起業家が求める税理士の役割、 税理士が求める経営者の姿勢 【下】 「日々の記帳・申告業務における 経営者との関係」 株式会社クロスフィールド 取締役 税理士法人あおやま 代表社員 公認会計士・税理士 松元 良範 1 整理は苦手でも売上を上げる経営者 前回述べたように、しっかり売上を上げている経営者の方々の中には、資料の整理が苦手な方が意外と多い。 何度お願いしても資料を出していただけない、あるいは半年過ぎてやっとまとめて資料を受け取る場合がある。しかし時間が経っているためか、大抵は歯抜け状態の場合が多い。 時には資料を出していただけないまま年度を超えてしまい、申告できない場合もある。 こうなると、期中において売上がどうなっているのか、利益は出ているのか出ていないのか、全く分からない状態に陥ってしまう。しかし、経営者本人としては自分の口座にお金がありさえすれば何とか生活できてしまうので、さほど気にはならない。 結局、自分のお金なのか会社のお金なのかさえも、よく分からなくなってしまう。 いずれにしても、売上が上がりお金が入金されるので、何とかなってしまうのである。 何とかなるので、経理に対する優先度が落ちてしまう。 こうなると、税理士としては大変困る状況に陥る。 これは、会社にとっても(もし会社に感情があるのであれば)大変困る状況なのであるが、唯一困らないと感じているのは、個人としての経営者本人だけなのかもしれない。 こういうタイプの経営者の方々は、もしかしたら会社形態ではなく個人事業形態でやっている方が良かったのではと思うことがよくある。 会社形態の場合には個人と会社の財布をきっちりと分けて管理しなければならず、個人事業に比べ手間がかかるからである。 こういった状況に陥った場合、我々税理士はどうしたらよいだろうか。 こういった経営者の方々と長い間接していると、彼らには全く悪意がないという共通点に気が付く。ただ単に、事務処理が少々苦手なのである。 資料を提出していただけない場合には、最終的には帳簿を作成することができず、申告期限を過ぎてしまうわけであるが、こういった場合、我々税理士は税務上のデメリット(例えば青色申告の承認の取消しなど)や、経営管理上のデメリット(例えば期中の利益が把握できない)を辛抱強く説明するしかない。 特に悪意がないので、こういったデメリットを真剣に説くと、その意味を真摯に受け取っていただき、真剣に対応してくれるようになる。ただ、如何せん、もともと事務処理が苦手な方々なので、長続きしないケースも少なくない。 このため我々も、決して諦めず、繰り返し説明することが必要である。 ただし、売上を着実に上げている方々が多いので、財務的に多少とも余裕がある場合には、事職員を雇用して彼らに事務処理を任せるよう提案することが多い。事務職員がきちんと資料を整理し我々に提出いただければ大変ありがたい。 さらに発展して事務職員が記帳を行いその結果を我々税理士がレビューするという形態、すなわち自計化することができれば、会社は迅速に業績を把握できるようにもなる。 2 経理業務に偏重し売上を立てられない経営者 上記1で述べたケースとは、全く逆のタイプもある。 つまり、完璧なまでに日々の証憑を整理して提出していただける経営者の方々もおられるのだ。 彼らは簿記や税務の基本的なレベルもきちんと勉強されているので、こちらの説明もすぐに理解していただける。税理士にとっては大変助かる経営者の方々である。 しかし、こういった経営者の方々の中には、全く売上が立たない方が少なくない。そのため、提出していただく資料は支出ばかりで売上関係の書類がない。証憑も整理されておりシンプルであるため記帳もスムーズに進み、綺麗な帳簿は作成できるものの、設立時の資本金をみるみる食いつくして、あっという間に立ち行かなくなってしまう。 このような場面に立ち会うと、何のために会社を設立したのだろうと疑問に思うことがある。起業すること自体が目的化してしまったのかもしれない。とても残念である。 こういった方々を見ていると、多少経理事務には荒っぽい感覚を持っている方が、起業という初期段階においては、むしろうまく行くのではないかと思うこともある。 3 ある成功した起業家の話 最後に、起業からある程度の規模へもっともスムーズに成長していった経営者の例に触れたい。 この経営者は、サラリーマン時代に培った自分のスキルと人脈を生かして、昔の仕事仲間3人と一緒に事業を始めた。持ち前の営業力もあり、手堅く仕事を受注する一方、会計の重要性も良く理解されていた。 会計に関しては我々税理士にお任せしようというスタンスであったが、決して丸投げではなく、必要な情報は何かというものを理解され、そして適度に整理された資料を提出していただき、我々が月次で記帳し、年度末は申告するという流れであった。期中においても利益の発生状況をお互いに確認しながら、年度の着地見込みを議論する。そしてさらなる拡大のために、社員の採用についても議論する。 こういった中で着実に売上を伸ばしてきた。 従業員が6名程度になってきた段階で、事務職員を雇うことにより、それまで社長自身が行っていたもろもろの証票整理等から解放され、よりマネジメントに注力できるようになってきた。現在は13人規模となり、さらなる成長へと日々邁進している。 終わりに ここまで2回にわたって、経営者と税理士との関係性について触れてきた。 起業される方は基本的に個性的な方々が多く、経営スタイルや経理業務に対する意識もまちまちである。 このことから、経営者の方々と税理士との関係にもいろんなパターンが生まれてくる。 どれが一番良いのかは一概には言えないが、いずれのパターンにおいてもお互いの信頼関係がなければその先の発展がない。 信頼関係を築くためには、税理士として何が重要なのか。 必要な税務知識の習得に磨きをかけることは言うまでもないが、やはり経営者とのコミュニケーションが一番大事だ。 どんな仕事でも同じことだが、税理士の世界も、いかにコミュニケーション能力を高められるかが、最も重要なのである。 (連載了)
〔知っておきたいプロの視点〕 病院・医院の経営改善 ─ポイントはここだ!─ 【第12回】 「慢性期DPCの予想される制度概要と影響」 東京医科歯科大学医学部附属病院 特任講師 井上 貴裕 1 なぜ慢性期DPCなのか 2025年に向けての医療制度改革の一環として、2012年度診療報酬改定で急性期医療における医療機関群(Ⅰ群・Ⅱ群・Ⅲ群)が設定されたことは注目されるところである。しかし、今後の高齢社会を考えると、むしろ急性期後の医療が重要になることは明らかであり、その対応策として慢性期医療に関しても新たな方向性が台頭してきている。 「慢性期医療費包括支払い制度(仮称慢性期DPC)について」(一般社団法人日本慢性期医療協会)によると、2025年には全対象患者757万人のうち慢性期医療の受け持ち部分はその90%と想定されている(図表1)。 図表1 (「慢性期医療費包括支払い制度(仮称慢性期DPC)について」(一般社団法人日本慢性期医療協会)P1より) この試算が正しいと仮定した場合、医療需要のほとんどは慢性期医療であり、慢性期病院が担うべき役割は極めて大きいことになる。また、急性期の定義からいうと、急性期病床で30日超の入院患者は急性期患者といえるのかという見解もあり、慢性期病院といえども急性期治療機能を持っていなければならないとされている(現行のDPC/PDPSでは、急性期の定義はデータ病床比が用いられており、在院日数が短く、新入院患者が一定以上の病床回転率が高い病院が想定されているものと考えられる)。 今後は、Post acute(急性期後)を受け入れる病床が必要であり、特に2025年の医療提供体制を構築するためには、現行の医療区分とADLによる分類による支払いでなく、DPC/PDPSに準じたいわゆる「慢性期DPC」が必要であるとされている。 2 慢性期DPCとは 慢性期DPCは、図表2に示すように一般病床(亜急性期病床)、回復期リハビリテーション病棟及び療養病床のうちより治療密度が高い範囲が想定されている。 図表2 (「慢性期医療費包括支払い制度(仮称慢性期DPC)について」(一般社団法人日本慢性期医療協会)P3より) 現行の診療報酬体系を前提とするとDPC/PDPSに参加しない一般病床から療養病床まで幅広い範囲が想定される壮大な制度になる。この慢性期DPCの範囲には急性期病床の受け皿や在宅療養の支援が含まれており、長期入院医療への対応については別の制度設計とすることが望ましいと筆者は考えている。 この慢性期DPCでは、図表3に示すようにDPC/PDPSと類似した構造であり「主たる疾患」(Diagnosis)、「処置等」(Procedure)の組み合わせ(Combination)による、出来高点数と包括点数からなる支払い方式が想定されている。 図表3 (「慢性期医療費包括支払い制度(仮称慢性期DPC)について」(一般社団法人日本慢性期医療協会)P5より) また、図表4に示すように急性期におけるDPC/PDPSと同様に、対象病院の機能や診療実績等に基づいて「基礎係数」、「機能評価係数Ⅰ」、「機能評価係数Ⅱ」から構成される医療機関別係数が設定されることも注目される。 図表4 (「慢性期医療費包括支払い制度(仮称慢性期DPC)について」(一般社団法人日本慢性期医療協会)P6より) DPC/PDPSでは医療機関別係数で1.5倍程度の差がついている。慢性期DPCでは、基礎係数は基本的に全対象病院共通とされており差はつかない。それに対して、機能評価係数Ⅰは人員配置等の構造的な要因が評価され、入院基本料等でより高い評価を受けることがポイントになる。 この慢性期DPCで目新しい視点であり、差がつきやすいのが機能評価係数Ⅱであろう。 慢性期DPCにおける機能評価係数Ⅱでは、緊急対応に対する評価(緊急送迎、緊急入院、緊急画像診断、緊急検査、緊急処置)、在院日数を短縮することに対する評価(効率性)、重症患者を受け入れることに対する評価(複雑性)、在宅や地域との連携を重視することの評価(在宅復帰率、在支病の届出、地域連携パスの届出)が具体的に挙げられている。現行の急性期病院のDPC/PDPSにおいても救急医療に対する評価(救急医療係数)が高い病院ほど機能評価係数Ⅱが高くなっており、緊急対応能力は慢性期DPCではさらに高く評価されるものと予想される。 緊急対応に高い評価ウェイトが置かれるのは、緊急対応能力に病院間格差が大きいからであり、緊急対応ができる長期急性期病院にとって魅力的な制度設計になるであろう。 3 慢性期DPC導入の影響 ① 機能による差 慢性期DPCでは機能評価係数Ⅱで病院機能により診療報酬の支払いに差がつくことが想定されている。これは1点10円、全国一律の評価から慢性期医療も解放されることを意味し、慢性期病院の機能及び経済性について二極化を加速させる。 現行のDPCⅢ群病院で無理をして急性期に留まっている病院にとっては、慢性期DPCに参加した方が高い係数の設定となり、経済的な魅力度が増す制度設計になることも十分にありえるだろう。つまり、急性期DPC対象病院の一部が慢性期DPCに移行し(一部の病棟であることも考えられる)、長期急性期病院として高評価を受けることも可能となるものと予想される。 それに対してDPC以外の一般病床、亜急性期病床・回復期リハビリテーション病棟・療養病床では、緊急対応ができるかによって評価が分かれるだろう。 ② 慢性期病院とっての影響 現行の診療報酬において、療養病床は医療区分とADL区分に基づいた支払いが行われているのに対して、慢性期DPCではより精緻化した支払いが行われることが予想される。 つまり、同じ包括払いといえども、患者の病態に応じてきめ細かい診療報酬の設定が行われるであろう。 このことは慢性期病院にとってマイナスの影響ばかりではなく、より重症患者を受け入れる施設にとっては増収機会も到来するはずである。それに対して長期療養型を中心とする療養病床については、診断群分類ごとの全国平均の在院日数(現行のDPC/PDPSでは入院期間Ⅱという)を超えると診療報酬が低減され、厳しい評価になることであろう。さらに、長期療養型の場合には、医療機関別係数が低くなる可能性があり、現在よりも入院診療単価が下落することもありえる。 慢性期DPCが始まったとしても、その存在に恐れをなす必要はない。しかし、DPCの本質は医療機能に見合った報酬の支払いであり、現行の制度とは一線を画することは肝に銘じなければならない。 (了)
会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第7回】 「“どうすれば利益が出るの?”って 聞かれてどう答えますか」 株式会社 経営ステーション京都 代表取締役 京セラ株式会社 元監査役 公認会計士・税理士 田村 繁和 中小企業をクライアントにもっていますと、必ず聞かれることは“どうすれば利益が出るのでしょう”ということです。 その時、あなたはどのように答えられますか? 恥ずかしい話ですが、私はずっと「総資本利益率を高めることだ」とクライアントに説明してきました。 総資本利益率は「売上/総資本 × 利益/売上」で求められます。 そのため、総資本回転率と売上高利益率を高めていけばいいのです。総資本回転率を高めるためには、商品回転率や売掛金回転率を高める。つまり、商品や売掛金の回収を早くしていけばいいのです。 これは皆様方もご承知かと思いますが、経営分析の本に書いてあります。会計士の受験でも時間をかけて勉強しましたので、私はこれを頭から信じ込んで説明していたのでした。 そんな時に、ある社長から「そんな抽象的な話なんて聞きたくない。先生も京セラの稲盛さんの『実学』という本を読めばいいよ」と言われたのでした。読みますと、“利益は売上から経費を差し引いたもので、売上を最大に経費を最小にすれば、ほっておいても利益が増えてくる”と書いてありました。 なんだこんなこと、誰だって分かっているわと思っていますと、“この誰でも分かっていることができていない会社が多い。これを全社員が理解して行動していかなければ利益なんか出ない”とも書いてありました。 私はこの本を読んでびっくりしました。そして自分が説明してきた〝利益を出すには総資本利益率を高めることだ〟ということが、何と抽象的で難しいことだったのかと恥ずかしい思いがしました。 クライアントの中小企業の社長の言葉は、まさにその通りです。そして、経営分析を勉強したことがむなしくなってきました。 中小企業の社長の顧問として生きていく限りは、その人のニーズをつかまなければなりません。 そのためには、訳の分からない抽象的な理論ではなく、本当の実学を学ぶことが大切です。 会計人としての視点で考えたものを提供するのではなく、クライアントに本当に役に立つ、クライアントが望んでいることを提供してあげることが、会計事務所発展の原点だと思います。 (了)
顧問先の経理財務部門の “偏差値”が分かる スコアリングモデル 【第6回】 「スコアリングモデルで評価する留意点」 ~いきなり業績評価に使ってはいけない~ 株式会社スタンダード機構 代表取締役 島 紀彦 はじめに 前回述べたとおり、スコアリングモデルは、複数の会社から集めた非会計情報からなる137個のKPIデータを統計的手法で定量化し、経理財務部門のサービスレベルを会社間で比較する相対評価を通じて、問題点を発見し、時代のベストプラクティスを目指して改善を促す契機とするものである。 スコアリングモデルは、会社の規模の大小を問わず、その経理財務部門のサービスレベルをデータに基づいて客観的に評価することができるが、実際に読者が顧問先にスコアリングモデルを活用して評価を行う場合に問題となるのは、どのような単位で評価を行うのか、評価結果をどのように活用するか、ということであろう。 そこで今回は、スコアリングモデルの評価単位と評価の留意点について解説しよう。 法人格単位で評価を実施 スコアリングモデルで評価を行う単位は、原則として法人格の単位と同じである。図表10を参照いただきたい。 図表10 スコアリングモデルで評価を行う単位 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 (1) 子会社を持たない場合 ① 経理財務機能が集中している場合 顧問先が、子会社を持たず、経理財務機能が本社に集中している小規模組織である場合、その会社だけを単体として評価する。 これが最も単純な事例である。 例えば、図表10で、赤い点線で区切った範囲で事業を行っているが、経理財務機能が本社に集中していて、A事業部、B事業部、C事業部、E工場、F工場、G支店、H支店には経理財務機能が存在しない場合、その本社の経理財務部門からKPIデータを提供してもらい評価する。この場合、評価対象は1個となる。 ② 経理財務機能が分散している場合 顧問先が、子会社を持たないが、組織が複雑で、経理財務機能が複数の部門で分散して担われている場合、会社の中のどこで重要な業務が担われているかを確認し、その分散度に応じて評価の単位を設定する。 例えば、図表10で、赤い点線で区切った範囲で事業を行っているが、経理財務機能が本社だけでなく、A事業部、G支店が個別の経理財務部門を持ち、その単位で決算書を作成している等の重要な経理財務機能を担っている場合、本社、A事業部、G支店の経理財務部門からそれぞれ該当するKPIデータを提供してもらい、別個に評価する。 この場合、評価対象は3個となる。 (2) 子会社を持つ場合 顧問先が、複数の子会社を持つグループを形成している場合、売上高、経常収益等の指標による一定の基準に基づき選定された重要な拠点の法人格単位で行う。 例えば、図表10で、親会社が、子会社X、子会社Y、関連会社Zを持つ場合、重要な拠点として親会社に加えて、子会社X、子会社Yが選定されたとすれば、親会社、子会社X、子会社Yの経理財務部門からそれぞれKPIデータを提供してもらい、別個に評価する。 この場合、親会社において本社に経理財務機能が集中していれば、評価単位は3個となるが、親会社において経理財務機能が分散していると、分散度に応じて親会社を何個の評価単位と見るかによって評価対象の数が増える。 (3) 持株会社と事業会社によるグループ経営の場合 顧問先が、持株会社と事業会社によるグループ経営を行っている場合、持株会社が担う経理財務機能の内容に応じて、事業会社とは別の単位で持株会社を評価する。 例えば、図表10で、子会社X、子会社Y、関連会社Zを持つ本社が別の持株会社の傘下に入っている場合、持株会社と事業会社の経理財務部門からそれぞれKPIデータを提供してもらい、事業会社と区別して持株会社を別個に評価する。 もっとも、持株会社が、全社的な予算管理、資金管理、資金配分を担うが、売上管理、仕入管理、原価管理等の日常的な経理業務を行うことがなく、必ずしも18種類すべての業務を担っていない場合は、該当する業務に対応するKPIデータだけを提供してもらい評価する。 (4) 委託業務がある場合 顧問先が、重要な経理財務業務の一部を外部業者に委託している場合、その外部業者を評価の対象として追加する。 例えば、図表10で、売掛金の回収業務や経費管理業務といった経理財務機能の一部を外部業者に委託している場合、当該外部業者から該当するKPIデータを提供してもらい、委託元の会社と区別して外部業者を別個に評価する。 このように、外部委託した場合の経理財務のサービスレベルと、自社で行った場合の経理財務のサービスレベルを比較し、業務のアウトソースの判断基準を得ることはスコアリングモデルの企図するところであり、企画の趣旨に合致する。 スコアリングによる評価結果を社内業績評価のみに使わないことが鍵 顧問先がスコアリングモデルを活用すると、スコアリングによる評価結果として、「総合スコア」、「財務諸表の信頼性スコア」、「業務の有効性・効率性スコア」、「5つの視点別スコア」、「18種類の業務プロセス別スコア」、「137個のKPI別スコア」に加えて、順位、格付が提供される(図表1、図表2)。 図表1 スコアリングモデルのイメージ① (再掲) ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 図表2 スコアリングモデルのイメージ② (再掲) ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 そこで、経営者としては、偏差値が分かったのだから、業績評価、人事報奨、部門予算配分等、社内の諸々の評価に活用したいという思惑が生まれるかもしれない。 しかし、逆説的ながら、業績評価、人事報奨、部門予算配分等の上意下達的な強制力の契機のみでスコアリングモデルを活用しようとすれば、評価結果が歪曲化して評価対象となる部門に伝わり、改善に向けた機運が削がれ、KPIデータの提供や改善の対応において、評価対象部門の協力が得られなくなることがある。 スコアリングモデルの本来の趣旨は、業務改善の客観的ベンチマークを経理財務部門に代表される内部のステークホルダーと投資者に代表される外部のステークホルダーに提供することである。 そして、評価対象となる部門がスコアや格付を通じて自社の経理財務のサービスレベルを客観的なデータの裏付けによって自己点検し、全員参画型で改善策の策定と遂行に当たる業務改善を行い、その改善度を外部のステークホルダーに伝達するPDCAサイクルの自発的契機を促すことが望ましい。 スコアリングによる評価結果を、業績評価、人事報奨、部門予算配分等、社内の諸々の評価に活用するのは、そのような自発的な改善の機運が十分熟成し、改善の達成度が見えた後の方が良い。 読者各位におかれては、スコアリングによる評価結果で業績評価を拙速に行わないように、顧問先の経営者に助言していただくことが重要と思う。 (了)
このたび、「法人税の解釈をめぐる論点整理」の《役員給与》編、《寄附金》編を7月10日より7月31日までの期間、非会員の方でも閲覧いただける無料公開とさせていただきます。 この連載は、法人税の実務において、その解釈をめぐり論点となりやすい点を、法令通達・判例を用いて分かりやすく解説する長期連載です。 この機会にぜひご覧ください(No.27では《減価償却》編が連載中です)。 下記の目次をクリックすると、閲覧いただけます。
《速報解説》 「不正調査ガイドライン」 (公開草案)の解説 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 平成25年7月2日、日本公認会計士協会は、経営研究調査会研究報告「不正調査ガイドライン」(公開草案)(以下「公開草案」という)を公表し、意見募集を行っている。 意見募集期間は平成25 年7月15 日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 公開草案の内容 1 公開草案の概要 公開草案の概要は、次のとおりである。 なお、日本弁護士連合会からは「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」が公表されている。 2 公開草案のポイント 公開草案の目次は、次のとおりである。 公開草案では、取締役や監査役だけでなく、企業等に関するステークホルダーについても述べている。 例えば、公開草案は、公認会計士が依頼者からの依頼を受けて不正調査業務を実施する場合や内部調査委員、外部調査委員に選任された場合に円滑に業務が行われ、不正調査業務の品質を担保し、ステークホルダーの要請にも企業等が適切に対応できるように助言することを第一義的な目的としていると述べている(Ⅰ、1、(2))。 また、公開草案は、法律上の責任が取締役・監査役にあることは当然前提とするものの、法的責任があるか否かを問わず、「不正を予防し発見する役割を果たす役割は、企業等だけではなく、企業等を取り巻くステークホルダーにもある。」という立場をとることとするとしている(Ⅰ、2、(3))。 このように、ステークホルダーに関連した記述が見られることは、公開草案の特徴と思われる。 (了)
monthly TAX views -No.6- 「はじまる租税回避対応策の検討」 中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹 英国スターバックス社(以下「スタバ社」)の租税回避問題が英国で大きく取り上げられ、不買運動にまで発展したが、米国多国籍企業を中心とする租税回避問題については、今回のG8サミットで取り上げられるなど、その後も議論は収束どころか拡大の方向で続いている。 このような国際的租税回避の広がりに対して、先進国の課税当局の集まりともいえるOECD租税委員会は、1998年の有害な租税競争プロジェクトの立ち上げ以降、さまざまなイニシアティブを発揮してきた。 最近では、2012年6月、OECD租税委員会においてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトが始まった。 スターバックス事件が報じられて以降も、2012年11月に、英、独の財務大臣がBEPSに関する共同声明を公表し、2013年2月には、BEPSに関する現状分析報告書“Addressing BEPS”が作成され、G20財務大臣会合に報告された。2013年7月には、OECDが策定する「行動計画」をG20財務大臣会合に提出する予定となっている。 さらにタックスヘイブン対策として、情報交換協定の強化が行われてきた。 2005年にOECDモデル租税条約の改正による情報交換根拠規定の強化を皮切りに、2008年の金融経済危機、スイスUBS事件、リヒテンシュタインLGT銀行事件等を契機とした、情報交換の国際基準遵守を各国に求める動きが活発化している。 2009年4月のG20ロンドンサミットの声明で、情報交換の促進と、非協力国への対抗措置(非協力国への支払いに関し源泉徴収又は費用控除否認、政府開発援助の制限など)が示唆された。また、 OECDは実効的な情報交換に非協力な国のリストを公表、各国が国際基準の遵守をコミットした。2009年9月には、「税の透明性と情報交換に関するグローバル・フォーラム」を拡大・改組して、各国の透明性・情報交換に関する法制整備とその実施状況についての相互審査を2010年より実施している。 わが国も、スイス、ルクセンブルク、シンガポール等との租税条約の情報交換規定を、国際基準に沿ったものに改正するとともに、バミューダ、バハマ、マン島、ケイマン、リヒテンシュタインなどのタックスヘイブンとの情報交換協定を締結している。 問題の本質は、2つである。 それは、先進国からの資金を引きつけようとする低税率国やタックスヘイブンの存在、そして、特許権・著作権・商標権・ノウハウなどの無形資産の税務上の取扱いである。 この2つの問題が結び付き、企業価値の根源である無形資産を、低税率国・タックスヘイブンに作った子会社(IP Co.)に移転することによって、無形資産から生じる将来の収益(使用料、ロイヤルティー)を集中させて節税を図るプラニングが出来上がる。 注目は、BEPSの報告を受けてのわが国の対応である。 米国では、租税回避があまりにもアグレッシブな場合には、税務上否認される。租税回避以外に事業目的がはっきりしない取引について否認できる包括規定があり、その要件が法律で決められている。 一方わが国では、米系企業を中心にプラニングは進んでいるものの、法律の否認規定がなく、あいまいなままである。 近年わが国でも、日本ガイダント事件など、一流弁護士事務所が租税回避スキームを綿密に練り上げ、日蘭租税条約の抜け穴を利用する、いわゆるダッチサンドイッチで、わが国の法人税負担を軽減させるという事例が起きている。 これに対しては直ちに法律的な手当てがなされ、あわせて日蘭租税条約が改定されることで何とか類似のケースを食い止めているが、法律の抜け穴を見つけ出して租税を回避しようとする事例は今後とも増えていくことが予想される。 租税回避は、 「(か弱い)納税者」 対 「(弱いものいじめの)税制当局」 という構図ではなく、 「(知恵も資金もある)法律家・会計士」 対 「(知恵も予算も限られた)税制当局」 という構図であることを忘れてはならない。 わが国でも、早急に租税回避に対する議論を行い対応していく必要がある。 筆者は、2010年10月1日、当時の政府税制調査会専門家委員会で、「無形資産と国際的租税回避」と題して、無形資産の課税ルールの明確化を求めるプレゼンテーションを行っているので、参照いただきたい。 またこれを踏まえて、2010年11月9日、政府税制調査会専門家委員会から「国際課税に関する論点整理」が公表されている。 (了)
「生産等設備投資促進税制」 適用及び実務上のポイント 【第4回】 「別表6(18)記載のポイントと 当初申告要件の確認」 マネーコンシェルジュ税理士法人 税理士 村田 直 ◆法人税申告書「別表6(18)」の記載方法 連載4回目となる今回は、本制度に係る別表の書き方や当初申告要件など手続規定を中心に解説する。 生産等設備投資促進税制の適用を受けるためには、特別償却の場合は、「確定申告書等に機械等の償却限度額の計算に関する明細書を添付」することが必要となる。 また特別控除の場合は、「確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に、控除の対象となる機械等の取得価額、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類の添付」が必要となる。 特別償却については、7/2に国税庁ホームページにて公表された「租税特別措置法による特別償却の償却限度額の計算に関する付表の様式について(法令解釈通達)」により、特別償却の付表(6)「国内の設備投資額が増加した場合の機械等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表」が公表されている。 特別控除については、「国内の設備投資額が増加した場合の機械等に係る法人税額の特別控除に関する明細書」として、下記「別表6(18)」が公表されている。 別表6(18) 国内の設備投資額が増加した場合の機械等に係る法人税額の特別控除に関する明細書 ※画像をクリックすると、PDFファイルが開きます(国税庁ホームページへ)。 (国税庁ホームページより) この別表は、前回詳しく取り上げた下記の要件が判定できる構成となっている。 別表の最初には、「1」欄として「適用対象年度において取得等をした生産等資産のうち当該適用対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額」を記入する欄がある。 上記の要件でいうと、「国内における生産等設備への年間総投資額」がこれに該当し、生産等設備投資促進税制の要件判定において要となる数値である。 「1」欄の下には、他の特別控除と同様に、事業種目、資産区分、取得価額を記載する欄が「2」欄から「9」欄まで続く。 この欄には、生産等資産のうち、特別控除の計算対象となる機械等について記載する。法人税法上の圧縮記帳により積立金を計上している場合には、取得価額の改定が必要となる。 続く別表中段には、「法人税額の特別控除額の計算」欄(「10」~「16」欄)がある。ここで、「3%の税額控除」と「当期の法人税額の20%」の判定が行われ、特別控除額が決まる。 別表下段には、「償却費として損金経理をした金額の計算」欄が設けられており、構成は下記のようになっている。 「21」欄は、 (「17」+「18」)-(「19」-「20」) として計算し、これが「償却費として損金経理をした金額」となる。 冒頭①の要件は、「1」欄が「21」欄を超えているかどうかで判断する。 最下段には、「比較取得資産総額等の計算」欄が設けられている。 「25」欄を、「24」欄(=「22」欄×「23」欄)×110%として計算し、これが「比較取得資産総額の110%相当額」となる。 冒頭②の要件は、「1」欄がこの「25」欄を超えているかどうかで判断する。 なお、中小企業者等に限り、法人住民税及び法人事業税においても、特別償却や特別控除が適用されるため、地方税申告時には気を付けたい。 ◆当初申告要件と適用額の制限の見直し 確定申告書に明細書類の添付がない場合には、生産等設備投資促進税制の適用を受けることはできない。では、確定申告時に特別控除の適用を受けていない場合において、後日に修正申告書や更正請求書で適用を受けることは可能だろうか。 この問題については、平成23年12月改正の「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)において、改正が行われている。 その結果、法人税法においては一部の制度で当初申告要件が廃止されたが、租税特別措置法においては、当初申告要件が依然として残っている。そのため、確定申告書に明細書類の添付がない場合には、修正申告書や更正請求書で適用を受けることはできない。 では、確定申告後に、税額控除に関係する金額に変更があった場合はどうなるだろうか。 条文には、「この場合において、同項の規定により控除される金額は、当該確定申告書等に添付された書類に記載された機械等の取得価額を基礎として計算した金額に限るものとする」との記載がある(措法42の12の2⑥)。 つまり、申告後に機械等の取得価額が増加した場合でも、更正の請求はできないこととなる。 ただし、「機械等の取得価額」以外の金額に変動がある場合には、更正の請求によってその金額を是正して、適用を受ける金額を増額させることができる。これは、上記平成23年12月改正によって見直しが行われている。 最終回となる次回は、設備投資を計画する際の注意点や、他の規定との有利不利など、実務上の留意点を中心に解説する。 (了)
中小企業のM&Aでも使える 税務デューデリジェンス 【第5回】 「統合における税務デューデリジェンス 及びケース・スタディ」 公認会計士・税理士 並木 安生 第5回では、前回解説した各統合形態の内容及び税務上の取扱いを踏まえて、税務デューデリジェンスの具体的な内容について解説する。 1 税務デューデリジェンスが必要な理由 合併や株式移転では、統合前の事業年度に係る税務リスク(将来の税務調査で、統合前の事業年度を対象とする追徴課税を受けるリスク等)が統合後も残ることになる。つまり合併においては、消滅会社の税務リスクを存続会社が法的に引き継ぐことになり、また株式移転においては、持株会社の傘下となる統合対象会社の税務リスクは株式移転を行っても変化が生じないことになる(なお、買収形態における税務リスク承継については第2回を参照)。 したがって、統合当事者である各会社は、税務デューデリジェンスにより統合の相手会社の税務リスクを事前に把握し、統合を行うか否かの判断に活用させることが有効といえる。また、自社にとって不利な統合比率に着地してしまうことを避けるためにも、税務デューデリジェンスの実施によって税務リスク額を試算し統合価額へ反映させることは必要な手段であるといえる。 2 税務デューデリジェンスの具体的内容 統合における税務デューデリジェンスの手続は、買収の場合のものと基本的に大きな違いはなく、税金計算の正確性チェックやその根拠資料との突合のみならず、マネジメントや経理責任者へのインタビューや重要決定事項に関する資料の閲覧を通じて、税務処理の網羅性の検証手続まで行うこととなる。詳細については、第2回「具体的な調査項目とは」を参照されたい。 3 税務デューデリジェンスの活用(ケース・スタディ) 税務デューデリジェンスによる結果を具体的に活用する方法について、オーナー株主が保有するB社が合併により競合他社のA社に吸収されることを前提として、以下に記載する(A社とB社との間には、合併直前の時点において資本関係が全く存在しないとする)。 ① 税務リスクの性質毎の対応 まず、税務デューデリジェンスの結果発見した税務リスクの性質次第で、合併価額(合併比率)への反映方法、合併実行の是非を含む対応が異なってくる。 以下、関係会社間取引に係る寄附金認定の税務リスクが発見された場合を例として、パターン毎の対応例を記載する。 1) 税務リスク額が試算可能な場合 A社がB社に対して税務デューデリジェンスを実施した結果、過年度における関係会社への役務提供取引に関して、寄附金認定の税務リスクがあることが発見された(過年度の法人税確定申告書上で加算・社外流出処理を行っていなかったものとする)。 合併交渉の結果、最終的にB社オーナー株主もその税務リスクの内容について合意し、かつ税務上の時価が算定できる場合は、リスク金額を合併比率算定の基礎となるB社株式価額に織り込むことになる。 この点、株式価額の算定方法としていわゆるDCF法を用いる場合は、将来納税する可能性のある追徴税額を試算し、割引現在価値を算出する基礎となる将来のキャッシュ・フローを減額させることとなる。また、いわゆる時価純資産価額法を用いる場合は、税務リスク金額を未払法人税等へ反映させ、時価純資産額を減額させることとなる。 2) 合併交渉で見解の相違が生じた場合又は税務リスク額が試算不可能な場合 税務リスクの考え方について、A社とB社との間で見解の相違が生じてしまった場合、又は役務提供の適正な取引価額の試算・算出が困難な場合、実務上は合併契約書上に表明保証条項を織り込むことで対応することも考えられ得る。 つまり、買収後の税務調査で寄附金認定による追徴課税を受けた場合は、納税による金銭的負担をB社オーナー株主に負わせるという条項を織り込むことで、A社(及びA社株主)は税務リスクを回避・軽減することが可能となる。 3) 税務リスクが受入困難な場合 寄附金認定の税務リスクが定量的・定性的に非常に大きく、合併実行に著しい悪影響を及ぼすと判断された場合、合併自体を断念せざるを得ないケースもある。ただし、合併以外の統合形態に変更することで税務リスクを遮断するという解決策も考えられる。 例えば、合併や株式移転の場合は前述のとおり、統合前の事業年度に係る税務リスクを統合後も引き継ぐことになるが、事業譲渡やいわゆる複数新設分割等の方法を採用した場合は、原則として統合前の税務リスクを引き継ぐことはないため、解決策として適した代替的方法であると考えられる。 上記2)について、表明保証条項についてオーナー株主が難色を示し織り込むことが困難である場合等も、税務リスクを引き継がない代替的方法を提示することが1つの解決策になるといえる。 以上の1)から3)までをまとめると、次のとおりとなる。 〈税務デューデリジェンスにおける検討過程〉 ② 合併の実行可能性の検討 合併は税務上の組織再編行為に該当するため、組織再編税制適用下の影響を検討した上で、合併が統合形態として利用できるか否かを判断する必要がある。 主な検討ポイントは次のとおりであり、税務デューデリジェンスの過程において、その検討のための材料(例:適格要件判定のための数値・定性的情報等)を入手しておくことが効果的である。 1) 適格要件の判定、及び非適格再編時の課税への影響 本ケース・スタディは、合併直前の時点において、合併当事者A社・B社との間に資本関係がないことから、資本関係が50%以下の場合の適格要件、いわゆる共同事業要件(下表aからfまでのすべてを満たす必要あり。ただし、e-1とe-2はいずれか1つを満たせばよい)を判定する必要がある。 なお、この合併が非適格再編として判定される場合、B社が保有する資産・負債に関して譲渡損益を税務上認識しなければならない。特に譲渡益は課税対象となるため、納税による資金負担の影響は非常に大きくなる可能性がある。 そのため、統合前における事前判定の結果、非適格再編として認定される恐れがある場合は、あらかじめ譲渡対象となる資産・負債を洗い出しその譲渡損益を試算しておくこと、また、譲渡益と相殺可能な青色繰越欠損金がどの程度存在するか把握しておくことが有用であるといえる。 ③ 代替案の検討 上記①3)でも触れたとおり、税務デューデリジェンスの結果次第では他の統合形態へ変更せざるを得ないケースもある。その場合、同時並行的に代替案の検討も行っておくことが効果的である。 例えば、代替案として事業譲渡が考えられる場合、事業譲渡対象資産・負債の時価及び譲渡損益の試算、消費税計算に与える影響等を分析しておくことが望まれる。 (了)
交際費課税Q&A ~ポイントを再確認~ 【第4回】 「「1人当たり5,000円以下の飲食費」の 判定が難しいケース」 公認会計士・税理士 新名 貴則 「1人当たり5,000円以下の飲食費」の特例とは、次の費用を税務上の交際費等から除くとするものである(措法61の4③二)。 つまり、事業に関係のある社外の者等との「飲食その他これに類する行為のために要する費用(以下、飲食等のために要する費用)」を、人数割りして5,000円と比較するということである。 しかし、そもそも「飲食等のために要する費用」にはどのような費用を含めなければならないのかが、実務上は重要なポイントとなる。 そこで、以下に「飲食等のために要する費用」に含めなければならない費用と、含めなくてよい費用の例を挙げて解説する。 (了)