M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-共通編- 【第2回】「デューデリジェンスのプロセス①」
LOI(基本合意書)を締結した後、デューデリジェンスを実施するためには、対象会社等の機密情報にアクセスする買い手候補の守秘義務を記したNDAを締結することになる。NDAの有効期間は通常1年~3年程度の期間で設定され、これは、取引が不成立(Deal Break)に終わった場合における開示資料の返還義務なども含まれている。なお、NDAの構成は、下記のとおりである。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例23】株式会社JPホールディングス「第三者委員会調査報告書に基づく当社の対応に関するお知らせ」(2017.12.22)
今回取り上げる適時開示は、株式会社JPホールディングス(以下「JPホールディングス」という)が平成29年12月22日に開示した「第三者委員会調査報告書に基づく当社の対応に関するお知らせ」であるが、最初に次のような記載がある(下線は筆者による)。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-共通編- 【第1回】「デューデリジェンスの種類と必要な場面」
悲しいことに右肩上がりでの成長を持続できる日本企業は少ない。そのため、日本企業の多くは「企業の低成長をM&Aで補う」「市場開拓のために時間を買う」などを理由にM&Aを実行している。
M&Aは成功すれば、業界の勢力図を一気に塗り替えるほどの力があるが、残念ながら多くの企業は期待通りの成果を上げられずに業績悪化につながることになる。M&Aでの損失は、M&Aそのものの失敗のみならず、競合他社への敗北をも意味することもあるであろう。
M&Aの失敗要因には、「事業戦略の欠如」や「事前調査不足」、「統合の失敗」などが挙げられる。本連載では、その中でも、主にM&A(企業買収・売却)の取引実行前に、対象会社や対象事業に対して実施する「事前調査不足」による失敗を回避すべく、ポイントをついて複数回にわたり解説を行いたい。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例22】株式会社コシダカホールディングス「招集通知に添付した会計監査人の監査報告謄本、監査等委員会の監査報告謄本の訂正に関するお知らせ」(2017.11.9)
今回取り上げる適時開示は、株式会社コシダカホールディングス(以下「コシダカホールディングス」という)が平成29年11月9日に開示した「招集通知に添付した会計監査人の監査報告謄本、監査等委員会の監査報告謄本の訂正に関するお知らせ」である。
タイトルだけを見ると、監査報告書の記載内容にちょっとした誤りが見つかった、という内容のようなのだが、そうではない。平成29年11月7日に定時株主総会の招集通知を発送し、それに会計監査人と監査等委員会それぞれの監査報告書を添付していたのだが、実は会計監査人から監査報告書を受領できていなかったため、それらを削除するという、前代未聞の内容なのである。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例21】株式会社東芝「当社株式の特設注意市場銘柄及び監理銘柄(審査中)の指定解除に関するお知らせ」(2017.10.11)
両取引所が、東芝の内部管理体制について「相応の改善がなされた」と判断した根拠となったのは、東芝が両取引所に対して平成29年3月15日に提出した内部管理体制確認書である。しかし、監査法人による平成29年3月期の内部統制監査の結果は不適正意見だった。
役員インセンティブ報酬の分析 【第9回】「株式交付信託②」-平成29年度税制改正の影響-
本連載【第8回】で述べたように、平成29年度税制改正では、定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与という損金算入可能な役員報酬の3類型は維持しつつ、退職給与や新株予約権も役員報酬の中に含めて損金算入の可否を考えることとなった。そのため、29年度改正後は、株式交付信託は交付時点が役員在任時か退任時かというのは従来に比して重要ではなくなり、「在任時交付型」は損金算入の可能性が出てきた一方、「退任時交付型」については若干使い勝手が悪くなった。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例20】日東紡績株式会社「相談役および特別顧問制度の廃止について」(2017.2.24)
今回取り上げる適時開示は、日東紡績株式会社(以下「日東紡」という)が平成29年2月24日に開示した「相談役および特別顧問制度の廃止について」である。次の記載のみのシンプルな開示で、タイトルのとおり相談役と特別顧問制度を廃止するという内容である。
役員インセンティブ報酬の分析 【第8回】「ストック・オプション②」-平成29年度税制改正の影響-
平成29年度税制改正前のストック・オプションは、法人税法34条1項における役員給与の損金不算入制度の中には入らず、それとは別に損金算入の可否を判断するという枠組みになっており、税制非適格のストック・オプションは原則損金算入可能となっていた。
平成29年度税制改正では、定期同額給与、事前確定届出給与又は業績連動給与(改正前:利益連動給与)という損金算入可能な役員報酬の3類型は維持しつつ、退職給与や新株予約権も役員報酬の中に含めて損金算入の可否を考えることとなった。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例19】出光興産株式会社「株主による新株式発行の差止め仮処分の申立てに関するお知らせ」(2017.7.5)
今回取り上げる適時開示は、出光興産株式会社(以下「出光興産」という)が平成29年7月5日に開示した「株主による新株式発行の差止め仮処分の申立てに関するお知らせ」である。
同社は、平成29年7月3日、「公募による新株式発行に関するお知らせ」において、公募増資を実施すると開示したのだが、同社のいわゆる創業家が、東京地方裁判所に対してその差止め仮処分の申立てを行ったのである。
役員インセンティブ報酬の分析 【第7回】「権利確定時発行型の業績連動型株式報酬①」-平成29年度税制改正後-
この中で、パフォーマンス・シェア、パフォーマンス・シェア・ユニット(業績連動型株式報酬で金銭交付部分を含む場合もある。以下合わせて「パフォーマンス・シェア」という)は、特定譲渡制限付株式報酬の一形態として上記損金算入可能な株式報酬として設計可能となった。
しかし、業績に連動した報酬等の柔軟な活用を可能とする制度を導入するため、平成29年度税制改正において、従来の「利益連動給与」は「業績連動給与」と名称が変更となるとともに定義規定も置かれ、また内容も見直された。
