〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第19回】「株式の譲渡契約の締結方法とそれにまつわる注意点」
顧問契約を締結している株式会社の社長から、その会社の複数の少数株主から、株式の譲渡を受けたいとの相談がありました。どうも、先代社長がその会社を立ち上げた際の取締役に、少数の株式を持たせていたようです。少数株主が死亡して相続が発生すると株式が拡散しますし、事業を親族等に承継する際にも面倒なことになることから、株をまとめたいとのことでした。
株の譲渡契約を締結するに際して、注意すべきことはありますか。
対面が難しい時代の相続実務 【第3回】「想定される場面(その1)」-オンラインでの相談対応-
これから数回にわたり、相続実務の場面を具体的に取り上げ、場面ごとのオンライン対応のノウハウや留意点を説明していくことにしたい。
今回は、相続に関する相談をオンラインで行う場面を取り上げる。
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第18回】「地面師事件とコンプライアンス体制の充実(上)」
2017年6月、S社が詐欺師集団に騙され、不動産の売買代金として金63億819万3,309円を騙し取られるという事件が起こった。いわゆる「地面師事件」である。
本件は2018年1月24日に社外役員らによって当時の社長の責任を指摘する調査報告書が作成された。ところがその後、当時の会長と社長の対立が生じ、会長が会社を去る事態へと発展した。さらにその後、当時の社長の責任を問う株主代表訴訟が提起されるなどの経緯を辿った。S社は、2020年12月7日、「総括検証報告書」を公表した。同報告書は、本件の責任を社長のみに問うのは妥当ではなく、過去からの経営者共通の問題であるとしている。
本件にはコンプライアンスの観点から参考になる点が多々見られる。本稿で本件の全てについて述べることはできないが、「総括検証報告書」をベースにいくつかの論点をピックアップし、「上」と「下」の構成で2回にわたって解説したい。
税理士事務所の労務管理Q&A 【第2回】「労働時間の管理①(裁量労働制)」
税理士事務所で従業員が8名いますが、内税理士が2名、有資格者(税理士試験に合格しているが税理士登録をしていない者)が1名います。
税理士には、特に業務上の指示はなく、仕事の手順や時間配分は各税理士の裁量に委ねています。裁量労働制が認められるでしょうか。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例60】日本郵政株式会社「当社子会社の一部事業の譲渡に関するお知らせ」(2021.4.21)
今回取り上げる開示は、日本郵政株式会社(以下「日本郵政」という)が2021年4月21日に開示した「当社子会社の一部事業の譲渡に関するお知らせ」である。子会社である Toll Holdings Limited(以下「トール社」という)の事業のうち特に業績が悪いエクスプレス事業を売却することにしたというのだが、売却する方針はこれよりも前に決まっていた。2020年11月5日に「当社子会社の一部事業の売却検討の決定のお知らせ」を開示し、同事業の売却を検討することを決定したとしており(検討することの決定に関する開示というのは珍しいが)、今回ようやく売却先が決まったのである。
社長のためのメンタルヘルス 【第2回】「社長ならではのメンタルヘルスの重要性と難しさ」
先月の連載第1回は、社長も従業員と同じく、生理学的・医学的には「生身の身体」であり、過重労働などのストレスにより、同じように不調を招きかねないという観点から、メンタル・ケアの大切さを説いた。
今回は、「従業員との違いについて」をテーマとする。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第18回】「規模の大きな土地ほど単価はなぜ低いのか」~土地の規模が単価に及ぼす影響~
今回は、筆者が会計・税務・総務の担当者からしばしば受ける質問の代表例として、「規模の大きな土地ほど単価が低いのはなぜか」ということについて取り上げます。
もちろん、これには例外的なケースもありますが、話を煩雑にさせないために、本稿では一般的にみられるこのような傾向を前提に説明を行います。
なお、鑑定実務では、土地の規模が単価に及ぼす影響度のことを規模格差(率)と呼んでおり、以下においてもこれと同じ意味で用いることとします。
ハラスメント発覚から紛争解決までの企業対応 【第15回】「ハラスメントの目撃者等の協力が得られないまま加害者の処分を行う場合のリスク」
当社の営業部の社員Aから「営業部の部長Bにパワハラされた」との申告を受けて、社員Aや部長B以外の営業部の部員に事情聴取を行った結果、営業部の社員C及びDから、社員A及び社員Cが上司である部長Bからパワハラを受けていた旨聴取することができました。
〔一問一答〕税理士業務に必要な契約の知識 【第18回】「顧客との顧問契約」-顧問料の回収と民法(債権法)改正に関連して-
長年の顧問先との間で、これまで顧問契約書を結ばずに業務を行ってきました。しかし、最近、顧問料の支払いが遅れることが何度か続いています。今のところ督促すると支払ってくれるのですが、万が一、支払われないままになった場合、契約書がないと請求できないのでしょうか。
空き家をめぐる法律問題 【事例35】「近時の民法改正が空き家問題に及ぼす影響」
行政から空き家の改善指導書が届きました。当該空き家は、遺産分割協議が行われないまま祖父名義のままとなっており、祖父の相続人の数は、数次相続も発生して10名を超えています。祖父の遺産のうち、空き家の遺産分割のみをしようと思いますが、支障はありますか。