公開日: 2013/10/15
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《速報解説》 既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

筆者: 新名 貴則

 《速報解説》

既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設

~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 

公認会計士・税理士 新名 貴則

 

平成25年10月1日付で自由民主党と公明党が「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を公表した。
この中で法人税及び所得税に係る改正案として、「既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設」が盛り込まれた。
本稿においては、当該税制措置の概要、位置づけ及び実務上の注意点を解説する。

 

1 税制措置の概要

当該税制措置の概要は次のとおりである。

対 象 者	青色申告書を提出している以下の法人(所得税についても同様) 	その有する耐震改修対象建築物(*)について、平成27年3月31日までに「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(以下、耐震改修促進法)の規定に基づく耐震診断結果の報告を行ったもの 対象期間	平成26年4月1日から上記の報告を行った日以後 5年を経過する日までの取得又は建設 対象設備	上記期間内に、耐震改修対象建築物の部分について行う耐震改修により取得又は建設した、その耐震改修対象建築物の部分 特例措置の内容	取得価額の25%の特別償却

(*) 耐震改修促進法において既存耐震不適格建築物に該当する建築物のうち、同法により耐震診断結果の報告が義務付けられるもの

 

2 当該税制の位置づけ

耐震改修促進法は、平成7年に発生した阪神大震災を受けて、建築物の耐震化を促進することを目的として制定された法律である。平成23年の東日本大震災の発生を受け、建築物の耐震化を促進する必要性がさらに高まっていることから、平成25年において耐震改修促進法の改正が行われた。
この建築物の耐震化促進を税制面からも支援するために、今回の税制改正大綱において当該税制が盛り込まれることとなった。

 

3 実務上の注意点

耐震改修対象建築物の部分について「耐震改修」を行うことによって取得又は建設した設備が対象となるが、ここでいう「耐震改修」とは次の要件を満たす必要があることに注意が必要である。

地震に対する安全性向上を目的とした増改築、修繕又は模様替えであって、その耐震改修対象建築物に係る耐震基準に適合するとして、次の者から証明を受けたもの

地方公共団体の長

指定確認検査機関(*)

建築士

(*) 建築基準法に基づき、建築確認や検査を行う機関として国土交通大臣や都道府県知事から指定された民間の機関

【参考】 自由民主党ホームページ
民間投資活性化等のための税制改正大綱」 ※PDFファイル

(了)

 《速報解説》

既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設

~民間投資活性化等のための税制改正大綱~

 

公認会計士・税理士 新名 貴則

 

平成25年10月1日付で自由民主党と公明党が「民間投資活性化等のための税制改正大綱」を公表した。
この中で法人税及び所得税に係る改正案として、「既存建築物の耐震改修投資の促進のための税制措置の創設」が盛り込まれた。
本稿においては、当該税制措置の概要、位置づけ及び実務上の注意点を解説する。

 

1 税制措置の概要

当該税制措置の概要は次のとおりである。

対 象 者	青色申告書を提出している以下の法人(所得税についても同様) 	その有する耐震改修対象建築物(*)について、平成27年3月31日までに「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(以下、耐震改修促進法)の規定に基づく耐震診断結果の報告を行ったもの 対象期間	平成26年4月1日から上記の報告を行った日以後 5年を経過する日までの取得又は建設 対象設備	上記期間内に、耐震改修対象建築物の部分について行う耐震改修により取得又は建設した、その耐震改修対象建築物の部分 特例措置の内容	取得価額の25%の特別償却

(*) 耐震改修促進法において既存耐震不適格建築物に該当する建築物のうち、同法により耐震診断結果の報告が義務付けられるもの

 

2 当該税制の位置づけ

耐震改修促進法は、平成7年に発生した阪神大震災を受けて、建築物の耐震化を促進することを目的として制定された法律である。平成23年の東日本大震災の発生を受け、建築物の耐震化を促進する必要性がさらに高まっていることから、平成25年において耐震改修促進法の改正が行われた。
この建築物の耐震化促進を税制面からも支援するために、今回の税制改正大綱において当該税制が盛り込まれることとなった。

 

3 実務上の注意点

耐震改修対象建築物の部分について「耐震改修」を行うことによって取得又は建設した設備が対象となるが、ここでいう「耐震改修」とは次の要件を満たす必要があることに注意が必要である。

地震に対する安全性向上を目的とした増改築、修繕又は模様替えであって、その耐震改修対象建築物に係る耐震基準に適合するとして、次の者から証明を受けたもの

地方公共団体の長

指定確認検査機関(*)

建築士

(*) 建築基準法に基づき、建築確認や検査を行う機関として国土交通大臣や都道府県知事から指定された民間の機関

【参考】 自由民主党ホームページ
民間投資活性化等のための税制改正大綱」 ※PDFファイル

(了)

筆者紹介

新名 貴則

(しんみょう・たかのり)

公認会計士・税理士

京都大学経済学部卒。愛媛県松山市出身。
朝日監査法人(現:有限責任あずさ監査法人)にて、主に会計監査と内部統制構築に従事。
日本マネジメント税理士法人にて、個人商店から上場企業まで幅広く顧問先を担当。またM&Aや監査法人対応などのアドバイスも行う。
平成24年10月1日より新名公認会計士・税理士事務所代表。

【著書】
・『新版 退職金をめぐる税務』(清文社)
・『Q&Aでわかる 監査法人対応のコツ』
・『現場の疑問に答える 税効果会計の基本Q&A』
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』(共著)
・『消費税申告の実務』(共著)
(以上、税務経理協会)

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