《速報解説》 各府省庁公表の令和5年度税制改正要望が取りまとめられる~既存制度の延長・拡充が中心も一部時流に応じた抜本強化・新制度創設を要望~
例年通り8月末から9月頭にかけて各府省庁からの税制改正要望が公表された。その内容については概ね既存制度の延長・拡充を求めるものが中心であるものの、時流に対応した抜本強化・新制度創設も一部見受けられる。
monthly TAX views -No.116-「「認定クラウド」とデジタル・セーフティーネット」
令和4年1月から、法定調書は「認定クラウド」を利用して提出できるようになった。「認定クラウド」というのは、国税庁告示で定める要件に適合する旨国税庁長官の認定を受けているクラウドサービスで、現在は株式会社野村総合研究所の「e-私書箱法定調書提出クラウドサービス」が該当している。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例44】「減価償却資産の判定単位とその損金性」
私は、神奈川県内において鉄道関連を中心とした模型や物品等を販売する株式会社X(資本金1,000万円、従業員10名の3月決算法人)を経営しております。私は元々製薬関連企業で営業職を務めていましたが、40歳を過ぎて、自分の時間を切り売りするだけのサラリーマン生活に疑問を感じ、子供のころから慣れ親しんできた鉄道模型を細々と扱う商店を開いて、残りの人生を謳歌したいという思いが募り、10年前に私鉄の駅前の商店街に現在の店を開業しました。私のこだわりである、国内外の珍しい鉄道模型を収集し販売しているためか、素人が始めた店の割には顧客がついて、お陰様で店の床面積を2倍に拡大するほどの売上となっております。
令和4年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第5回】
① 「資産調整勘定等対応金額」とは、離脱法人の通算開始・加入前に通算法人が時価取得したその離脱法人の株式の取得価額のうち、その取得価額を合併対価としてその取得時にその離脱法人を被合併法人とする非適格合併を行うものとした場合に資産調整勘定又は負債調整勘定(以下「資産調整勘定等」という)として計算される金額に相当する金額をいう。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第22回】「匿名組合分配金はどのように取り扱われるのか」
その構成員が外国の事業体である我が国匿名組合の収益分配金は、我が国課税上どのように取り扱われるのでしょうか。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第17回】「外国組織体の法人該当性判断枠組み」-米国デラウェア州LPS法人該当性事件・最判平成27年7月17日民集69巻5号1253頁-
前回は、課税要件事実の認定を、未経過固定資産税等相当額清算金の性質決定について検討したが、今回は、外国法に準拠して設立された組織体(以下「外国組織体」という)の性質決定について検討することにする。我が国の実定所得課税制度は、納税義務者を個人と法人とに二分し、それぞれに帰属する所得に課税する建前を採用しているが(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【219】参照)、そのため、外国組織体の性質決定の問題は、外国組織体の法人該当性に関する判断枠組み(以下「外国組織体の法人該当性判断枠組み」という)の中で検討されることになる。
令和4年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第4回】
投資簿価修正制度は、通算子法人が通算グループから離脱する場合、その離脱法人の株式を所有する通算法人において、その離脱法人の株式の帳簿価額を離脱法人の離脱直前の簿価純資産価額に修正することとしており、株式の取得価額に企業買収時のプレミアム相当額が含まれている場合、そのプレミアム相当額が株式譲渡原価に算入されず、その分、株式譲渡益が増加又は株式譲渡損が減少してしまう問題があり、グループ通算制度の適用がM&Aの障害となることが懸念されていた(一方、企業買収時に簿価純資産価額よりも低い金額で株式を取得するなどディスカウント相当額がある場合、そのディスカウント相当額が株式譲渡原価に算入され、その分、株式譲渡益が減少又は株式譲渡損が増加することになる)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例113(法人税)】 「収用等の圧縮記帳と特別控除を重複適用したため、税務調査により修正申告となったが、「特別控除は当初申告の金額を変更できない」として圧縮記帳が不可となった部分につき損害が発生した事例」
令和X年3月期の法人税につき、確定した決算において、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(以下「収用等の圧縮記帳の特例」という)を適用していたにもかかわらず、申告書において、「収用換地等の場合の所得の特別控除」(以下「収用等の特別控除」という)を重複適用したため、税務調査で指摘を受けた。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第50回】「店舗併用住宅に係る配偶者居住権がある場合の小規模宅地等の特例の適用」
被相続人である甲の相続発生に伴い、甲が所有していた下記の土地建物について、配偶者乙が配偶者居住権を取得し、土地建物の所有権を乙、長男丙及び二男丁が共有で1/3ずつ取得しました。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第20回】「納税者の無申告により課税庁が固定資産税について特例を適用せずに賦課した事案において国家賠償法上の違法性が認められるかが争われた事例」
納付する税額がいくらなのか確定する方法として、申告納税方式と賦課課税方式がある。申告納税方式は、納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、申告がない場合や申告に係る税額が、税法に従っていないこと等により税務署長等が調査したところと異なる場合に限って、税務署長等の処分により確定する方式(国通法16①一)である。