税務判例を読むための税法の学び方【91】
〔第9章〕代表的な税務判例を読む
(その19:「「交際費」の範囲②」(東京高裁平15.9.9))
立正大学法学部准教授
税理士 長島 弘
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4 萬有製薬事件の概要と争点
萬有製薬は、取引先である医療機関の医師や研究者を相手に医療関係文献の英文添削事業を行っていた。当初、国内業者の平均的な料金である1ページ当たり1,500円の料金の徴収であっても、社内に専門家がいたことから利益が出ていたが、その後その専門家が退社したことにより外部に委託せざるを得なくなり、外部委託の費用が収入金額を超過することが恒常的なものとなっていた。その差額の負担額について、課税庁によりそれが交際費とされ、損金不算入として課税処分されたことから、訴訟となったものである。
争点は、①本件英文添削の依頼者が、萬有製薬の取引先である医療機関の医師や研究者に限られていたことから、「事業に関係ある者」に該当するか否か、②差額負担による支出が、「接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」に該当するか否かである。
5 萬有製薬事件判決
(1) 東京地裁平成14年9月13日
この裁判例は、裁判所ホームページ等では公開されていない。そこで少し長くなるが、交際費該当性に関する判示部分を、ここに紹介しながら解説したい(下線筆者)。
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