事例でわかる消費税転嫁対策特別措置法のポイントQ&A 【第2回】「メーカーであれば「大規模小売事業者」に当たらないか?」
当社は電化製品のメーカーです。卸売業者や小売業者に対する売上が年間90億円ほどあるほか、インターネットで消費者に直接販売するものの売上が年間40億円ほどあります。
当社はメーカーですので、消費税転嫁対策特別措置法にいう「大規模小売事業者」ではなく、資本金3億円以下の取引先に対してのみ消費税転嫁拒否等の行為を行わないよう気をつければよいことになりますか。
常識としてのビジネス法律 【第10回】「印紙に関する法律知識」
印紙税は日常取引で作成される契約書や領収書などに課税される税金であり、印紙税法別表第1の課税物件表に掲げられている20種類の文書が課税文書に該当する。
文書に課税されるものであるから、文書が作成されない場合は、取引が行われたとしても課税されない。課税文書は限定列挙されているため、その該当性の判断が重要となる。
事例でわかる消費税転嫁対策特別措置法のポイントQ&A 【第1回】「下請法対応が万全であれば安心か?」
当社(メーカー、資本金5,000万円)は、万全の体制で下請法を遵守しています。
例えば、資本金1,000万円以下の企業に部品を発注したり、製品のデザインを発注する場合には、価格決定のプロセスを厳重に監視し、買いたたきをしないようにしています。
消費税転嫁対策特別措置法が禁止する行為は、「減額」や「買いたたき」など下請法と共通するようですので、当社は特に新たな対応を行わなくても大丈夫でしょうか。
香港「新会社法」の施行と現地日系企業への影響
香港において、2014年3月3日より新会社法(香港法律第622章)が施行された。
今回の改正は、それまでの内容を大幅に刷新する非常に大きな改正となっている。
常識としてのビジネス法律 【第9回】「契約に関する法律知識(その5)」
(1) 公正証書の効力
公正証書とは、公証人が当事者の嘱託を受け、契約等について作成した証書である。適法かつ有効な内容で、無能力による取消のおそれのない契約であれば、いかなる内容の契約でも公正証書にすることは可能であるが、その内容を公正証書にするだけの実益がなければ意味がない。
「実益がある場合」とは公正証書の効力をうまく利用している場合をいうため、まず公正証書の効力について述べる。
常識としてのビジネス法律 【第8回】「契約に関する法律知識(その4)」
「約低解除」とは、契約当事者があらかじめ解除権留保の合意をし、この特約によって解除の効力が生ずる場合をいう。
① 当事者の明示的合意によるもの・・・継続的契約中などに定める即時解除条項などが具体例であり、これは相手方の資力信用に問題が発生した場合に備えて契約の解除権を留保する条項である。
② 法律によって解除権が留保されたもの・・・手付の授受(民法557条)、不動産の買戻し特約(民法579条)などがある。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載51〕 会社分割等における債権者保護制度の見直し
平成25年11月29日に閣議決定された「会社法の一部を改正する法律案」(以下「改正法案」という)の中で、会社分割等における債権者保護制度の見直しが図られることとなった。これにより、「詐害的会社分割」をめぐる残存債権者保護制度の見直しと、分割会社に知れていない債権者保護制度の見直しが行われることとなる。
そこで本稿では、現行法下での会社分割等における債権者保護制度が抱える問題点を確認し、法案による見直しの内容と、当該見直しが実務に与える影響について考察する。
「消費税の取扱事項」に関する法人間契約の注意点と対応策 【第3回】「請求者と支払者との税率の齟齬が生じる場合の対応策と法的問題点」
請求者と支払者との間で消費税率の齟齬が生じる場合としては、例えば、以下のような場合が想定される。
〔事例1〕から〔事例3〕では、いずれの場合においても、請求者は5%での課税売上、支払者は8%での仕入税額控除を行えそうであり、一見、請求者と支払者との間で消費税率の齟齬が生じている。
「消費税の取扱事項」に関する法人間契約の注意点と対応策 【第2回】「工事進行基準の特例(経過措置)の適用に関する留意点」
指定日(平成25年10月1日)から施行日(平成26年4月1日)の前日までに請負契約が締結されていることを前提に、法人税法上、工事進行基準が強制適用される長期大規模工事、または工事進行基準の任意適用を受ける場合において、消費税法上も、収入金額が計上された事業年度終了の日の属する課税期間においてその部分につき資産の譲渡等を行ったとする特例の適用を受ける場合(消費税法17①②)、工事着手日から施行日の前日までの期間に対応する請負代金(下記計算式(A))と、施行日から目的物の引渡日(または役務提供完了日)までの期間に対応する請負代金(下記計算式(B))に関し、(A)については5%、(B)については8%の税率が適用される(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則7、消費税法施行令の一部を改正する政令(平成25年3月13日公布・政令第56号)附則9)。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載50〕 コーポレート・ガバナンスの強化に係る会社法制の見直し
平成25年11月29日に「会社法の一部を改正する法律案」(以下「法案」という)が閣議決定された。
今回の会社法制の見直しに際しては、「社外取締役等による株式会社の経営に対する監査等の強化」が重要なテーマの1つとされており、そのための施策として、監査等委員会設置会社制度を創設するとともに、社外取締役等の要件等の見直しが行われた。
そこで、本稿では、実務に与える影響がより大きいと思われる社外取締役確保のための規律と「社外」要件の見直しについて述べた後、監査等委員会設置会社制度について法案の内容、実務への影響等を考えることとする。
