家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第15回】「信託契約作成上の留意点②」-信託目的の設定-
信託法上、信託は①契約、②遺言、③信託宣言(自己信託)により成立するものとされるが、共通しているのは、「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべき旨」を定めることにある(第3条)。
ここでは、「特定の者」(受託者)、「財産」(信託財産)を定めるとともに、「一定の目的」を定めることが必須であるとされている。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例16】株式会社東芝「2016年度通期業績見通しに関するお知らせ」(2017.5.15)
今回取り上げる適時開示は、株式会社東芝(以下「東芝」という)が平成29年5月15日に開示した「2016年度通期業績見通しに関するお知らせ」である。
この連載で同社の開示を取り上げるのは、【事例1】の平成27年11月17日「当社子会社であるウェスチングハウス社に係るのれんの減損について」、【事例11】の平成28年12月27日「CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について」に続いて、実に3回目である。
この開示の最初には、次のような記載がある。要するに、決算短信を開示する予定であったが、開示できないので、代わりに「業績見通し」なるものを開示するというのである。
コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)の解説 【第5回】「まとめ~その他の論点(経営陣の指名の在り方・報酬の在り方、相談役・顧問の役割)~」
一方、コーポレートガバナンスの観点からは、社長・CEOなど経営陣に対する「適切なリスクテイクを促す適切なインセンティブ」によって中長期的な企業価値の向上が図られることから、CGSガイドラインでは、次の2つの提言がなされている(CGSガイドラインp28,p31)。
(1)経営陣の報酬体系を設計する際に、業績連動報酬や自社株報酬の導入について、検討すべきである。
(2)中長期的な企業価値に向けた報酬体系についての株主等の理解を促すために、 業績連動報酬や自社株報酬の導入状況やその内容について、企業が積極的に情 報発信を行うことを検討すべきである。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第11回】「死後に婚姻・養子縁組の無効が争われるケース(その1)」
先月、自宅近くの介護付き有料老人ホームに長年入居していた私の父が、95歳で亡くなりました。父には私を含めて3人の娘がおります。父の妻、つまり私の母親は既に10年前に亡くなっています。
父は、資産家である名門の一族に生まれた長男でしたから、実家の土地建物以外にも都内に多くの不動産を所有し、預貯金もそれなりの金額がありました。これらすべてが父の遺産ということになります。
四十九日が過ぎてから父の遺品を整理しましたが、遺言書は特に見つかりませんでした。そのため、私たち姉妹3人で遺産分割の協議をしようと思っていた矢先、予想もしなかった連絡が入ったのです。
役員インセンティブ報酬の分析 【第4回】「中長期連動金銭報酬等①」-平成28年度の状況-
役員インセンティブ報酬には大きく分けて、報酬の交付物が「金銭」か「エクイティ」かに分けることができる。今回は、役員インセンティブ報酬のうち、金銭報酬について取り上げる。
なお、平成29年度税制改正により、インセンティブ報酬の法人税法上の損金算入の可能性が高まったことから、今後多様なインセンティブ報酬プランが設計されてくると考えられるが、今回は平成29年度税制改正前のプランについて検討する。
コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)の解説 【第4回】「ダイバーシティ2.0行動ガイドラインについて」
これまで、安倍政権は発足時から働き方改革を重点施策に位置付け、この文脈でダイバーシティ推進の取組が関係省庁によって進められてきた。その中で、経済産業省は企業経営の視点からのダイバーシティに注目し、企業の競争力強化のため、性別、国籍、障がい等の属性を含め、個人が能力を発揮して企業価値創造に参画する「ダイバーシティ経営」を推進してきた。
「法定相続情報証明制度」の手続ポイント
平成29年5月29日、いわゆる法定相続情報証明制度(以下、「本制度」という)が施行された。本制度の概要については下記の通り、既に本誌上にて解説を行っているが、本稿では、施行により明らかになった具体的な手続等について解説を行う。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第14回】「信託契約作成上の留意点①」-事前コンサルティングの実施-
家族信託は極めて柔軟性の高い仕組みであることから、事案に適した家族信託を設定するためには信託契約の内容を十分に吟味する必要がある。
逆の言い方をすれば、信託契約の内容いかんで家族信託がうまく進むかどうかが決定されることになる。
このため、信託契約の内容は極めて重要であるが、その作成にあたっては専門的な見地からの意見が求められる部分がある。
今回から数回に分けて、信託契約作成上の留意点について述べたい。
税理士業務に必要な『農地』の知識 【第8回】「市民農園とその税制」
今回は市民農園について、その概略を説明する。市民農園は特に都市部に住む人の農業体験の場として近年需要が高まっている。以下では、市民農園の概略に加え、市民農園として提供した土地の相続税評価などの税務についても解説していく。