《速報解説》
社会保障国民会議が「給付付き税額控除」等に関する
「中間とりまとめ」を公表
~令和11年度の「所得に連動したきめ細かな給付」導入方針は維持、
飲食料品に係る消費税率引下げ等の経過措置(つなぎ)は意見の一致に至らず~
Profession Journal編集部
令和8年7月29日(水)、「社会保障国民会議(第2回)」が開催され、「給付付き税額控除」等に関する「中間とりまとめ」が取りまとめられ、内閣官房ホームページにおいて公表された。
本とりまとめは、「社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第16回)」(令和8年6月24日開催)において示された「中間とりまとめ(案)」(以下「6月案」という)について、その後の実務者会議(第17回~第22回)等における検討を経て取りまとめられたものである。
「所得に連動したきめ細かな給付」を令和11年度に本格導入し、そのために必要な法制上の措置を可及的速やかに講ずるとの方針や、制度の基本的設計(個人単位・単身者も対象、勤労性の所得と一定の税・社会保険料負担がある者を対象、給付額の逓増→定額→逓減・消失、18歳以下のこどもの人数に応じた加算等)は6月案から維持されている一方、経過措置(つなぎ)及び財源の記載には大きな変更が加えられている。
以下では、6月案からの主な変更点を中心に概観する(6月案の内容は下記【関連記事】参照)。
1 6月案からの主な変更点
| 項目 | 6月案 | 中間取りまとめ |
|---|---|---|
| 経過措置(つなぎ) | 飲食料品に係る消費税率の引下げと「所得に連動したきめ細かな給付」の先行導入を組み合わせることが適当とのとりまとめに向けた意見があった | 同組合せは「適当との議長案の提示があった」とした上で、議長案に対する各意見を併記し、「具体案について意見の一致には至らなかった」と明記 |
| 財源 | 「P」(記載未定) | 項目を新設(下記3参照) |
| 「年収の壁」への加算 | 「いわゆる年収の壁を超えた方向けに一定の給付額を上乗せする」 | 第3号被保険者制度の見直しや被用者保険の適用拡大の更なる加速により「年収の壁」が解消するまでの「時限的な措置」として、「年収の壁」に配慮した一定の加算を行う位置づけに変更 |
| 勤労性の所得の基準に係る意見 | 有識者会議の意見として、所得約 32 万円超(給与収入約 106 万円超)、給与所得 0 円超(給与収入 74 万円超)を注記 | 実務者会議の意見として、雇用保険の適用ラインを超えることとなる水準(給与収入約 53 万円超)を追加。あわせて各水準の換算根拠(令和 7 年度の最低賃金最低額×適用労働時間)を注記 |
| 検討期限の明記 | 明示なし | 就労していない高齢者などへの対応、第3号被保険者制度の見直し・被用者保険の適用拡大の更なる加速について「次期年金法改正が予定されている令和 12 年までに結論を得る」と明記 |
2 経過措置(つなぎ):具体案は意見の一致に至らず
6月案では、令和11年度の本格導入までの2年間に限った経過措置(つなぎ)として、下記の組み合わせが「適当とのとりまとめに向けた意見があった」とされていた。
① 令和9年4月1日から2年間、軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする
② 飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で「所得に連動したきめ細かな給付」を令和9年度に導入する
③ これらにより飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現する
具体的には、以下の意見等がそれぞれ示されている。
- 消費税率の時限的な引下げではなく給付で対応すべきとの観点から、「社会保険料還付付き税額控除(5万円の減税)」の導入を目指しつつ令和8年内に中低所得の現役勤労者への5万円給付を実施すべき
- 速やかに定額給付・所得連動型の給付を行うべき
- 恒久財源を確保した上で飲食料品に係る消費税を恒久的に減税すべき
- つなぎとしてできるだけ早期に税率引下げを行うべきとの観点から、1%への引下げと先行給付の組合せにより実質0%を達成しつつ高所得者優遇との批判にも対応できる
その上で、経過措置(つなぎ)については、「現下の物価高や税・社会保険料負担に苦しむ中低所得者への対応の必要性が共有され、意見の集約に向けた議論が積み重ねられたが、具体案について意見の一致には至らなかった」と総括されている。
3 財源(項目の新設)
6月案で「P」とされていた財源については、本格導入分・経過措置(つなぎ)分のいずれも、市場の信認を損なうことのないよう、特例公債に頼らず、補助金・租税特別措置の見直しなど歳出・歳入のあらゆる見直しを通じて確保することとされた。
その上で、本格導入分(恒久財源)は早期に、つなぎ分は令和9年度予算編成プロセスにおいて予算編成改革を具体化する中で、それぞれ結論を得るとしている。
4 制度の基本的設計・執行等に係るその他の修正点
このほか、給付に係る閾値となる所得水準及び給付額について「恒久財源の確保とあわせて検討する」とされた点、給付の対象外で支援が必要な方(低収入の現役世代、病気や障害等で働けない方など)への対応について、給付と相談・就労支援の一体的な実施を含め検討し、可能なものは令和11年度からあわせて実施できるよう本格導入までに結論を得るとされた点が挙げられる。
また、将来的な方向性においては、今回導入を目指す「所得に連動したきめ細かな給付」は本格的な「給付付き税額控除」を導入する「第一歩」であることが冒頭に明記され、税額控除と給付の組合せについても「将来的に給付のみと決め打ちすることなく」検討を継続するとされた。このほか、来年度を目途に「社会保険料還付付き税額控除(所得税・住民税)」を目指すべきとの意見や、総所得に金融所得等を当初から勘案すべきとの意見、こども加算への慎重意見など、各所で実務者会議等における意見の併記が拡充されている。
本とりまとめにおいて、令和9年4月からの飲食料品に係る消費税率の引下げを含む経過措置(つなぎ)の具体案は決着しておらず、今後の政府・与党における方針決定に委ねられた形となる。今後公表される政府・与党の方針及び立法プロセスの動向に留意されたい。
(了)






















