活費に充てていた。 (3) 架空循環取引の破綻 椿本興業における架空循環取引を含む不正な取引が破綻したのは、こうした不正な取引の結果、首謀者である部門長が関与する取引における棚卸資産残高が13億円を超えたため、経理部門の最高責任者から中部地区の営業本部長に対し、取引の中止を勧告した結果、資金が循環を止め、資金繰りに困った首謀者である部門長が自白したことによる。 他社の不正事例を見ても、循環を繰り返すにつれて、関与会社がそれぞれに得るマージンの分だけ取引金額が大きくなっていかざるを得ず、その分、資金繰りが苦しくなっていく。そのため、首謀者は、新たな資金提供者(参加社)を関与させ、又は、リース会社などから資金提供を得るなどして、取引継続を模索するのだが、もともと実体のない取引である以上、破綻が不可避であることはいうまでもない。 (4) 架空循環取引が財務諸表に与える影響 株式会社アイ・エックス・アイ(平成19年1月民事再生手続開始の申立て)、ニイウスコー株式会社(平成20年4月民事再生手続開始の申立て)など、市場からは優良企業とみられてきた企業が、突然、経営破綻に追い込まれた際によく言われたことであるが、架空循環取引を繰り返しているうちは、売上高や利益の伸長と、売掛債権、棚卸資産といった勘定科目残高の増加は、財務諸表を分析するだけでは違和感を持つことは難しい。また、債権債務の決済が他の取引同様に行われているため、キャッシュフローの動きにも不審な点がないことが多い。 こうした財務諸表上に不審点が表れていないことに加えて、証憑書類がすべて整備されており、また、架空循環取引に関与している法人の中には上場企業が含まれていることも多いため、会計監査でもなかなか発見されない。 (5) 税務調査による発見 架空売上の計上による粉飾が税務調査で争点になりづらいのと同様、架空循環取引についても、税務調査をきっかけに発覚したという事例は少ない。これは、架空売上の計上による粉飾同様、税務調査で発見したとしても、それが追徴課税につながらないことが、あえて粉飾に目をつぶる、という結果になっているのではないか。 また、架空循環取引を長期間続けることは、資金繰りの点から非常に難しいため、税務調査が入るころにはすでに破綻しているなど、調査のタイミングと不正の実行時期とが一致しづらいことにも基因しているといえよう。 *  *  * 本連載の最終回となる次回は、棚卸資産の過大(架空)計上や架空売上、架空循環取引といった粉飾決算による不正を防止し、又は発見するための手法と再発防止策について、検討を進めたい。 (了)

#No. 25(掲載号)
#米澤 勝
2013/06/27

鵜野和夫の不動産税務講座 【連載3】「相続時精算課税制度~そのメリットとデメリット」

鵜野和夫の不動産税務講座 【連載3】 相続時精算課税制度 ~そのメリットとデメリット   税理士・不動産鑑定士 鵜野 和夫   (一)   (二)   (三)   (四)   (五)   (六)   (了)

#No. 25(掲載号)
#鵜野 和夫
2013/06/27

法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第4回】

法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第4回】   弁護士 木村 浩之   (前回はこちら) 5 資本的支出と修繕費の区分 (1) 問題の所在 法人が固定資産の修理・改良等のために支出する費用には、例えば、 などがある。 これらの費用が固定資産に対する資本的支出に当たる場合には、その費用は減価償却資産として償却が必要であり、一時の損金の額に算入することができない。 これに対して、これらの費用が修繕費に当たる場合には、その費用は通常の一般管理費に含まれるものとして支出時の損金とすることができる。 したがって、固定資産の修理・改良等のために支出する費用が資本的支出に当たるか、それとも修繕費に当たるかによって所得の計算が異なることになるので、税務調査等においても、その区分が特に問題とされることが多いといえる。 (2) 資本的支出と修繕費の意義 ア 資本的支出 資本的支出とは、「修理、改良その他いずれの名義をもってするかを問わず、その有する固定資産について支出する金額で次に掲げる金額に該当するもの」をいうとされている(法令132)。 したがって、資本的支出の基本的な性質は、「通常の管理又は修理」の範囲を超えて、固定資産の使用可能期間を延長させ、又はその価値を増加させるというものである。 イ 修繕費 これに対して、資本的支出の概念の裏返しとして、修繕費とは、次のような性質を有するものをいう。 このうち、①については、固定資産の機能を維持保存することを目的とするものであることから、一定の周期で反復継続するものであり、かつ、費用の発生がある程度事前に予測可能なものである。言い換えれば、日常的であり、かつ、予防的な性質を有するものであるといえる。 また、②については、固定資産のもともとの機能を回復することを目的とするものであることから、何らかの原因で機能低下が生じた場合になされるものであり、原状回復としての性質を有するものといえる。 (3) 資本的支出と修繕費の区分 ア 区分が難しい支出とは 以上でみたように、資本的支出と修繕費の基本的な性質の違いは、その支出される費用の「通常性」にあるといえる。その区分が容易なものもあれば、困難なものもある。 先ほどの例でいえば、(a)維持管理費については、特にそれが過剰な費用を要するものでない限り、一般的には、通常の管理又は修理費用として修繕費に該当するものといえる。他方、(c)改造増設費については、通常の管理又は修理の範囲を超えてその価値を増加させるものとして、一般的には、資本的支出に該当するものといえる。 これに対して、(b)取替補修費については、その区分が容易ではない。例えば、新たな機能を付加するようなもの、本来の機能を上回らせる内容のものであれば、明らかに通常の管理又は修理の範囲を超えており、資本的支出に該当する。また、単なる部品交換のようなもの、破損箇所を修復するようなものであれば、明らかに通常の管理又は修理の範囲に含まれるものとして、修繕費に該当する。 問題は、その中間的なものであり、「通常の」管理又は修理といえるかどうかによって結論が異なることになる。 実務上は、大規模な修繕がなされる場合など、固定資産の機能を回復させるための補修が「通常性」の範囲内かどうかをめぐって問題となることが多いといえる。 イ 通達による形式基準 取替補修費をはじめとした固定資産の修理・改良等のための費用については、多かれ少なかれ、その使用可能期間を延長し、又はその価値を増加させる効用があるといえることから、これを「通常性」という抽象的な基準によって、資本的支出と修繕費に区分することは困難であるともいえる。 そこで、通達では、修繕費に該当するための一定の形式基準が設けられている(法基通7-8-3ないし7-8-5)。これによれば、以下の形式基準を満たすものは修繕費として取り扱われることになる(なお、被災資産については、法基通7-8-6参照)。 ウ 解釈による実質基準 以上の形式基準でもって修繕費として取り扱われるものについては、特段問題は生じないことになるが、その適用がないものについては、実質的な基準によって「通常性」の判定をする必要がある。 この点、前記(2)イのとおり、資本的支出とは区別される修繕費の性質としては、①日常予防性(管理費用の場合)、②原状回復性(修理費用の場合)を有するものである。 そこで、「通常性」の判定に当たっては、実質的な観点から、これら①又は②の性質を有するものかどうかによって判断することになる。 例えば、建物の壁面の塗装部分について、全体を洗浄して塗装が剥げている部分を塗り直すにとどまるような場合であれば、原状回復のための費用として修繕費に該当し、全面を新たに塗り替えるような場合であれば、原状回復の範囲を超えるものとして資本的支出に該当することになる。 次回は、償却限度額の計算時に問題となる事項について取り上げる。 (了)

#No. 25(掲載号)
#木村 浩之
2013/06/27
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