税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第3回】「不当な不動産売却がなされた直後の救済方法」-審判前の保全処分-
私には2年前より認知症となっている父がおります。
元々、父は、自身が土地・建物を所有する大阪の実家で一人暮らしをしていました。私は東京に住んでいましたが、認知症が進行し一人では生活できなくなった父の面倒を看る必要があるということで、昨年より実家に戻って生活をしています。
私には神戸に住む妹が一人おりますが、妹は大阪の実家にはほとんど寄りつかず、父の世話もしようとはしません。
そのような妹が、「たまには私も父と話がしたい」ということで、珍しく実家を訪ねてきたのです。私も、気を遣って、半日くらい外出をし、2人だけで話ができる時間を作ってあげました。
ところが、それから2週間ぐらい経ったころ、神戸の不動産業者より我々の所へ電話があり、「先日の売買契約ではお世話になりました。ついては建物からの退去日と取壊し工事の開始をいつにしましょうか」という問合せがあったのです。
[平成29年1月1日施行]改正育児介護休業法のポイントと実務対応 【第5回】「改正への実務対応①」
まずは、今回の改正を踏まえて、育児・介護の制度導入に関する会社方針の決定が必要になる。法律に抵触しないよう育児介護休業法が求める最低限の措置を導入する対応もあるであろうし、育児・介護をする従業員をよりサポートするため、法律を上回る措置を導入する対応もあるであろう。いずれにしても、それぞれの会社の育児・介護支援に対する考え方や業務特性を踏まえた会社方針の決定が必要だ。
預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第3回】「本件決定における双方の主張・補足意見等の確認」
前回は、最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)以前の預貯金債権の相続時の判例・実務上の取扱い等について述べた。今回は、本件決定における双方の主張・補足意見等、本件決定の内容をより詳細に確認する。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第6回】「よくある質問・留意点①」-受託者死亡の場合-
- 質 問 -
家族信託において受託者が法人ではない(自然人である)ことから、受託者が死亡した場合、信託はどうなるのか。信託は終了してしまうのか。
信託が終了しないとしてもリスクになるのではないか。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第4回】「被災による企業内部の法律問題」
災害によって取締役全員が死亡あるいは行方不明となった場合、企業活動を継続するには、取締役を選任する必要がある。
株主に働きかけ、裁判所の許可を得て株主総会を招集してもらい、その株主総会において取締役を選任することになる。株主全員の協力が得られる場合には、全員出席総会として招集手続がなくとも取締役の選任が可能である。
〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第11回】「公的支援制度を上手く活用するには(前編)」
前回はグラフを使って数字を見える化することのメリットについてお話しました。
ここまででフィージビリティスタディの中身についてお話すべきトピックは一通りご紹介できたと思います。連載もあと2回を残すのみとなりましたので、今回と次回はフィージビリティスタディを行うための各種公的支援制度の活用方法についてお伝えしたいと思います。
今回はその前編ということで、競争的な審査において提案を採択されやすくするためのヒントをいくつかご紹介します。
[平成29年1月1日施行]改正育児介護休業法のポイントと実務対応 【第4回】「育児休業等に関するハラスメントの防止措置」
今回は改正ポイントの最後として、新たに義務化されている「育児休業等に関するハラスメントの防止措置」の内容を確認していきたい。
改正前も、育児休業等の申出や利用を理由として解雇や雇止め等の不利益な取扱いをすることは禁止されていたが、今回新たに義務として追加されたのは、職場において、育児休業や介護休業等の制度の申出や利用に関する上司や同僚の言動により労働者の就業環境が害されることがないよう、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備する等の必要な措置を講ずることとなる。
預貯金債権の遺産分割をめぐる最高裁平成28年12月19日決定についての考察 【第2回】「本件決定以前の判例及び実務上の取扱い」
前回は、最高裁平成28年12月19日決定(以下、「本件決定」という)の概要について述べた。今回は、本件決定以前の預貯金債権の相続時の判例・実務上の取扱い等について述べる。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第2回】「既に認知症を発症している場合の対応」
共に90歳になる私の父と母についての相談です。
母は、3年前から認知症と診断され、介護施設に入りながら投薬治療を受けています。
現在は、簡単な問いかけに「はい」「いいえ」程度を答えるといった最低限の会話しかできず、寝たきりの状態です。面会に行った際も、娘である私のことはかろうじてわかるようですが、孫たちや夫のことは理解できません。
他方、私の一家と同居している父は、母と比べればまだだいぶしっかりしています。
ただ、昨年あたりから時間帯によって心身の状態に波が見られ、朝からお昼過ぎくらいまではぼーっとした状態が続いて会話もうまくいかず、着替えも一人ではできません。しかし、夕方近くなってくると、だいぶシャッキとした状態になり、家族と世間話もできるようになるという状態が続いています。医師の診断を受けたところ、やはり認知症と診断されました。
今回、父も介護施設に入所することになり、入所のための保証金や今後の施設利用料の支払いに充てるため、まとまったお金が必要となりました。
被災したクライアント企業への実務支援のポイント〔法務面のアドバイス〕 【第3回】「被災による取引関係の法律問題」
災害によって建物が滅失し、賃貸借契約が終了する場合には、賃借人は賃貸人に対して敷金の返還を請求することができる。敷金返還請求権は、本来であれば賃借人が賃貸人に目的物を返還した時に発生すると解されているが、建物が滅失した場合には目的物の返還そのものが観念できないからである。