《速報解説》
「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」が公布される
~施行は公布日(2022.5.18)より1年以内、経過措置には注意を~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
令和4年5月18日、「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」(法律第41号)が公布された。
これは、会計監査の信頼性の確保並びに公認会計士の一層の能力発揮及び能力向上を図り、もって企業財務書類の信頼性を高めるため、上場会社等の監査に係る登録制度の導入などの措置を講ずるものである。
今回の改正にあたっては、令和4年1月4日に金融庁より公表された「金融審議会公認会計士制度部会報告」がベースになっていると思われる。
2022年5月11日、日本公認会計士協会の会長声明「公認会計士法の改正について」が公表されている。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 主な内容
1 公認会計士法の一部改正
次の改正を行う。
① 業務補助等の期間の見直し(公認会計士の資格要件のうち業務補助等の期間を2年以上から3年以上に改める)
② 公認会計士名簿の登録事項の見直し(公認会計士名簿に登録を受けなければならない事項として、勤務先その他の所定の事項を規定する)
③ 公認会計士の登録の抹消に係る規定の整備(公認会計士が、所定の期間以上の期間にわたり継続的専門研修を受講していないとき、2年以上継続して所在が不明であるとき等に該当する場合には、日本公認会計士協会は、資格審査会の議決に基づいて、当該公認会計士の登録を抹消することができることとする)
④ 監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し(監査法人の社員の配偶者が会社等の役員等であるために当該監査法人の監査証明業務が制限されることとなる社員を、当該会社等の財務書類について当該監査法人が行う監査証明業務に関与する社員その他の社員に限ることとする)
⑤ 上場会社等の財務書類の監査証明業務に係る登録制度の整備(登録制の導入、罰則など)
⑥ 日本公認会計士協会の会則記載事項の追加(会則記載事項として、会計に関する教育その他知識の普及及び啓発のための活動に関する規定を追加)
⑦ 公認会計士・監査審査会による立入検査等の権限の見直し(金融庁長官から公認会計士・監査審査会に委任する監査法人等に対する立入検査等の権限の範囲を見直すとともに、金融庁長官が自ら当該権限を行使することを妨げないこととする)
2 金融商品取引法の一部改正
上場会社等は、その財務計算に関する書類及び内部統制報告書について、上場会社等監査人名簿に登録を受けた公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないこととする。
Ⅲ 施行期日
この法律は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする(経過措置に注意する)。
(了)