〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載10〕 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)の適用の有無
外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン対策税制)においては、個人が株主となっている場合の適用関係に十分に注意する必要がある。
次の例を用いて、内国法人A社に外国子会社合算税制の適用があるのか否かについて、解説を行うこととしたい。
① 内国法人A社は、香港法人B社の発行済株式総数の7%を保有している。
② 乙(非居住者)は、香港法人B社の発行済株式総数の93%を保有している。
③ 内国法人A社の株主兼役員である甲(居住者)は、乙の兄である。
④ 乙は、内国法人A社の経営には全く関与していない。
monthly TAX views -No.2-「今年の課題は法人税改革」
来年度税制改正の主な課題の一つは、法人税改革である。
そしてその主役は、国(税)ではなく地方(税)である。
なぜ地方が主役なのか。
地方自治体は、法人事業税と法人住民税(法人2税)という2つの税源に悩まされてきた。
〔平成25年4月1日以後開始事業年度から適用〕 過大支払利子税制─企業戦略への影響と対策─ 【第1回】「制度導入の背景とは」
平成24年3月の税制改正において、法人の平成25年4月1日以後に開始する各事業年度に、関連者等に対する支払利子等の額がある場合においては、その支払利子等の額のうち一定額の損金算入が制限されるという規定(以下「過大支払利子税制」という)が創設された。
これまで、関連者等に対する過大な利子の支払いについては、移転価格税制及び過少資本税制によって対応が図られてきたが、今後はこの過大支払利子税制を含めた3つの税制により、その対応が図られることとなる。
グループ法人税制における寄附金の税務
平成22年度税制改正によるグループ法人税制の導入で、完全支配関係にある法人間での寄附金については全額損金不算入とされるようになったと聞きましたが、その他留意点があれば教えてください。
平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点 【第5回】「消費税95%ルールの改正」
消費税の改正項目のうち、平成25年3月期決算において大きな影響があるのは、平成23年6月の税制改正で定められた「95%ルールの改正」である。
95%ルールとは、課税売上割合が95%以上となる課税事業者については、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を課税標準額に対する消費税額から控除できる制度のことをいう。
改正により、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から、課税売上高が5億円を超える事業者は、95%ルールの適用対象外とされた。
つまり課税売上高が5億円を超える事業者は、課税仕入れ等に係る消費税額の全額の控除は認められず、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの方法によって仕入税額控除の計算を行うことになる。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第13回】税率変更の問題点(12) 「経過措置に関する注意点(その3)」
資産の貸付けを行った場合の賃貸借契約において、その契約の締結日が施行日前であっても、施行日後の資産の貸付けに係る部分については、原則として新税率が適用されることとなるが、以下の経過措置の規定に該当する契約で指定日の前日までに契約した場合には、施行日以後の貸付けの対価の額についても旧税率が適用されることとなる。
平成26年1月から施行される「国外財産調書制度」の実務と留意点【第5回】
(1) 提出義務者
国外財産調書の提出義務者は、所得税法にいう居住者のうち非永住者を除く者で、毎年12月31日において保有する国外財産が、合計で5,000万円を超える者である。
非居住者には、提出義務がない。居住者が年の途中で、1年以上海外で勤務する予定で出国した場合には、12月31日においては非居住者であるため、提出義務はない。
また、12月31日には居住者であったが、1月1日から3月15日までの間に死亡又は出国した場合も提出義務がない。
ただし、この場合の「出国」は、「納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなること」と定義されているため、納税管理人の届出を提出して出国する場合は、納税管理人が提出する必要があるものと考えられる。
中国における営業税改革の概要、改革効果の検証及び展望 【第3回】
上海において改革により効果が現れ始めている一方、試験地域における税務当局と対象企業の双方が様々な問題に直面している。
税務当局にとっては中央と地方財源の再配分、徴税機関の一本化、徴税業務の効率化、徴税コストの削減などの問題が残る。
組織再編税制における不確定概念 【第3回】「従業者引継要件等における『おおむね』とは」
組織再編税制においては、税制適格要件における従業者引継要件、規模要件、みなし共同事業要件における規模要件、規模継続要件において、「おおむね」という文言がそれぞれ規定されており、税制適格要件における株式継続保有要件において、「おおむね」という文言を使用していないのと対照的である。
本稿においては、従業者引継要件を例に挙げて、その具体的な内容についての解説を行う。