理由付記の不備をめぐる事例研究 【第28回】「棚卸資産」~棚卸資産の計上が漏れていると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「棚卸資産計上漏れ」に係る法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた国税不服審判所平成23年3月25日裁決(裁決事例集82号143頁。以下「本裁決」という)を素材とする。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第37回】「収益認識通達と商慣行のズレ」
建設請負の場合に工事中途で(通常)受け入れる着手金、中間金に代えて収受する利子相当額を利子であると考えれば、法人税基本通達2-1-24における「・・・利子の額は、その利子の計算期間の経過に応じ当該事業年度に係る金額を当該事業年度の益金の額に算入する。」という取扱いを適用しますから、毎月収受する利子相当額は期間の経過に応じて益金の額に算入することになります。
〈平成29年度改正対応〉所得拡大促進税制の実務 【第3回】「FAQ①(給与等の範囲)」
今回から2回にわたり、過去の連載記事で取り上げたFAQ(よくある質問)について、平成29年度税制改正までの内容を踏まえて加筆修正を行う。FAQとして取り上げる論点は次の通りである。
Q1 基本的な考え方
Q2 休業手当等の取扱い
Q3 期中に雇用形態等が変更された場合
Q4 「2期にわたり給与の支給を受ける者」の意義
Q5 「雇用保険一般被保険者」に該当するが実際には加入していない場合
平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第4回】「地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制)」
平成29年度税制改正で創設された地域中核企業向け設備投資促進税制は、地域未来投資促進税制とも呼ばれ、地域で伸びゆく成長分野への投資を促進するため、将来の市場規模拡大が見込まれ、また、地域との親和性も高い、地域経済の発展に寄与する波及効果の高い地域経済牽引事業を創出することを税制面から支援するものである。
平成29年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第5回】「中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)」
連結納税においても、単体納税と同様に、中小企業者向け設備投資促進税制が拡充されている(新措法42の6、42の12の3、42の12の4、68の11、68の15の4、68の15の5、新措令27の6、27の12の3、27の12の4、39の41、39の45の4、39の46)。
中小企業者向け設備投資促進税制については、連結納税の場合、単体納税と同じく、各連結法人ごとに適用要件の判定と特別償却限度額又は税額控除額の計算が行われる(つまり、税額控除について、研究開発税制や所得拡大促進税制のように連結納税グループでの全体計算の仕組みになっていない)。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第17回】「別表13(4) 収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」
本稿では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
前回、前々回は法人税法上の圧縮記帳を採り上げたが、今回は租税特別措置法上の圧縮記帳の中から、実務で比較的採用するケースの多い、「別表13(4) 収用換地等に伴い取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書」を採り上げる。
日本の企業税制 【第45回】「「収益認識に関する会計基準」の策定が税務へ与える影響」
企業会計基準委員会(ASBJ)は、本稿公開日(7月20日)にも「収益認識に関する会計基準(案)」等を公表する予定と思われる(意見募集期間は3ヶ月)。平成27年3月に収益認識に関する包括的な会計基準の策定に着手して以来、2年を超える検討を経て、まとめられたものである。
〈平成29年度改正対応〉所得拡大促進税制の実務 【第2回】「雇用形態別の留意点」
所得拡大促進税制の計算基礎となる「雇用者給与等支給増加額」は、「国内雇用者」に対して支払われる給与等(雇用者給与等支給額)に基づき算出される。
一方、本税制の適用要件のひとつを構成する「平均給与等支給額」は、「継続雇用者」に対して支払われる給与等(継続雇用者給与等支給額)に基づき算出される。
用語が類似しているが、「継続雇用者」はあくまでも適用要件の判定にのみ用いられる概念であって、本税制は「国内雇用者」に対する給与等について適用されるという点は間違えないように押さえておきたい。
平成29年度税制改正を踏まえた設備投資減税の選定ポイント 【第3回】「中小企業経営強化税制②・固定資産税の特例措置」
中小企業経営強化税制の適用対象となる「生産性向上設備」(A類型)と「収益力強化設備」(B類型)を合わせて「経営力向上設備等」というのであるが、この経営力向上設備等については、原則として経営力向上計画の認定後に取得することとなっている。
しかし、例外として設備取得後に経営力向上計画を申請することも認められている。この場合には、設備取得日から60日以内に経営力向上計画が受理される必要があるので注意しなければならない。なお、計画変更により設備を追加取得する場合も同様である。
