日本の会計について思う
【第1回】
「IFRS任意適用拡大への期待」
関西学院大学教授
平松 一夫
IFRSをめぐるこれまでの議論
最近、IFRS(国際会計基準)の議論に、かつての熱気が感じられない。
民主党政権下の2011年6月、自見金融担当大臣がそれまで既定の路線と思われたIFRSアドプション案を撤回して議論を白紙に戻して以来、熱気は失われたままである。その際、日本公認会計士協会は白紙撤回に反発したが、日本経団連会員企業の一部有志は白紙撤回を歓迎するなど、IFRS導入をめぐって日本国内でも意見が分かれてしまった。
一定の条件下でIFRSを導入することに賛成の立場を一貫してとってきた私にとって、白紙撤回は日本の会計の将来にとって憂うるべきことと思われた。
しかしこの時、一つの希望が残されていた。
それは、IFRSの「任意適用」が白紙撤回されなかったことである。
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