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税効果会計を学ぶ 【第17回】「連結財務諸表における税効果会計の取扱い②」~子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額

筆者:阿部 光成

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税効果会計を学ぶ

【第17回】

「連結財務諸表における

税効果会計の取扱い②」

~子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額

 

公認会計士 阿部 光成

 

資本連結における子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額について、連結財務諸表における税効果会計の取扱いを述べる。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。

Ⅰ 資本連結手続に関する会計処理

「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(会計制度委員会報告第7号。以下「資本連結実務指針」)は、連結貸借対照表の作成に当たり、支配獲得日において、取得した株式に係る子会社の資産及び負債を時価により評価すると規定している(資本連結実務指針11項)。

この時価評価額と当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額については、資産及び負債の帳簿価額の修正額として計上するとともに、その純額を評価差額として子会社の資本に計上すると規定している(ただし、個別財務諸表において資本又は損益に計上されたものを除く(「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(以下「連結税効果実務指針」)21項))。

当該評価差額は親会社の投資と子会社の資本との相殺消去及び少数株主持分への振替により全額消去されるが、評価対象となった子会社の資産及び負債の連結貸借対照表上の価額と個別貸借対照表上の資産額及び負債額との間に差異が生じる。この差異は、連結財務諸表固有の一時差異に該当する(連結税効果実務指針3項)。

 

Ⅱ 子会社の資産及び負債の時価評価による評価差額

1 一時差異と税効果

前述のように、取得された会社の個別財務諸表では、資産及び負債の価額は帳簿価額に基づいているが、連結財務諸表では時価評価されることから、税効果会計上、一時差異が生じることになる。

連結財務諸表固有の一時差異については、連結財務諸表上、税効果会計を適用し、当該一時差異について繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しなければならない。

この場合、当該税効果額は法人税等調整額に計上せずに直接評価差額から控除することから、評価差額の残高は当該税効果額を控除した後の金額となる(資本連結実務指針11項、連結税効果実務指針24項)。

2 子会社の資産の評価減のケース

例えば、子会社の棚卸資産を考えてみると、時価評価を行ったところ、時価が帳簿価額よりも低かった場合には、子会社の個別貸借対照表上の棚卸資産額は帳簿価額のままであるので、時価との差額が将来減算一時差異となる。

そこで、子会社の棚卸資産を時価評価した時点で評価減に対応する税効果額を繰延税金資産に計上する一方、相手勘定は評価差額として処理される。

なお、棚卸資産の販売年度には当該繰延税金資産を取り崩し、当該取崩額を法人税等調整額に借方計上する。これにより、個別損益計算書の利益額と連結損益計算書の利益額の調整が図られることになる。

3 子会社の資産の評価増のケース

例えば、子会社の所有する土地を考えてみると、時価評価を行ったところ、時価が帳簿価額よりも高かった場合には、子会社の個別貸借対照表上の土地の価額は帳簿価額のままであるので、時価との差額が将来加算一時差異となる。

そこで、子会社の土地を時価評価した時点で評価増に対応する税効果額を繰延税金負債に計上する一方、相手勘定は評価差額として処理される。

なお、土地の売却年度には当該繰延税金負債を取り崩し、当該取崩額を法人税等調整額に貸方計上する。これにより、個別損益計算書の利益額と連結損益計算書の利益額の調整が図られることになる。

(了)

「税効果会計を学ぶ」は、隔週の掲載となります。

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筆者紹介

  • 阿部 光成

    (あべ・みつまさ)

    公認会計士
    中央大学商学部卒業。阿部公認会計士事務所。

    現在、豊富な知識・情報力を活かし、コンサルティング業のほか各種実務セミナー講師を務める。
    企業会計基準委員会会社法対応専門委員会専門委員、日本公認会計士協会連結範囲専門委員会専門委員長、比較情報検討専門委員会専門委員長を歴任。

    主な著書に、『新会計基準の実務』(編著、中央経済社)、『企業会計における時価決定の実務』(共著、清文社)、『新しい事業報告・計算書類―経団連ひな型を参考に―〔全訂版〕』(編著、商事法務)がある。

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