法人実効税率とは?
更新日:2024/04/18
法人の所得金額に対して、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税が課税されますが、これらの合計額がその法人の所得金額に対する割合、つまり実質的な税負担率を実効税率といいます。
平成27年12月に閣議決定された平成28年度税制改正の大綱では、企業の成長力、競争力を高めるための法人税改革が掲げられ法人実効税率の引下げが行われました。
法人実効税率とは
実効税率は、法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、住民税、事業税の額の合計額の割合、つまり合計税率をいいます。
平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度の資本金1億円以下の普通法人(外形標準課税不適用法人)の場合の各税率と計算方法は次表のとおりです。
種類 | 標準税率(注) | 計算方法 |
法人税 | 23.4% | 所得金額×税率 |
地方法人税 | 4.4% | 法人税額×税率 |
住民税 | 12.9% | 法人税額×税率 |
事業税(所得割含む)+ 地方法人特別税 |
9.59% | 所得金額×税率 |
合計税率は、23.4%(法人税)+23.4%×4.4%(地方法人税)+23.4%×12.9%(住民税)+9.59%(事業税)=37.04%となります。
法人実効税率の推移
平成28年4月1日以後適用される法人税率等の変遷を表にまとめると次のようになります。
●資本金1億円以下の外形標準課税不適用法人の場合
H28/4/1~H29/3/31 開始事業年度 |
H29/4/1~H30/3/31 開始事業年度 |
H30/4/1~H31/3/31 開始事業年度 |
|
法人税 | 23.4% | 23.4% | 23.2% |
地方法人税 | 10.3%→4.4%(注) | 10.3%→4.4%(注) | 10.3%→4.4%(注) |
住民税 | 12.9% | 7.0%→12.9%(注) | 7.0%→12.9%(注) |
事業税(所得割含む)+ 地方法人特別税 |
9.6% | 9.6% | 9.6% |
合計税率 | 37.04% | 37.04% | 36.81% |
●資本金1億円超の外形標準課税適用法人の場合
H28/4/1~H29/3/31 開始事業年度 |
H29/4/1~H30/3/31 開始事業年度 |
H30/4/1~H31/3/31 開始事業年度 |
|
法人税 | 23.4% | 23.4% | 23.2% |
地方法人税 | 10.3%→4.4%(注) | 10.3%→4.4%(注) | 10.3%→4.4%(注) |
住民税 | 12.9% | 7.0%→12.9%(注) | 7.0%→12.9%(注) |
事業税(所得割含む)+ 地方法人特別税 |
3.6% | 3.6% | 3.6% |
合計税率 | 31.05% | 31.05% | 30.81% |
(注)表中の地方法人税、住民税の率は、平成28年度税制改正において、それぞれ10.3%、7.0%に改正されましたが、平成28年11月28日に消費税率の10%引上げの改正が延期されたことに伴い、従来の4.4%、12.9%に据え置かれる法律が施行され、2年6ヶ月延期されました。
法定実効税率の計算方法
税効果会計を適用する上で、将来減算一時差異に法定実効税率を乗じて繰延税金資産を計算し、将来加算一時差異に法定実効税率を乗じて繰延税金負債を計算します。
ここで使用される法定実効税率は、上述してきた実効税率(合計税率)とは一致しません。
合計税率は「所得金額」に対する税率であるのに対し、法定実効税率は「税引前当期純利益」に対する税金負担率であるためです。
この違いは、事業税が課税所得金額の計算上、損金の額に算入されることに起因し、税引前当期純利益の額から事業税額を控除して所得金額が計算されるため、異なってくるのです。
法定実効税率= | 法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率 |
1+事業税率 |
期末資本金1億円以下の普通法人で外形標準課税が適用されない法人の平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度に適用される各税率に基づき、法定実効税率を計算すると以下のとおりとなります。
法人税率 | 23.4%(注) | |
地方法人税 | 4.4% | |
住民税 | 12.9% | |
事業税所得割+地方法人特別税 | 9.6% | |
合計税率 | 37.04% | |
法定実効税率 | 33.80% |
法人実効税率の国際比較
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