コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)の解説 【第3回】「経営陣のリーダーシップ強化の在り方について」~「経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン」の概要~
CGSガイドラインでは以下の4つの提言を行っているが、別添の経営人材育成ガイドラインは、このうち提言4を補足するものである。
提言1:形骸化した取締役会の経営機能・監督機能の強化
提言2:社外取締役の活用
提言3:経営陣の指名・報酬の在り方の検討
提言4:経営陣のリーダーシップ強化
CGSガイドライン提言4においては、現在のCEOや退任したCEOの役割を説明しているのに対し、経営人材育成ガイドラインにおいては将来のCEO等(いわゆる後継者)の選別、育成、環境整備について具体的に触れている。
外国人労働者に関する労務管理の疑問点 【第3回】「外国人留学生(大学生)を社員として雇うとき(「留学」から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格への変更)①」~手続き・制度の概要~
リクルートスーツを着て街中を歩く大学生を多く見かける時期になりました。
今回から2回にわたって、外国人留学生(大学生)を社員として雇うときの手続きについて解説していきます。まず今回は「制度の概要」について説明し、次回は具体的な事例などについて説明する予定です。
これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務 【第4回】「定期メンテナンスの入り口」-定款を活用した任期到来の時期の特定①-
登記管理をするうえで、役員改選の登記手続としての定期メンテナンスを中長期的にわたって漏れなく運用する視点が欠かせない。その流れを作るためには、①役員の任期到来の時期を特定することによって、定期メンテナンスの入り口を明確にし、つづいて②任期管理の体制づくりによって、中長期的な定期メンテナンスの実現を図る必要がある。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第10回】「死後に遺言書の無効が争われるケース(その2)」
【設問09】では、死後に遺言書の有効性が争われたケースにつき、遺言書の無効を主張する立場にたって検討した。
今回は、逆の立場、すなわち、遺言者本人及び有効な遺言書を残してもらうことにメリットを有する相続人の立場にたった紛争予防策、あるいは万一の場合に備えた準備事項を解説したい。
コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)の解説 【第2回】「社外取締役の活用の在り方について」
CGコードにおいて導入された、複数の独立社外取締役選任に関する原則(原則4-8)は、平成26年改正会社法で導入された、社外取締役を選任しない企業に説明責任を課す規定とともに、日本におけるコーポレートガバナンス改革を象徴する取り組みの一つといえる。
日本におけるコーポレートガバナンス改革は、日本再興戦略(2013年6月閣議決定)において、社外取締役の機能を積極活用することにより、攻めの会社経営を後押しすることが掲げられたように、日本企業の中長期的な収益性の向上によって、日本経済の停滞を打破するという成長戦略の重要施策の一つとして進められたものである。
相続(民法等)をめぐる注目判例紹介 【第1回】「法定相続分の預金返還等請求事件」-最高裁平成29年4月6日判決-
最高裁平成29年4月6日判決(以下、「本件判決」という)は、信用金庫に債権(普通預金債権、定期預金債権及び定期積金債権)を有していた被相続人の共同相続人の一部が、信用金庫を相手方として、法定相続分相当額の支払いを求めたという事案である。
原審(大阪高裁平成27年11月28日判決)は、従前の裁判所の判例に従い、預金債権は相続と同時に当然分割されるとして、相続人の請求を一部認容したため、信用金庫側が上告。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第13回】「家族信託におけるリスク・デメリット」
家族信託は、相続・資産承継における様々なリスクを避けるために用いられる制度であることから、何ら相続・資産承継対策を行っていない場合に比べ、通常は相続・資産承継においてトラブルが発生するリスクを低減させるものである。
また、遺言や成年後見制度に比べても、遺言よりも受益者連続型信託(財産の元々の保有者である委託者兼当初受益者が死亡した後も信託を存続させ、二次受益者、三次受益者と受益権を承継させることによって遺贈と同様の効果を発生させるもの)のほうが二次相続、三次相続において柔軟に対応できるし、成年後見制度よりも不動産の売却や財産の積極的な活用の面で優れている部分があるといえる。
コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)の解説 【第1回】「CGSガイドラインの概要」
経済産業省が、2017年3月31日に、「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を公表した。これは、2017年3月10日に公表された「CGS研究会報告書-実効的なガバナンス体制の構築・運用の手引-」(CGSレポート)を踏まえたものであり、2015年6月から適用が開始された「コーポレートガバナンス・コード」(以下、CGコード)の内容を補完し、企業価値向上のための具体的な行動を取りまとめたものである。CGSガイドラインの別添として「経営人材育成ガイドライン」及び「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」も策定されており、これらを合わせると膨大な情報量となっている。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例15】株式会社フュートレック「監査等委員会設置会社への移行中止に関するお知らせ」(2017.4.21)
今回取り上げる適時開示は、株式会社フュートレック(以下「フュートレック」という)が平成29年4月21日に開示した「監査等委員会設置会社への移行中止に関するお知らせ」である。タイトルのとおり、監査等委員会設置会社への移行を中止することにしたという内容だが、その理由について、「1.中止の理由」には次のように記載されている。