社外取締役の教科書 【第14回】「士業が社外取締役に就任する際の注意点(その2)」
「その会社がどのような企業活動を行っているのか」は、業種(どのような事業か)、業態(顧客は企業か一般消費者か等)、企業規模、その業界における商慣習、企業風土等により、各社それぞれ千差万別である。
たとえ社外取締役に就任しようとする者がその会社と同じ業界の出身であっても、それだけでその会社の企業活動のすべてを把握していることにはならない。企業経営の現場には縁遠い士業が社外取締役に就任しようとする際には、尚更である。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第14回】「養子縁組のメリットとデメリット」
養子は養親の氏を称することとなる(民810)。養子は養子縁組により養親の氏を称するが、縁組当時存在する養子の子は当然に養親の氏を称するわけではない(昭23・4・20民事甲209号回答)。
養子の子が養子と同じ氏を望む場合、本来、民法791条に従い、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めに従い届け出る必要があるが、養子夫婦が婚姻を継続している限り、家庭裁判所の許可を得ることなく戸籍法98条の入籍届によって養子の氏を称することができる(民791②)。
社外取締役の教科書 【第13回】「士業が社外取締役に就任する際の注意点(その1)」
本連載で繰り返し説明しているように、「社外」取締役には、その会社と「しがらみ」がなく、客観的な見地より、企業経営上の課題や問題点につき、多角的な意見を述べる役割が期待されている。
このような要請から、近時では、税理士、公認会計士、弁護士等の士業が社外取締役への就任を打診され、実際に就任する例が急増している。
そこで今回と次回とで、これまでの連載の整理を兼ねて、士業が社外取締役に就任する場合に注意すべき点を、項目別に説明したい。
常識としてのビジネス法律 【第30回】「知的財産権入門(その3)」
著作権法は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする(著作権法1条)。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第13回】「民法上の養子と相続税法上の養子」
前回(第12回)までは本連載における「第1部」として位置づけ、「養子縁組をめぐる法規制と手続」について解説を行ってきた。
今回からは「第2部」として、これまで解説してきた内容を踏まえ、「養子縁組を使った代表的な相続対策と留意点」について解説を行っていく。なお、本連載の今後の掲載予定については、論末の連載目次をご覧いただきたい。
社外取締役の教科書 【第12回】「会社役員賠償責任保険(D&O保険)/責任限定契約」
例えば、一連の東芝不正会計事件において、会社が歴代3社長を含む旧経営陣5人に対して損害賠償を求めて訴訟提起した金額は総額3億円である(これでさえ、低額に過ぎるとの批判もある)。
万一の場合にこのような賠償責任が直接に降りかかってくるリスクがあるということは、社外の有能な人材が社外取締役に就任することを躊躇させることにもつながりかねない。
そこで、会社役員が損害賠償責任を負う場合に備え、会社役員賠償責任保険(いわゆるD&O[Directors' and Officers' Liability Insurance]保険)が各保険会社から販売されている。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第12回】「離縁の無効・取消し」
協議離縁が有効に成立するためには、当事者間に離縁の意思の合致がなければならない。「離縁意思」とは、無条件・無期限に養親子関係を解消する意思、すなわち社会通念上、法定の親子と認められている関係を、以後永久に消滅させようとする意思をいう。
常識としてのビジネス法律 【第29回】「知的財産権入門(その2)」
権利侵害の成立要件(侵害ワンツースリー)は、次の3要件である。
[要件1] 有効な特許権の存在
[要件2] 無権限の実施行為
[要件3] 実施行為が特許権の権利範囲に入ること
事例で検証する最新コンプライアンス問題 【第4回】「免震ゴムのデータ偽装事件」
2015年10月14日、ゴム会社T社が、防振ゴムでのデータ偽装を公表した。同年3月15日に公表された免震ゴムでのデータ偽装を受けて、全製品の緊急監査を行い、同年8月10日に「正規品が出荷されていることを確認」と発表した後のことであった。T社は、2007年にも、断熱パネルのデータ偽装で社長が引責辞任している。
今回は、2007年の断熱パネル事案、2015年3月の免震ゴム事案、2015年10月の防振ゴム事案をそれぞれ比較して、なぜ、異なるタイミングで問題が発覚したのか、コンプライアンス上の問題点を分析したい。
社外取締役の教科書 【第11回】「社外取締役としての法的責任(その3)」
上記の最高裁判決は、会社の業務執行に関する取締役の監視・監督義務を広く認めたリーディング・ケースであり、現在でも、広く引用される判例である。
事案を見れば、C・Dの義務違反は明白であろう。取締役でありながら、取締役会も株主総会も開かれない状態のまま放置し、Bの独断的な業務執行につき何らの監視・監督も行っていなかったからである。
同じく「株式会社」と名乗る会社であっても、一部上場企業から街場の家族的な中小企業まで、その実態は千差万別である。