法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例78】「除染作業に関する業務のために委託先に支出した金員の損金性」
私は、東北地方のとある県における第三の都市に本社を置き、産業廃棄物処理業を営むX株式会社(資本金5,000万円の3月決算法人)において総務部長を務めております。
ご承知の通り2011年の東日本大震災は、東北地方の太平洋側に多大な被害をもたらしました。特に津波による東京電力福島第一原子力発電所の被害は甚大で、近隣地域の放射能汚染への対応は喫緊の課題となりました。わが社も東北地方にある企業の端くれとして、地元再生への貢献を行いたい一心で、除染作業を受注すべく関係自治体を駆けずり回った結果、「汚染状況重点調査地域」の事業をいくつか請け負うこととなりました。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q97】「JDRの元本の払戻しが行われた場合の取扱い」
私(居住者たる個人)は、上場されているJDRを保有しています。分配金が支払われるという通知を受領しましたが、所得税法上はどのように取り扱われるのでしょうか。
また、2026年4月からは元本の払戻しが行われる可能性があると聞きました。元本が払い戻された場合は、どのように取り扱えばよいでしょうか。
なお、当該JDRは、税務上、特定受益証券発行信託の受益証券に該当し、この分配金は国内証券会社の一般口座で受け取ります。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第75回】
CARFは、暗号資産(Crypto-Asset)を「暗号化の方法により保護された分散型台帳又は類似の技術に依拠して取引の検証及び安全性の確保を行う価値のデジタル表現」と定義し、ここから中央銀行デジタル通貨、特定電子マネー商品(一定のステーブルコイン)、RCASPが支払や投資の目的として使用できないと適切に判断した暗号資産を除いたものを報告対象暗号資産(Relevant Crypto-Asset)と定義している。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第56回】「実質所得者課税の原則の具体的な判定基準」
国際的な取引における所得の帰属について、通説的な法律的帰属説の立場から、具体的にはどのように判断するのでしょうか。
《速報解説》 各府省庁からの令和8年度税制改正要望が出揃う~研究開発税制の拡充・延長、大胆な投資促進税制の創設、暗号資産税制の見直し等~
本年も8月末から9月頭にかけて各府省庁より税制改正要望が公表された。
令和8年度税制改正要望では、国内産業基盤の維持・強化を図ることを目的とした設備投資や研究開発投資等の国内投資を後押しするための新税制の創設や研究開発税制などの既存制度の拡充・延長等が要望されているほか、時限措置として令和8年分所得税において講じられた生命保険料控除制度の拡充の恒久化や分離課税の導入を含めた暗号資産取引等に係る課税の見直し等の社会情勢に即した要望がされている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第51回】「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-
今回は、借地権の設定に伴い授受される権利金(以下「借地権利金」という)に係る所得税法上の所得区分が争われた事件に関する最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁(以下「本判決」という)を検討する。
国家安全保障から見る令和7年度及び近年の税制改正-防衛特別法人税等の企業への影響- 【第4回】
法人は各課税事業年度の基準法人税額に対して、当分の間、防衛特別法人税を課される(防衛財確法9)。課税事業年度は2026年4月1日以後に開始する各事業年度(法人税法第13条及び第14条に規定する事業年度)とされ、通算子法人については別途規定が設けられている(※1)(防衛財確法10)。納税地は法人税法の納税地と同一である(防衛財確法12)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例149(消費税)】 「国、地方公共団体、公共・公益法人等の仕入控除税額の計算の特例を知らなかったため、特定収入がある場合の仕入控除税額の調整を行っておらず、結果として不利な原則課税により申告していた事例」
依頼者は、特定収入がある任意団体であり、特定収入割合が常に5%超であった。税理士は特定収入に関する知識がなかったため、通常の法人と同様の原則課税により申告を行っていた。そして別件で税務署を訪問した際、担当官より、特定収入がある場合の仕入控除税額の調整がされていない旨の指摘を受け、修正申告するように指導された。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第20回】「非居住者に対して講演謝金を支払う場合(来日講演又はオンライン講演)の税務上の留意点」
本学会では、学術集会の際に、海外の研究者(非居住者)に講演してもらい、講演謝金を支払っています。講演に関しては、来日して講演してもらうケースと、海外からオンラインで講演してもらうケースがありますが、それぞれの税務上の留意点を教えてください。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第52回】「重ダンプは人や物の運搬を主たる目的とする車両及び運搬具と断定できず、機械及び装置に該当しないといえないから、中小企業者等が機械等を取得した場合の法人税額の特別控除等の適用が認められた事例」
機械及び装置や車両及び運搬具は 減価償却資産の種類の1つであるが(法法2二十三)、税法上明確な定義がなされていない。
そこで一般的な定義を国語辞典である「大辞林第四版」で調べると「機械」及び「装置」は次のようになる。