中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第11回】「標準報酬と老齢厚生年金の額」
「平均標準報酬額」とは、平成15年4月以後の被保険者期間の各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を被保険者期間の月数で除した額である(平成15年3月までの期間は、標準賞与額は含まない)。
【第9回】の《おさらいQ&A》で示した事例のように、過去の報酬が友人よりかなり高額であったにもかかわらず、友人と自分の年金額が変わらないことに疑問を持たれることがあるが、それは平均標準報酬額の基となる標準報酬月額と標準賞与額の限度額が一因となっている。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第10回】「加給年金の加算」
加給年金が受給できるのは、厚生年金保険の加入期間(被保険者期間)が20年以上ある老齢厚生年金の受給権者で、生計維持関係(※)のある65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者又は、20歳未満の1級、2級の障害者)がある人である。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第9回】「65歳から支給される老齢厚生年金」
65歳になると、老齢基礎年金に上乗せされる形で「老齢厚生年金」が支給される(下図参照)。ただし、在職中は、特別支給の老齢厚生年金と同様に在職老齢年金により、年金額の全部又は一部が停止される場合がある(前回参照)。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第6回】「今後検討されること」
最後に、厚生労働省企業年金部会の議論で整理が行われ、今般は法制化されずに引き続き検討されることになった項目について記述する。
これらの項目は、税務当局(財務省)との折衝があり、厚生労働省の頑張りが期待されるところだが、今改正では見送られた拠出限度額の引上げなど非常に重要な項目が残されている。
一部は以前に説明しているが、非常に重要な部分なので形を変えて説明する。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第8回】「特別支給の老齢厚生年金と在職老齢年金」
老齢厚生年金を受給している人が在職し厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金の額と報酬(総報酬月額相当額(*))により受け取る年金額の全部または一部が停止される。この年金を在職老齢年金という。なお、60歳台前半の在職老齢年金と65歳台後半の在職老齢年金とでは支給停止の計算方法が異なる。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第5回】「今回改正案に盛られたこと②」
企業型DCにおける拠出限度額自体は全く増額になっていない中、制度の選択肢が増えるのは悪い事ではないが、逆にDC制度全体を複雑にしている面がある。したがって、既にマッチング拠出を実施している事業主は一応制度の続行を図るとしても、今後自助努力の制度導入を検討している事業主には考慮すべきポイントが残っている。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第7回】「特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半で支給される年金)」
老齢厚生年金は、本来、65歳から老齢基礎年金に上乗せするかたちで支給されるが、一定の受給要件を満たしていれば、60歳から64歳までは特別支給の老齢厚生年金として生年月日に応じて支給される。
年金額(後述)は、原則として、「定額部分」と「報酬比例部分」の2本立てだが、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、改正により段階的に引き上げることになっている。そして、定額部分の引上げはすでに終わっており、現在は報酬比例部分のみが支給されている。
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」を活用するポイント 【第2回】「適用手続と留意点」
前回は有期雇用特別措置法の適用対象となる者や特例の内容について紹介したが、今回は、主に特例の適用を受けるための手続きについて触れていくこととする。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第4回】「今回改正案に盛られたこと①」
この仕組みは、米国では、まさにマッチング拠出であるが、日本の場合には、企業拠出が軸になっているから、“逆マッチング拠出”となる。当然のことながら、この仕組みは今は存在しないので、運菅が実施するとなれば新規システム開発が必要となる。運菅からヒアリングするところによると、システム開発的には困難さもコストもそう大きい問題ではなさそうだが、運管が恐れるのはむしろ、事務上の煩雑さである。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第6回】「老齢基礎年金の繰下げ」
老齢基礎年金の支給開始年齢は65歳であるが、65歳のときに請求せずに、66歳以降任意の時点で、支給繰下げの申し出をすることができる。これを「繰下げ受給」という。
繰下げによる年金額は、老齢基礎年金の受給権を取得した月(原則として65歳)から繰下げの申し出をした月の前月までの期間に応じて、一定の率で増額される。