理由付記の不備をめぐる事例研究
【第50回】
「前期損益修正」
~国保収入を減額する決算修正仕訳は認められないと判断した理由は?~
千葉商科大学商経学部講師
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「国保収入を減額する決算修正仕訳を否認する」法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成24年4月9日裁決(裁決事例集87号291頁。以下「本裁決」という)を素材とする。
1 更正通知書に記載された更正の理由(本件理由付記)
平成17年12月期
更正の理由
貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等の計算に誤りがあると認められますから次のように申告書に記載された所得金額等に加算して更正しました。
(国保収入計上もれ 〇〇〇〇円)
貴法人は、当事業年度末において、平成14年1月1日から平成14年12月31日までの事業年度に過大に計上した医療未収入金を適正な債権の残高に修正するために、次の決算修正仕訳を平成17年12月31日付で行い、国保収入科目から〇〇〇〇円を減算しています。
しかしながら、当事業年度において、国保収入科目の残高から〇〇〇〇円を減算すべきものとは認められませんので、当該金額を当事業年度の所得金額に加算しました。
(注) 素材とした本裁決の裁決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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