理由付記の不備をめぐる事例研究
【第46回】
「交際費(損金性否認)」
~交際費勘定に計上している支出の損金性が認められないと判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「交際費勘定に計上している支出は損金性が認められないこと」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京地裁昭和53年4月24日判決(行集29巻4号555頁。以下「本判決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(損金と認められない交際費 32万円)
交際費勘定のうちの来客として支出している22万円及びK店主任の諸経費として支出している10万円は、その支出を確認する領収書等の証拠書類もなく、かつ、接待等の事実も確認できないので損金の額に算入されません。
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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