法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第1回】
減価償却をめぐっては、もとより、税務調査等において、資本的支出と修繕費の区分が問題となることが非常に多いといえるが、そのほか、減価償却資産とその他の資産との区分(減価償却資産の範囲)、固定資産の取得価額、少額の減価償却資産等の判定、耐用年数表の適用、除却損失の計上など、その論点は多岐にわたっている。
また近年、減価償却に関する重要な税制改正が相次いでなされており、償却限度額を計算するに当たっても、留意すべき事項は多いといえる。
そこで、本稿では、減価償却をめぐる主要な論点について整理し、6回にわたって解説することとしたい。取り上げる予定のテーマは、以下のとおりである。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第2回】「交際費に該当しない支出」
税務上の交際費等は範囲が明確ではなく、交際費等に該当するか否かの判断が難しい支出が多く存在する。
そこで本連載の第1回においては、曖昧な支出のうち交際費等に該当する支出について、例を挙げて解説した。
第2回はそれとは逆に、税務上の「交際費等に該当しない支出」について、例を挙げて解説する。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載22〕 会社分割によりヘッジ対象資産・ヘッジ手段を移転する場合の税務処理
当社は、分社型分割により完全子会社(S社)を新設したいと思っています。
S社には、税制上、繰延ヘッジ処理を行っているヘッジ対象資産とヘッジ手段である未決済のデリバティブ取引とを含む資産及び負債を移転する予定ですが、税務処理上、気を付けるべき点をご教授下さい。
なお、当社は、ヘッジが有効でない部分(超過差額)に関しては、益金の額又は損金の額に算入することとしています(法令121の3①括弧書)。
会社分割と自己株式の移転
会社分割とは、会社が行う事業に関して有する権利義務の承継とされ、営業の承継から事業に関して有する権利義務の承継とされた。この権利の一つとして自己株式の承継が考えられる。
分割会社が有する自己株式については、吸収分割においては、吸収分割契約書に記載することで、分割会社の自己株式が、承継会社に承継されて、承継会社において他社株として取得できることになった(会社法758条3号)。この自己株式の承継は吸収分割に限られ、新設分割では自己株式の承継に関する規定がないので、新設分割設立会社への自己株式の承継はできないと考えられる。
経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第2回】「生産活動と税金」―試験研究費の税務―
当社は資本金額1,000万円の内国法人(3月決算)です。当社は、家電製品のメーカーであり、製品を製造する工場内に研究開発部門を設けています。
研究開発部門では、製造技術の改良や新製品の研究開発のほか、サービス・修理等のカスタマーサポート活動も担当しています。この研究開発部門に属する社員の人件費は、会計上はその全額を試験研究費として処理しています。
この費用の税務上の取扱いを教えてください。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例2(法人税)】 「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得税の特例及び貸倒損失を計上して繰戻し還付を行わなかったことにつき損害賠償請求を受けた事例」
甲社の業績悪化に伴い、金融機関からの借入金返済のため、連帯保証人となっていた代表者一族の所有する不動産を売却する必要が生じた。
平成22年に代表取締役であるA氏が所有する福岡の物件を売却し、うち1億4,000万円を甲社の借入金返済に充当した。
さらに平成24年に、A氏の実母であり甲社の役員であるB氏が底地を所有しA一族のグループ会社である乙社が建物を所有する東京のビルを売却し、B氏の売却代金の一部9,000万円を甲社の借入金返済に充当し、乙社の売却代金1億7,000万円を甲社に貸し付けた。
税理士は、平成22年分及び平成24年分のこれらの譲渡取引につき「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の所得税の特例(所得税法64条2項)」を適用せずに申告した。さらに、甲社の平成24年9月期の法人税において、甲社に貸し付けた売却代金につき、貸倒処理をせずに申告を行った。
組織再編税制における不確定概念 【第9回】「損失の二重利用①」
法人税法上、損失が二重に利用できるケースが存在し、実務においても活用されるケースが多い。
損失の二重利用を行うためだけにストラクチャーを組むことは少ないが、事業目的のために選択したストラクチャーの結果として、損失が二重に利用できてしまうケースも少なくない。
そこで本連載では、第9回目と第10回目の2回に分けて、このような損失を二重に利用するケースについて、租税回避行為として認定されるか否かについて解説を行う。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載21〕 合併に伴い合併法人の役員報酬を増額した場合の取扱い
当社は、当期の10月1日に、A社との間で当社を合併法人とする適格合併を行うことを予定しており、この合併で、A社の資産・負債等の他、すべての役員及び従業員を引き継ぐこととなります。
A社の役員の報酬水準は、当社の役員の報酬水準よりも年間でおよそ1,200,000円高くなっています。
このため、当社は、役員間での公平を期するため、合併後は、当社の役員の報酬水準を引き上げざるを得ず、10月支給分から月当たり100,000円を増額して支給することを検討しています。
この当社の役員に対する報酬の増額改定は、法人税法上、「臨時改定事由」(法令69①一ロ)によるものとして認められるのか、ご教示下さい。
なお、合併後も、当社及びA社の役員の役職及び職務内容に大きな変更はありません。
「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第1回】「制度の全体をおさえる」
この「生産等設備投資促進税制」は、該当すると税効果のインパクトがかなり大きくなるケースが想定される。
ただし、設備投資を前提とする減税措置ということは、当然、事前に周到な計画が必要になる。また、適用事業年度の前事業年度の設備投資も、本税制の適用にあたって大きく影響する。
専門家としては、今後、相談やアドバイスを求められる場面が増えると予想されることから、適用要件等をしっかり把握し、的確に助言することが必須となる。