基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第4回】「7つの「指導原則」とは?(その1)」
前回は、長期にわたる価値創造を様々なステークホルダーに分かりやすく説明しようという統合報告書の主目的において、とても重要なフレームワークの「基礎概念」、すなわち6つの「資本」や「ビジネスモデル」と「価値創造プロセス」の関係などを解説しました。
それでは各企業や組織において、6つの「資本」や「価値創造プロセス」が明確に識別された後、それをどのような視点や表示方法で報告書に表していけばよいのでしょうか。
今回と次回は、統合報告書作成の指針となる「指導原則」について解説します。
『単体開示の簡素化』の要点をおさえる 【第1回】「制度改正の背景と簡素化の範囲」
平成26年3月26日に、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成26年内閣府令第19号、以下「改正府令」という)が公布され、平成26年3月期に係る有価証券報告書の作成から、単体開示に関して簡素化が図られている。
現在までに1,500社を超える会社において簡素化された単体開示が採用されており、その実例や実績を踏まえて、有価証券報告書の作成を今後に控えている会社や当期は採用を見送ったものの、今後の簡素化を検討される会社もあると思われる。
基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第3回】「「価値」と「資本」の関係」
前回は、フレームワークの最も中心となるテーマである企業が持続的に成長させていくべき「価値」について説明しました。
今回は、フレームワークの「基礎概念」を理解するうえで、もう1つおさえておかなければならないポイントである「価値」と「資本」の関係から解説していきます。
基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第2回】「基礎概念における「価値」を理解する」
前回は、現状の「開示情報の氾濫」と「非財務情報の有用性」を踏まえて、近い将来「統合報告」の取組みが、企業価値の判断に有用な開示手法になる可能性について述べました。
今回はまず、2013年12月にIIRCから公表(日本語版は2014年3月に日本公認会計士協会から公表)された「国際統合報告フレームワーク」(以下、「フレームワーク」という)の具体的内容から説明していきます。
基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第1回】「「統合報告」とは何だろうか?」
私は上場企業を中心に会計監査を長年経験し、有価証券報告書のチェックも数多くこなしてきました。IFRSへのコンバージェンスの流れの中で年々、会計基準の複雑化や注記情報の拡充が行われ、10年ほど前は100ページに満たない有価証券報告書は、いまや200ページを超えるものも珍しくない状況になっています。正直にいうと私も、金融商品や退職給付関連の高度で複雑な注記を正確に理解して財務分析に活かせる人は何%くらいいるのだろうかと考えながら業務に臨んでいました。