理由付記の不備をめぐる事例研究
【第18回】
「青色申告承認取消処分の事例①」
~青色申告承認取消事由(帳簿書類の不保存等)に該当すると判断した理由は?~
中央大学大学院商学研究科 博士後期課程
(酒井克彦研究室所属)
泉 絢也
今回は、青色申告法人X社に対して、1号取消事由及び3号取消事由の双方に該当するものとして行われた青色申告承認取消処分に係る理由付記の十分性が争われた大阪地裁昭和50年5月9日判決(行集26巻5号714頁。以下「本判決」という)を取り上げる。
1 青色申告の承認の取消通知書に記載された処分の理由(本件理由付記)
青色申告の承認の取消通知書
貴法人の青色申告の承認は、次の事実が法人税法127条第1項第1号及び3号に該当するので、 自×1年4月1日 至×2年3月31日 事業年度以後これを取り消したから通知します。
(取消処分の基因となった事実)
貴法人は、所得計算上収入に計上すべきものを除外し、仮装名義で銀行に預金をし、所得を過少に申告しています。
なお、売上、仕入に関する記録等の保存ならびに記帳が不備であることは法人税法第127条第1項第1号および第3号に該当します。
(注) 素材とした本判決の判決文から読み取ることができる理由付記の一部を筆者が加工している。
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