会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における実務上の留意点-D&O保険を機能させるために- 【第3回】「会社法の解釈と今後の動向」
前回まで述べたように、役員が一括して加入するD&O保険では、ある役員の作為ないし不作為の結果生じた免責の効果が他の役員に及ぶことや、特定の役員に多額の保険料が支払われた場合に、他の役員に支払われるべき保険金が少なくなるといった問題が生じる可能性がある。
これに対し、平成28年8月15日付日本経済新聞朝刊によると、三井住友海上火災保険が企業の社外取締役が個人ベースで加入できるD&O保険を国内で初めて開発したことが報じられている。記事によれば、保険料は年額数十万円で、最大で1億~2億円の保険金を受け取れる仕組みとされている。
会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における実務上の留意点-D&O保険を機能させるために- 【第2回】「保険金支払に関するチェックポイント」
前回述べたように、実際に「いざ」というときに自分が加入しているD&O保険が機能するものであるか、契約内容を理解しておく必要がある。その中でも保険金額の上限が最も重要になるであろうが、それに加えて次のような内容もチェックしておく必要がある。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例10】株式会社ピーシーデポコーポレーション「弊社プレミアムサービスご契約のお客様対応に関するお知らせ(2016.8.17)」
今回取り上げる適時開示は、株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下「ピーシーデポコーポレーション」という)が平成28年8月17日に開示した「弊社プレミアムサービスご契約のお客様対応に関するお知らせ」である。同社が提供している「プレミアムサービス」について、今後、以下のように対応することにしたという内容である。
会社役員賠償責任保険(D&O保険)導入時における実務上の留意点-D&O保険を機能させるために- 【第1回】「D&O保険の特徴と会社法及び税務上の取扱い」
これらの動向を受け、各企業においては、補償額のより高いD&O保険への加入検討や、複数のD&O保険への加入を検討するなど、D&O保険に対する関心の高まりも見られ、また保険会社による保険商品の開発も進んできている。
このようにD&O保険をめぐる環境整備は進められているものの、保険料の問題はその入り口に過ぎず、D&O保険により、実際に役員個人の負担がどのくらいカバーされるかが、最も重要な問題である。
そこで、以下、保険料をめぐる税務上、会社法上の問題だけでなく、D&O保険についての各種論点について検討する。
〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第7回】「F/Sの結果を総合的に判断するには」
前回は、外部環境の変化に備えることと、F/Sの目的を再確認することの重要性についてお話しました。今回は、ある程度検証された仮説に基づくF/Sの結果を判断するうえで、総合性が重要な視点になることをお伝えしたいと思います。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例9】株式会社王将フードサービス「『第三者委員会調査報告書提言に対する当社取り組みについて』 の報告終了に関するお知らせ(2016.8.12)」
今回取り上げる適時開示は、株式会社王将フードサービス(以下「王将フードサービス」という)が平成28年8月12日に開示した「『第三者委員会調査報告書提言に対する当社取り組みについて』の報告終了に関するお知らせ」である。開示名だけでは、内容を推測するのは難しいかもしれない。今回の開示は、下表に示した一連の開示の最後に当たるものである。
〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第6回】「F/Sの目的を再確認する」
前回は、F/Sを実施するうえでの経営ビジョンの重要性についてお話しました。
今回は、実施中に起こりがちなF/Sの目的と異なる方向性が見えてくる場合の対応についてお話します。
調査段階で社内の協力が得られにくくなるケースについてはすでにお話しましたが、それとは別に、予想しなかった外部の影響を受けてF/Sの方向性自体が当初とは変わってくるという場合があります。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例8】ソフトバンクグループ株式会社「代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ(2016.6.21)」
今回取り上げる適時開示は、ソフトバンクグループ株式会社(以下「ソフトバンク」という)が平成28年6月21日に開示した「代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ」である。本連載では、これまでも代表取締役や代表執行役の異動に関する開示を取り上げてきた。この開示も、一見したところ、何の変哲も無い極めて平凡なもののようである。
〔新規事業を成功に導く〕フィージビリティスタディ10の知恵 【第5回】「社内の逆風を回避するためには」
前回は、F/Sの結果が思わしくない場合、社内の協力が得られにくくなるプロセスについて、人間は本来リスク回避型の行動を取りがちであるという考え方を参照しつつご説明しました。今回は、どうすればそのような逆風を回避し、社内の重要な部門から協力を取り付けることができるかについてお伝えしたいと思います。
〔検証〕適時開示からみた企業実態 【事例7】アキュセラ・インク「ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補『エミクススタト塩酸塩』の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて(2016.5.26)」
今回取り上げる適時開示は、アキュセラ・インク(以下「アキュセラ」という)が平成28年5月26日に開示した「ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補『エミクススタト塩酸塩』の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて」である。製薬会社である同社が、研究開発していた新薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床試験の結果について開示したものである。