〔会計不正調査報告書を読む〕 【第175回】株式会社トーシンホールディングス「第三者委員会調査報告書(開示版)(2025年8月29日付)」
2025年4月30日、トーシンHDの当時の一時会計監査人である中部総合監査法人(報告書上の表記は、B監査法人))からの指摘によって、トーシンモバイルの財務報告に関し、2023年4月期から2024年4月期にかけて、主に移動体通信関連事業における二次代理店向けの代理店精算において、財務報告用資料と実際の代理店精算用資料の2種類が存在しており、かつ財務報告用資料において二次代理店向けの端末販売等の売上高が過大計上となっており、その結果として帳簿上未回収となっている売掛金が存在している事実(本事案)が判明した。
本事案について、事案の解明を図るためには、独立性及び専門性を有する第三者による調査が必要であるという中部総合監査法人からの指摘を受け、トーシンHDは、公正性を確保した調査が必要であると判断し、2025年5月9日開催の取締役会において、外部の有識者によって構成する第三者委員会(第2次調査委員会)の設置を決議し、同月20日開催の取締役会において、第三者委員会の委員を決定し、調査に着手した。
連結会計を学ぶ(改) 【第7回】「連結決算日と決算日の変更」
連結財務諸表の作成において、連結財務諸表の作成に関する期間は1年であり、親会社の会計期間に基づいて、年1回一定の日をもって連結決算日とすると規定されている(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)15項)。
〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第13回】「「サステナビリティ関連財務情報」と財務情報、どんな関係にあるの?」
ジャーナル食品社は、加工食品の製造・販売を営む企業です。
サステナビリティ推進室では、ハルカちゃんとミズノ室長が自社の有価証券報告書をのぞき込んでいます。
【ハルカちゃん】
「・・・というわけで、この注記は、財務諸表のこの数値を詳しく説明するものなんですよ。」
〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2025年10月】第2四半期決算(2025年9月30日)
3月決算会社を想定し、第2四半期(中間期)決算(2025年9月30日)に関連する速報解説のポイントについて、基本的に2025年7月1日から9月30日までに公開した速報解説を対象としている。
公開草案及び適用時期が将来のものは、基本的に記載の対象外としている。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
連結会計を学ぶ(改) 【第6回】「連結の範囲に関する重要性の原則」
連結財務諸表の作成において、親会社は、すべての子会社を連結の範囲に含めることが原則である(「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号。以下「連結会計基準」という)13項)。
ただし、連結会計基準は、重要性の原則を規定しており、子会社であって、その資産、売上高等を考慮して、連結の範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができるとしている(連結会計基準注1、注3)。
今回は、連結の範囲に関する重要性の原則について解説する。
〔まとめて確認〕会計情報の月次速報解説 【2025年9月】
2025年9月1日から9月30日までに公開した速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
決算短信の訂正事例から学ぶ実務の知識 【第19回】「預金と借入金の計上漏れ」
今回の事例は、借入金の計上漏れです。そして、借入金の見合いで預金も計上漏れとなっています。
借入金や預金は銀行との取引であり、銀行側の記録(通帳やインターネットバンキングの記録)との整合性確認が可能です。そのため、会社側に誤処理があっても早い段階で修正可能だと考えられます。しかし、そのような取引が処理漏れとなってしまいました。
単純なミスのように見えますが、上場会社ではあまり見ないミスです。少なくとも、短信公表後にこのようなミスを訂正する事例は珍しいと思います。会計的には資産と負債の計上漏れであり、業績への直接の影響はありませんが、借金の計上漏れという事実は重いのではないでしょうか。
このようなミスが発生している場合に留意すべきことは何か、以下、訂正事例を使って考えていきましょう。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第174回】ダイワ通信株式会社「第三者委員会調査報告書(公表版)(2025年4月18日付)」「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2025年7月31日付)」
ダイワ通信は、2025年1月中旬、連結子会社であるディーズセキュリティ株式会社(以下「DSS」と略称する)とその取引先との間における不適切な取引に関する通報(本通報の内容はDSSにおいて循環取引その他これに類似する取引の存在をうかがわせる内容であった)が外部機関にあり、当該通報に関して監査法人トーマツより連絡があったため、ダイワ通信の顧問弁護士事務所の中田博繁氏を委員長として社内調査を実施した。その後、ダイワ通信は、当該社内調査の内容の報告を受け、第三者委員会の設置の必要性を検討し、2025年2月4日開催の臨時取締役会において、ダイワ通信から完全に独立・中立な立場の外部専門家のみから構成される、日本弁護士連合会「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会の設置を決議した。
連結会計を学ぶ(改) 【第5回】「連結の範囲に関する適用指針③」-意思決定機関を支配していないことが明らかなケース-
前回に引き続き、「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号。以下「連結範囲適用指針」という)にしたがって連結の範囲を解説する。
文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
